インテリアコーディネーター インテリア商社勤務中にインテリアコーディネーター、カラーコーディネーター3級、福祉住環境コーディネーター2級を取得し、ショールームでの接客やセミナー講師などを経験。主婦の立場から、簡単に取り入れやすいインテリアのコツをご提案していきます。
珪藻土はデザインや環境面、魅力的な機能があり住宅を珪藻土の壁にする方が増えています。しかし、珪藻土の壁は室内環境や日に当たらない場所の場合、いつの間にかカビが生えてしまうことも。そこで今回は、珪藻土のカビの予防方法と除去方法について紹介していきます!
目次
珪藻土にカビが生える原因とは?
近年、バスマットやコースター、壁の素材としても人気の出てきている珪藻土。バスマットを使用している方は、すぐに乾燥して繰り返し使える点がとても便利で、吸水性が抜群であることをご存知でしょう。また、汚れを除去することも簡単なのでお手入れが楽です。
珪藻土は、植物性プランクトンの一種である化石や珪藻などが堆積した素材で、小さな無数の穴で水分を素早く吸い込みます。そのため、吸水性に優れていることが特徴です。さらに、部屋の湿度が40%以下だと珪藻土内の水分を放出し、人間の住みやすい湿度に調整してくれますよ。
また、珪藻土には断熱性能や耐火性、脱臭性能もあります。健康・エコ思考の観点からもリビングの一部分を珪藻土にしたり、壁や天井などに珪藻土を採用したりする住宅も増えてきているのです。
しかし、珪藻土自体が湿気を吸収・保持する特徴を持っているため、水分を放出できないと珪藻土自体が水分を抱えてしまい、カビが発生する恐れもあります。そこで、まずは珪藻土を使用する場合はどのような点に注意すべきかご紹介していきます。
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カビが生えやすい原因をおさえる
カビが生えやすい3つの原因とは?
カビが生えやすい原因として、「温度」「湿度」「栄養源」が揃った場所で発生しやすいといわれています。温度は20~30℃、湿度は60%以上になるとカビが発生しやすい状況となり、梅雨や台風の時期は特に注意が必要です。
また、ホコリや食べこぼし、人の皮脂や垢などがカビにとっての栄養源となり、カビが発生する原因となります。さらに、換気やエアコンなどで空気の循環を上手に行わないと、カビの発生における好条件が簡単に揃ってしまうのです。
「珪藻土は吸放湿性があるから、湿気の多い場所で使いたい」という方は、特に注意が必要です。北側の部屋や陽当たりのよくない部屋、水廻りなどの湿気が多い部屋に珪藻土を塗装してしまうと、カビが発生する恐れがあります。
さらに、キッチンや浴室、換気や除湿を行わないクローゼットの中、空気の流れがない家具の裏などもカビが発生しやすい環境といえます。そのため、これらの3つの原因が揃わないように手入れ・注意する対策が必要です。
カビを放置するとどのような影響があるの?
「カビは具体的にどのような影響があるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。カビによる人体への影響は、大きく分けるとカビ自体が原因の感染症とカビによるアレルギー反応の2種類があります。
カビの感染症による病気は真菌性肺炎、白癬菌(はくせんきん)による皮膚真菌症(水虫など)、胃腸炎、髄膜炎などがあります。一方、カビによるアレルギーは、喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎などです。このように、カビを放置するとさまざまな病気の引き金になり兼ねません。
珪藻土の各メーカーでは、殺菌効果のある強アルカリ性の漆喰を混ぜるなどしてカビが発生しにくい工夫をしています。しかし、カビの原因が目に見えないカビ胞子である以上、完璧な対策は難しく環境によっては手入れや注意していてもカビが発生することがあるのです。
カビによる感染症は抵抗力の低い小さな子供や赤ちゃん、高齢者を中心に発生しやすい症状ですが、カビによるアレルギーは免疫力などに関係なく起きてしまいます。そのため、珪藻土にカビが発生した場合は除菌などの対処をし、しっかりと手入れや対策を行ってください。
珪藻土にカビを生やさない予防対策
