築50年住宅のリノベーションに失敗しない!必要な工事や成功のポイントを紹介


この人に聞きました河野由美子

nook interiors代表。二級建築士。住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手リノベーション設計企画会社での勤務を経て独立。日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わっています。建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、インテリアコーディーネーター資格対策テキスト監修、工務店の施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

築50年経った家は、築浅の家にはない味わい深さがあります。一方で、さまざまな部分が劣化しているため、そのまま長く住み続けるのは難しい場合が多いです。快適に住むためにリノベーションを考えているなら、築年数が経っているからこそ起こりうるリスクを理解して、失敗しない計画を立てたいですよね。

この記事では、築50年の家のリノベーションで起こりやすい失敗や、必要になることが多い工事と費用相場について紹介します。リノベーションに失敗しないポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

リノベーションとは?リフォームや建て替えとの違い

築50年の家に住み続けたいと思ったら「リフォームがいいのか、建て替えた方がいいのか…」と悩む人は多いでしょう。家の劣化を改善する方法として、「リノベーション」「リフォーム」「建て替え」の3つがあります。まずは、この違いをよく理解しておくことが大切です。

リノベーションとは

すでに建っている建物の性能を新築時よりも向上させたり、新しい機能を加えて家の価値を高めたりするためにおこなう工事を「リノベーション」と言います。築浅の建物におこなう場合もありますが、築年数が経って機能性や快適性が大きく下がった建物を対象に行うケースが多いです。

住宅のリノベーションは、新しい建材や内装材・住宅設備への交換だけではありません。「生活動線をコンパクトにして時短家事を実現する」「2室の間仕切壁を撤去して開放感のある1室にする」など、現代の生活様式や価値観をベースに、日常生活の質を高めるのが狙いです。

最近は、省エネ意識の高まりで、断熱性や気密性の向上を重視したリノベーションも増えています。また、地震や台風といった自然災害に耐えられるよう、耐久性や耐震性を高めることも目的のひとつです。

リノベーションとリフォームの違い

リフォームは、経年劣化で使いにくくなった状態を補修や修理によって元に戻す工事を指します。「直す」「戻す」という考え方で、傷んだ屋根を葺き替えたり、水まわり設備を新しいものに交換したり、雨漏りする箇所を補修したりする工事が中心です。間取りや構造体は現状維持で、「劣化した部分だけを直す」とイメージすると分かりやすいでしょう。

リノベーションとリフォームの違いは、主に「工事の規模」「家の性能」の2点です。

リノベーションが家全体を対象とした工事をおこなうのに対して、リフォームは住宅設備の交換・修理、外壁や屋根の補修、壁紙の張り替えといった部分的な工事をおこないます。リノベーションでは、構造部分以外をすべて解体し、一から新しい間取りをつくっていくケースも少なくありません。また、解体後に基礎の補修を行ったり、断熱材を増やしたり、柱と柱の間に筋交いを追加して耐震性を高めたりすることも可能です。こうした工事を「スケルトンリフォーム」と呼ぶこともありますが、工事の分類で見ればリノベーションに当たります。

リフォームではリノベーションほど大がかりな工事は基本的に行いません。間取り変更については、対面キッチンの腰壁を撤去してセンターキッチンにするといった簡易な工事にとどまります。

リノベーションと建て替えの違い

建て替えは、現在の家をすべて壊して基礎から建てていく工事です。変わらないのは土地だけで、土地の上に立つ建物自体は一度ゼロにし、新築同様に建てていきます。

リノベーションと建て替えの違いは、構造部分の解体の有無です。リノベーションは、構造部分をそのまま利用して、室内全体を対象に工事をおこないますが、建て替えは家そのものを一から建てます。家が一新するなら建て替えの方がよさそうに見えますが、50年前の建築基準は現代とは異なっているので、現在の建築基準法に合わせて設計すると延床面積が小さくなるといった可能性を考慮することが必要です。

築50年の住宅リノベーションで起こりやすい失敗

築50年の家は劣化がかなり進んでいるだけに、リノベーションを行う段階で予想外の問題が発生することがあります。ここからは、築50年の家のリノベーション時に起きる可能性のある失敗について紹介します。

