一級建築士 住まいや暮らしをもっと楽しく快適に!アイデアや情報をお届けする建築ライター。建築業界で意匠設計を担当し、アメリカではジュエリー制作やグラフィックデザインなどを学びました。独立後、住宅兼カフェの設計・家具・装飾品のデザインを手掛け、現在は執筆中心に活動しています。
現状の門扉に不満を感じていませんか?「古くて見栄えが悪い」「開け閉めしづらい」「防犯性が低い」という場合は、リフォームで解決したいところです。しかし、門扉の価格や工事費用などが心配ですよね。そこで今回は、門扉リフォームの価格相場や施工についてご紹介します!
目次
門扉リフォームはした方がいいの?
門扉をリフォームすると外構の見た目がよくなり、家全体の印象が上がりますよね。また、防犯性も高まるなどのメリットがあります。そこで今回は、門扉リフォームのメリットについて詳しくご紹介していきます。
門扉をリフォームするメリットとは
防犯性が向上する
門扉がしっかり閉まっていると、人は心理的に敷地内へ侵入しづらくなります。簡単に乗り越えられるような高さだとしても、道路から門扉を越えて侵入することは抵抗を感じてしまうものです。特に、人目につかないような場所に玄関がある戸建ての場合は、設置しておくと安心です。
安全性が向上する
門扉がない家や鍵が壊れて扉がいつも開いているような家は、子どもやペットの飛び出し事故を起こす可能性があります。リフォームをして扉を閉められる状態にしておくと、このような事故も防げますよ。
また、門扉を取り付けることで家の境界線が明確になります。見知らぬ人や地域の子どもが間違えて敷地内に入ってしまうことも防いでくれるでしょう。
外観がおしゃれになる
門扉は家の顔ともいえる存在です。どのようなデザインを取り入れるかによって、外観の印象が左右されますよ。汚れていたり壊れていたりする部分があると、家全体のイメージが下がってしまうでしょう。
リフォームする際には、外壁や塀、フェンスなどの外構や玄関の雰囲気とバランスをとると良いでしょう。このようにデザインすると、全体に統一感が出ておしゃれな外観に仕上がりますよ。
門扉を選ぶポイントとは
門扉のリフォームを検討する際は、素材や扉の開き方、機能性など製品を選ぶポイントがいくつかあります。それぞれ解説していきますので、是非参考にしてくださいね。
素材で選ぶ
門扉の素材には、主にアルミ製・ステンレス製・樹脂製・木製・鉄製などがあります。リフォームする際はデザイン性だけでなく、耐久性や防犯性、メンテナンスのしやすさなども考慮して選びましょう。
アルミ製
アルミ製の門扉は軽量でサビにくく、丈夫な点がメリットです。経年劣化しづらいうえに価格の安い製品もあるため、戸建て住宅では多く使用されています。
デザインのバリエーションも豊富にあるため、アルミは人気の高い素材ですよ。できるだけ費用を抑えてリフォームしたい方におすすめです。
ステンレス製
ステンレス製の門扉は、サビや腐食に強い点がメリットです。また、頑丈で長持ちし、重量感がありますよ。その分、他の素材と比較すると値段は高額になる傾向があります。開け閉めの重たさを軽減したい場合には、アルミ製の方が適しているでしょう。
鉄製
鉄製の門扉にリフォームすると、重厚感のある雰囲気に仕上がります。デザイン性の高いものが多く、海外のような住宅や玄関まわりを華やかな印象にしたい場合におすすめです。しかし、鉄は経年劣化でサビが出てくるため、定期的なメンテナンスが必要になります。
樹脂製
ポリエチレンなどの樹脂素材でつくられている門扉は、本物の木のようなタイプやアルミと合わせて強度を高めたタイプなどがあります。
こちらの素材は、さまざまな戸建て住宅に合わせやすいのが特徴です。天然木に見えるデザインはナチュラル感があるため、エクステリアに植栽が多い場合は相性も良いでしょう。
木製
木製の門扉は、ナチュラルであたたかみのある印象を与えます。しかし、天然木の場合は耐候性が低く、腐食しやすい点がデメリットです。天然木にこだわりがない場合、木目調の樹脂製にリフォームする方が使い勝手は向上するでしょう。
スペースやライフスタイルに合わせて開き方を選ぶ
門扉をリフォームする際は、敷地のスペースやライフスタイルに合わせて開き方を選びましょう。開き方は、大きく分けて「引き戸」と「開き戸」の2種類あります。ここからはそれぞれの特徴を解説していくので、是非参考にしてくださいね。
引き戸
