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こどもみらい住宅支援事業とは?対象の世帯や申請期間、方法をわかりやすく解説!

この人に聞きました大野翠

芙蓉宅建FPオフィス代表。金融業界歴10年目(2020年現在)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。

こどもみらい住宅支援事業とは、2021年度に新たに創設された補助金制度です。住宅購入やリフォームを対象にした制度で、国土交通省が推奨しています。今回は、主にリフォームで適用となるこどもみらい住宅支援事業について詳しく解説していきます。

こどもみらい住宅支援事業とは?制度概要について

こども未来住宅支援事業とは、誰が対象となってどのような内容なのでしょうか。ここからはこどもみらい住宅支援事業の概要について解説します。


こどもみらい住宅支援事業の趣旨

こどもみらい住宅支援事業とは、主に子育て世代や若者夫婦を対象に、少しでも住居費の負担を軽減することを目的として始まった支援事業です。子どものいる世帯では教育費をはじめとした生活費の負担が大きいため、少しでも国として住居費の支援をしようという背景があります。

同時に、環境性能の高い住宅(脱炭素化など)を推進する目的もあります。一定の基準を満たした新築住宅やリフォームに対して、補助金を交付します。

こどもみらい住宅支援事業の対象者

こどもみらい住宅支援事業の対象となるのは、新築の場合は子育て世帯と若者夫婦世帯、リフォームの場合はすべての世帯です。こどもみらい住宅支援事業という名称から、子育て世帯だけが対象になるとイメージしがちですよね。

事業名の「こども」に関する部分は子育て世代や若者夫婦世帯を対象にしています。「みらい」に関する部分では将来的な住宅の脱炭素化を目指すという意味で、子育て世代やシニア世代も含めリフォームする全世帯が対象となっています。

こどもみらい住宅支援事業の補助金額

こどもみらい住宅支援事業の補助金額は、新築とリフォーム、建物の省エネ性能によって変わります。所定の要件を満たしたリフォームの場合、5万円から最大60万円まで幅があります。

こどもみらい住宅支援事業・対象となる世帯

リフォームで、こどもみらい住宅支援事業の補助金の対象となる世帯について、もう少し詳しく解説します。前述したように、こどもみらい住宅支援事業の適用となるリフォームに関しては、すべての世帯が対象となります。

しかし、子育て世帯や若者夫婦世帯がリフォームを行う場合には、一般世帯よりも補助金が上乗せされるのです。

子育て世帯や若者夫婦世帯

こどもみらい住宅支援事業における子育て世帯や若者夫婦世帯に関して、以下のような条件が設けられています。

まず、子育て世帯とは、申請時点で2003年4月2日以降に生まれた子どものいる世帯を指します。子育て世帯に関しては、親の年齢は関係ありません。次に若者夫婦世帯とは、夫婦のうちどちらかが1981年4月2日以降に出生していることが条件です。

上記の子育て世帯や若者夫婦世帯のいずれかに該当し、こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結してリフォーム工事をする場合に対象となります。

一般世帯

リフォームを対象としたこどもみらい住宅支援事業では、年齢や世帯に制限がなく適用可能です。つまり、すべての世帯が対象です。ただし、リフォームをする住宅の所有者が、こどもみらい住宅事業者と工事請負契約等を締結する場合に対象となります。

こどもみらい住宅事業者とは

こどもみらい住宅支援事業では、さまざまな場面で「こどもみらい住宅事業者」という名称がでてきます。こどもみらい住宅事業者とは、工事発注者(リフォームをする住宅の所有者など)に代わって、交付申請等の代行手続きを行うリフォーム施工業者のことです。

また、こどもみらい住宅事業者は手続きの代行だけでなく、補助金の受け取りも工事発注者に代わって行い、受け取った補助金を工事発注者へ還元する役割もあります。

こどもみらい住宅支援事業の対象となるリフォーム工事とは

こどもみらい住宅支援事業の対象となるリフォーム工事では、申請する補助額が5万円以下の場合は対象となりません。5万円以上の補助額で以下の内容のリフォーム工事を行った場合に、こどもみらい住宅支援事業の対象となるので注意しましょう。

対象となるリフォーム工事は細かく分かれている

 

