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最新の住宅補助金「住宅エコリフォーム推進事業」は知っておいて損なし!気になる必要な申請や要件を解説

この人に聞きました大野翠

芙蓉宅建FPオフィス代表。金融業界歴10年目(2020年現在)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。

一定の基準を満たして環境に配慮した住宅は、国や自治体による助成制度が受けられるためお得にリフォームが可能です。そこで今回は、2022年9月から募集を開始した、助成制度の中でも最新の補助金である「住宅エコリフォーム推進事業」について解説していきます。

住宅エコリフォーム推進事業とは?概要について解説

まず、住宅エコリフォーム推進事業の概要について解説していきます。住宅エコリフォーム推進事業の補助額・補助限度額や、申請する場合の受付期間についてそれぞれ確認していきましょう。

住宅エコリフォーム推進事業は既存住宅のリフォームのみ対象

住宅エコリフォーム推進事業は、国土交通省が主体となり2022年9月14日から募集をスタートした新しい事業です。この事業は、「令和4年度 住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」のひとつとして2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すために設けられました。

国や自治体によるリフォームの助成制度はいくつかありますが、住宅エコリフォーム推進事業では既存住宅のリフォーム(部分改修、一部改修、建て替え)のみ対象としています。そのため、新築戸建てや新築マンションなどの新規購入は対象となりません。

つまり、既存住宅を省エネ性能の高いZEH住宅化するために、所定の要件ごとに定めた補助金を助成してくれる制度です。具体的な対象事業の要件に関しては、このあと詳しく解説します。

申請は施工業者が行うため施主の手続きは不要

住宅エコリフォーム推進事業の申請手続きは施行業者が行います。そのため、施主であるわたしたちが直接行う手続きはありません。

ただし、対象となるリフォーム業者が住宅エコリフォーム推進事業の事業者登録を済ませているかは、事前に調べることもできます。住宅エコリフォーム推進事業支援室Webサイト内には、登録事業者一覧のページがあります。

但し、この一覧では公表を希望するリフォーム事業者のみ掲載されていますので、住宅エコリフォーム推進事業に登録しているかどうかは、リフォーム事業者に直接確認しましょう。

住宅エコリフォーム推進事業の補助率・補助限度額

住宅エコリフォーム推進事業では、内容に応じて補助率と補助限度額が定められています。


住宅エコリフォーム推進事業の補助率

  • 省エネ診断 1/3補助(限度額無し) 
  • 省エネ設計等 1/3補助(限度額無し) 
  • 省エネ改修(建て替え含む) 戸建住宅等11.5%補助(1戸あたり上限512,700円) マンション1/6補助(1㎡あたり上限2,500円)

補助限度額は、省エネ診断と省エネ設計等では設けられていません。建て替えも含む省エネ改修では、ZEHレベルの省エネ性能を保有する戸建建住宅で1戸あたり512,700円、共同住宅で1㎡あたり2,500円とされています。さらに、共同住宅のうち、耐火建築物または準耐火建築物であって、延べ面積が1,000㎡以上であり、かつ地階を除く階数が3階以上のものをマンションと区分します。高いZEHレベルの省エネ性能を保有するマンションに改修する場合、1㎡あたり3,700円を上限としています。

さらに、最低補助額は診断以外で5万円、診断のみの場合は1万円で申請する補助額の合計がそれぞれの金額に満たない場合は補助が受けられないので注意しましょう。


住宅エコリフォーム推進事業の補助対象

住宅エコリフォーム推進事業の補助対象となる要件について紹介します。

住宅エコリフォーム推進事業の対象事業

住宅エコリフォーム推進事業では、住宅をZEHレベルの高い省エネ性能へ改修することを目的とした以下の3つの事業が対象です。いずれも、令和4年(2022年)9月1日以降にリフォーム工事の契約締結をした場合に対象になります。


対象事業と具体例

  1. 省エネ診断:性能の証明書取得費用など第三者機関からの評価にかかった費用
  2. 省エネ設計等:基準を満たすためにかかった調査・設計費用など
  3. 省エネ改修(建て替えを含む):部分改修の場合、複数の開口部についてZEH仕様基準を満たすよう改修する工事の費用。全体改修または建て替えの場合、基準を満たすための工事経費

いずれも、令和4年(2022年)9月1日以降にリフォーム工事の契約締結をした場合に対象になります。補助対象の要件等は次の通りです。

補助対象となる部分改修(省エネ診断・省エネ設計等)

住宅エコリフォーム推進事業の対象となる部分改修は省エネ診断と省エネ設計を指し、全体改修の要件を満たさないものという基準です。部分改修では「複数の開口部についてZEH仕様基準を満たすよう改修する工事」が必須工事となります。

簡単に言うと、部分改修は住宅全体の省エネ性能が全体改修の基準に満たないものです。具体的には、ドアや窓など複数の開口部のリフォーム工事を必須工事とし、同時に他のリフォームを併せて行うことで、結果としてZEH基準を満たすものをいいます。

ドアや窓など複数の開口部のリフォームと同時に次のリフォームを行うと、これらの工事も補助対象になります。

部分改修で必須工事と併せて補助対象となる工事


  • ZEH仕様準を満たす躯体の改修断熱工事
  • 下記設備の高効率化工事
  • 太陽熱利用システム
  • ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)
  • 電気ヒートポンプ給湯器(エコキュート)
  • 潜熱回収型石油給湯器(エコフィール)
  • 潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)
  • ガスエンジン・コージェネレーション
  • 高断熱浴槽
  • 浴室シャワーの節湯水栓
  • 蓄電池
  • LED照明

補助対象となる全体改修(建て替えも含めた省エネ改修)

