一級建築士 住まいや暮らしをもっと楽しく快適に!アイデアや情報をお届けする建築ライター。建築業界で意匠設計を担当し、アメリカではジュエリー制作やグラフィックデザインなどを学びました。独立後、住宅兼カフェの設計・家具・装飾品のデザインを手掛け、現在は執筆中心に活動しています。
天候に左右されず洗濯物を干せて開放的な空間づくりができるサンルームは、近年人気が高まっているリフォームの一つです。そこで当記事では、サンルームをリフォームで後付けできるのかについてご紹介します。また、費用や注意点、施工事例も解説するのでぜひ参考にしてください。
サンルームとは
サンルームとは、太陽の光をたっぷりと室内に取り込むために、屋根や壁をガラス張りにした部屋のことです。サンルームは、雨や花粉が舞う日でも洗濯物を干せて部屋が広々と明るくなるため、庭やベランダに後付けするケースが増えています。
ここからはサンルームをリフォームで後付けを検討する場合、考えたい事項を解説していきます。本記事を参考にサンルームのリフォームについて検討してみましょう。
サンルームは後付け(増築)できる?
サンルームは新築時に設置することを迷って設置しなかった場合や、築年数の古い住宅の場合でも後から増築できます。ただし、後付け・増築するにはいくつか条件があるため注意が必要です。
そこで、まずはサンルームを設置する住宅の外壁にどのような素材が使用されているのか、把握しましょう。サンルームは外壁に穴をあけてネジで固定する必要があるため、後付けに向いていない素材があります。
たとえば、タイルの壁は破損する恐れがあるでしょう。さらに、金属製のガルバリウムも取り付けが難しく、どちらの素材も取り付けると雨漏りにつながる可能性があります。また、外壁に保証が付いている場合、ネジを取り付けた時点で建物の保証が効かなくなることもありますのであらかじめ確認が必要です。
もう一つの注意点は、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)です。建築基準法上、建ぺい率を超えてしまう増築はできません。
サンルームを後付けで設置する際は、施工業者が事前に必要なことを十分確認したうえで工事を行いますが、依頼する側も外壁の素材や、建ぺい率は問題について業者に確認するようにしましょう。
サンルームに似ているテラス囲いやガーデンルームとは
サンルームは、コンクリート基礎に屋根や壁がガラス張りの構造です。一方、テラス囲いと呼ばれるタイプは屋根がポリカーボネート製で、コンクリートの基礎は含まれません。そのため、低価格で設置できますが、気密性や水密性などの面ではサンルームに劣るデメリットがあります。
さらに、施工会社やメーカーによってどちらのタイプも同じサンルームとして扱う場合があるため、選ぶ際には素材や構造を確認する必要があるでしょう。
また、ガーデンルームと呼ばれるタイプは、ポリカーボネートの屋根や壁、またはガラスで構成されている部屋です。このタイプに、タイルテラスやウッドデッキの床と折れ戸を組み合わせたデザインが多くみられます。
ガーデンルームは、折れ戸を全開にすると庭が延長されたかのような開放感ある雰囲気を味わえることも特徴です。
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サンルームを後付けする4つのメリット
ここからは、明るく開放的な空間が魅力のサンルームを後付けで増築するメリットをご紹介します。設置を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
雨の日や花粉が舞う日でも洗濯物を干せる
「雨の日でも洗濯物を干したい」「花粉の季節には部屋干しをしたい」という場合にもサンルームがあると、季節や時間を問わず洗濯物を干したり取り込んだりすることが可能です。仕事や子育てで忙しくても自分のペースで洗濯できます。
ただし、後付けしたサンルームで洗濯物を干す際は、窓から風を入れたり扇風機による換気を行ったりすることも大切です。窓を閉めたまま洗濯物を干すと部屋の空気が循環せず、生乾きになりやすいため、換気には十分注意しましょう。
部屋が明るく開放的になる
全面がガラス張りのサンルームを後付けすると、部屋が自然光に満たされて明るくなります。また、室内から外の風景が見やすくなるため、開放感を味わえるでしょう。夜は夜空を楽しめ、暮らしがより豊かに感じられる点は後付けする大きなメリットでしょう。
断熱性を向上できる
サンルームは二重窓のような役割を果たすため、後付けすることで外気の影響を軽減して断熱性を向上させる効果があります。家全体を暖めることはできませんが、サンルームと隣接している部屋の断熱性が上がることでエアコン効率が向上し、光熱費を抑えられるのです。