断熱材不足で快適性が改善しなかった

50年前は、現在ほど家の断熱性が重視されていませんでした。夏は蒸し暑く、冬は寒いという日本の気候の特徴そのままに暮らすということに、さほど違和感がなかったのです。しかし、技術革新によって断熱材の性能が向上し、断熱性を高めると家の寿命を延ばすことにつながるのが定説となってきたために、リノベーションで断熱性能を高める工事は徐々に重要視されてきています。

築50年の家は、床や壁、屋根裏などに断熱材がそもそも入っていないケースが多いです。壁紙や床材を張り替える際に下地のチェックが甘く、断熱材を入れないままリノベーションを進めると、夏や冬は過ごしにくいままの家になってしまう可能性があります。

間取りが自由に変えられなかった

リノベーションのメリットの一つは、間取りを変更できる点です。しかし、構造部分を残して工事を行う以上、自由に間取りを変えられるわけではありません。

たとえば、柱と梁で建物全体を支える在来工法で建てられた木造住宅だと、柱と柱の間に斜めに入れてある筋交い(すじかい)の位置によっては、新たな窓の設置ができず、間取りに制限が出る場合があります。二階建ての場合、1階から2階まで通っている通し柱は撤去できないので、通し柱を残して間取りを考えなければいけません。ツーバイフォー工法など、建物全体を壁で支える構造の家も、窓のサイズ変更や位置変更ができない箇所があるケースが多く、希望の間取りにならない場合があります。

工事完了後に水漏れが起きた

築50年の家は、外から見える箇所だけでなく、見えない箇所が大きく劣化していることが少なくありません。よくあるのは、キッチンや浴室などの配管が古くなっていたにもかかわらず、交換せずにリノベーションを進めた結果、工事が完了した後で水漏れが発生するケースです。

鉄管や鉛管、銅管はかつて配管材料として多用されていましたが、鉄管は錆びやすいことから現在ではほとんど使用されなくなり、銅管もより加工しやすいポリエチレン管に変わってきています。鉛管は、上水道が普及し始めた頃によく使われていましたが、健康に悪影響が出る可能性が高いことから、1978年に使用が禁止されました。これら金属製の配管は、いずれも20~25年が寿命ですが、新築時に設置したまま使い続けていると、腐食や経年劣化によって亀裂が広がり、水漏れを起こしやすくなります。

「水まわりのリフォームと合わせて配管を交換したことがある」という場合でも、交換したのは一部の配管である可能性が高いでしょう。一般的に水まわりのリフォームを行うタイミングである築20年前後の段階では、家全体の配管を変えるほど劣化が進んでいないからです。新しい配管と古い配管が混同した状態を放置してリノベーションをすると、水やお湯が管内を通る際の振動で継ぎ目部分がずれたり、古い配管に入った亀裂が広がったりして、水漏れにつながることがあります。

耐震補強工事費用が高くついた

新築から50年経っている家は、建築基準法が改正される前の旧耐震基準で設計されています。旧耐震基準は、震度5程度の地震で倒壊しない耐震力を持つ設計基準で、1981年5月31日までに建築確認が行われた家に適用されています。

最近国内では、震度5以上を観測している地震が少なくありません。阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめ、熊本県や北海道、山形県、石川県など、全国各地で震度5~6台の地震が頻発していることを考えると、旧耐震基準で設計された家に住むことはかなり危険であることが分かります。

築50年の家をリノベーションするなら、地震による倒壊を防ぐためにも、耐震性の強化は不可欠です。耐震補強工事は、家の状態によって内容が大きく変わり、工事費も内容によって上下しますが、床・壁・屋根など家全体を補強するとなると、安くても100万円台、より強固な耐震補強が必要な場合は300万円前後の費用がかかることも。構造部分の状態を正確に調査して、必要な耐震補強工事を最初から計画しておかないと、予算オーバーになる可能性があります。

築50年の住宅リノベーションで必要になることが多い工事と費用相場

築50年の家をリノベーションする場合、さまざまな箇所を改善する必要があるため、工事項目が多くなりがちです。とはいえ、快適に暮らせる家にするために欠かせない工事を優先的に計画し、予算を組んでいく必要があります。

築50年の家のリノベーションで必要になることが多い工事と、それぞれの費用相場について見ていきましょう。

基礎補修

築50年の家の基礎は、周辺環境やこれまでのメンテナンスの頻度などによって、状態が大きく異なります。

もっとも軽度な補修は、ひび割れの補修です。基礎の中には鉄筋が配筋されており、ひび割れを放置していると、鉄筋が錆びて弱くなったり、錆が広がってコンクリートの強度が下がったりします。木造住宅の場合は、基礎のひび割れ部分がシロアリの侵入経路になってしまうこともあるので、早急な対応が必要です。ひび割れの補修は、樹脂をひび割れ部分に注入して埋める作業で完了します。あくまでも、錆による劣化やシロアリ侵入の対策として行うもので、基礎の耐久性や耐震性を高める効果はありません。

