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スケルトンリフォームとは?魅力や気になる費用、メリットや事例についても解説

この人に聞きましたHarmony Life

英国認定(ARB)建築士 インテリア、建築、都市デザインを学びながら現地企業で10年修行し、培った主婦目線のきめ細やかな提案を心がけています。自身のYouTubeチャンネル 「London Harmony Life」では、古い佇まいのある建物やアンティークマーケット、英国のガーデンショー、手作りで楽しむ暮らしといったワクワクする情報を配信中。

長年住み慣れた実家。でもあちこち老朽化し、家族の成長と共に不具合を感じることもありますよね。そこで近年人気を集めているスケルトンリフォームに注目しました。この記事では、スケルトンリフォームとは何?という疑問から魅力や気になる費用、メリット&デメリットまで解説します。

スケルトンリフォームとは何?

スケルトンリフォームとは

スケルトンとは英語で「骨格」を意味します。

スケルトンリフォームとは、建物の骨格である柱・梁・床は残し、内装や設備を解体して行う大掛かりなリフォームを指します。間取りの変更や、水周りの位置を変えることも可能です。壁の中の配管を取り換える場合もスケルトンリフォームにあたります。

スケルトンリフォームの魅力

まだ使える躯体を再利用するため、解体時の廃棄物の量は建て替えよりも抑えられます。古き良きものを大切に、フル活用しながら、現代のライフスタイルに合うよう機能を向上させる。地球にやさしくサスティナブルなリフォームが魅力です。

スケルトンリフォームはお子様の就職・結婚・2世帯同居などのライフスタイルに合わせて住まいの問題を解決するのが魅力で、ライフステージに応じた心地よい住まいを手に入れることができます。


スケルトンリフォームの種類

内外部スケルトンリフォーム

内外部スケルトンリフォームとは、建物の骨格である躯体を残し全てを解体してから、行う大規模なリフォームです。

築年数を重ね老朽化した建物は、セットバックの規制により建て替えをすると建築面積が減るため、このリフォームが多く採用されます。

内外部スケルトンリフォームでは、新築同様に建物をリニューアルできますが、外装の傷みが塗装で解決できたり、窓追加の場合は部分的に穴をあけてサッシを入れるなど、工夫次第では外壁をフルスケルトンにしなくても要望が叶えられることもあります。

内外部スケルトンリフォームをするかの判断は、難しい部分が多くありますので一度リフォーム会社に相談してみましょう。

内部スケルトンリフォーム

内部スケルトンリフォームとは、外壁の老朽化が少ない場合、建物の内部のみをスケルトンにしてリフォームする方法です。

間取りや水周りの位置を変更したり、階段の架け替えなど、建物内部をフルにリフォームできます。

耐震補強を柱や基礎に施したり、断熱材を壁の内側へ入れることも可能です。外壁はそのままなので、費用が抑えられます。マンションは基本的に内部スケルトンリフォームのみ可能で、これは専有面積のみリフォームが許されているからです。

外部スケルトンリフォーム

外部スケルトンリフォームとは、外壁の老朽化が目立つ場合、建物の外部のみをスケルトンにしリフォームする方法です。特に傷みが広範囲で、塗装だけでは解決できない場合に行いますが、外部スケルトン単体で行うことはまれで、せっかく外もリフォームするなら中も、といった流れになることが多い傾向にあります。

スケルトンリフォームのメリット

スケルトンリフォームは大掛かりなリフォームとなるため、躯体を残して解体してしまったら後戻りはできません。スケルトンリフォームのメリットとデメリットを充分理解し、納得してから実行に移しましょう。それでは、メリットから見ていきます。

間取りの変更ができる

建物をスケルトンにするメリットは、間取りの自由度が高くなり部屋数の増減も可能なことです。ライフスタイルの変化に合わせて住まいをリ・デザインしたい場合は特におすすめで、部分リフォームにはない、家の中全体に統一感が出せるのもメリットといえます。

スケルトンリフォームにより廊下幅を広げたり段差をなくしたりなどのバリアフリー化もでき、将来に向けて安心安全な住まいを手に入れることができます。

新築や建替えに比べるとローコスト

新築同様の見た目や住み心地でありながら、同じような新築の注文住宅と比較すると、費用を抑えることができるのは大きなメリットです。ただし建物の劣化が激しい場合や機能を追加した場合はそれなりに費用は掛かりますので、注意が必要です。

