英国認定(ARB)建築士 インテリア、建築、都市デザインを学びながら現地企業で10年修行し、培った主婦目線のきめ細やかな提案を心がけています。自身のYouTubeチャンネル 「London Harmony Life」では、古い佇まいのある建物やアンティークマーケット、英国のガーデンショー、手作りで楽しむ暮らしといったワクワクする情報を配信中。
マンションでは、窓のない浴室に慣れている方も多いですよね。いざ新築やリフォームで浴室を考える際に「窓って本当に必要なの?」と疑問を持つ方もいらっしゃいます。そこで当記事では、窓の役割やメリット・デメリット、窓選びの注意点まで解説します。
目次
浴室の窓の役割
開放感たっぷりな浴室を作るには窓は必要不可欠といえますよね。浴室の窓には大きく3つの役割があります。
採光を確保する
窓がない浴室に慣れていたとしても、いざ窓のある浴室に入ってみると明るさや清々しさに気分も上がることでしょう。朝入浴する習慣がある場合、朝日で目が覚めて快適な一日のスタートを切れます。
風通しを良くする
浴室は風通しが悪く、空気が停滞しやすい場所です。窓とドアを開放しておくことで空気の入れ替えができ、風通しが良くなることでカビの発生を防いで浴室を清潔に保てます。
開放感が生まれ、坪庭などの景観も楽しめる
お風呂は1日の汚れを洗い流すだけでなく、疲れを取りながら癒しを与えてくれる役割もあります。近年では、お風呂場から眺められるような坪庭を作り、露天風呂のような開放感で充実した入浴時間を過ごす人も増えています。
お庭がなくても、出窓の張り出し部分にグリーンを置くだけでやすらぎの空間になりますよ。
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浴室の窓のメリットとデメリット
浴室の窓のメリット
メリット① 採光や換気をするのに電気代がかからない
朝に入浴する習慣のある人であれば、浴室の照明をつけなくても自然光を取り込めます。昼間に日光が差し込む浴室は、日光が差し込まない浴室に比べて暖かいという点も冬場はうれしいメリットです。
窓がない浴室では、換気扇のスイッチを入れて換気扇を回す必要があります。浴室に窓があれば、窓の開閉によって空気の入れ替えができますので、電気代がかかりません。換気扇を利用せずに換気ができるので、毎日の電気代の節約につながりますね。
またあたたかい季節であれば、窓をあけて爽やかな風を感じながらの入浴は、とても清々しいものです。
メリット② カビの発生防止
浴室の窓とドアを開放しておくと、風通しの良い空間になります。カビが好むぬめりの発生を防止でき、お風呂場のカビ発生防止にもつながります。
メリット③ 開放感が出て、リラックス効果が高まる
バスルームは小さく密閉された空間です。窓を開けることで開放感が生まれ、ライトアップされた坪庭や星空を眺めることで入浴時間をより楽しめます。
浴室の窓のデメリット
デメリット① 窓枠の掃除が大変
窓があると枠の部分など凹凸が多くなり、掃除がしにくくなります。。お風呂場にカビはできにくい分、結露のしずくが窓枠に垂れてコーキング部分や小さな溝、隙間などにカビが発生しやすくなります。
デメリット② 防犯やプライバシー対策が必要
窓があると入浴時に窓の外側にシルエットが映るので、のぞかれたり侵入されるリスクが発生します。そのため、防犯やプライバシー対策を講じないといけない点はデメリットでしょう。
デメリット③ 防寒対策が必要
冬は、窓からの冷気で浴室は寒くなります。そのため、窓を断熱性の高いものに交換する必要があります。
浴室窓のリフォームの大切なポイント
これまでに紹介した浴室に窓を付けるメリット・デメリットを参考に、ここからはデメリットの対策を解説していきます。リフォームを検討している方は、以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
ポイント① 窓を設置する高さ
浴室の場合、窓は高い位置に設置します。これは、外部へシルエットが見えてしまうことを防止するためです。ただし、坪庭やフェンスなどで第三者からの視線が気にならない場合は、浴槽の上部より15~20cm立ち上がった部分に窓をつけると、窓の外の景観を楽しめますよ。
ポイント② 窓の防犯
空き巣が浴室の窓のハンドル付近のガラスを割ってサッシ窓を開けたり、窓枠をはずして侵入したりする手口がよくあります。