基礎の強度を上げて耐震性を強化したい場合は、基礎の表面に炭素繊維シートを張る工事をおこないます。新たに鉄筋を配筋したり、コンクリートを打ったりする作業が必要ないため、予算を抑えながら短期間で完了できる点がメリットです。

よりしっかりと基礎の強度を上げたい場合は、基礎の増し打ちをおこないます。増し打ちとは、今ある基礎の隣に新しく鉄筋を配筋し、コンクリートを打ってもう一つ基礎を作る方法です。家全体の基礎に行うのではなく、地震が起きた時に強く引き抜きの力がかかる可能性の高い土台や柱の部分だけに施工します。

工事費用の相場は、ひび割れ補修は1箇所につき1~2万円炭素繊維シートを張り付ける補修は2~3万円/mです。基礎の増し打ちは、6~8万円/mと考えておくといいでしょう。

耐震補強

基礎の補修も耐震補強の一部ですが、家全体の耐震補強としてはさまざまな工事があります。壁の耐震補強として一般的なのは、柱の間に筋交いを増やす工事です。木造住宅の場合は、30mm×90mm以上の木材を対角線に斜め方向へ設置します。鉄骨造住宅では、ブレースと呼ばれる金属製の部材を、たすき掛けにして設置することが多いです。耐震パネルを施工する工事は、家全体の壁量を計算して、壁量を増加したい箇所の壁面を撤去し、耐震パネルをはめ込んでから仕上げ材を張ります。

屋根の軽量化も、耐震補強として有効です。屋根が重いと、地震の揺れが大きいほど家全体が激しく揺れることになり、倒壊の危険性が高まります。それだけでなく、屋根の重みで倒壊の範囲が広がる可能性もあります。たとえば、瓦屋根からスレートやガルバリウム鋼板の屋根に葺き替えると、家全体にかかる重量が少なくなって地震の揺れに対応しやすく、倒壊のリスクや被害を軽減できます。

筋交いやブレースを増やす工事費用は、1箇所につき5~18万円が相場です。一緒に耐震金物も取り付けるので、金物代として2~3万円が追加になります。耐震パネルを施工する工事費用は、防水シートや外壁材の材料費も含めて、60~70万円程度の費用が掛かると考えておきましょう。屋根の葺き替えは、80㎡の屋根の場合、瓦からスレートにすると70~180万円、瓦からガルバリウム鋼板にすると80~200万円が目安です。

配線・配管交換

リノベーションで間取りを変更する場合、電気配線や給排水の配管の交換・位置変更工事が追加になることが多いです。

配線については、「照明器具の位置変更や増設」「スイッチやコンセントの位置変更や増設」「ブレーカーや分電盤の交換」といった工事があります。間取りを変更する場合は必ず発生する工事で、間取りを変更しない場合でも、配線や接続器具の劣化を考慮して交換するのがおすすめです。

築50年の家の配管素材は鉄や鉛・銅などの金属である可能性が高く、かなり劣化していると思われるので、必須の工事と考えておきましょう。壁内に配管してあるパターンと、床下に配管してあるパターンがあり、床下配管の方が交換は容易です。

配線関連の工事費用は、照明器具の位置変更が1箇所につき3,000円前後、増設が1箇所につき15,000円前後が目安です。スイッチやコンセントの位置変更は、1箇所につき3,000円前後、増設は1箇所につき5,000~8,000円前後が相場でしょう。ブレーカーの交換は7,000円前後、分電盤の交換は3~4万円かかると考えておけば、大きく予算オーバーすることはありません。

もし、リノベーションのタイミングでキッチンにIHヒーターを導入したり、パワーが大きいエアコンに交換したりする場合は、200V電源が必要です。築50年の家は、新築時に200Vの電源工事をしていないことが多いため、これまでリフォームで追加工事をしたことがなければ、200Vの電源工事を行います。電線からの引き込みやブレーカー交換、専用コンセントの新設などを一式行った場合、費用相場は16~20万円です。