ここからは、カビが生えない環境作りをするための対策をご紹介していきます。先述した3つの原因のうち「湿度」「栄養源」に注意しながら、対策をおさえましょう。
珪藻土のカビの予防対策①除湿する
まず、カビの予防対策として一番大切なことは除湿です。珪藻土自体は空気中の水分を吸収し、乾燥している時期には水分を放出する機能を持っています。しかし、空気中の水分量が多い梅雨の時期などには、珪藻土内にある水分を空気中に十分放出できないので注意が必要です。
高温多湿の日本の住宅環境であれば、乾燥しやすい冬の時期を除いてカビが発生しやすい環境にあるといっても過言ではありません。その際に、珪藻土のカビ予防に最も大切である対策が除湿です。
水分を抱え込んでいる時間が長くなればなるほど、カビを発生させやすい原因となります。そのため、湿度の高い時期には水分のある状態を放置せず、換気やエアコン・除湿器などを使用して部屋全体を除湿し、珪藻土内の水分をしっかりと放出する対処を行いましょう。
また、珪藻土のカビを放っておくと人体への影響だけでなく、壁下地や家具などにもカビが広がり、建物全体の劣化の原因にもなります。特に、湿度の高い時期はカビ予防対策として除湿や換気に注意しましょう。
カビの対処法として、空気の流れを作ることも大切です。珪藻土の壁の周りに家具を設置すると、空気が流れないことが原因で部分的に湿気を帯びてしまいます。珪藻土にカビを発生させない対処方法の一つとして、家具を設置する場合は少し隙間を空けるとよいでしょう。
珪藻土のカビ予防対策②ホコリや汚れを落とす
予防対策として、カビ発生3つの原因の一つ「栄養源」に注意することも大切です。ビニル製の壁紙は汚れ落としに水拭きや中性洗剤を薄めたものなどでお手入れできますが、珪藻土の汚れの落とし方に水拭きは禁物です。
しかし、珪藻土の表面はざらざらと凹凸があるため、ホコリや汚れが付きやすくなります。そのため、珪藻土のホコリや汚れを取る場合、毛のやわらかいほうきやハタキでやさしく表面のホコリを除去するお手入れをしましょう。
この方法でも綺麗に珪藻土の汚れが取れない場合は、乾いた雑巾で汚れた部分を優しく拭くか、掃除機のハケノズルを取り付けて「弱」でホコリを吸い込むことがおすすめです。
お手入れするときに強い刺激を与えてしまうと、珪藻土の表面に傷がついたり削れたりしてしまいます。そのため、表面をやさしくなでるようにお手入れするなど、珪藻土のホコリや汚れの落とし方には注意が必要ですよ。
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珪藻土のカビの除菌方法と落とし方
珪藻土のカビの落とし方
部屋のホコリや汚れに注意してお手入れをしたり、換気・除湿対策をしたりと原因に基づいた対策をしていても、いつの間にかカビが発生していることもありますよね。
衣類についたカビや浴室のカビであれば、汚れの洗い方やカビの落とし方、洗濯方法を知っている方もいるかと思います。しかし、珪藻土についたカビの落とし方はどのようにすればよいのでしょうか。
珪藻土のバスマットやコースターにカビが発生した場合は、カビの部分をやすりで削ったりカビ取りスプレーを吹きかけて商品によっては水洗いしたりできます。しかし、住宅の壁であれば水洗いができないため、簡単には対処できません。
カビの落とし方や除菌方法は、セルフメンテナンスで取れる場合やカビ取り業者に依頼する場合があります。また、広範囲や下地にまでカビが生えてしまった際は、リフォームが必要になる場合もあるでしょう。
珪藻土を壁に施工するときは、普段の手入れやカビが発生した場合の対処方法、除菌方法などの説明をあらかじめ受けておくことが大切です。自己判断でカビを放置して他の部屋や家具にカビを広げてしまわないよう、早めに対処しましょう。
珪藻土のカビの落とし方①セルフメンテナンスで珪藻土のカビを除去する
カビの面積が小さい場合やカビが発生して間もないときは、自分でカビを除菌できます。自分でカビの除菌を行う場合、大きく分けると「①消毒用エタノールを使用する」「②酸素系漂白剤を使用する」「③専用のカビ取り剤を使用する」という3つの対処方法があります。
いずれの対処方法の場合でも、カビの発生箇所以外の壁や家具などの養生をして、しっかりと換気をしながら除菌作業やお手入れをしてください。
