【初心者必読】A4サイズ画像を作るときの解像度×ピクセル数の考え方を徹底解説!

ちょっとした掲示物やビラを作ろうと制作ソフトを立ち上げると、用紙サイズ以外に解像度(dpi)やピクセル数(px)を指定しないといけないことがあります。「ただA4の書類を作れればいいから…」と思っても、意味が分からないままにしておくのも不安ですよね。

そこで今回は、印刷物を作り慣れていない人向けに、用紙サイズや用途ごとの解像度とピクセル数のおすすめ設定について徹底解説します。基本的な定義や考え方についても詳しく説明していくので、是非マスターしてくださいね!

目次

覚えておきたい!解像度/ピクセル/用紙サイズの考え方

掲示物やチラシなどの印刷物を作るときは、解像度/ピクセル/用紙サイズの3要素を決める必要があります。それぞれをざっくり説明すると以下のようになります。

  • 解像度:紙面のきめ細やかさ
  • ピクセル数:紙面に描画できるドット数
  • 用紙サイズ:最終的に出力したい紙のサイズ

これだけだと「分かるような…分からないような…」という印象ですよね。この3つの要素の関わりについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

用紙サイズを決めるだけじゃダメなの?

「解像度やピクセルって必要なの?用紙サイズだけじゃダメなの?」紙面を初めてデザインする人は、当然疑問に思うでしょう。確かに、”手書き”でチラシを作るならA4の用紙が1枚あれば良く、解像度ごとに用紙の種類が分かれているわけではありません。多くの方は、「手書きなら必要ないことが、なぜPCだと必要なの?」というギャップに戸惑うと思います。

そこで、手書きの場合を例にして考えてみましょう。A4サイズの用紙に自由にデザインをするとき、あなたはどんな画材を使いますか?描きたいイメージに合わせて、太さの違うペンを組み合わせる方が多いと思います。しかし、もし太いマジックしか使えない場合や、細いシャープペンシルしか使えない場合、最終的な仕上がりはどうなるでしょうか。

太いマジックを使う場合、A4サイズでは少々窮屈で、筆数が少なく、荒々しいデザインになるでしょう。逆に、細いシャープペンシルを使うことができる場合は、人の髪の毛を描くような繊細なデザインもできますよね。やや大雑把にまとめると、これが解像度の違いです。

手書きの場合の解像度は、用紙の材質・使用する画材・描画のタッチなどのアナログ要素によって決まります。しかし、PCではすべてデジタル上で処理することになるため、「どれだけ小さなドットまで表現できるようにするか?」を決めてあげる必要があります。

「解像度(dpi)」は画像の鮮明さを表す単位

解像度(dpi)の定義は「1インチあたりにドットがいくつあるか(Dot per Inch)」です。ここでのインチは「1平方インチ」、つまり面積を表します。1インチは24.5mmなので、1平方インチは24.5平方mmということになります。

解像度が違うとどうなるかは、実際に解像度の異なるイラストを見比べてみると分かりやすいでしょう。

同じ大きさで、解像度の違う画像を2つ用意してみました。仮に、左右それぞれの画像のサイズが1平方インチだとしたときに、左は100dpi(ドットが100個)、右は25dpi(ドットが25個)となります。

解像度の高い画像は、より繊細に描画することができ、物の形やグラデーションを明確に表現することができます。解像度を低く設定し過ぎてしまうと、印刷したときに「全体がボヤけてしまった…」といったトラブルになってしまうことも。しかし、解像度が高すぎると「PCの処理が重たくて作業にならない…」といったデメリットも発生します。解像度を適切に設定することが、印刷物作りの第一歩と言えます。

「ピクセル(px)」は画像サイズの最小単位

解像度の考え方を踏まえて、次はピクセル数について説明します。ピクセル(px)は「解像度を定めたときの一番小さいドット1個分」のことを指します。解像度の比較画像をもう一度見てみましょう。