こどもみらい住宅支援事業の対象となるリフォーム工事は、細かく定められています。まず、以下にある3つの必須要件のうちいずれかの工事を行い、これと同時に行うことで対象となる5つの工事があります。しっかりとおさえておきましょう。


いずれか必須となるリフォーム工事

  1. 開口部の断熱改修(ガラス交換、内窓設置、外窓・ドア交換)
  2. 外壁、屋根、天井又は床の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯器、節湯水栓)

同時に行うことで対象となるリフォーム工事

上記1〜3のうちいずれかのリフォーム工事を行う際、以下にある5つのリフォーム工事を行うことで補助金が上乗せされます。

上記1〜3のリフォーム工事を単体で行う際には、こどもみらい住宅支援事業の対象になります。しかし、以下5つのリフォーム工事を単体で行う際は、こどもみらい住宅支援事業の対象とはならないので注意しましょう。


上記1〜3と同時に行うことで対象になるリフォーム工事

  • 子育て対応改修
  • 耐震改修
  • バリアフリー改修(手すりの設置、段差の解消、ホームエレベーターの新設など)
  • 空気清浄機能、換気機能付きエアコンの設置
  • リフォーム瑕疵保険等への加入

子育て対応改修について

子育て対応改修は、リフォーム工事をすることで子どもを育てやすい環境に整える目的で行います。具体的には、以下のような基準が子育て対応改修に該当するのでチェックしておきましょう。


子育て対応改修の基準

  • 家事負担軽減に資する住宅設備の基準
  • 防犯性の向上に資する窓・ドア等の基準
  • 生活騒音への配慮に資する窓・ドア等の基準
  • キッチンセットの交換を伴う対面化改修工事の基準

家事負担軽減に資する住宅設備の基準の具体例として、ビルトイン食器洗機、掃除しやすいレンジフード、ビルトイン自動調理対応コンロ、浴室乾燥機、宅配ボックスが挙げられています。

こどもみらい住宅支援事業の対象となるリフォーム・注意点

上記の内容に該当するリフォーム工事であっても、こどもみらい住宅支援事業事務局に登録された以外の製品を用いた場合は対象となりません。

また、建材や設備メーカーが自ら発注者になり、こどもみらい住宅支援事業事務局へ登録された自社製品を用いてリフォームを行った場合も補助金の対象とはなりません。リフォームをする住宅が店舗兼住宅で、対象となるリフォーム工事を店舗部分に施工した場合も対象外です。

あくまでも、こどもみらい住宅支援事業は居住スペースに対する工事が対象であることをおさえておきましょう。


こどもみらい住宅支援事業・補助上限と補助金額について

ここからは、こどもみらい住宅支援事業の補助上限と補助金額についてそれぞれ解説します。

こどもみらい住宅支援事業・補助上限

こどもみらい住宅支援事業の補助上限は、原則として1戸あたり30万円までです。対象となるリフォーム工事の内容によって、補助金の内訳も異なります。各リフォーム工事の合計金額に対して、補助上限までの補助金がもらえるのです。

さらに、同一の住居に複数回のリフォームを行う場合、所定の補助上限の範囲内であれば申請が可能です。注意点としては、申請のたびにすべての補助要件を満たしている必要があります。

こどもみらい住宅支援事業・補助上限の引き上げ

子育て世帯や若者夫婦世帯がリフォームをする場合、補助金の上乗せがあります。以下の2つの条件を満たすことで、補助上限が引き上げられます。


こどもみらい住宅支援事業・補助上限引き上げの要件

  1. 子育て世帯または若者夫婦世帯が自ら居住する住宅に行うリフォーム工事であること
  2. 工事発注者が自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォーム工事であること

上記2の「工事発注者が自ら居住するために購入した既存住宅に行うリフォーム工事であること」とは、自分で住むための中古住宅(マンション含む)を購入しリフォームを行うという意味です。対象となる既存住宅(中古住宅)の購入とは以下の要件を満たす必要があります。