既存建物面積を変えずにリフォームができる

築年数を経た戸建て住宅は、現行の建築基準法には適応していないものもあります。そのまま住み続けるのであれば問題ありませんが、建て替えとなると現行の建築基準法に合わせることが必須です。もし接道義務を満たしていないのであればセットバックの規制がかかり、建て替えると既存の住宅よりも狭くなります。既存の建物面積を保持したままリフォームができるのは、スケルトンリフォームの大きなメリットです。

建物の機能を向上させることができる(配管リニューアル・耐震補強・断熱対策)

スケルトンリフォームでは解体によって壁の中が一目瞭然となり、配管の劣化部分を取り換えたり、修理が可能になることもメリットです。

築年数を経たものは、新耐震基準が満たされていない場合もあり、躯体に耐震補強を施したり、快適性を上げるため断熱材の刷新もできます。スケルトンリフォームなら、見た目だけではなく住み心地も良くなるのが大きなメリットです。


スケルトンリフォームのデメリット

部分リフォームに比べて費用がかかる

1つ目のデメリットはコストが高くなることです。スケルトンリフォームは既存の躯体をケアしながら、機械を使わず手作業でスケルトンにしていくため、人件費がかかります。

また部分リフォームに比べると産廃物の量も多く、解体費用や廃材処理費用がかかるため、必然的にコストは高くなるのがデメリットです。

仮住まいと引っ越しの費用がかかる

スケルトンリフォームは、住みながらの工事はできません。仮住まいを用意し、仮住まいへの引っ越し費用、仮住まいからリフォーム後の自宅に引っ越す費用も見ておく必要があります。追加で費用がかかってしまう点もコスト面でのデメリットといえるでしょう。

工事が大掛かりなため工期が長い

2つ目のデメリットは工事期間が長いことです。工事が大掛かりなスケルトンリフォームは、部分リフォームに比べて工期が長くなります。

また築年数が古い場合、スケルトンにしてみてから思っていたより劣化が激しく、問題が発覚する可能性もあります。

一部構造材の取替や補強などで解決できますが、そういった点も合わせて依頼するリフォーム会社に、スケルトンリフォームのおおよそ必要な工期の目安を確認し、予定を組むことをおすすめします。

マンションは規約次第でリフォーム不可なところもある

3つ目のデメリットは工事が行える範囲が限定されることです。マンションでは専有部分のみのリフォームとなるため、玄関ドアや外壁部分のリフォームはできません。

また、管理規約によりリフォーム範囲や内容が限られていたり、マンションによってはリフォーム不可なところもあります。まずは管理規約に目を通し、管理組合に確認することをお勧めします。

スケルトンリフォームの気になる費用

参照元:国土交通省「リフォームの内容と価格について」

費用相場:末尾に*がついている価格

https://www.mlit.go.jp/common/000145917.pdf

内外部スケルトンリフォーム費用の相場

躯体以外の部分を全面リフォーム500~2500万円*

2世帯住宅化 800~2500万円*

古民家再生 1200~3000万円*

スケルトンリフォームでも、ライフステージやライフスタイルの変化により、リフォームのタイプは変わります。2世帯住宅化では、水周りを2つにするか共有するかで相場は変わり、また既存の建物が古民家であれば、一般的な住宅リフォームより少し割高になります。

内部スケルトンリフォーム費用の相場

ここではアイテムごとに相場を記載しましたが、内部スケルトンリフォームでほぼ全てを一新するため、費用の相場はもう少しリーズナブルになるでしょう。

キッチン

キッチン全体のリフォーム80〜400万円*

キッチンのリフォームは、材料や設備によって金額が大きく変わるのが特徴です。システムキッチンI型のリフォームは80万円から、参考価格400万円はキッチンの場所を変え、配管(水道・ガス・電気)の移設工事をし、扉やワークトップのグレードも上げた場合の金額です。

また、キッチンの位置は変えずユニットや機器の交換、キッチンの壁紙や壁パネル、古くなった床などの取替では150万前後がよく見られます。

トイレ

トイレ全体の改装20~100万円*

トイレのリフォームも材料、設備により金額に開きがありますが、既存がシャワートイレで、新しいシャワートイレに交換するリフォームはおよそ20万円前後でできることが多いです。汲み取り式のトイレをシャワートイレにするなど大きなリフォームの場合は100万円前後になる場合もあります。