現在住んでいる家のリビングが寒い場合は、サンルームの後付けがリフォーム方法の改善策になるかもしれません。
子どもの遊び場やペット用スペースとして活用できる
家のスペースが限られている場合、子どもの遊び場やペットスペースは悩みの種ですよね。このようなときも、日差しあふれるサンルームの後付けが最適です。雨の日は公園遊びやペットのお散歩ができませんが、サンルームがあると天気や季節を問わずにおうち時間を楽しめるでしょう。
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サンルーム後付けリフォームの価格相場
サンルームを後付けで増築する場合、設置する面積や場所によってリフォームの価格相場が大きく変わります。そこでここからは、サンルームを1階と2階に増築する場合の価格相場とオプション価格相場についてご紹介します。
サンルームを1階に後付け・増築する場合の価格相場
1階にサンルームを後付けで増築する場合、洗濯物を干せる2畳程度のスペースで約50〜80万円、部屋として使える4畳程度で約80〜150万円、6畳程度で150〜180万円が価格相場の目安です。
基本的な仕様の既製品をそのまま設置する場合が最も安く、開口部をデザイン性の高い折れ戸にする、床の材質のグレードを上げる、枠を木目調にする、屋根の素材を熱線遮断タイプにする、断熱施工をするといったことで価格は上がり、メーカーや依頼する業者によっても価格は変動します。
また、コンクリートの基礎づくりや断熱施工、取り付け場所への搬入が困難な場合、さらに別途費用がかかるため注意しましょう。
サンルームを2階のベランダに後付け・増築する場合の価格相場
ベランダにサンルームを後付けする方法は、既存の土台を活用できるのでリフォームの価格を抑えられます。中心の価格相場は約40〜70万円ですが、洗濯物を干せる2畳程度のスペースで低価格なタイプであれば、20〜30万円程度から検討可能です。
アルミ製の基本的な仕様のタイプが最も安く、床の材質のグレードを上げる、枠を木目調にする、屋根の素材を熱線遮断タイプにする、断熱施工をするといったことで価格は上がり、メーカーや依頼する業者によっても価格は変動します。
また、材料を搬入する際に室内を通れない場合は外からクレーンで吊る必要があるため、別途費用がかかります。
オプションの価格相場
「洗濯物を干したい」「リビングやダイニングとして快適に使えるようにしたい」という場合、オプションで物干しや換気扇、照明などを設置する必要があります。主なオプションの価格相場は、以下を参考にしてみましょう。
サンルームのオプション例
- 吊り下げタイプの物干し:約1〜2万円
- 上下可動タイプの物干し:約6万円
- カーテンレール:約1.3〜2.5万円
- 日除けオーニング:約4〜15万円
- 換気扇:約2〜3万円
- LEDライト:約10〜20万円
また、オプションを多く取り入れるとリフォーム価格も上がります。そのため、余裕をもって予算を設定したうえで、本当に必要なアイテムを見極めてオプションを検討するとよいでしょう。
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サンルームを後付けする際の注意点
サンルームを後付けする際は、デメリットや注意が必要な点もあります。「部屋の明るさや断熱性を高めたい」と考えて設置を検討している方は、事前にデメリットを確認してから後付けリフォームを進めましょう。
後付けで増築すると固定資産税の課税対象になる
建築基準法では、サンルームは部屋とみなされます。ベランダや庭に後付け・増築して建物の床面積が増えると、増築した床面積分の固定資産税が上がってしまう点はデメリットといえるでしょう。
また、増築分の固定資産税も毎年支払う必要が出てきます。そのため、サンルームを後付けで増築する際は、リフォーム費用に加えて固定資産税の増額分についても考えておくことが大切です。
建ぺい率に注意して広さを決める
建ぺい率とは、土地の面積に対する建築面積の割合のことです。地域によって上限の値が決められており、指定建ぺい率を超える建築面積で建物を建てると違法になるため注意しましょう。
また、サンルームは通常の部屋と同じ扱いになるため、後付け・増築することで建ぺい率を超えないように注意する必要もあります。リフォーム会社は建ぺい率を考えて後付け・増築を行うものですが、念のため自分でも注意して調べておくと安心でしょう。
使う目的に合わせて設置場所を考える
サンルームを後付けする際は、使用目的を考えましょう。「洗濯物を干す場所にしたい」「家族団らんのスペースとしてテーブルや椅子も置きたい」というように、使い方を事前に考えることで最適なサイズを決めやすくなります。
また、簡易的な部屋にするのか、快適性にこだわった空間にするのかによってサンルームのタイプや必要なオプションを決められますよ。