既存住宅の購入に際してすべて満たす必要があるもの

  • 不動産売買契約の締結時に完成から1年以上経過している住宅であること(登記簿上で確認)
  • 不動産売買契約の締結が、2021年11月26日(令和3年補正予算案閣議決定日)以降であること
  • 購入代金が100万円(税込)以上であること
  • リフォーム工事の工事請負契約の締結が、不動産売買契約の締結から3ヶ月以内であること
  • 工事発注者が子育て世帯または若者夫婦世帯に該当しない場合、購入する住宅が安心R住宅であること

安心R住宅とは、特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度(安心R住宅制度)を利用し、安心R住宅調査報告書が発行された住宅のことです。

こどもみらい住宅支援事業・補助金額

こどもみらい住宅支援事業では、子育て世帯や若者夫婦世帯だけでなく一般世帯もすべて対象となります。中古住宅を購入してリフォームを行う場合と、購入せずにリフォームのみ行う場合で補助金が異なるので、しっかりとおさえておきましょう。

世帯区分

住宅購入の有無

上限補助金額

子育て世帯

若者夫婦世帯

購入あり

60万円

子育て世帯

若者夫婦世帯

購入なし

45万円

一般世帯

購入あり

45万円

一般世帯

購入なし

30万円

補助金額の一例

対象となるリフォーム工事の内容ごとに、補助金額が細かく決められています。それらの合計が前述の上限補助金額までということになります。主な補助金額は以下のとおりです。

必須リフォーム工事

開口部の断熱改修(サイズによる)

  • ガラス交換 1枚あたり2,000~8,000円
  • 窓の断熱改修 1箇所あたり14,000~21,000円
  • ドア交換 1箇所あたり28,000~32,000円

外壁、屋根、天井又は床の断熱改修

  • 外壁 51,000~102,000円
  • 屋根・天井 18,000円~36,000円
  • 床 30,000~61,000円

エコ住宅設備の設置

  • 太陽光利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器 1戸あたり各24,000円
  • 節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの) 1台あたり19,000円
  • 上記以外の節水型トイレ 1台あたり17,000円
  • 節水水栓 1台あたり5,000円

必須リフォーム工事とあわせて対象となる工事

子育て対応改修

  • ビルトイン食器洗機 1戸あたり19,000円
  • 掃除しやすいレンジフード 1戸あたり10,000円
  • ビルトイン自動調理対応コンロ 1戸あたり13,000円
  • 浴室乾燥機 1戸あたり20,000円
  • 宅配ボックス(住戸専用の場合) 1戸あたり10,000円

防犯性の向上に資する開口部の改修(サイズによる)

  • 外窓交換 1箇所あたり17,000~29,000円
  • ドア交換 1箇所あたり31,000~43,000円

生活騒音への配慮に資する開口部の改修(サイズによる)

  • ガラス交換 1枚あたり2,000~8,000円
  • 窓の断熱改修 1箇所あたり14,000~21,000円
  • ドア交換 1箇所あたり28,000~32,000円

キッチンセットの交換を伴う対面化改修

  • 基準を満たすリフォームでは箇所によらず一律86,000円を補助

耐震改修

  • 現行の耐震基準を満たすための工事を行えば、一律150,000円の補助

バリアフリー改修(各1戸あたり)

  • 手すりの設置 5,000円
  • 段差改修 6,000円
  • 廊下幅等の拡張 28,000円
  • ホームエレベーターの新設 150,000円
  • 衝撃緩和畳の設置 17,000円

空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置

  • 冷房能力に応じて1台あたり19,000~24,000円

リフォーム瑕疵保険への加入

  • 1契約あたり一律7,000円の補助

こどもみらい住宅支援事業の申請方法

ここからは、こどもみらい住宅支援事業の申請方法について解説します。こどもみらい住宅支援事業では、中古住宅購入者(工事発注者)が申請手続きを行うのではなく、こどもみらい住宅事業者が行うという点がポイントです。

こどもみらい住宅事業者は工事発注者に代わり、申請から補助金の受け取りまで一連の手続きを代理して行います。

こどもみらい住宅支援事業の申請は登録済の施工業者が行う

こどもみらい住宅支援事業の申請を行うのは、あらかじめ事業登録を済ませた施工業者です。この施工業者を、こどもみらい住宅事業者と呼びます。補助金の申請に際して工事発注者が自ら行う手続きはなく、こどもみらい住宅支援事業者の要請に応じて手続きに協力するという役割です。