配管関連の工事費用は、給排水管をすべて交換する場合、家の床面積や水まわりスペースの数にもよりますが、30~50万円が相場でしょう。キッチンや浴室、トイレなどを現在の位置から移設する場合は、移設する距離によって費用が変動します。1m以内と近ければ10万円前後ですが、「3m以上離れている」「給湯器との距離が長い」「ストレートではなく曲げ配管が必要」といった場合は工事費用が上がるので、見積金額を見て予算オーバーにならないか検討してください。

断熱性や気密性の向上

先ほども触れたように、築50年の家には断熱材が入っていないケースや、入っていてもかなり少ないケースが多いです。そのままだと断熱性や気密性が低く、室温が外気温に影響を受けやすいだけでなく、冷暖房効率も悪いため、リノベーションで改善したいポイントですね。

断熱工事は、床や壁、屋根裏など外気の熱や冷気が侵入しやすい箇所をすべてカバーしなければ効果が発揮できません。リノベーションで床や壁、天井などを解体する際に、あわせて断熱材を施工するのがおすすめです。

総二階の家で、延床面積が100㎡の場合、1階の床面積50㎡を対象とした断熱工事の工事費用相場は70~110万円です、壁の断熱工事は、家全体の壁を解体して断熱材を施工し、再度仕上げる場合で100~130万円、天井の断熱工事は、天井を解体せずに行う場合で12~15万円前後が相場でしょう。

外気の侵入量がもっとも多い窓の断熱工事も、断熱性や気密性の向上には有効です。築50年の家は、窓ガラスがほぼ単板ガラスで、断熱効果が期待できません。2枚もしくは3枚のガラスを組み合わせ、その間に空気層を挟むことで外気の侵入をカットする「複層ガラス」を採用すると、断熱性を高められます。

外壁を壊さず、複層ガラス用サッシに交換できるカバー工法を採用した場合、1箇所あたりの工事費用の目安は腰高窓で18~26万円、掃き出し窓で34~40万円です。窓ガラスの断熱性能が高くなるほど、工事費用も高くなるので、リビングや寝室など家族が長時間過ごす部屋の窓には断熱性が高い窓ガラスを、玄関や廊下など滞在時間が少ない場所の窓にはスタンダードな複層ガラスを選んで、費用を調整するのがおすすめです。

50年の住宅リノベーション全体の費用相場

築50年の家で快適に過ごせるよう、リノベーションする場合、延床面積や劣化の進行具合、工事内容などによって費用はかなり変動します。ただし、平均的な工事費用は1,000万円から1,500万円と言われているので、検討の目安にしておくといいでしょう。間取りや住宅設備、断熱性、耐震性などすべてにこだわると2,000万円を超え、建て替えと変わらない金額になることもあります。優先したい項目と、ある程度妥協できる項目を家族でよく話し合い、資金計画を立てることが大切です。

築50年の住宅リノベーションに失敗しないポイント

築50年の家のリノベーションは、なじみ深い場所でそのまま生活できる上に、現在のライフスタイルに合った間取りに変更できるのが魅力です。一方で、築年数が経っているために予想外の問題が出てくることを想定して、慎重に打ち合わせを行う必要があります。

築50年の住宅リノベーションに失敗しないためのポイントを4つ紹介します。

構造部分の事前確認を入念に行う

リノベーションは、現在の構造部分をそのまま使用するので、構造部分の状態の良し悪しがリノベーションの満足度を左右します。使いやすい間取りにして、最新の住宅設備を選んでも、構造部分の劣化を見逃したままリノベーションをすると、すぐに不具合が出て追加補修を行う可能性があるからです。基礎にひび割れがないか、壁や床に歪みや沈み込みがないか、雨漏りしていないかなど、構造部分については事前の現場調査で入念にチェックしてもらいましょう。必要な補修があると分かったら、室内の工事よりも優先して検討してください。

今後のライフプランを踏まえた間取りを考える

築50年の家をリノベーションして今後も住むと決めたら、現在の家族構成やライフスタイルに合わせるだけでなく、今後10年20年と住み続けることを想定して、間取りを考えることが大切です。

