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戸建てで自由なリノベーション!費用やプランから見えてくるポイントとは?

この人に聞きました夏目あや子

一級建築士 おうちを楽しく育てる暮らし「おうち育」を提案しています。 収納・100均リメイク・DIYなどおうちに関する楽しいアイディアをSNSで発信中していますのでぜひご覧ください!著書「なつめさんちの新しいのになつかしいアンティークな部屋つくり」や 雑誌掲載・TV出演・コラム執筆・空間プロデュースなど幅広く活躍中です。

最近よく聞く戸建てリノベーション。そもそも戸建てをリノベーションするのは、お得なの?どんなリノベーションができるの?そんな疑問がわきますよね。本記事では、おおまかな費用の目安やプランのアイディアからどのくらい自由にリノベーションができるのか、ご紹介していきます。

目次

戸建てのリノベーションは新築や建て替えより安い?

環境問題も背景にサスティナブルな理念が浸透してきた昨今、「今ある住宅を大事にしたい」「中古の戸建てを購入してリノベーションしてみたい」といった考え方も多くなってきているのではないでしょうか?そんな考え方から今、中古戸建てのリノベーションが注目されています。

一戸建ては建て替えとリノベーションどちらがいい?

ただ「よく見る骨組みだけにしてからまるごとリノベーションする戸建ては費用が掛かるのではないか?」「新築や建て替えと変わらないのでは?」という疑問も考えられることでしょう。

建て替えとリノベーションでどちらが良いかは一概には言えません。ただいくつかのポイントがあります。これからそのポイントを建築士の目線からご説明します。

戸建てのリノベーションは大きく分けると2パターン

戸建てのリノベーションは大きく分けると2つのパターンがあります。予算や築年数や住宅の状態、希望に合わせてカスタマイズが可能です。

表層リノベーション

内装や外装のみをきれいにする簡単なリノベーションは費用も工事期間もそれほどかかりません。15年以内程度で築年数が浅く、まだ構造体にも問題がない住宅の場合は、この表層リフォームだけで済む場合もあります。

水回りの住設機器の交換もこちらに入ります。ただこの場合、見えない部分は変更せず、元々の配管などを使うので、近い将来メンテナンスが必要になってくる場合も多い箇所です。

スケルトンリノベーション

次に壁や床も取り払い、柱や梁、基礎などの構造体のみにするスケルトンリノベーションです。表層リノベーションに比べると工事期間も費用も掛かりますが、見えない部分まですべて交換や補修、補強をするので新築同等のスペックが持てるようになります。

また骨組みだけになるので、間取りを自由に変更することも可能です。

戸建てリノベーションがおすすめといえるポイント

では建て替えでなくリノベーションをするメリットはあるのでしょうか。戸建てリノベーションのおすすめポイントをご紹介します。

新築に比べて自由につくることができる

新築の場合、費用の面から選べる材料や間取りに制約を設けられている場合が多くあります。安価な新築物件であればあるほどコスト削減のため選択肢が限られています。自由に作ることができる新築物件はその分高額です。

しかしリノベーションの場合はスイッチや棚の位置・素材、ドアノブなど細かいところまで自由に選ぶことができます。キッチンをオリジナルで造作したり、ストーブを設置したりと限られた予算内でこだわりの一戸建ての実現が可能です。

新築より安価で仕上がることが多い

場所や物件価格にもよりますが、一から作る新築住宅に比べて中古の戸建てリノベーションのほうが費用は抑えることができます。スケルトンリノベーションであっても構造体や基礎の材料はそのまま使えるためです。

ただ例外もあり、基礎や柱など構造体に大きな不具合があった場合などは新築よりも費用が掛かってしまう場合があります。

建てたときの建築基準法のまま作ることができる

リノベーションの場合は、建てた当時の建築基準法のまま建築できます。例えば、現在の建築基準法ではセットバックと呼ばれる隣接する道路と建物を建てる位置との基準があります。道路の幅を4m確保するために道路の中心線から2m以上離した位置に建物を建てるというものです。

もし道路の幅が確保できていなかった場合、建て替えだと建物を建てられる範囲が狭くなります。ですが、リノベーションであればそのままの位置で建築でき、建物が小さくなる心配はありません。

リノベーションなら建築確認申請がほぼ不要

新築や建て替えには建築確認申請が必ず必要です。その際には費用も期間もかかってしまいます。ですが、一般的な2階建て木造住宅のリノベーションであれば必要のない場合がほとんどです。