そこで、防犯対策として窓の外に格子や目隠しルーバーを取り付けると安心です。特に、目隠しルーバーは防犯対策だけではなく、目隠しにもなるのでより安心といった声もありますよ。
また、すりガラスは外から中が見えにくいですが、もし既存の窓が普通の透明ガラスで手軽に目隠しをしたい場合、窓用のシールを貼ることもおすすめです。窓用のシールでも外から中が見えにくくなります。
ポイント③ 浴室の防寒対策
冬場は浴室が冷えるため、寒さ対策も重要ですよ。
樹脂サッシ・ペアガラス・内窓で対策
寒さ対策として、窓サッシを樹脂サッシに交換することが効果的です。一般的な窓に使用されるアルミサッシは熱伝導率が高いので、室内の温かい空気を外に逃がしてしまいます。しかし、樹脂サッシであれば熱を通しにくい性質があるので寒さ対策に効果的です。
また、窓ガラス自体を単層ガラスから複層ガラスに交換して断熱性を高める方法もあります。現状の窓自体を交換したくない場合には、窓の内側に内窓を付けても断熱効果を得られますよ。
寒冷地には浴室に窓をつけないという選択肢も
北海道のように冬の寒さが厳しい地域では、浴室に窓を付けないという選択肢もあります。寒冷地にとって断熱は必要不可欠であり、浴室に窓があるとどうしても熱が窓から逃げてしまうのです。
そのため、寒冷地では一戸建ての浴室でも窓をつけないという選択をされる方もいます。
浴室の窓の種類と特徴、注意点
ここからは浴室の窓の種類や特徴、注意点を紹介していきます。それぞれの特徴や注意点をおさえて、リフォームの参考にしましょう。
種類①引き違い窓
引き違い窓は2枚のガラスが左右にスライドして開閉するタイプの窓で、一般的に使用されることが多い窓です。
サイズ
浴室に付ける一般的な引き違い窓のサイズは、以下の通りです。
引き違い窓サイズ |
|
---|---|
窓幅 |
60~80cm |
窓高 |
90cm前後 |
メリット
開閉が手軽
一般的に使用される引き違い窓は、シンプルな構造で片手でも開けられる手軽さがあります。また左右に動かしながら、外側のガラスも拭けるのもメリットといえます。
坪庭を眺めるのに最適
比較的暖かい地方で塀に囲まれた坪庭などプライバシー空間があるお宅では、引き違い窓を浴槽の近くに設けると坪庭を眺めながらくつろげます。
デメリット
防寒対策が必要
引き違い窓は、気密性が低いため、寒冷地には向いていません。
寒さ対策には樹脂サッシや複層ガラスにすると断熱効果が期待できます。
防犯やプライバシー対策が必要
引き違い窓は、大き目のものが多いので、プライバシー対策を視野に入れないといけないのはデメリットです。
侵入防止の防犯対策としては、面格子または目隠しルーバーを取り入れましょう。
さらに、複層ガラスの中にブラインドが入ったものを選ぶとプライバシー確保にもなりますよ。
種類②上げ下げ窓
上げ下げ窓は、2枚のガラスが上下に動いて開閉するタイプの窓で、下の部分を上に持ち上げて換気をします。
サイズ
浴室に付ける一般的な上げ下げ窓のサイズは、以下の通りです。
上げ下げ窓サイズ |
|
---|---|
窓幅 |
30~60cm |
窓高 |
80~90cm |
メリット
侵入されにくく、気密性が高い浴室
上げ下げ窓は、隣家との間隔が狭くて外に窓が開けられない場合に効果的ですよ。
また、上げ下げ窓は構造的に外から開けにくいので、引き違い窓よりも侵入されにくい窓になります。上げ下げ窓は、引き違い窓に比べて気密性が高いこともメリットです。これは、引き違い窓のすき間風の原因となっている戸車が、上げ下げ窓にはついていないため、気密性が優れているのです。
デメリット
お掃除がしにくい
上げ下げ窓は、お掃除がしにくいのがデメリットといえます。上部の外側ガラスには手が届きにくいので、柄の長いモップを使うか、家の外から拭き掃除をすることになります。
プライバシー対策が必要
縦長窓なので、すりガラスであってもお風呂場にいると人影が外から認識できます。この問題点を避けたい方は、室内側にブラインドを設置するなどプライバシー対策をしましょう。
防犯対策が必要
もし、大きな窓を付けたい場合や防犯が心配な場合は、面格子または目隠しルーバーをつけると泥棒に狙われる可能性が低くなりますよ。
種類③縦すべり窓