引き戸には、「スライド式」と「折りたたみ式」があります。扉を前後に開閉する奥行きが敷地内にない場合、引き戸のリフォームがおすすめですよ。以前はアコーディオンのように伸縮する折りたたみ式が多く使われていましたが、最近はスライド式が人気でデザインの種類も豊富です。
開き戸
開き戸には、「片開き」「両開き」「親子開き」の3種類あります。
「片開き」は、勝手口でよく使われる1枚扉のタイプです。設置スペースが狭い場合のリフォームに最適で、価格も比較的お手頃ですよ。
「両開き」は、左右の扉が同じサイズのシンメトリーなデザインです。普段は片方だけを使い、間口を広く使いたいときは両方の扉を開けて使用します。両開きタイプは横幅約120cm必要になるため、スペースに余裕がある戸建てのリフォームにおすすめです。
「親子開き」は、左右で幅の異なる2枚の扉を組み合わせたデザインが特徴的です。普段は大きい方の扉を使い、間口を広げたいときに小さい扉を開いて使用します。スペースに限りがありますが、いざという時に間口を広げたいという戸建てのリフォーム向けですよ。
門扉の間口は、人が通るために少なくとも約60cm必要だといわれています。しかし、この幅はベビーカーや大きな荷物などが通る場合厳しいでしょう。
リフォームする際には、設置場所にどのくらいのスペースがあるのか、ライフスタイルを考えるとどのくらいの間口が必要なのかを考えてデザイン選びをしましょう。
機能性を重視して選ぶ
門扉をリフォームする際は、見た目を重要視して製品を選ぶことも多いですよね。しかし、使ってみると「実用性の高いものを選べば良かった…」と思ってしまうことも考えられます。そうならないように、機能性についても確認しておきましょう。
最近では、カードキーやシールキー、タグキーなどがついた門扉が販売されています。リーダー部分にキーを近づけると、非接触で施錠・解錠できるようになっています。カギ穴にカギを差し込む手間が省け、キーの持ち運びも軽量です。
また、カギの開け閉めを室内に光でお知らせする機能や、室内からカギの開け閉め操作が可能な機能を付けられるタイプもあります。リフォームで高機能の門扉を採用すると、家の出入りが楽になるうえに不法侵入を防ぐ効果も高められますよ。
門扉リフォーム工事の費用相場【工事費込み】
戸建て住宅の門扉リフォームには、本体価格と工事費用がかかります。ここでは、リフォームする状況に応じた価格相場について詳しく見ていきましょう。
門扉を後付けで新しく設置する場合
門扉を後付けで新しく設置するリフォームの場合、本体価格と設置工事の費用目安は以下のようになります。リフォーム価格は、総額でおおよそ17~70万円です。
門扉の本体価格
素材 |
本体の価格相場 |
---|---|
スタンダードタイプ(片開き) |
約4~18万円 |
スタンダードタイプ(両開き) |
約7~25万円 |
ミドルグレードタイプ(片開き) |
約20~25万円 |
ミドルグレードタイプ(両開き) |
約25~53万円 |
門扉の本体価格は、素材、グレード、デザインやメーカーなどによって大きく異なります。リフォームで夜間照明などのオプション機能を取り付ける場合、上記価格に加えて約5~10万円程度プラスになります。
リフォームで門扉を取り付ける際には、コンクリート基礎工事が必要です。既存の外構にコンクリートがある場合でも、新たに打設して門扉を安定させる必要があります。
門扉の新設費用
工事内容 |
新設の価格相場 |
---|---|
下地処理(整地) |
約5~6万円 |
コンクリート基礎工事 |
約5~6万円 |
門扉の設置工事 |
約3~5万円 |
門扉を塗装する場合
門扉の塗替え費用の相場は、約1.5~2万円です。エクステリアは天候の影響を受けやすいため、劣化から守るためのメンテナンスが必要になります。
経年で表面に変色が見られる、触ると汚れがつくという場合にはリフォームで再塗装しましょう。リフォームすることで、耐久性を高めることができますよ。また、イメージを変えて既存とは別の色に塗り替えることも可能です。
古い門扉を交換する場合
門扉を交換するリフォームは、古い門扉の撤去・解体、基礎工事、門扉の設置費用がかかります。総額は工事費込みでおおよそ19~36万円です。
古い門扉の交換費用
工事内容など |
交換の価格相場 |
---|---|
古い門扉の撤去・解体 |
約3~5万円 |
コンクリート基礎工事 |
約5~6万円 |
門扉の設置工事 |
約3~5万円 |