建築基準法第6条には建築確認申請ついて、用途や規模によって、建築確認申請を必要としない場合が記載されています。その中に「階数が3階建以上 、延面積が500㎡超 、高さが13m超 、軒高が9m超」以外の木造住宅に関しては規模の大きいリノベーションであっても建築確認申請を必要としない(要約)とされているためです。

ただし一定以上の広さがある木造でない住宅の場合や増改築を含む場合は一部確認申請が必要な場合もあります。申請対象の住宅かどうかはリノベーションの施工会社へ相談しててみましょう。


住みたい地域に希望の物件が見つかる可能性が高い

新築を建てようとする場合、希望に見合った土地を探すのはなかなか難しいものです。ですが、中古の戸建てであれば土地付きで豊富な物件情報から選ぶことができます。中古の戸建てを購入してリノベーションすることも視野に入れれば希望の地域で希望の間取りの居住も可能になるかもしれません。

戸建てのリノベーションをおすすめといえない場合

かなりお得に感じるリノベーションですが、戸建て住宅の状態や工法などでリノベーションをおすすめできない場合もあります。

築年数が古い一戸建ての場合は費用が建て替えと変わらないことも

先に少し述べたように、築年数の古い一戸建ての場合は建て替えと変わらないくらい費用が掛かってしまう恐れもあります。それは構造体がボロボロだったときです。

これは解体してみないと全てはわからない部分もあるのですが、構造体の劣化が激しく補修や補強が大幅に必要な場合にはリノベーションの費用もふくらみ、結果戸建てを建て替えることと変わらない場合があります。

ただ構造体の状態は素人が見てもわかるものではありません。持ち家であっても、購入する中古の一戸建てであっても、リノベーションできる戸建てかどうかはリノベーションの施工会社や専門家に見てもらう必要があります。

ツーバイフォー工法など間取り変更が難しい場合

輸入住宅などにみられる2×4工法(ツーバーフォー工法)で建てられた戸建ては解体できる部分に制約があります。壁工法とも呼ばれ柱や梁でなく壁で支えるため、取り払えない壁も多く間取り変更が自由にできない場合が多いです。

「さあリノベーションしよう!」となったときに希望の間取りが作れない可能性もあります。中古の戸建てを購入する前には工法も確認し、できればリノベーション施工会社に相談することをおすすめします。


戸建てをリノベーションするときに大切なポイント

リノベーションすれば我が家はまだ住める?中古の戸建てはやはり不安、そう思うこともあります。リノベーションをして長く住むためには大切なポイントがいくつかあります。

ポイント①構造体

構造体とは、住宅を形作る骨組みのことです。基礎部分や柱や梁(柱と柱をつなぐ部材)、壁工法の場合は壁など、この骨組みがしっかりしていればリノベーション後も安心して住むことができます。逆に、築年数が古く柱や梁など構造体がボロボロだったり傷みがひどい戸建ては、柱だけを残すことも難しくなります。この場合のリノベーションはお勧めできません。

築年数が20年を超える一戸建てをリノベーションする場合は、まずリフォーム会社へ相談してみましょう。

ポイント②断熱性能

昔の一戸建て住宅は寒い、というイメージがありますが、それは壁の中に暑さや寒さを遮る断熱材が入っていないためです。壁、床、天井に断熱材を入れることで築年数の古い一戸建てでも十分あたたかくなります。

外壁や構造体に問題のない一戸建てでも断熱性能が低いと冷房や暖房の効きは悪くなってしまいます。断熱工事は快適に暮らせる重要なポイントです。断熱リノベーションについては補助金なども申請できることもありますので工事の際は併せて相談してみましょう。

ポイント③外壁・屋根

一戸建てがマンションと違うのは、ひとつの建物であるため外壁や屋根も家の所有者でメンテナンスが必要なことです。戸建て住宅の外壁や屋根は10年から15年ごとにメンテナンスが必要です。もし中古の戸建てを購入する場合はきちんとメンテナンスがされているかもチェックのポイントです。

ポイント④耐震性能

地震の多い日本では耐震性能の有無は大事なチェックポイントです。1981年に今の耐震基準である「新耐震基準」が制定されています。また阪神淡路大震災を教訓に2000年にも改正されており、筋交いの規定や金物の設置など、それまでより厳しい基準を設けています。2000年以降に建てられた戸建ては耐震について大きな心配はありません。

