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キリギリスの寿命はどのくらい?家での飼育方法や注意点について徹底解説

草むらに多く生息し、きれいな鳴き声を奏でるキリギリス。「ギイィイイ〜チョン」という独特のリズムが何だかクセになりますね。虫かごに入れて飼育すれば、家の中に草原が広がっているような気がしてきます。

そこで今回は、キリギリスの飼育を考えている人向けに、キリギリスの寿命や飼育方法について詳しく解説していきます。親子の自由研究にもぴったりです。ぜひ子どもと一緒にトライしてみてくださいね。

キリギリスはどのくらい長く飼える?生態や寿命について知っておこう

まずは、キリギリスの基本的な生態について説明します。キリギリスの特徴や寿命について知識を仕入れておき、捕獲や飼育をする前の心構えをしておきましょう。

キリギリスは夏〜秋の暖かい時期に活動する虫

キリギリスの鳴き声が聞こえ始めるのは、梅雨明けの7月初旬頃からです。幼虫たちが卵から孵化するのが春半ばの4〜5月頃。そこから7回ほどの脱皮を繰り返し、約2ヶ月ほどかけて成長します。羽化したオスのキリギリスは、1週間ほどすると「ギー」という鳴き声を立てるようになります。鳴き始めてから半日後には、耳慣れた「ギーチョン」というリズムで鳴くようになります。

メスのキリギリスは、羽化から10日程度で産卵ができるようになります。ここからは、オスが鳴き声でメスを呼び寄せて、交尾相手を探し始めます。交尾後にメスはすぐに産卵を始め、彼らの命は次世代に引き継がれていきます。

キリギリスの活動時期には、気温が関係しているとも言われています。気温が30度以上になると、オスは積極的に鳴き声を上げ始めます。逆に、気温が20度を切るとほとんど活動しなくなります。

成虫したキリギリスの寿命は約2ヶ月

キリギリスが羽化してからの寿命は約2ヶ月です。孵化から羽化の期間を含めると、3〜4ヶ月ほどです。梅雨明けに成虫を捕まえた場合、夏休みの終わりには寿命が訪れます。

捕まえたときすでにどのくらい生きているかは、見た目からは分かりません。想定より早く死んでしまう個体もいれば、予想外に長生きする個体もいるでしょう。なるべく長生きさせたいなら、こまめな餌やりや水やりをして、十分な栄養を与え続けることが大切です。草原と似たような、風通しの良い環境にしてやることも忘れずに。

キリギリスに似た虫では、バッタは約5ヶ月、コオロギは約1ヶ月半の寿命です。寿命だけで見れば、キリギリスは飼育がそこまで負担にならず、観察にちょうどよい虫と言えるでしょう。

キリギリス、バッタ、コオロギの違いについて

似たようなサイズ感で、よく跳ぶイメージのあるキリギリス、バッタ、コオロギ。この3種類は直翅目(バッタ目)にカテゴライズされています。直翅目の虫たちは頭部からピンと伸びる長めの触覚をもち、後ろ足が発達していて跳躍力に優れます。

コオロギは他の2種類とは体の色味が異なるので、まず見間違えることはないでしょう。体の特徴を挙げるとすれば、コオロギは翅の形と付き方が独特です。キリギリスとバッタの翅の形は左右非対称ですが、コオロギの翅は左右対称です。また、鳴き声を上げるときの羽の重ね方にも違いがあります。他の2種類は左前翅が上にきますが、コオロギは右前翅が上にきます。

バッタとキリギリスの違いは、触覚の長さです。キリギリスは触覚が長い虫として有名で、自身の体長より触覚のほうが長いです。これに対してバッタの触覚は長くとも体長の1/3程度に留まります。どちらかを狙って捕まえたいときは、触覚の長さに注目すると良いでしょう。

アリとキリギリスの童話は実際に起こり得る?