縦すべり窓は、上下のヒンジで縦方向を回転軸にして、外に開くことが特徴です。
サイズ
浴室に付ける一般的な縦すべり窓のサイズは以下の通りです。
縦すべり窓サイズ |
|
---|---|
窓幅 |
30cm前後 |
窓高 |
60~80cm |
メリット
換気と気密性に優れ掃除のしやすい縦すべり窓は、窓が90度回転するので風の取り込みがしやすく、室外側の窓も拭ける点がメリットです。小さめの窓にこのタイプが多く、気密性が高いことも特徴ですよ。
デメリット
防犯対策が必要
縦すべり窓は外開きのため、面格子や目隠しルーバーが付けられないので防犯対策の工夫が必要になります。
そのため、窓を細めにして防犯対策すると良いでしょう。窓幅が26cm程度であれば人の頭は入らないので、防犯には最適です。
プライバシー対策が必要
縦長窓なのでお風呂場にいるとすりガラスであっても人影が外から認識できます。この問題点を避けたい方は、室内側にブラインドを付けるなどプライバシー対策をしましょう。
種類④横すべり窓
横すべり窓は、左右のヒンジで横方向を回転軸にして、外に開くことが特徴です。
サイズ
浴室に付ける一般的な横すべり窓のサイズは、以下の通りです。
横すべり窓サイズ |
|
---|---|
窓幅 |
40~80cm |
窓高 |
30cm前後 |
メリット
換気に優れ気密性が高い
横すべり窓も縦すべり窓と同様に換気に優れており、気密性の高い浴室窓です。
また、窓が90度回転するので風の取り込みがしやすく、室外側の窓も拭ける点はメリットでしょう。さらに、縦すべり窓同様小さめの窓にこのタイプが多くなっています。
デメリット
窓の取り付け位置に注意
ハンドルは手の届く範囲に付けないと換気の開け閉めが面倒になるので注意が必要です。
防犯対策が必要
横すべり窓は外開きのため、面格子や目隠しルーバーが付けられないので防犯対策の工夫が必要になります。
そのため、窓の形は人が侵入できないように高さのない横長にして、窓の取り付け位置は通常の窓よりも上部につけることが防犯上有効でしょう。
種類⑤内倒し窓
内倒し窓は窓枠の下部両側に回転軸があり、サッシの上部を内側に倒して開くタイプの窓です。「プライバシーは守りたいが換気はしたい」という場合に最適な窓ですよ。
サイズ
浴室に付ける一般的な内倒し窓のサイズは、以下の通りです。
内倒し窓サイズ |
|
---|---|
窓幅 |
40~80cm |
窓高 |
40~80cm |
メリット
防犯に優れ気密性が高い
内倒し窓は、上部がある程度の幅しか開かないため全開しても人が通り抜けられる大きさではなく、防犯性にとても優れた気密性の高い窓でもあります。内開きのため、窓の外に格子または目隠しルーバーも取り付けられますよ。
デメリット
窓装飾以外でプライバシー対策が必要
内倒し窓は、窓が室内側に倒れるように開くので、カーテンなど窓装飾が設置できないことはデメリットです。この場合は窓をすりガラスにするか、窓に貼るスクリーンで対応します。
窓をすりガラスにすると内倒し窓を開けたままでも隣家からは認識されにくく、浴室が人通りの多い道路に面している場合でも、すりガラスの内倒し窓にするとプライバシーを守るのに役立ちますよ。
開けたまま放置する恐れがある
窓の開口部が上にある内倒し窓は、強い雨が降ると雨水が入ってきてしまうこともあります。内倒し窓はつい開いたままで放置しがちなので、天気の変化や外出時は閉めるようにしましょう。
お掃除がしにくい
窓の開閉のスペースが狭いので、窓の外側は拭きにくいこともおさえておきましょう。
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浴室の窓リフォーム費用の目安
ですので以下の表にあるリフォーム費用の目安は、窓の断熱性能を高めることをメインの効果として想定したものです。
古いお宅についている標準的な腰高窓を基本として費用の目安をだしています。
窓リフォーム種類 |
腰高窓(W1690xH970程度) |
費用の目安 |
---|---|---|
窓の交換 |
樹脂サッシ+複層ガラス |
23~38万円程度 |
ガラスの交換 |
板ガラス → 複層ガラス |
6~8万円程度 |
内窓(2重窓)の設置 |
樹脂サッシ+複層ガラス |
9~10万円程度 |
可動ルーバーの設置 |
アルミ面格子 |
8~12万円程度 |
