英国認定(ARB)建築士 インテリア、建築、都市デザインを学びながら現地企業で10年修行し、培った主婦目線のきめ細やかな提案を心がけています。自身のYouTubeチャンネル 「London Harmony Life」では、古い佇まいのある建物やアンティークマーケット、英国のガーデンショー、手作りで楽しむ暮らしといったワクワクする情報を配信中。
庭をリフォームすると心機一転し、お家時間が愛しいものになります。しかし「理想のガーデンって何?」「どこから始めて良いの?」など分からない事もありますよね。この記事では、あなたの理想のガーデンの考え方、庭のリフォームにかかる施工費用や工事内容をご紹介します。
リフォームで理想の庭にするためのゾーニング
庭のリフォーム=メインガーデンというイメージがありますが、敷地内のエクステリア空間を総合的に考えてリフォームしましょう。これは玄関や勝手口からの見え方や動線、窓越しに見る景色など、家とのバランスをとることも重要です。
庭の基本スペース
- アプローチ
- 駐車スペース
- サービスヤード
- メインガーデン
アプローチ
アプローチとは、門から玄関までの通路スペースを指します。お家の第一印象を決める場所でもあり、道路から家の中が見えないように配慮することも大切です。更に細かい注意点は以下となります。
門扉と塀のデザインと素材
まず一番初めに目につく門扉と塀ですが、防犯対策で門扉を付けるのか、付けずに門袖壁とするのかで雰囲気はずいぶん変わります。和、洋、折衷などアプローチのスタイルは住宅の外観に併せて計画し、周りの景観にも調和するように色や素材の選定が必要になります。
アプローチの床材
雨の日に滑りにくく玄関内が汚れにくいもの、手入れのしやすいものを選びます。砂利、タイル、レンガ、石材などがありますが、特に砂利は音が出るので防犯対策に向いています。
高齢者と同居される場合はスロープや手すりガードを併設するなど、安全面も考慮しましょう。
シンボルツリーと植栽
シンボルツリーとはその名の通り、お家のシンボルにもなるような木のことを指します。アプローチに花壇があると目を引きますが、お手入れが大変です。シンボルツリーを入れた植栽なら、ローメンテナンスでなおかつ入口の目隠しにもなるため一石二鳥です。
駐車スペース
駐車スペース確保のために、リフォームを検討されるケースもあります。駐車スペースといっても、コンクリート仕上げで終わりだと、無機質な景観になってしまいます。十分な広さを確保したら、同じ視界にある他のエリア(例えばアプローチなど)とのバランスを見ながら、植栽を取り入れてみるとまわりとの調和が図れます。
サービスヤード
サービスヤードとは、家事動線や屋外作業の道具をしまう倉庫があるスペースを指します。
家事動線
キッチンの勝手口から出てすぐのところにゴミの一時置き場を設けたり、洗濯ものを干すスペースにすると、家事動線が効率的で時短につながります。
水場、物置や屋外作業のスペース
泥だらけになって帰ってきた子どもが泥を落とせたり、室内飼いのペットを散歩させたあとに足を洗える場所があると、室内を汚さずにすみます。また、ガーデニンググッズや日曜大工用品を入れて置ける倉庫や、作業スペースがあるととても便利です。屋外作業に付随して、コンセントを設けておくと、日曜大工用品の充電もでき、作業効率が良くなります。
メインガーデン
メインガーデンは、主に南側に位置する日当たりが良い場所である事が多く、リビングやダイニングから出入りできる様、掃き出し窓がついていることが多いです。また基本的な設備(電気、コンセント、水やりのための水栓など)も覚えておきましょう。メインガーデンの計画に関しては、次の項でさらに詳しく解説します。
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理想のメインガーデンにするための3つのポイント
庭のリフォームの目的をはっきりさせる
庭のリフォームを計画する際に、まずは大きな目的をはっきりさせておきましょう。例えば、
- 趣味のガーデニングを楽しむ庭