こどもみらい住宅支援事業・交付申請の期間

こどもみらい住宅支援事業の交付申請の期間は、2022年3月28日から遅くとも2023年3月31日までです。こども未来住宅支援事業は、国が予算を組んで行う事業です。そのため、補助金額が予算に達した時点で事業終了となります。

つまり、最長で2023年3月31日までを期限としますが、予算に達し次第締め切りとなるので注意しましょう。

詳細な対象期間等スケジュールは以下の通りです。

対象期間等スケジュール

・契約期間 2021年11月26日~遅くとも2023年3月31日

・着工期間 リフォーム施工業者等がこどもみらい住宅事業者への登録を済ませた以降

・交付申請期間 2022年3月28日~遅くとも2023年3月31日

こどもみらい住宅支援事業・申請の流れ

こどもみらい住宅支援事業の申請は、以下の流れで行います。


こどもみらい住宅支援事業・申請の流れ

  1. リフォームに対応しているこどもみらい住宅事業者を探す
  2. こどもみらい住宅事業者に事業対象となるリフォーム工事に関して相談する
  3. リフォームの工事請負契約を締結し工事に着手する
  4. リフォーム工事完了後、こどもみらい住宅事業者へ補助金が振り込まれる

リフォームを対象としてこどもみらい住宅支援事業の適用を検討する際、まず行うのが登録事業者を探すことです。こどもみらい住宅支援事業は、事業へ登録済のこどもみらい住宅事業者(施工業者)を経由して行わなければ補助金の対象となりません。

事業者が見つかったら、次は実際にリフォーム工事について事業者へ相談しましょう。対象となるリフォーム工事が可能かどうかもあらかじめ相談し、補助金の対象になる場合は工事請負契約を締結して工事に着手します。

先述したように、こどもみらい住宅支援事業の補助金申請は工事発注者(顧客)が行うのではなく、こどもみらい住宅事業者が行います。必要書類のとりまとめなども事業者が行うことになりますよ。なお、補助金の申請時期はリフォーム工事完了後です。

また、補助金は国からこどもみらい住宅事業者に支払われます。こどもみらい住宅事業者は、振り込まれた補助金を工事発注者(顧客)へ還元するという形になります。

注意点として、補助金の金額によっては工事発注者の確定申告が必要になる場合があります。詳細に関しては、最寄りの税務署へ相談しましょう。

こどもみらい住宅事業者の検索方法

こどもみらい住宅事業者は、国土交通省による専用Webサイトで検索可能です。「こどもみらい住宅事業者の検索」から、都道府県とリフォーム工事を選び検索します。

こどもみらい住宅事業者を探す

こどもみらい住宅支援事業の注意点

最後に、こどもみらい住宅支援事業に関する注意点を紹介します。

住宅ローン減税との併用は可能

こどもみらい住宅支援事業は国が実施している補助金であるため、原則として国の財源を基にした他の補助金と併用はできません。しかし、地方自治体が独自で行っている補助金などは財源が違うため併用可能です。

また、住宅ローン減税は税制上の優遇であり、補助金制度とは性質が異なるため併用可能です。

事業内容に不安な場合はプロに相談

リフォーム工事の要件や、どれくらい費用がかかるかについてなど、建築に関する基準は一般のわたしたちではわからない点が多くあります。そのため、こどもみらい住宅支援事業を適用できるかどうかは、こどもみらい住宅事業者へ相談する段階でしっかり相談しておきましょう。

こどもみらい住宅支援事業はあくまでも補助金制度であり、全額を補助する目的ではありません。補助金を充当した後、実際に支払うリフォーム費用がどれくらいになるかなど、費用面の相談もしておくと安心ですよ。

こどもみらい住宅支援事業を活用したリフォームを検討しよう

リフォームでこどもみらい住宅支援事業の適用を受ける場合、すべての世帯が対象となります。しかし、子育て世帯や若者夫婦世帯では補助上限が上乗せされるため、費用の負担軽減になる支援策です。

こどもみらい住宅支援事業を申請したい場合は、当記事で紹介した条件や工事内容をぜひ参考にしてみてください。また、所定のリフォーム工事ができるかという問題や費用面に関する相談は、こどもみらい住宅事業者へ行いましょう。


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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