和室の砂壁リフォームってどうやるの?石膏ボードに変更する方法・費用・注意点を建築士が解説


この人に聞きましたHarmony Life

英国認定(ARB)建築士 インテリア、建築、都市デザインを学びながら現地企業で10年修行し、培った主婦目線のきめ細やかな提案を心がけています。自身のYouTubeチャンネル 「London Harmony Life」では、古い佇まいのある建物やアンティークマーケット、英国のガーデンショー、手作りで楽しむ暮らしといったワクワクする情報を配信中。

自然素材独特の風合いが魅力の砂壁和室。ところが近年は砂壁から違ったタイプの素材でリフォームしたいというニーズが増えています。そこで砂壁のメリットやデメリットから、砂壁リフォームの種類や費用の相場、リフォームの際の注意点を解説します。

砂壁の特徴

砂壁とは、和室や床の間に使われる伝統的な仕上げ材で、あたたかみのある風合いが特徴です。色砂を糊液で練って作りますが、天然砂、砕石、貝殻粉、金属粉や色ガラス粉など、色砂によって風合いが変わります。

1 調湿作用がある

涼しい、過ごしやすいなど自然素材ならではの快適さがあります。日本の伝統的な和室で長年親しまれている砂壁は、高温多湿な日本の気候に合う優れた調湿力が魅力です。砂壁は湿度が高ければ吸湿し、乾燥すれば潤いを与えてくれるので、人に優しい建材です。砂壁は日本の気候によく合い、カビやダニの発生を抑える働きもあります。

2 砂壁はシックハウス症候群や、アレルギー対策に効果的

「シックハウス症候群」とは、室内の汚染された空気により体調を崩してしまうことで、外の新鮮な空気を吸うと症状が軽くなる、または無くなるのが特徴です。

昨今の建材には化学物質が使われており、住宅の高気密化により有害物質が室内空気を汚染することから始まります。

頭痛、吐き気、湿疹、目のチカチカ、鼻水やのどの乾燥など、さまざまな症状があります。有害物質の例をあげると接着剤等に含まれるホルムアルデヒドや、塗料の溶剤であるトルエン、キシレンなどです。

そんなシックハウス症候群の原因となる有害物質を砂壁が吸収してくれるため、アレルギー対策として効果的なのです。

3 砂や粉が落ちるためマメな掃除が必要

砂壁は、劣化が進むと砂がはがれ落ちることがあります。特に衝撃に弱い砂壁は、 物があたったりすると簡単にはがれてしまいます。カーテンにも砂が付着しやすく、掃除や洗濯の手間がデメリットといえます。

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砂壁和室リフォームのタイミングと種類

砂壁和室リフォームのタイミング

次に砂壁和室リフォームのタイミングですが、目安として下記の状態であれば、リフォームをする時期になったと判断できます。


砂壁リフォーム時期の目安

  • 砂壁が毎日のようにぽろぽろと落ちる
  • 砂壁にカビが生える

砂壁の本来の機能である調湿効果が、劣化にともない失われていくのでこのような状態になります。リフォームを検討するタイミングといえます。

砂壁和室リフォームの種類

砂壁リフォームには、大きく分けて湿式工法と乾式工法があり、水を使用するかしないかで工法が変わります。その他では、DIYでも可能なペンキ塗りがあります。

工法

湿式工法

乾式工法

その他

漆喰、珪藻土

壁クロス、羽目板張り

ペンキ塗り

施工期間(6畳)

2~4日

1~2日

2~4日

メリット

自然素材
調湿性
防火性
消臭効果
アレルギー対策

材料の規格化で施工性に優れる
慣れていればDIYも可能

簡単
低価格
DIY可能

デメリット

DIYのハードルは高い

化学物質が壁紙の糊などに含まれる

そのまま塗るとムラができる

湿式工法

湿式工法には漆喰や珪藻土の塗り替えなどがありますが、いずれにしても既存の砂壁ははがす必要があります。これは、ぼろぼろと落ちてくる劣化してしまった砂壁の上に、新しい素材を塗ってもはがれてくる危険性があるためです。

以下素材別に、和室の6畳1間をリフォームした際の価格や、施工期間、メリットやデメリット、注意点をまとめました。

砂壁→漆喰壁に塗り直す

漆喰は消石灰を焼いて水を加えてできた塗り壁材で、消石灰に「つなぎ」であるノリやスサを加えて練り、漆喰を作ります。古民家再生で内装に使われたり、洋風住宅にも使われる人気のある素材です。

費用

12~19万円

メリット

塗り方によって、異なる表情が楽しめる

色は白を基本とし、艶があり、さらっとした風合い

大正モダン、カントリー調、ヨーロッパ風のインテリアにも幅広く対応できる

シックハウス症候群などアレルギー対策に良い

弱アルカリ性なのでカビが生えにくい

自然素材で調湿性・消臭性があり不燃性の建築材料である

経年劣化が少なくメンテナンスも簡単

デメリット

ひび割れが起きることもある 工期とコストがかかる

注意点

乾燥時の収縮は、塗料やモルタルなどに比べ少ないが 柱との取り合い部に隙間が生じやすい

砂壁→珪藻土に塗り直す

珪藻土は植物性プランクトンである珪藻の化石からできています。珪藻土の色にもよりますが、コテ使いにより、砂壁よりも芸術的な仕上げができます。玄関ポーチなどにポイントで使うのにもお洒落な素材です。