イソップ物語の『アリとキリギリス』の童話では、夏や秋の間もせっせと冬越しの準備をしていたアリたちと、暖かい季節を謳歌していたキリギリスの様子が描かれています。キリギリスは美しい歌声をもち、その歌声を披露することを条件に、アリたちに冬を越すための貯蓄を分けてもらえないか交渉します。

アリたちはキリギリスの行動を自業自得だとし、キリギリスを追い返します。この後のキリギリスの顛末は、そのまま冬を越せずに死んでしまうパターンや、最終的にアリが助けてくれるパターンなど、お話によってさまざまです。アリとキリギリスの物語は、「目先の楽なものに流されてしまうと後から困ってしまう」教訓として、今も人々に親しまれています。

しかし実際のキリギリスは寒さにとても弱く、冬の気温に耐えることは困難だと言わざるを得ません。たとえ餌や水分が手に入ったとしても、冬を越すことは不可能だったでしょう。刹那主義の代表としてキリギリスが使われているのは、ちょっとかわいそうなことなのかもしれません。

キリギリスの生息場所、捕獲方法

キリギリスの基本をおさえたところで、さっそくキリギリスを捕まえにいきましょう。ここからはキリギリスの生息場所や捕獲方法について解説します。キリギリスの捕獲には危険をともなうことがあるので、これからご紹介する注意事項を必ず守ってくださいね。

日本中どの都道府県でも見つけることができる

キリギリスは、日本全国どこにでも生息しています。探すこと自体はそう難しくないでしょう。

生息している地域の違いから、ハネナガキリギリス(北海道)、キリギリス(本州、四国、九州)、オキナワキリギリス(沖縄)の3種類に分かれます。北海道に生息するハネナガキリギリスは、その名の通り翅の部分が長い点が特徴です。また、オキナワキリギリスも、本州などに生息するキリギリスと比べて翅が長い傾向にあります。

生息している地域によって、卵の孵化するタイミングが違うことも判明しています。寒い地域ほど卵の期間が長く、北海道であれば2〜4年ほどを卵のまま過ごします。対照的に、沖縄ではほとんどの卵が1年で幼虫に孵ります。卵の孵化に挑戦する場合は、交配させた種類によって孵化するタイミングが異なることに留意しておきましょう。

キリギリスを捕まえるときは河原や草原を探そう

キリギリスが多くみられる場所は、草原や河川の近くです。緑が豊かな丘や田んぼにも生息しています。跳躍に長け、草から草へと跳んで移動していくので、草丈の高い場所が特に狙い目です。キャンプやBBQなどで自然の近くへ行ったときに探してみると良いでしょう。

キリギリスを探すとき、特徴的な鳴き声が目印になります。朝から昼間にかけて頻繁に鳴く性質があるため、午前中から捕まえに行くと良いでしょう。熱中症にはくれぐれも気をつけてくださいね。

意外と危ない!?キリギリスの捕まえ方と注意点

キリギリスを捕まえるときは、「キリギリス釣り」というザリガニ釣りのような方法で捕獲します。キリギリスの好物である、輪切りにした玉ねぎを糸に結びつけ、鳴き声がする草むらに垂らします。玉ねぎ以外の香りの強い野菜でも捕まえることができますが、色の違いがよくわかる玉ねぎがおすすめです。

キリギリスは玉ねぎの匂いを嗅ぎつけると、玉ねぎに飛び乗って食事を始めます。キリギリスが振り落とされないようにそっと糸を引き上げて、背中から翅の部分をキュッと摘んで捕まえましょう。

キリギリスは雑食で、顎の力がとても強い虫です。不意に指を噛まれてしまうと、かなりの痛みを感じることがあります。捕まえるときは必ず背中側から、素早くしっかりと摘み上げましょう。直接触ることに抵抗のある人は、軍手をして、キリギリス全体を両手で包み込むように捕まえるとさらに安心です。

子どもの怪我が心配なときは、キリギリスが飛び乗っている餌ごとそのまま虫かごに入れてしまってもOKです。小さい子がキリギリス釣りをするときは、常に目を離さないよう近くから見守りましょう。