たとえば、50年前に20代で家を新築したなら、リノベーションする時点では70代になっているので、体力の低下を想定した間取りにすると住みやすいでしょう。段差をなくす、寝室とトイレや洗面室を近くに配置するといった工夫だけでなく、少ない移動で日常生活が送れるよう、部屋数を減らす「減築」を視野に入れてもいいかもしれません。床面積が減ると掃除の手間が減り、外壁や屋根の面積が小さくなるのでメンテナンス費用も抑えられます。部屋数を減らしてできたスペースを駐車場にして、玄関との行き来をしやすくしたり、庭にして家庭菜園を楽しむのもいいでしょう。

親世帯と子世帯が同居する二世帯住宅に変える場合も、リノベーションは有効です。親世帯は体力が徐々に低下していくので、そばに子世帯がいると安心ですし、子世帯は家事や育児の一部を親世帯に頼りやすくなります。

リノベーションの機会を生かして、今後のライフプランを踏まえた間取りに変更し、住み心地を高めましょう。

ホームインスペクションを受ける

ホームインスペクション(住宅診断)は、中古住宅の売買で行うイメージが強いかもしれませんが、構造部分を活用するリノベーションでも受けておくと安心です。必要な工事の提案や仕上がり精度の確認など、第三者視点でチェックしてもらえます。

ホームインスペクションを受けると効果的なタイミングは、いくつかあります。一つは、リノベーション業者に現場調査をしてもらい、見積や提案プランが出てくる時期です。必要な工事がきちんと計画されているか、見積金額が適正かといった点をチェックしてもらえます。着工し床材や間仕切壁、天井などを解体したタイミングで受けるのもおすすめです。仕上げ材で見えなかった部分を目視して、湿気による腐食やシロアリ被害が見つかった場合は、迅速に追加の補修工事を検討できます。その他、「工事が適切にできているか」「契約した内容通りの仕上がりになっているか」「品質に問題がないか」といった点をチェックするために、工事中や引き渡し前に受けるのもいいでしょう。

チェックの内容や項目数によって診断料はさまざまですが、標準的な内容を目視で診断する場合は4~8万円赤外線サーモグラフィなどの機器を使って診断する場合は10万円前後が目安です。

施工実績が豊富なリノベーション業者に依頼する

大規模な範囲を対象に行うリノベーションは、複雑な工事が多く、高度な建築技術を必要とします。解体してみて不具合が新たに見つかることも珍しくないので、現場経験が豊富なリノベーション業者に依頼すると安心です。

ホームページや完成見学会などで施工実績を確認する以外に、無料相談サービスを利用するのもいいでしょう。施工実績が豊富なリノベーション業者なら、希望内容を踏まえた提案だけではないプラスαの提案をしてくれます。

施工事例を見てみよう

築50年の家をリノベーションするとしても、どこまでできるのか気になりますよね。機能性やデザイン性を高めたリノベーションの施工事例を紹介します。

事例1.間取り変更+高断熱化で快適な日常生活を満喫

【Before】

【After】

出典:住友不動産

築年数:50年

リノベーション費用:2000万円以上

1階は水まわりスペースを移動して寝室をつくり、LDKの上部を吹き抜けにして開放感あふれる空間に変更しました。2階は2室を1室にまとめ、ルーフバルコニーを新設してゆったりとした雰囲気に。家全体にしっかり断熱材を施工したため、安定した室温で一年中過ごせて快適性が大きくアップしました。

事例2.築50年の味わいを生かしたヴィンテージテイストの別荘に

【Before】

【After】

出典:河原工房

築年数:50年

リノベーション費用:2300万円

機能性に富んだ水まわり設備と、木材や漆喰といった自然素材のよさを生かした内装が絶妙なバランスです。残した梁をあえて見せた高い天井のリビングダイニングは、2方向の窓から自然光が入り、明るく暖かい雰囲気が広がります。

事例3.耐震補強を全面施工し安全性をアップ

出典:株式会社ナサホーム

築年数:50年

バリアフリー仕様にリノベーションした築50年の古民家の事例です。南側にあった縁側を取り込んだリビングは、25畳という広さ。隣接した和室との間に段差がないので、スムーズな移動が可能です。耐力壁による全面耐震補強を行い、安全性が高まりました

効果的なリノベーションで居住性を高めよう

「築年数が経った家は建て替えるしかない…」というイメージが強い人も多いかもしれません。しかし、事前に詳細な現場調査で適切な補修内容を把握し、予算とのバランスを見ながら計画していけば、リノベーションでも充分に希望をかなえることができます。

この記事を参考に、リノベーションで快適な家づくりをめざしてみてください。

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※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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