浴室

システムバスの交換(戸建て)60~150万円*

スケルトンリフォームにより旧式のタイル張りお風呂を、メンテナンスの楽なユニットバスにしたいと思う方は少なくありません。お風呂の大きさにもよりますが、窓の有無や素材によっても価格はかわります。

洗面所

洗面所の改装20~100 万円*

シンプルな洗面ユニットであれば費用も抑えられますが、造作カウンターにして趣のあるボウルや水栓にこだわったり、洗濯機を設置するかによっても費用に開きがあります。


居住部分と階段

リビングの改修 200~400万円*

ダイニングの改修 100~200万円*

階段の改修20~100万円*

居住部分と階段の改装の相場は、広さはもちろんのこと断熱材や仕上げ材のグレード、電気配線や照明配線などでも変動します。間取りの変更により階段を架け替えする場合も、既存をフルに再利用するか新設するかにより価格の開きがあります。

オール電化

オール電化への改修100~200万円*

オール電化にすると、わずらわしい光熱費の支払いが1本化でき、ガス併用より光熱費が抑えられると言われています。また、高齢者や小さなお子さまのいるご家庭では、安全性の高いIHコンロで火事の心配がないことも人気の秘密です。

外部スケルトンリフォーム費用の相場

外壁・屋根

瓦屋根の交換(戸建て)70~120万円*

基本的にスケルトンリフォームは、外壁材や屋根材を一新しますがレアな工事のため、リフォーム業者に見積もりをとられることをお勧めします。

耐震補強

耐震補強(金物使用)(戸建て)20~60万円*

耐震補強(基礎からの工事)(戸建て)100~200万円*

耐震補強は、スケルトンにした状態でどこにどのような補強を入れるか決めていきます。耐震補強には大きく分けて2種類あり、金物を使用して柱や梁、開口部の強度を上げるタイプと、更に基礎の補強も加えるかで金額は大きく変わります。


スケルトンリフォームで生まれ変わったお宅を事例でご紹介

【事例】 築50年一戸建て、木造2F部分のみ(36㎡)500万円

施工会社:株式会社 河原工房

URL:http://www.omoiokatachini.jp/150/150040/

お施主さまが子どもの頃から愛着のある祖父母さまのお宅を、古くても使える建材や骨組みを活かしながら、子世代に継承できるよう再生させた事例です。2階の一部分のみのスケルトンリフォームなので費用もリーズナブルに、もとは和室だったところに水周りを新規導入、見事に生活空間を作り上げた成功事例です。陶芸家さんということもあり、随所にあたたかみのあるインテリアも魅力です。

【事例】 築43年、木造一戸建て、(43.0㎡)1,500 ~ 2,000万円

before

after

施工会社:住友不動産の新築そっくりさん

URL:https://www.sokkuri3.com/kodate2/case_detail/597/

一戸建てで増築を繰り返したために構造的に問題が起こり、スケルトンにして耐震補強で建物をよみがえらせた事例です。収納も全て造りつけにし、家具の転倒の不安を取り除いています。外壁はスケルトンにせず塗り直し、バルコニーを改修し窓も入れ替えて、築43年のお宅が魅力的な洋館に生まれ変わった成功事例です。

【事例】 築45年一戸建て、外部スケルトン400万円

before

after

施工会社:ナサホーム

URL:https://nasahome.co.jp/works/roofwall/11

築45年の老朽化した蔵を、外部スケルトンリフォーム(一部塗り替え)で、より趣のある外観によみがえらせ、断熱性と耐震性も上げた成功事例です。既存の焼き杉の腰壁材をはがし、断熱性の高い屋根材である横暖ルーフαに取り換えたのが革新的なポイントです。

屋根材は同じいぶし瓦で葺き替えをしながらも、湿式工法から乾式工法にし、屋根の軽量化、しいては重心が下に行くので耐震性の向上にも貢献しています。上壁の漆喰は塗り替え、周りの景観にも自然に馴染み、美しく機能的なリフォームとして成功した事例です。

スケルトンリフォームを検討しているあなたへ

スケルトンリフォームには大きく分けて3種類あります。それぞれ予算や注意点、メリットデメリットが存在し、今回紹介した予算や事例を参考に、自分にあったリフォームの方式や内容を検討してみましょう。

また悩んだ際はぜひリフォームの専門家が揃っているショールームに訪れるのがおすすめです。経験豊富なプロの視点であなたのリフォームプランをサポートしてくれます。 


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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