鳴くのはオスだけ!性別の見分け方をマスターしよう

キリギリスを飼い始めたものの「うんともすんとも鳴かない…。」ことがあります。キリギリスの鳴き声は求愛行動なので、鳴くのはオスの個体だけです。捕まえるときの鳴き声でわかりそうなものですが、キリギリスがたくさん生息している場所では、聞こえてくる鳴き声がどのキリギリスのものか判別が付きにくいです。

キリギリスの性別は、産卵管の有無で見分けます。メスには産卵管が付いており、オスにはありません。産卵管とは、キリギリスのお尻の先に付いている管のことです。尻尾のような形状の管がついていればメス、そうでないものはオス、と簡単に見分けることができます。

先に説明した通り、メスは鳴きません。鳴き声を楽しみたいのであればオスを捕まえましょう。一方で、オスとメスを両方捕まえると、産卵や孵化の様子を観察をすることができます。捕まえたかった性別でなかった個体は、元いた草むらにそっと戻してやりましょう。

キリギリス飼育の始め方、飼育中に気をつけること

無事キリギリスを捕まえたら、家に持ち帰って飼育をしてみましょう。キリギリスの飼育は、ポイントさえ守ればさほど難しくありません。短い期間ですが、家にキリギリスのいる生活を楽しみましょう。

飼育を始める時期は梅雨明け〜夏休み初旬がおすすめ

羽化した後のキリギリスの寿命は約2ヶ月程度です。子どもとゆっくり観察を楽しむなら、捕まえる時期は梅雨明け頃がベストでしょう。ちょうど夏休みの間、じっくりと飼育を楽しむことができます。

夏休みに入ってから捕まえても良いですが、すでに羽化から時間が経っているケースも多く、想像より早く死んでしまうかもしれません。捕まえる時期が早いほうが、キリギリスと長く過ごすことができるでしょう。

夏休みの終盤に入ってきてしまうと、飼育期間はさらに短かくなります。数日で死んでしまう恐れもあるので、飼育用の虫かごやキリギリスの餌には、簡易的な物や代用品を使うと良いでしょう。

共食いを避けるため、1カゴ1匹を徹底しよう

キリギリスの飼育で特に注意したいことは、キリギリスは雑食(=肉食もする)であり、共食いをする点です。虫同士の距離が十分に確保できている草原ならまだしも、狭い虫かごに複数匹を閉じ込めてしまうと高確率で共食いを起こします。交尾させる予定がないのであれば、1匹ずつ別の虫かごで飼育するようにしましょう。

キリギリスの飼育に広いスペースは必要ないため、虫かごは最小サイズのもので十分です。複数匹を同時に飼いたいときには、小さな虫かごをたくさん用意しておくと良いでしょう。

大きな虫かごで複数匹を飼いたいときは、虫かごの中をアクリル板や木製板などで仕切りましょう。キリギリスは跳躍力が高いので、上から下までしっかりと仕切れるものを使ってください。また、風通しが確保できるよう、仕切り板にはところどころ穴を開けるようにしてください。

昆虫ゼリーは不要!餌はドックフードでまかなえる

虫の餌というと、カブトムシのような昆虫ゼリーを考える人が多いかもしれません。しかし、キリギリスは雑食で粗食にも耐えるので、栄養分たっぷりのゼリーを用意する必要はありません。

特にこだわりがなければ、ドックフードがおすすめです。スーパーや通販で手軽に入手でき、粒状になっているので餌を補充するのも簡単です。

キリギリスは、玉ねぎなどの香り高い野菜を好みます。餌にむさぼりつくキリギリスを観察したいのであれば、たまに野菜類を与えてあげると効果的です。咀嚼力が強いので、野菜は適当に乱切りしておけばOKです。キリギリスの一番好きな野菜を探してみましょう。

虫かごは陽のよく当たる場所に置いてあげよう

キリギリスは陽の当たる場所を好み、鳴き声も盛んになります。日中はなるべく陽の当たる場所に虫かごを置いてやると良いでしょう。ただし、虫かごの中の温度が上がりすぎてしまうと干からびてしまう危険があります。直射日光があたる場所は避け、適度に陽が差し込む場所に虫かごを設置しましょう。