これらの画像の、細枠で囲まれた四角の部分がピクセルです。左右それぞれの画像のサイズが1平方インチだとしたときに、左は解像度が100dpi/ピクセル数は縦10px × 横10pxです。右は解像度が25dpi/ピクセル数は縦5px × 横5pxです。これが基本的なピクセル数の数え方です。

「用紙サイズ(mm)」は最終的に出力する用紙の大きさ

用紙サイズは「最終的に印刷したい紙のサイズ」です。よく使われるのはA4サイズやB5サイズ。それぞれを2倍の大きさしたA3、B4にも馴染みのある方が多いと思います。用紙サイズはmmで表現されることが多いのですが、解像度はインチがベースになっているので、少しややこしいですね。

制作ソフト上では、用紙の大きさをA4やB5といった印刷紙のサイズで設定できることがほとんどです。インチやmmの値を直接設定することはまずありませんので安心してください。

印刷するときは基本的に300dpi以上の解像度が必要

用紙のサイズに関係なく、家のプリンタや会社の複合機でフルカラー印刷をすることが前提ならば、300dpi以上の解像度が必要です。300dpiあれば、基本的な図形や曲線をなめらかに表現でき、グラデーションも鮮やかに見えます。チラシを作る、ポップを作るといった目的の場合は、解像度を300dpi以上に設定しましょう。

A4サイズの画像・印刷物を作るときのオススメ解像度&ピクセル

ここからは、それぞれの用途も想定しながら、A4サイズのおすすめ設定をご紹介します。B5やA3サイズでもおおよそ同じ考え方になるので、ポイントをしっかり押さえておきましょう。

350dpi:フルカラーの印刷物/デザイン重視のPDFなど

フルカラー印刷では、350dpiが基本設定になります。解像度/ピクセル/用紙サイズの関係性は以下の通りです。

  • 解像度:350dpi
  • ピクセル数:2894px x 4093px *用紙の向きに注意
  • 用紙サイズ:A4(210mm x 297mm)

ちょっとした配布物や掲示物は、とりあえずこの設定にしておけば間違いありません。制作ソフトでは、用紙サイズと解像度を入力しただけでピクセル数を自動計算してくれる場合がほとんどです。

150dpi:単純な図形の集合体/文字だけの説明資料など

手順書や説明資料など、デザインの要素がほとんどない印刷物は、150dpiで十分な場合もあります。設定例は以下の通りです。

  • 解像度:150dpi
  • ピクセル数:1240px × 1754px *用紙の向きに注意
  • 用紙サイズ:A4(210mm x 297mm)

解像度が低くなったため、350dpiのときよりピクセル数が少なくなりました。

解像度は高いほど良い、というわけではない

最終的な印刷物の仕上がりを見るのであれば、説明資料なども350dpiで作っても問題はありません。しかし、手順書や説明資料は枚数がかさむことが多いですよね。1枚程度であれば気にならないデータの重さでも、50枚、100枚ともなるとファイル容量は相当重たくなります。開くときにPCの動作が重くなったり、共有が大変になったりする恐れがあります。

解像度を下げれば、ファイルの処理にかかる時間を削減することができます。高い解像度が必要ではないデータについては、最低限の設定にしておくと作業がサクサク進みますよ。

600dpi:グラデーションのある白黒印刷物

意外かもしれませんが、グレースケール印刷は印刷機にとって表現が難しく、きれいに表現するためには高い解像度が要求されます。完全に白か黒かのみを使った資料ならば低解像度で問題ありませんが、グレーの色味が多く、デザインにもこだわりたいものは600dpiの設定にしましょう。

  • 解像度:600dpi
  • ピクセル数:4961px × 7016px *用紙の向きに注意
  • 用紙サイズ:A4(210mm x 297mm)

600dpiともなると、PCにも負担が大きい作業になってきます。メモリ負担が大きい場合は、制作ソフト以外のアプリケーションを終了しておくなど注意が必要です。ページ数が多い場合は、デザイン編集に特化したソフトや、スペックの高いPCを使うことも視野に入れたほうがいいかもしれません。