また、除菌作業やお手入れをする場合、目立たない箇所で試してみてから全体を行いましょう。珪藻土はとてもデリケートな素材なので、やさしく丁寧に扱うよう注意してください。
消毒用エタノールを使用してカビを除去
消毒用エタノールをタオルなどに湿らせてカビ部分をやさしく拭き、その後は乾いた雑巾でやさしく拭き取ります。エタノールは消毒用エタノール(濃度80%)と無水エタノール(濃度99%)が販売されていますが、カビの除菌には消毒用エタノールが効果的です。
最初からエタノールを直接珪藻土にスプレーすると、カビ胞子をまき散らしてしまいます。そのため、カビが広範囲でない場合はタオルに塗布するか、ハケで塗って除菌しましょう。しっかりと乾燥させたら、もう一度消毒用エタノールをスプレーしてください。
ただし、消毒用エタノールを使用してカビを除去する場合は注意点もあります。消毒用エタノールでカビを殺菌・除菌できますが、カビによる着色汚れを落とすことはできません。そのため、珪藻土の着色汚れを落としたいときは、酸素系漂白剤を使用してカビを除菌してください。
酸素系漂白剤を使用してカビを除去
液体の酸素系漂白剤を水で5倍に薄めたものを、スプレーまたはハケでカビに直接塗布します。5分ほど放置したら、固く絞った雑巾などでやさしくたたくように拭き取り、しっかりと乾燥させます。
目立つ部分のカビ汚れの除菌をする際は、事前に目立たない部分で試して珪藻土自体に変化がないかを確かめてから全体の除菌を行いましょう。
専用のカビ取り剤を使用してカビを除去
業者が使用するレベルのカビ取り剤も、市販で販売されています。業者に依頼すると高額になってしまうので、自分でカビの除菌を行いたい方におすすめの対処方法です。
しかし、他のセルフメンテナンスに比べて強力な除去剤もあり、色落ちなどの恐れがあります。そのため、説明書をよく読んで目立たない箇所で試し、カビや汚れの除去を行うなど注意が必要です。
珪藻土のカビの落とし方②カビ取り業者に依頼して珪藻土のカビを除去する
自分で対処する自信のない方やカビの面積が広く素人では対処しきれない場合には、カビ取り業者に依頼するのが一番です。プロは珪藻土の手入れや取り扱い、カビの対処方法を熟知しています。そのため、カビ取り業者に教えてもらったカビ対策を実行することもおすすめです。
一度専門業者に対処してもらい、今後カビが発生した場合の適切なセルフメンテナンスやカビの落とし方、個々の住宅環境にあった注意点、お手入れの方法などを教えてもらうとよいでしょう。
珪藻土のカビの落とし方③珪藻土の壁自体をリフォームしてカビを除去する
塗り壁の耐久年数は使用環境にもよりますが、15~20年が目安とされています。カビの他にも劣化などによるトラブルが発生しやすい時期になると、壁全体のリフォームが必要となるでしょう。そのため、リフォームが必要かどうかは一度プロの方に見てもらうと安心です。
珪藻土にカビが発生したときは、表面の珪藻土のみの場合や下地のクロスボードなどにもカビが広がっている場合があります。表面のカビを除去しても下地のカビが除去できていない場合は、繰り返しカビが発生してしまうのです。
そのため、下地にまでカビが発生した場合は塗装を剥がして徹底的にカビを除去し、リフォームを行う必要があるでしょう。カビが発生した面積が大きい場合や、セルフメンテナンスでカビを除去しても何度も繰り返す場合はリフォームも検討しましょう。
珪藻土のカビの落とし方や予防対策を学んで、快適に暮らそう!
今回は、珪藻土のカビの落とし方や予防対策についてご紹介しました。環境問題などの意識の向上から自然素材である珪藻土は随分と注目され住宅業界でも人気のある素材となっています。
しかし、珪藻土ならではのメリットがある一方で、カビの発生には気をつけなければいけません。原因を理解しておくことで、カビの発生は防げますよ。そのため、珪藻土の特徴や家具の位置を工夫、換気に注意してしっかりとカビ対策を行いましょう。
当記事でご紹介したカビを発生させない正しいお手入れや対処方法を学び、ぜひ快適なエコライフを送ってくださいね。セルフメンテナンスが難しい場合は、気軽に専門業者へお問い合わせてみてください!
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