虫かごの温度を下げるために、虫かごの中の風通しをよくするのもポイントです。特に暑い地域に住んでいる人は、竹かごのような隙間のあるケースで飼うことも検討してみましょう。

キリギリスに卵を産ませることはできる?交尾・産卵させたいときのポイント

最後に、キリギリスに交尾や産卵をさせたいときのコツについて解説します。何年かキリギリスを飼育して慣れてきたら、次世代飼いに挑戦してみましょう。

共食いの危険があるため、初心者には不向き

初めての飼育で、産卵を前提に飼い始めるのはあまりおすすめできません。キリギリスには共食いの危険があり、1匹1ケースが基本だからです。

交尾をさせるためにはオスとメスを同じ虫かごで飼育する必要があり、常に共食いのリスクが発生します。飼い始めたらすぐ共食いをしてしまった、という失敗を回避するためにも、ある程度飼育に慣れてきてからチャレンジすると良いでしょう。

虫かごの中に産卵用の土か砂を入れておこう

同じ虫かごの中でオスとメスを飼い始めると、数日程度で交尾に至り、メスが産卵を始めます。このとき、メスが産卵するための砂場を虫かごの中に作ってやる必要があります。

キリギリスを飼い始める前に、虫かごの半分くらいに、深さ7〜10cm程度の土を盛る、または砂地を作りましょう。土は霧吹きで少しだけ湿らせておくのがポイント。

使用する土や砂は庭から取ってきても構いませんが、他の虫の侵入を防ぐための殺虫処理が必要です。面倒であれば、スズムシ用の土を使うのがおすすめです。

卵の孵化は2〜3年後!土が乾燥しないように定期的にメンテしよう

キリギリスを捕まえた地域にもよりますが、卵は必ずしも翌年に孵るとは限りません。長いものだと3〜4年程度かかることもあります。卵が無事に孵るまでは、日々のこまめなメンテナンスが重要です。

特に、土の乾きは卵の命に直結します。冬季に使用する暖房は、土の乾きの原因になります。玄関先や物置部屋など、暖房の影響を受けにくい場所で保管しましょう。

土が乾いてきたときは、霧吹きで水分を補充します。このとき、メンテが面倒だからと水をかけすぎるのはNGです。虫かごに水が溜まり、卵が水没する恐れがあります。土の乾き具合をマメにチェックし、ちょっとずつ水分を与えるのがコツです。

孵化後に1度脱皮をしたら、数匹ずつ別の容器に移し替えよう

卵が孵化した後、キリギリスたちは脱皮を7回ほど繰り返して成虫になります。また、孵化から1回目の脱皮が終わると、即時に共食いが始まります。4〜5匹くらいに集団を分けて、別々の虫かごに移動させましょう。飼いきれない場合は早めに逃してやるのも1つの手段です。

虫かごにかつお節を入れてやると、ある程度共食いを防止することができます。幼虫の間に数匹を同じ虫かごで飼うときには、野菜とかつお節をメインの食事にしましょう。何度目かの脱皮を繰り返し、形が成虫に近くなってきたところで、1匹飼いに徐々に移行しましょう。

まとめ

キリギリスの羽化後の寿命は、約2ヶ月です。梅雨明けに捕まえれば、夏休みの間にじっくりと観察を楽しむことができるでしょう。適度な食事と水分を与えていれば比較的長生きすることもありますが、冬を越すことはまずありません。

キリギリスは、草原や河原近くの草地に生息しています。キリギリスは高い跳躍力と、強い顎の力を持ちます。捕まえ方は比較的簡単ですが、怪我のないように注意してください。

共食いをするため、虫かごごとに単独飼育をするのが基本です。日差しのよくあたる、風通しの良い場所で飼育しましょう。餌はドックフードがおすすめです。その他にも野菜を特に好むので、キリギリスが気に入る野菜を探してみるのも飼育の醍醐味です。

次世代飼いは上級者向けです。何回かキリギリスを飼った経験があり、飼育に慣れてきたときにチャレンジしてみましょう。

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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