1981年から2000年に建てられた戸建ては震度6~7の地震に耐えられるような耐震性能を保持しているため、大きな補強工事が発生する心配はありません。1981年以前の戸建てについては「旧耐震基準」をもとに作られており、少し不安が残ります。専門家に耐震診断を依頼すると必要な補強などがわかりますので、この時期の中古住宅を購入する場合には耐震診断をすることをお勧めします。

戸建てリノベーションで考えられるプランとは

それでは一戸建てリノベーションで考えられるプランにはどんなものがあるのでしょうか。ライフスタイルに合わせて予想できるプラン別にいくつかご紹介していきます。

プラン①子どものためのスタディスペースを設けるプラン

子どもが成長し、リビングで勉強するようになったので客間だった和室をリビングと一体化し、スタディスペースを設けるプランです。キッチンからも見えるスタディスペースで、ダイニングが散らからず子どもたちの様子をみながら家事などができるようになりますね。

プラン②リビング内にテレワーク対応の小オフィスを設けるプラン

テレワークが主流となってきた昨今の働く事情に合わせ、リビングの一角に書斎を設けるリノベーションプランです。資料などもまとめて収納でき、2~3畳ほどの小さい空間でも集中して仕事に取り組むことができます。

引き戸にして開け放せたり窓を設ければ必要なときには子どもの様子もみることができます。自宅での仕事のオンオフをうまく切り替えることができますね。

プラン③個室をつなげて、夫婦の趣味のアトリエをつくるプラン

こどもたちが独立し、個室が開いたため2階の個室をつなげてワンフロアにリノベーションするプランです。広くなったフロアには夫婦の趣味のアトリエや作業場を設け、好きなことに没頭する時間をつくることができます。

プラン④土間スペースを設けアウトドアを楽しむプラン

一階に広めの土間スペースを設け、庭とつないでアウトドアを楽しむための空間を設けるプランです。自宅の庭でアウトドアができる戸建てならでは。収納スペースも設置して出かけなくても非日常を感じられます。

戸建てのリノベーションにかかる費用は?

費用に差が出るポイント

戸建てのリノベーション費用に差が出るポイントは、広さ、材料、住設機器のグレードが主です。外壁や外構、間取りにも手を加えるのであればそれも大きくかかわってきます。

~500万円でできること

戸建ての場合、おおよそ500万円でできるのはキッチンやトイレ、洗面台など住設機器の交換や壁紙や床材の張替えなどの表層リフォームです。どれもグレードや素材、下地の状態にもによりますが、一戸建て全体で室内壁+床の内装工事で100万円~になります。

位置を変えないキッチンの交換で100~150万円前後が相場です。トイレやユニットバス、洗面台など古くなった設備機器を全て交換するのであればデザイン性の高いものは選べませんが、シンプルなものを選べば可能な予算といえます。

外壁の塗り替えや補修は100万円~200万円程度が予算相場といえます。部分的であれば間取りの変更も可能です。


500~1000万円でできること

1000万円まで予算が上がってくると500万円できるリノベーションのグレードを上げたり、リビングダイニング全体の断熱工事も可能な範囲になってきます。内装+住設機器+外装補修もできる予算です。

スケルトンリフォームをするにはまだ少し予算が足りませんが、表層リフォームだけで十分な一戸建てでは一部の間取り変更なども可能な予算範囲といえます。

1000万~2000万円でできること

建物全体を修繕するスケルトンリノベーションをするなら30坪の一戸建てで最低でも1500万円程度が必要になります。住設機器の入れ替え、断熱工事など全体的にリノベーションができ、新築同様の性能も夢ではない予算です。

2000万円~でできること

2000万円以上の予算があれば、一戸建てのリノベーションには十分な内容で工事が可能です。外装・内装ともに改装するスケルトンリフォームでも好みのインテリアを選べるようになってきます。

戸建てのリノベーションを円滑に進めるために

持ち家でも中古戸建ての購入でも、戸建てのリノベーションはとても魅力的な選択肢です。リノベーションが注目されている今、素敵なリノベーション工事をしてくれる施工会社や物件から一緒に探してくれる会社もかなり増えたように思います。

きちんとした工事をすれば、リノベーションならではの味わいのある戸建てを手に入れることができます。もし戸建てを購入しよう、と考えていたらぜひ中古住宅のリノベーションも視野に入れ、リノベーションの施工会社へ相談してみてくださいね!


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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