- 和の趣を楽しむ庭
- 子供やペットが遊べる庭
- テーブルセットを置いてくつろげる庭
などがあげられます。目的がはっきりしていれば、理想のガーデンに近づけることができます。
また、現在の庭の問題点などもピックアップしておくと、解決策を盛り込んだデザインができます。
メンテナンスのしやすさを考える
一年を通じてメンテナンスのしやすい庭にすることも大切です。せっかくリフォームされた庭も、自らお手入れができなければ次第に荒れてしまいます。
特に植物を植える場合は、暑さや寒さ、長雨に強いものを選んだり、落ち葉が拾いやすいよう一部レンガ敷にしたりと工夫が必要です。お花の植え変えも少なくて済む、宿根草や多年草を選ぶのもガーデニングのポイントです。
将来変化できるようなデザインにする
家族の成長により、庭を利用する目的も変わってきます。
例えばお子様の遊び場として作った砂場が、お子様の成長により必要なくなってしまったため、家庭菜園や花壇に作り替えるなど、フレキシブルに変化できるデザインが求められます。
庭のリフォーム施工費用相場と工事内容
整地(2,500~6,000円/㎡)
整地作業は土台にあたる箇所の整備で、基本的にどんなお庭にするにしても必要になります。作業には、雑草や土に埋まった小石、木の根の除去などが含まれ、これらの作業に不備があると最終的に選んだ仕上がり(例:砂利敷や芝生敷)に大きく影響します。特別に除去しなければならないものがある場合は、別途で費用が発生してしまう場合もあります。
DIYで整地される方もいらっしゃいますが、あまりおすすめはできません。地面に凹凸ができたり、排水がうまくできないことも考えられます。専門家に任せればそのような心配は避けられます。同時に砂利敷や芝生敷など、仕上げ工事も依頼した方が費用も抑えることができます。
砂利設値(3,000〜9,000円/㎡、整地作業込み)
雑草対策として砂利敷は便利なアイテムです。
歩いたときの音は防犯対策にもなり、門扉から玄関までのアプローチに最適です。砂利の種類はいろいろありますが、人が歩く通路なら5〜15mmの砂利で、3〜5cmの厚みで敷くと歩きやすいでしょう。
また駐車場のような車の行き来のある場所には、8〜10mmの砂利で、10〜12mm程度の厚さに敷いておけばタイヤによる飛び散りなどが少なくなります。
なお、砂利敷きのリフォーム工事では土に直接敷くことはなく、初めに土を平らにする転圧作業をしてから、防草シートを敷いて砂利を入れます。
芝生設値(4,000〜1,0000円/㎡、整地作業込み)
天然芝は洋風ガーデンには人気アイテムで、夏は地面からの照り返しを防ぎ、暑さ対策に効果があります。逆に、冬は寒さを和らげてくれるというメリットがあります。
ホームセンターで芝生を購入すれば2,000円/㎡程度で、セルフリフォームで敷くこともできますが、敷地が広いと整地作業をDIYで行うのは大変です。
一度芝生を敷いてしまったら終わりというわけではなく、その景観を保つためにはメンテナンスも必須です。また、天然芝にもいろいろありますので、専門のリフォーム業者に相談し最適な品種を選びましょう。
波乱石設値(2,5000円/㎡、整地作業込み)
波乱石は洋風ガーデンによく合う素材で、さまざまな色や形が面白く、庭をお洒落にしてくれます。雑草防止にも効果的で、部分使いにしても映える素材です。
シンボルツリーの植栽設置 (15,000~30,000/本)
アプローチにシンボルツリーを設けることで魅せ場ができ、植栽の種類や大きさを変えればメリハリもつきますので、こだわって選択しましょう。
目隠しに使うのであればある程度の高さのある木で、冬でも葉が落ちない常緑樹はおススメです。常緑樹でも和風住宅に合うのがヒノキやシマトネリコ、洋風住宅ならオリーブが強く育てやすいためおすすめです。
ウッドデッキ設値(材料により価格変動)
雨ざらしになる場所ですので、天然木であれば耐久性のあるウリン材をお勧めしますが、費用は3~4万円/1㎡で10㎡のウッドデッキであれば、施工費用を入れて30〜40万円となり、年に一度の塗り直しが必要となります。