高解像度の印刷物を作るときは、印刷機のスペックにも気をつける

また、印刷機によってはそこまで細かい解像度を表現できない場合があります。家庭で印刷したい場合は、印刷機選びの時点から高解像度に対応している機種を探す必要があります。たまに印刷するだけならば、コンビニの複合機は高解像度対応の機種が多いのでおすすめです。品質にこだわりたい場合は、印刷業者に委託することも選択肢に入れましょう。

72dpi:PCで閲覧することが前提のPDF

印刷する予定がなく、PDFデータとして使用するだけであれば、低解像度で十分です。よくデフォルト設定で目にする72dpiは、PCデータ用の設定と考えましょう。

  • 解像度:72dpi
  • ピクセル数:595px × 842px *用紙の向きに注意
  • 用紙サイズ:A4(210mm x 297mm)

PCモニタで画像を見る場合、1ピクセルのサイズはモニタの解像度によって決まります。72dpiで制作していたとしても、モニタの解像度が許す限り拡大も縮小もできてしまいます。そのため、解像度にこだわる必要はあまりありません。

画面上のデータが荒いと感じるときは、解像度ではなくピクセル数を増やします。A4はあくまで紙に印刷するときの規格なので、PC上では特に意味を持ちません。用紙の設定をB4やA3に変更してピクセル数を増やせばデータが鮮明になります。

余白を10mm以上開けると読みやすくなる

紙面の読みやすさは、レイアウトに大きく左右されます。高い解像度を設定してグラデーションなどを駆使しても、レイアウトや配置によっては読みづらくなってしまうことも。

「なんだかしっくりこない…」と思ったら、まずは紙面に10mm以上の十分な余白を開けてみましょう。レストランのメイン料理は、食事をより美味しく見せるためにあえて大きなお皿に盛りつけられていることが多いです。印刷物もそれと同じで、きれいに見せるためのポイントは余白にあります。

A4以外の画像・印刷物を作るときのおすすめ解像度&ピクセル

A4以外の、A3、A4、B4、B5、ハガキサイズなどの用紙サイズでは、解像度やピクセル数をどう考えれば良いでしょうか?ここからは、A4以外のサイズのおすすめ設定と、解像度350dpiのときの用紙サイズとピクセル数の一覧表をご紹介します。

A3〜A6、B4〜B6サイズやL版はA4と同じ考え方でOK

A3サイズ以下の紙サイズについては、A4と同じ解像度を使いましょう。解像度が同じでも、用紙サイズによってピクセルは変わるので気をつけてくださいね。ハガキや年賀状のような印刷物も同じ考え方です。

A1〜A2、B1〜B3サイズは、解像度を200dpi程度に落とそう

ポスターサイズと呼ばれる、B3以上の大きさの印刷物は、解像度を200dpiにすることが一般的とされています。解像度をA4と同じ350dpiにしても問題はありませんが、そこまで高い解像度は必要ありません。

大きな印刷物は、目立ちやすい場所に掲示され、複数人が遠目から見るような場面で活躍します。A4サイズのように手元でまじまじ見ることはほとんどありません。ギリギリまで近づいて観察すると粗さが気になるかもしれませんが、遠くから見る分にはほとんど気にならないでしょう。

ピクセル数が多くなるとデータが重くなるのはすべての場合で共通です。大きな用紙を使うときは、200dpi程度に解像度を落としておくとデータが扱いやすくなります。

350dpiのときの用紙別ピクセル数一覧(A3、A4、A5、B4、B5、ハガキサイズ)

カラー印刷の基本である解像度が350dpiのときの、用紙サイズごとのピクセル数一覧です。

解像度 用紙サイズ 大きさ[mm] ピクセル数[px]
350dpi A3 210 × 297 4093 x 5787
A4 297 × 420 2894 x 4093
A5 148 × 210 2039 x 2894
B4 257 × 364 3541 x 5016
B5 182 × 257 2508 x 3541
ハガキサイズ 100 × 148 1378 × 2039

新規ファイルを作成するとき、大きさをピクセル数で設定する必要がある場合に参考にしてください。

<趣味や記念日などに>用途別のおすすめ入稿用解像度&ピクセルは?

