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あなたに合うのはリフォーム?リノベーション?違いを比較して検討しよう!

この人に聞きました夏目あや子

一級建築士

おうちを楽しく育てる暮らし「おうち育」を提案しています。 収納・100均リメイク・DIYなどおうちに関する楽しいアイディアをSNSで発信中していますのでぜひご覧ください!著書「なつめさんちの新しいのになつかしいアンティークな部屋つくり」や 雑誌掲載・TV出演・コラム執筆・空間プロデュースなど幅広く活躍中です。

リフォームとリノベーションの意味の違いは?

リフォームとリノベーション、どちらとも住宅の改修、改装が必要になったときに出てくる言葉で、近年一般的に広く知られるようになってきました。とても似ていますが意味や定義に違いはあるのでしょうか。

「一般的なリフォームをちょっとおしゃれに言ったのがリノベーションなんじゃないの?」リノベーションの意味をそんな風に考えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、リフォームとリノベーションの一般的な定義の違いや意味、使い分ける必要があるかを解説します。あなたにとってどちらが合っているのか比較をして考えてみましょう。

リフォーム、リノベーションの意味を比較

リフォーム、リノベーションはどのような意味で使われているのでしょうか。

それぞれ見ていきます。

リフォームの意味とは

Reform(リフォーム)とは、英語では改革・改良・改善などという意味で海外では日本とは違い住宅に限らない使われ方をしています。

一方、日本では一般的に住宅の改修という意味で使われ、汚れたり壊れたりして老朽化した住宅の機能や設備を改修、修復することを指します。どちらかといえば、マイナスの状態から、新築した当時の状態(ゼロ)に戻すことです。

よく聞かれるのは、老朽化して古くなったシステムキッチンやユニットバスなど水回りなどを新しく交換をしたり、汚れた壁紙や床を張り替えて新築した当時と同じように状態に改装するといった内容です。

経年変化で汚れたり色褪せた外壁や屋根の塗り替えなどもリフォームに該当します。

リノベーションの意味とは

Renovation(リノベーション)は英語で「住宅の改修」という意味にあたり、日本での使われ方と同じ意味合いとなります。日本では一般的にリフォームがマイナスからゼロへの改修であるのに対し、リノベーションはマイナスやゼロからプラスアルファの付加価値を施す工事を指します。

既存のものに手を加え新しい価値を生み出し、建物そのものや機能のパワーアップを図るのがリノベーションです。自宅の中に事務所を設ける、家族構成に合わせて間取りを変更する、デザインのいい設備に変える、中古住宅を購入し自分の暮らしに合った住まいへの改修などが該当します。


リフォームとリノベーションの違い

リフォームとリノベーションはどちらも住宅に手を加えて今の状態から改善した状態にすることですが、違いは工事の規模とプラスアルファの付加価値です。

どちらも老朽化した部分を改修する中で、リノベーションは更に新築時以上の性能を付加するという意味があります。ということはリフォームという定義の中にリノベーションがある、と言った位置づけになります。

また一般的に比較するとリフォームは部分的な改修や改装、リノベーションは全体的な改装をすることが多いため、リノベーションの方が工事の規模や費用は大きくなる傾向があります。

リフォーム、リノベーションのメリットデメリットを比較

ここからはリフォームとリノベーションそれぞれのメリット・デメリットを詳しく比較していきます。

リフォームのメリット

工事規模が小さいため、費用や期間が少なくて済む

間取りを変更するなど全体的な改装工事のリノベーションと違い、リフォームはあくまで部分的なことが多く、小規模です。

システムキッチンやユニットバスの交換、一室の壁紙や床の張り替えなど部分的に改修、改装するため数日で工事が完了することも少なくありません。費用もぐっと抑えることができます。

仮住まいなどを用意する必要がない

リフォームは水回りのみの変更や一室のみの改装など、住まいの中の一部分だけが工事範囲となります。そのため住みながらの工事も可能で、仮住まいを用意する必要がないことが一般的です。

工事後のイメージがしやすい

リフォームは今の住まいの雰囲気を残しつつ、部分的に改修を行います。

全体的に解体し作り直すリノベーションと比較すると工事後もイメージと違うものになることは少ないでしょう。

リフォームのデメリット

構造的な部分のチェックが必要

リフォームは部分的な改修のため、リノベーションと違い工事前に全体のゆがみなど耐震性能や建物自体の構造的なチェックは一般的には行わないことがほとんどです。しかし築年数が古い物件を部分的にリフォームする場合は注意しましょう。

低予算で、築年数の古い物件を部分的にリフォームするときは、建物のゆがみがないか、また必要な壁などを取り払う計画になっていないかなどの構造上の問題や耐震などのチェックは行っておく必要があります。

デザインの変更は期待できない

リフォームの場合はあくまで新築の状態に直すということが目的です。

不具合のある箇所や必要な部分だけを修復するため、デザインの大きな変更はできないことが一般的です。やはりデザインもこだわりたいという方にはデメリットになるかもしれません。

リノベーションのメリット

自分好みの空間に作り変えることができる

リノベーションのメリットと言えばこれが一番大きいのではないでしょうか。自由に設計できるため、現在や将来のライフスタイルに合わせた間取りやデザインを選択可能です。

リフォームとの違いはゼロに戻すということではなく、改善するための機能や付加価値をつけられることにあり、自分たちが考えるこだわりを追求できるので、満足のいく住まいをつくることができます。

築古住宅+リノベーションであれば比較的物件が見つかりやすい

住みたい地域や立地がある場合、築浅の物件や土地だとなかなか見つかりにくいものですよね。

リノベーションの場合、築古の物件まで範囲を広げると物件が予算範囲内で見つかることも多くあります。そのあとの改修費用はリフォームよりかかりますが、それでも住みたい地域に住むことができる可能性が広がるのは大きなメリットです。