建て替えも含めた全体改修では、次の事業が補助対象となります。全体改修と建て替えについて、それぞれ要件等をまとめて紹介します。

住宅エコリフォーム推進事業の対象となる全体改修

全体改修が住宅エコリフォームの推進事業の補助対象である「ZEHレベルの省エネ性」の条件を満たすために、「断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6となるもので、BELS等の第三者評価の認証を取得するもの」という条件を満たす必要があります。

つまり、断熱性能が高く、建物の利用に伴うエネルギー消費量が少ない建物で、そのことを第三者の評価認証を取得していることが条件になります。ただし、再生可能エネルギーを導入しなくても良いので、“高性能のエコな建物”を意識すれば、想像よりもハードルは高くないのかもしれませんね。

住宅エコリフォーム推進事業の対象となる建て替え

リフォームに伴う建て替えでも条件は同じですが、リフォームの場合は、対象建物が「建て替え」であることを証明書類を提出することが条件に追加されることを覚えておきましょう。


住宅エコリフォーム推進事業の申請手続き

申請の手続き

前述の通り、住宅エコリフォーム推進事業は自ら行う申請手続きはありません。リフォームの施行業者や設計事務所、買取再販業者などがすべての手続きを行います。

住宅リフォームエコ事業の申請にあたり、わたしたち施主が必要な手続きとしては「依頼する業者が住宅エコリフォーム推進事業の事業者登録を済ませているか調べること」です。リフォーム業者が、事業者登録を済ませているかは事前に確認しておきましょう。

申請に必要な書類も施工業者等が準備する

住宅エコリフォーム推進事業で申請に必要な書類も、すべて施行業者などの登録事業者が行います。参考までに、登録事業者が申請の際に提出する書類を以下にまとめました。この書類のうち、対象事業で必要なものをそろえて登録事業者が提出します。


事業申請の必要書類(業者が準備する)

  • 補助対象の内訳がわかる書類
  • 工事請負契約書・設計等の業務契約書の写し
  • 見積書及び見積り明細書
  • 共同事業実施規約または買取再販に係る誓約書
  • 建築基準法に基づく確認済証の写し
  • 当該建物の不動産登記における建物の登記事項証明書
  • 土砂災害危険区域外の建築士証明
  • 上記証明を行った建築士免許証のコピー
  • 本事業の建物性能要件を満たしていることを証明する各種第三者機関の証明書等(BELS評価書)
  • エコ住宅設備のカタログ(型番登録のないもの)
  • 対象の工事内容のわかる図面等
  • 旧耐震基準建物の場合、補助事業証明または耐震工事を予定している旨を証する書類
  • 住宅エコリフォーム推進事業支援室が必要と判断するもの


住宅エコリフォーム推進事業の注意点

ここからは、住宅エコリフォーム推進事業の注意点について解説します。

他の補助金との併用について

住宅エコリフォーム推進事業は、国が主体として実施している補助金事業です。そのため、住宅リフォームを対象とした国が主体の補助制度と併用はできません。しかし、全く別のリフォーム契約で工期も違う場合には以下の事業が併用可能です。


工事請負契約が別で工期が別である場合は併用可能

  • こどもみらい住宅支援事業
  • 既存住宅の断熱リフォーム事業
  • 次世代省エネ建材の実証支援事業
  • 長期優良化住宅化リフォーム推進事業

一方、以下の2つの制度はリフォームのみを対象としていないため、住宅リフォーム推進事業と併用できます。


住宅エコリフォーム推進事業と併用可能である主な制度

  • 住宅ローン減税
  • 被災者生活再建支援制度

なお、リフォームを対象にしていても、国主体ではなく地方自治体が主体となる補助制度については併用可能です。詳細や対象については、居住している自治体に確認してみましょう。

こどもみらい住宅支援事業との違い

同じくリフォームを対象にした補助金制度として、こどもみらい住宅支援事業があります。こどもみらい住宅支援事業も、住宅エコリフォーム推進事業と同様に国が主体の補助金であるため、同一工期の場合は併用できません。

ただし、それぞれのリフォーム工事が別の依頼であり工期も違う契約である場合には併用可能です。

また、リフォームでこどもみらい住宅支援事業を申請する場合、補助金の対象要件は「省エネ基準レベル」です。基準としては、住宅エコリフォーム推進事業が設けている「ZEH住宅基準」の方が環境性能が高くなります。

しかし住宅エコリフォーム推進事業の方が最大補助額は大きくなります。こどもみらい住宅支援事業のリフォームで受けられる補助金は最大約30万円ですが、住宅エコリフォーム推進事業では最大約51万円です。

事業者登録と工期スケジュールは必ず確認

住宅エコリフォーム推進事業は、あらかじめ事業者登録を済ませた施行業者等しか申請できません。

リフォームをスムーズに進めるためにも、依頼する業者が事業者登録を済ませているかは事業者に直接確認するか、住宅エコリフォーム推進事業実施支援室内「登録事業者一覧」で必ず確認しましょう。

また、全体改修や建て替えの場合は大規模なリフォームになることが想定されます。そのため、住宅エコリフォーム推進事業の完了報告締め切りに間に合うかも必ず確認しましょう。

住宅エコリフォーム推進事業を活用して環境にやさしい家づくりを

住宅エコリフォーム推進事業は、令和4年(2022年)9月に開始したばかりの新しい補助金制度です。リフォームを行う施行業者などが事前に行う事業者登録はすでに始まっているため、補助金の対象になるリフォームを検討している際は施行業者等へ事前に相談してみましょう。

また、国土交通省では住宅エコリフォーム推進事業支援室のWebサイトを開設しています。消費者からのよくある質問などもまとめられているので、こちらも合わせて確認することがおすすめです。 


 

 

 

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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