上記の金額は、窓のサイズが変わらないことが前提となります。窓のサイズを変更したい場合は壁の解体、もしくは壁を埋める工事が発生し、既存の浴室の条件によって費用が大きく変わります。この場合、浴室全体をリフォームするときに窓の交換とともに窓サイズも変える方が効果的なので、費用の目安はリフォーム会社に相談しましょう。
窓の交換費用(樹脂サッシ+複層ガラス+設置費用)23~38万円程度
冬場に窓から冷気が入り寒くてお悩みの方は、既存の窓がアルミサッシで単層窓の場合がほとんどです。窓の断熱性を高めて快適なお風呂時間を過ごされたい方は、樹脂サッシと複層ガラスを使った窓への交換がお勧めです。
高い所の窓には足場が必要になるため、骨組みだけを残して解体するスケルトンリフォームで行う方が効果的な場合もあります。
また、上記の樹脂サッシと複層ガラスを使った窓に+5万円程度で複層ガラスの間にブラインド入りにすることもできます。プライバシーが確保できて掃除の手間も要らないため、隣家の目が気になるお宅には最適ですよ。
窓ガラスのみを交換、複層ガラスにする費用(アタッチメント付複層ガラス+設置費用)6~8万円程度
既存のサッシは樹脂製ですが単層ガラスのため寒い、とお悩みの方にはガラスのみを複層に交換するリフォームをお勧めします。窓全体の断熱性能が上がるため、快適なお風呂時間を過ごすことができます。
内窓の設置費用(樹脂サッシ+複層ガラス+設置費用)9~10万円程度
既存の窓が単層のアルミサッシなので冬場は冷えを感じるが、マンションなので窓の交換ができないとお悩みの方には、既存の窓を残して断熱性能をあげる、内窓(2重窓)の設置がお勧めです。窓の断熱リフォームでは、この内窓(2重窓)を設置するタイプが効果も高く、リーズナブルで人気があります。こちらは解体工事を伴わない分費用が節約でき、内装リフォームとなるためマンションでも設置可能です。
さらに、窓の室内側に新しい窓を設置するため施工がシンプルで、窓と内窓の間にできる空気層によって断熱効果や結露防止効果を発揮します。しかし、窓が2重になるため掃除が少し面倒でしょう。
可動ルーバーの設置費用(アルミ面格子+設置費用)8~12万円程度
窓からの侵入を心配されるご家庭には、既存の窓の外側に防犯用の格子やルーバーが無いお宅がほとんどです。窓の防犯性を高めたい方には、可動ルーバーがお勧めです。採光・通風・防犯の役割も果たしながらプライバシーも守れるからです。既存の窓に取り付けられ、作業も1日で完了するため手軽なリフォームですよ。また、外からルーバーは開けられないので防犯面でも安心です。
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浴室の窓リフォーム事例
【事例1】窓を小さくし、プライバシーを確保
Before
After
施工会社:ナサホーム
事例URL:https://nasahome.co.jp/works/w_bath/20210710whitebathk
こちらは、タイル貼りで大きな窓のあった浴室をユニットバスにした事例です。小さなすりガラスの窓を設置し、断熱効果とプライバシーが確保できた成功事例ですよ。また、横長のすべり出し窓によって換気が充分できることと、掃除もしやすくなった点が大きなメリットといえます。
【事例2】窓を小さくしブラインド一体型のものでメンテをしやすくプライバシーも確保
Before
After
施工会社:株式会社河原工房
事例URL:http://www.omoiokatachini.jp/200/200020/200020230/
こちらは、タイル張りで出窓のあった浴室にユニットバスを設置して、引き違い窓+縦格子にリフォームした事例です。窓ガラスはブラインド付き複合ガラスになっているため、断熱効果があってプライバシーも確保できています。
またこちらの窓は、ブラインドが窓に内臓されているためお掃除も楽なので、とても効率の良い窓リフォームの成功事例でしょう。
窓リフォームで心地よい浴室にしよう
今回は、浴室窓のリフォームで大切なポイントや窓タイプごとに注意点をご紹介しました。また、費用の相場や事例もまとめているので、ぜひ参考にして自分に合った浴室窓リフォームを検討してみてくださいね。
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