最近は、いろいろなモノに好きな絵柄を印刷できるサービスが増えてきています。オリジナルのプレゼントや、グッズを作りたいときの設定はどうすれば良いでしょうか。

ここからは、ちょっと特殊な印刷物を作るときのおすすめの設定について解説していきます。世界に一つだけの印刷物をきれいに仕上げましょう♪

写真ケーキの発注には、オリジナルサイズの写真を入稿しよう

誕生日や各種お祝いに、ケーキの上に好きな写真を印刷してくれるサービスが広まってきました。家族や友人の写真を使ったり、自作のイラストを使ったり、準備するときからワクワクしてしまいますね。

写真ケーキに使う写真は、スマホの標準設定レベルの画質があれば十分です。拡大はせずに等倍の設定で撮影し、オリジナルサイズ(撮影したままのサイズ)を使用しましょう。イラストを入稿する場合、350dpiで2000px正方形の大きさがあれば十分です。掲載できるサイズはケーキの種類によって異なるので、入稿の前に依頼先に確認しておくと良いでしょう。

デザインラベルやキーホルダーを自作するときの元画像は350dpiが基本

ラベルやキーホルダーなどのオリジナルグッズを作るときは、A4サイズのデザインと同じく350dpiの設定にしましょう。モノによって出力サイズが変わるので、印刷範囲(インチ)を確認してからピクセル数に直しましょう。制作ソフトによっては、インチやmmを入力するとピクセル数を自動計算してくれる場合もあります。

結婚式のウェルカムボードは200dpi〜350dpiで

親族や友人からウェルカムボードを依頼された場合、飾り方やサイズによって解像度を調整します。大きなキャンバススタンドに飾るようなものであれば、200dpi程度にしておきます。写真立てのようにこぢんまりと飾りつける場合は350dpiにしましょう。

ウェルカムボードはそのまま新郎新婦にプレゼントする場合が多いので、印刷は業者に発注するのがおすすめ。キャンバス紙風の上質紙や布印刷などの特殊印刷も対応してもらえますよ。

WEB用画像、アイコン、バナーは72dpiで十分

SNSやブログのアイコンやバナーを作るときは72dpiでOKです。ピクセル数は各サービスによって仕様が異なるので、事前に調べておきましょう。そのサービスでのみ使うのであれば、サイズぴったりで作成するのがおすすめです。

複数のサイトで共通の画像を使いたいときは、一番大きなピクセルサイズに合わせてデザインしましょう。サイズ変更で縮小していくと、変換した後の粗さが目立ちにくくなります。

漫画やイラストの白黒原稿は600dpiで入稿しよう

グラデーションやトーンといった白黒効果の多い漫画や白黒のイラスト原稿は、600dpiで制作しましょう。印刷を業者に発注する場合がほとんどだと思いますが、入稿時に解像度が足りないことに気づくトラブルも多いようです。

解像度が高い場合、後から低く設定し直しても問題ありませんが、低い解像度のものを高い解像度に直すことはできません。作り直しになってしまうケースもあるので、ファイルの新規作成時に設定をチェックするように気をつけましょう。

まとめ

A4サイズの印刷物を作るとき、カラーなら350dpiが基本です。説明書のような文章と簡単な図形だけのものであれば、150dpi程度に落として、ファイル容量を抑えるのもアリ。グラデーションやトーンを含むグレースケールのものは、600dpiで制作しましょう。

A4以外の用紙も、A3以下の大きさであればA4と同じ考え方でOKです。B3より大きいポスターサイズの用紙なら、200dpiに落としてもOK。用紙のサイズや使われ方によって、最適な解像度とピクセル数を設定しましょう!

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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