シャチハタと印鑑はどう違う?種類ごとの使い方と豆知識を紹介

書類に押印するときに使う「シャチハタ」は、印鑑とは何が違うのでしょうか。シャチハタと印鑑の特徴や使う場面を知っておけば、いざというとき慌てないで済むだけでなく、契約に関するリスクを避けることもできるでしょう。

シャチハタとは? 

「シャチハタ」とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。誤った使い方をすることのないよう、シャチハタと他の印鑑との違いを知っておきましょう。

シャチハタの正式名称は「浸透印」

インクを補充しない浸透印は、1925年に文具・事務用品メーカー「シヤチハタ株式会社」が開発しました。

これが全国に広まったことで、浸透印のことを「シャチハタ」と呼ぶようになったのです。ちなみに社名の「シヤチハタ」は、「シャチハタ」と読みます。

シヤチハタ株式会社が作った浸透印以外は、正確には「シャチハタ」と呼ぶことはできませんが、「シャチハタ」といえば「朱肉のいらないインク浸透印全般」のことだと今でも認識されているのです。

シャチハタの特徴や印鑑との違い

シャチハタと印鑑には、主に以下のような違いがあります。

<シャチハタ>

  • 内部にインクが内蔵されており、朱肉を使わず捺印できる
  • 印面の素材は特殊な製法で作られたゴム材
  • 工場で大量生産されているため、印面が同じになる

<印鑑>

  • 朱肉を使わないと押印できない
  • 大量生産でないものは、一本ずつに違いがある
  • 木材や金属材・樹脂材などの硬い素材から作られる

浸透印にインクを補充する場合、同じメーカーの専用インクを使いましょう。異なるメーカーのインクを補充すると、印面のゴム材にインクが詰まり、使えなくなる可能性があります。また、補充には同色のインク使えず、色の変更はできない点にも注意が必要です。

実印

実印とは、自治体の役所で印鑑登録を行った印鑑のことをいいます。実印は一人に一本のみ認められます。夫婦であっても、原則同じ印鑑を二人で登録することはできません。実印を使う場面には、下記のようなものがあります。

  • 土地・建物など不動産の売買
  • 会社の設立
  • 公文書の作成

実印は、法的拘束力を持たせたい契約や、利害が発生する契約などの重要な場面で使われます。極めて重要な印鑑であるため、同じ印面の印鑑が存在しないよう、実印用の印鑑を作成するのがおすすめです。

銀行印

銀行印とは、銀行などの金融機関で口座開設するときに登録した印鑑を意味します。銀行印を使う場面には、以下のようなものがあります。

  • 金融機関に登録した住所・氏名などの登録内容の変更
  • 口座からのお金の出し入れ
  • 保険・証券の契約
  • 住宅ローン契約

銀行印には一般的に直径12~15mmの印鑑が使われることが多いです。起業したり住宅を購入するときには大きめの印鑑が好まれやすく、女性はやや小さめのもの選ぶことが多い傾向にあります。

銀行印は金融機関での手続きや契約などに使われ、その口座に登録された本人であると証明する重要な印鑑のため、大量生産されていない印鑑を使うとよいでしょう。

認印

認印とは、印鑑登録などの登録・届け出がされていない印鑑のことをいいます。認印を使う場面には、下記のようなケースがあります。

  • 請求書や領収書への押印
  • 宅配便・書留の受け取り
  • 市区町村など公的機関での手続き

実印や銀行印と比べると、認印は日常的に用いることが多い印鑑だといえるでしょう。

認印と三文判の違いは?

三文判とは、ホームセンターや100円ショップで売られている印鑑のように、大量生産された既製の印鑑をいいます。一方、認印は登録などがされていない印鑑全般のことであり、三文判を認印に使うことも可能です。

また、三文判は印鑑登録を行えば実印として使える他、届け出をすれば銀行印としても使えます。ただし、三文判は機械で大量に作られていることから、同じ印影のものが多く市中に出回っています。

他の人と同じ印影の印鑑は、悪用されたり混乱を招いたりするリスクもあるため、実印・銀行印として使うのは避けた方がよいでしょう。

シャチハタは正式文書には使えない?

(出典) photo-ac.com 

シャチハタを使うことのできない書類には、どのようなものがあるのでしょうか。シャチハタを使えない理由と併せて、知識として知っておきましょう。

シャチハタが使えない書類の例

シャチハタは、重要な契約を締結したり、金融機関で手続きをしたりといった場面では使えないことが多くあります。シャチハタが使えない書類の例としては、下記のようなものがあります。

  • 土地・建物の購入・賃貸など不動産取引に関わる契約書
  • 住宅ローンの契約書
  • 自動車の購入・売却に関する契約書
  • 遺産分割協議書
  • 保険の加入申込書

シャチハタ以外にも、ゴム製の印鑑は上記のシチュエーションでは使えません。また法律や規定により実印しか使えない書類もあるため、契約書類に押印するときは必ず確認するようにしましょう。

シャチハタが不可な理由

正式文書にシャチハタの使用が認められない理由は、いくつかあります。

  • 同じ印面の印鑑では成り済ましや悪用のリスクがある
  • シャチハタの印面はゴム製のため、年月がたつと劣化してしまう
  • ゴムでできた印面は押す力が強いとゆがむため、印影が変わる可能性がある
  • 書類によっては、朱肉による押印でないと認められないものがある

特に重要な契約書や多額のお金が動く契約書では、本人確認をするために実印が使われることが多いことを抑えておきましょう。

シーンに合わせてシャチハタを使おう

(出典) photo-ac.com 

シャチハタは朱肉を使わず押印できて便利ですが、契約書や公的文書など書類によっては使えません。シャチハタの印面はゴム製のため、押印時のゆがみや経年劣化のリスクがあるからです。

シャチハタ以外には実印・銀行印などの印鑑があり、それらの特徴や違いを知ることで、正しく使い分けられるようになります。

生活に役立つ豆知識として知っておけば、子どもに正しい知識を教えたり、トラブルの回避にもつながるでしょう。

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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