門扉本体 |
約8~20万円 |
門扉リフォームの施工期間や施工時の注意点
門扉リフォームの施工期間
門扉リフォームの施工期間は、敷地の状態や設置する製品によって差があります。おおよそ1~5日かかるとみておくとよいでしょう。外回りの工事は、多くの場合天候に左右されてしまいます。リフォームする際は、日程に余裕を持って計画を立てることが大切です。
門扉リフォームは基礎工事が重要
門扉のリフォームをする際は、基礎工事をしっかり行うことが重要です。基礎工事に不備がある場合、門扉が傾いたり扉が開閉しづらくなったりと不具合の原因になってしまいます。
門扉の位置を変更する場合は「住居表示の届け出」が必要
住居表示を実施している地域では、リフォームで門扉の位置を変更する場合に自治体へ「住居表示の届け出」を出す必要があります。届け出の必要があるかわからない場合には、自治体やリフォーム業者などに相談してみましょう。
DIY施工は失敗する可能性が高い
門扉のリフォームは決して安くないため、DIYで設置して価格をできるだけ抑えたいですよね。しかし、設置作業はそう簡単ではありません。DIYでのリフォームは門柱の設置が難しいため、門扉の設置に失敗する可能性が高いといえます。
門柱を立てる際には、コンクリートやモルタルを使用してしっかりとした基礎をつくり、門柱を正確な位置に配置する必要があります。これらが上手くできないと、門扉が傾いて開閉しづらくなってしまいます。
どうしてもDIYで施工したい場合は、できるだけ重量の軽いタイプを選び、なるべく失敗を防げるようにしましょう。DIYでの施工に不安がある際は、専門のリフォーム業者に依頼することをおすすめします。
門扉のリフォーム事例
ここからは、門扉のリフォーム事例を3つご紹介します!戸建の玄関に門扉をつけたい方や、門扉を交換したい方は是非参考にしてください。
事例1:劣化していた門扉とタイルを一新、250万円
before
after
施工会社:株式会社河原工房
事例URL:http://www.omoiokatachini.jp/200/200040/200040100/
こちらは、門扉がサビてしまい、タイルには白華現象がみられていた戸建ての施工事例です。リフォームで黒いアイアン調のエレガントな門扉を取り付け、イメージチェンジされていますね。高級アルミ鋳物でつくられた植物のレリーフで、玄関まわりはヨーロッパのような雰囲気を漂わせています。
既存は白系のエクステリアでしたが、ブラウンのタイルに交換しています。ブラウンにすることで、高級感と上品さを兼ね備えた印象に仕上がっていますね。間口を広げて使い勝手も向上させています。
事例2:門扉を新設
施工会社:株式会社アートリフォーム
事例URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=142&c4=39&photokey=1
こちらは、門の位置を変更することになって、門扉と塀を新設した戸建ての施工事例です。コンクリート風のブロックにシンプルなデザインの門扉を組み合わせて、モダンスタイルにリフォームされていますね。
敷地に余裕がある場合には、事例のように2枚扉の開き戸にすると、玄関まわりに余裕が感じられる印象になります。
事例3:玄関用と車庫用に門扉を新設、132万円
施工会社:株式会社河原工房
事例URL:http://www.omoiokatachini.jp/200/200040/200040030/index.html
こちらは、築18年の門扉が故障したため、新設した戸建ての施工事例です。開閉を楽にできる軽いアルミ製を選び、玄関と車庫をリフォームしたお家です。
玄関にはスライド式を採用していますね。ノンレールタイプで床に段差がないため、ベビーカーや車椅子などでも楽に通れます。車庫には、縦桟の色をエクステリアに合わせてコーディネートした伸縮式を採用しています。操作性が高く、開閉が楽にできるようになりました。
門扉リフォームは実用性や家の雰囲気に合わせることが大切!
門扉は、家の印象に大きな影響を与えるだけでなく、家を安全に守る役割も兼ね備えています。そのため、壊れたり古くなったりした場合、リフォームすることはとても大切ですよ。
この記事を参考に、価格や使い勝手、ライフスタイルなどを検討して快適な門扉にリフォームしましょう。塀やアプローチなどのエクステリアの雰囲気と合わることで、全体的に統一感が出て素敵な玄関になりますよ。