使用目的が明確になったら、次に室内や外からの動線を考慮して後付けする場所を決めましょう。多くの場合、1階のリビングの掃き出し窓とつながるようにサンルームを設けます。その結果、リビングの空間が広がって庭との連携もできるため、開放的に感じられるでしょう。
サンルームを後付けする際は、使う目的や家事動線・生活動線に合わせて設置場所を考えると、使い勝手のよい空間に仕上がります。そのため、あらかじめ動線に注意して後付けの設計を考えましょう。
夏の暑さ、冬の寒さ対策をする
サンルームは光が多く差し込む居心地のよい空間ですが、夏は暑く冬は寒くなりやすいデメリットもあるため注意が必要です。
このデメリットの対処法としては、屋根にシェード(日除け)を設置したり、ブラインドやカーテンを取り付けたりして直射日光を遮るとよいでしょう。また、冬は屋外の冷たい空気が入り込むため、窓をペアガラスや二重サッシにして気密性を高めるような対策がおすすめです。
メンテナンス方法を考える
サンルームを後付けする場合、メンテナンスをどのようにするかも考えておく必要があります。特に、屋根の面積が大きいと掃除や雪下ろしが大変になるため注意しなければなりません。
製品の中には汚れを付きにくくしているタイプもありますが、サンルームを後付けする際には事前にメンテナンス方法を業者に相談しておくと安心でしょう。
DIYで自作せずプロに依頼する
サンルームを検討している場合、DIYで後付けしようと考えるかもしれません。しかし、設置には基礎工事が含まれるため、専門的な知識やスキル、経験が必要です。万が一基礎工事がうまくできなければ、雨漏りや腐食などを生じることもあるでしょう。
また、既製のサンルームを自分で後付けすることも高い施工技術が必要です。設置は専門のリフォーム業者に依頼するようにしましょう。
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サンルームを後付けリフォームした実例
最後に、既存の住宅にサンルームを後付けしたリフォームの実例をご紹介します。
【実例1】広い庭を有効活用!サンルームを後付けして広々としたリビングに
Before
After
施工会社:アートリフォーム
実例URL:https://www.artreform.com/example/3124/
こちらは、広い庭を有効活用してゆったりとしたサイズのサンルームを後付けリフォームした実例です。リビングの窓ガラスを全開にするとサンルームにつながり、広々とした空間が生まれるような間取りになっています。
また、階段を取り付けて庭へ気軽に出やすくしている点は、ぜひ取り入れたいポイントですね。
【実例2】洗濯物が干しやすいようにサンルームを後付けして家事ラクに
Before
After
施工会社:河原工房
実例URL:http://www.omoiokatachini.jp/200/200040/200040090/
こちらは、サンルームを庭に後付けしたリフォームの実例です。もともと広い庭でしたが、外からの視線が気になってシャッターを閉めたまま生活していました。また、洗濯物は限られたスペースで部屋干ししていたため、空間を圧迫して暮らしにくい状態だったようです。
このようなデメリットを解消するため、後付けしたサンルームで窓をすりガラスにしてプライバシーを確保しています。さらに、洗濯物が乾きやすいようにエアルーバー(換気ガラリ)を取り入れているのもポイントです。
その結果、雨の日でも気持ちよく洗濯物を干せるうえに、花粉も防げて大満足とのことです。ウッドデッキも設置したため、お天気のいい日にはのんびりと腰かけて日光浴できるのは羨ましいですね。
【実例3】リビング・屋外の両方につながりを持たせた後付けサンルーム
Before
After
施工会社:ナサホーム
実例URL:https://nasahome.co.jp/works/w_exterior/living_gardenroom.html
こちらは、住宅の玄関脇にサンルームを後付けしたリフォームの実例です。リビングとつながるような間取りをつくりながら、外とのつながりも感じられるように床は屋外タイルと同じ素材を使用しています。
また、通りからサンルームが見えにくくなるように格子スクリーンを設置し、ほどよく視線を遮るように配慮したデザインも配慮が行き届いています。
サンルームを後付けして快適に暮らそう
サンルームを後付けで設置すると、部屋のスペースが広がるだけでなく明るく開放的な住宅になります。今回ご紹介したサンルームの特徴や注意点を参考に、活用範囲の広いサンルームでより快適な暮らしを手に入れてくださいね。
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