人口樹脂製のデッキは風合いは木製にはかなわないものの、雨や汚れに強いのが特徴です。ただし熱を吸収しやすいので夏は暑くなりがちです。施工費用は1㎡あたり1〜3万円が目安で、10㎡のウッドデッキであれば施工費用込みで10〜30万円となります。手すりや、2〜3段のステップをつけて庭に下りられるようにするのであれば、追加で2〜5万円程度は必要となるでしょう。
ウッドデッキ屋根設値(材料により価格変動)
ウッドデッキに屋根を付けるかどうかは、ご自宅の場所や、向きによっても変わります。住宅が密集しているのであればプライバシー確保のために屋根をつけ、快適なプライベート空間を確保しましょう。
また、天然木のウッドデッキを建物の南側に取り付けるのであれば、直射日光でデッキが老朽化するスピードが速まりますので、屋根やオーニングの設置をお勧めします。雨による変色や腐食も防ぐことができます。
参考費用の目安は、屋根タイプで14〜16万円です。オーニングは材料と設置費用込みで、手動式であれば14〜22万円、電動式になると18〜27万円が相場です。
ウッドフェンス設置
ウッドフェンスは和洋どちらのガーデニングにも相性が良いですが、特に洋風ガーデンではハンギングバスケットなどをつるしてお庭と一体感を持たせることもできます。小さなウッドフェンスであれば園芸店などで材料を調達すればご自身でも設置でき、その場合は5千円~1万5千円が相場となります。
ただし、フェンスでも大きなものは業者にお願いするのが確実です。その場合の相場は1万5千円~4万円です。
花壇の設置(10,000~/㎡)
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庭のリフォームを事例で紹介
ここでは、上記でご紹介したガーデンのリフォームには欠かせないアイテムを使った、施工事例をご紹介します。
【事例1】 一戸建て、エクステリア工事全般、230万円
施工会社:株式会社N-Basic
URL:https://n-basic.com/gallery/post.php?page=test4
こちらの事例はもともとアプローチに真砂土を使っていたものの、雨の日には靴についた泥で玄関が泥だらけになってしまうことや、雑草の処理も追いつかなくなりリフォームに至ったそうです。
真砂コンクリートと砂利、敷石を使ってすっきりとしたアプローチに仕上げています。またコンクリートや砂利部分には雑草が生えてこないのでメンテナンス性に優れ、砂利を敷くことで人の気配も感じられ、防犯面でも効果がある成功事例です。植栽の大きさや種類にもバリエーションを持たせているので、和風のお宅にしっくりとなじんでいます。
【事例2】 一戸建て、エクステリア工事全般、600万円
施工会社:株式会社河原工房
URL:http://www.omoiokatachini.jp/200/200040/200040110/
自然素材をたっぷり使った英国ビンテージ風のお住まいに合わせ、エクステリアもイングリッシュガーデンでまとめ、心地よいお庭を作り上げた成功事例です。
ガーデンのキー要素は木と石と色とりどりの植物。石畳と、石積みの階段、自由でオーガニックな造作門扉が出迎えてくれるアプローチは、そのお宅ならではの独創性に富んでいます。多年草を中心としたカラフルな植栽が、見る人に元気を与えてくれます。
小人数でお庭を眺めることもできる小屋は、お庭の風景ともなり、ガーデンを中心としたライフスタイルが伺えて、どこから見ても心地よさが感じられます。
庭リフォームを検討しているあなたへ
今回は庭のリフォームについて、ゾーニングの配置やメインガーデンの3つの注意点を説明してきました。今回ご紹介した予算や事例を参考に、自分にあったリフォームの方式や内容を検討してみましょう。また悩んだ際はぜひリフォームの専門家が揃っているショールームに訪れるのがおすすめです。経験豊富なプロの視点であなたのリフォームプランをサポートしてくれます。
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