施工期間(6畳間)

2~4日

費用

12~19万円

メリット

塗り方により模様をつけることが可能

色の種類が豊富 アレルギー対策に良い

調湿性・消臭性がある

不燃性の建築材料である

デメリット

砂壁の様に時間が経つとぽろぽろと落ちてくるので手入れが大変

注意点

珪藻土は固まる性質ではないため、固化材と混合している

その際の珪藻土の含有率は約20~60%で、含有率が高いほど調湿効果は上がるため好みに合わせて指定すると良い

乾式工法【石膏ボードにするならこの方法】

乾式工法では、壁紙を砂壁に直接張る方法と、石膏ボード(ベニヤ板)を下地にして壁紙を張る方法、また羽目板を使う方法をご紹介します。

砂壁→壁紙を直接貼る

既存の砂壁の上に壁紙を貼る方法です。劣化の少ない砂壁であれば専用接着剤で固め、処理をした上で壁紙を貼ります。この方法でDIYされる方もいらっしゃいますが、砂壁の凹凸をなくす処理は素人ではハードルが高いため、あまりおすすめとはいえません。

検討する際は、リフォーム会社や専門の職人さんへと相談してみましょう。

施工期間(6畳間)

1~2日

費用

8~16万円

メリット

部屋の雰囲気を大きく変えられる

壁紙デザインのバリエーションが豊富

防音や防汚、エコクロスなど各機能に特化した壁紙にもできる

工期が短く、価格も低め

デメリット

DIY難易度は高め

注意点

壁紙選びで、環境や健康に配慮したエコクロスを視野に入れると良い

下地の処理をしっかり行うことで、美しい壁紙の仕上がりが可能

砂壁→石膏ボード(ベニヤ板)+壁紙

砂壁の一部がはがれるなど明らかな劣化が見られる場合には、壁に石膏ボード(ベニヤ板)を取り付け、その上から壁紙を張る方法があります。伝統的な和室は真壁工法といって、柱や鴨居が見えるデザインですが、この場合は石膏ボードを柱や長押に留める必要があります。

そのため修繕後は大壁工法と呼ばれる洋室の仕上がりになります。この工事を利用する際は既存の壁の内側に壁を作るため若干狭くなることに注意が必要です。

施工期間(6畳間)

1~2日

費用

8~20万円

メリット

部屋の雰囲気を大きく変えられる

壁が衝撃に強くなる

壁紙デザインのバリエーションが豊富

施工日数が短い

価格が低い

仕上がりのクオリティが均一なので、DIYも可能

壁紙の選択次第で防音や防汚対策ができる

デメリット

既存の壁の内側に壁を作るので少し狭くなる

砂壁→壁クロスと羽目板を組み合わせお洒落な空間に

日本建築で古くからおなじみの羽目板を使用する方法です。壁面に板を連続して張る仕上げ方法で、イメージ写真は横使いに張り、天井にも使われています。壁紙を使ったリフォームに一部羽目板も足すと、味わいがさらに深まり環境にもやさしいリフォームです。

施工期間(6畳間)

5日前後(壁のみ4面)

費用

30万円程度

メリット

部屋の雰囲気を大きく変えられる

壁が衝撃に強くなる 仕上がりのクオリティが均一

天然素材ゆえの芳香や消臭効果、調湿作用、シックハウス症候群対策

持ちがよく、経年変化が楽しめる

デメリット

施工日数が比較的長い 価格が比較的高い

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その他

砂壁→ペンキ塗装

壁の色を明るく、洋室の雰囲気にしたい場合、最も低コストで簡単にできるリフォームの方法で、ご自分でDIYも可能です。

施工期間(6畳間)

2~4日(壁のみ)

費用

6~10万円(業者)、1~3万円(DIY)

メリット

低価格で部屋の雰囲気を一新できる

カラーバリエーションが豊富

気軽にリフォームできるのでDIYも可能

デメリット

施工直後の匂いが気になることがある

注意点

砂壁に使える専用塗料を選ぶ必要がある

砂壁リフォームの事例

【事例1】 戸建て、砂壁和室から壁紙で粋なモダン和室にリフォーム

施工会社:株式会社アートリフォーム

URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=126&c3=19

2間続きの砂壁和室をモダンな洋室にリフォームされた成功事例です。特筆すべきは床の間の空間をうまく利用して、TV収納に大きく変身させたことです。奥様こだわりの壁紙を使い、とても和室だったとは思えないほどの粋でモダンなリビングに仕上がっています。

【事例2】 戸建て、ダークカラー × ホワイトの古民家風リフォーム

施工会社:株式会社アートリフォーム

事例URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=172&c3=19

2間続きの砂壁和室を古民家風にリフォームされた成功事例です。ダークカラーと白のコントラストがとても洗練されたおしゃれな空間です。和室の天井を撤去し構造材を見せ、襖を撤去し柱と斜材で補強したこともより一層和空間を引き立てています。砂壁部分の白塗装が何よりこの古民家風リビングの佇まいを引き立てています。

砂壁リフォームをお考えのあなたへ

いかがでしたでしょうか?それぞれの素材やリフォームの仕方によって見た目の印象が変わるのはもちろんのこと、得られる効果も異なります。十分に検討した上で一番希望に近いモノを選びましょう。

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※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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