新築住宅と比較して割安

新築住宅とリノベーション、どちらも同じくらいの内容や自由度の高さがありますが、やはり費用は新築よりもぐっと抑えることができます。部分的な改修のリフォームと比較した場合は大規模に改修するリノベーションの方が割高ですが、新築と比較した場合は新築同然の住まいを手に入れられ、費用が安く済むのでメリットは大きいと言えます。

リノベーションのデメリット

仮住まいが必要になる

リノベーションは期間も長く範囲も広いため範囲の狭いリフォームと違い、住みながらの施工は難しくなります。したがって持ち家であれば、工事期間中に住むための仮住まいが必要です。

アパートなどの賃貸物件やマンスリーマンションに住む場合は引っ越し費用に加え家賃も負担することになります。また一時的といえど住所変更手続きなどの面倒な手続きも必要です。

準備期間や工事期間が長い

自由度が高い分、準備期間や工事期間が長期的に必要になります。

物件探しからリフォームローンの契約、設計打合せや工事の確認とやることも多く、期間も半年以上かかることもあります。

構造上の問題や耐久性への不安

築古の物件をリノベーションする場合、気になるのはやはり建物のゆがみがないか、また構造上必要な壁などを取り払う計画になっていないかなどの構造上の問題がないかどうかです。

また1981年5月31日以前に建てられた住宅は、新耐震基準に適応していないため耐震性への不安もぬぐい切れません。古い物件を購入する前にはきちんと確認し、専門家や対応できる業者に相談し対処をする必要があります。

リフォームローンが割高

リノベーションは、大規模な工事となることが多いため、現金で支払える額でない場合が多いです。その場合はローンを組むことになりますが、新築とは住宅ローンの種類が違い、リフォームなどに使えるリフォームローンを組む必要があります。(一部条件が合えば住宅ローンを使うことも可能です)

リフォームローンは金利が少し割高な場合や期間が短い(10~15年程度)場合があり、それも考慮した予算で考えることが必要です。ただし、内容によっては補助金なども受けられることもあるので、確認しておきましょう。


リフォーム、リノベーションに向いている住宅は?

リフォームが向いている住宅

一般的に、築年数の新しい築浅(築年数10年以内)の物件の場合にはまだまだきれいなため部分的な工事で済むリフォームが多いです。古くなっている部分のみを交換、改装することで十分住める住宅になるためです。

リノベーションが向いている住宅

一方、築年数の古い築古(20年以上)の物件ですと設備の老朽化、不具合という点も多く出てくるためリフォームでは間に合わず、スケルトンリノベーション(構造上必要な部分以外を取り払うこと)を選択することが一般的です。

マンションにはどちらが向いている?

住宅の形態としては、一戸建てだけではなく、マンションもリフォーム、リノベーションどちらも対応が出来ます。空いている土地の少ない都会ではマンションリノベーションという言葉がよく聞かれます。

一般的にマンションリノベーションの場合は、構造躯体(構造上必要な主にコンクリート部分)のみを残しすべてを撤去してリノベーションを行うフルスケルトンリノベーションが主流で、古い団地等でもおしゃれに激変する住宅が多数存在します。

特に人気の地域では物件自体の機能やグレードを向上させおしゃれにリノベーションされた物件の資産価値は高く、また価値が下がっていくとしてもゆるやかであることが知られています。将来、資産価値が上がることも考えられます。

ちなみに賃貸マンションでもリフォームやリノベーションの可能な物件があります。

賃貸物件は一般的に退去時に原状回復工事といった、入居時の状態に戻す工事をする必要がありますが、古い物件では回復工事を必要としない場合、もしくは入居する前に大家さんと話し合いリノベーションができる物件などもあります。

リフォームとリノベーション、向いているのはどんな人?

リフォームとリノベーション、どちらを選択することが最適でしょうか。これまでの比較から、意味や違いを考えると以下のようにまとめることができます。

リフォームが向いているのは・・・

  • 住む立地にはそこまでこだわりがない
  • 費用を安く抑えたい
  • あまり時間が取れない

住む地域にそこまでこだわりがなければ、物件探しの際住む範囲を広げ、比較的新しい物件を購入し、必要な部分だけリフォームするという選択をすることができます。どちらかといえば費用を安く抑えることが優先順位として高いという場合はリフォームがおすすめです。

持ち家などの場合は、低コストで工事でき、短い期間で機能的な問題が解決出来ることを優先する場合リフォームがおすすめです。どちらかといえばデザインへのこだわりは可能な範囲で良いという場合に向いていると言えます。

あなたに合うのはリフォーム?リノベーション?違いを比較して検討しよう!

リノベーションが向いているのは・・・

  • 住む地域や立地にこだわりがある
  • 新築よりは費用を抑えたいが、デザインも重視したい
  • 間取りなどをライフスタイルに合わせたい
  • 時間に余裕をもって対応できる

こだわりも費用もどちらも大事だけれど、少し費用や時間をかけてもこだわりの暮らしやライフスタイルを実現したい場合にはリノベーションがおすすめです。

住む地域が人気のエリアでも、築古の物件であれば見つかりやすいため、費用よりもリノベーションで実現できる付加価値を追求する場合に向いています。

リフォームやリノベーションで自分に合った暮らしを実現

リフォーム、リノベーションにはどちらにもメリット・デメリットがありますが、あまり難しく考える必要はありません。状況や費用に応じた判断基準で自分に合った選択を行うことが大切です。また優先したいものが何かも大事な判断の基準になります。

自分の優先したいものを照らし合わせて考えた上で、リフォーム会社へ相談してみるのがおすすめです。


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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