一級建築士 住まいや暮らしをもっと楽しく快適に!アイデアや情報をお届けする建築ライター。建築業界で意匠設計を担当し、アメリカではジュエリー制作やグラフィックデザインなどを学びました。独立後、住宅兼カフェの設計・家具・装飾品のデザインを手掛け、現在は執筆中心に活動しています。
洗濯は家事の中でも作業工程が多く時間と手間がかかります。そのため、できるだけ効率的に進めて負担を減らしたいですよね。そこで当記事では、毎日の洗濯を数倍効率化するランドリールームを紹介!ランドリールーム作りのポイントや費用を参考に、洗濯効率をアップさせましょう。
目次
ランドリールームとはどのようなスペース?あると便利なの?
ランドリールームとは、洗面所に洗濯機を置いたスタイルとは少し異なります。「洗濯機で洗う→干す→アイロンをかける→たたむ→収納する」という洗濯に関わる作業を、まとめて1ヶ所で行える独立したスペースがランドリールームです。
洗濯物を持って歩き回ったり外に出たりする必要がなく、効率的に洗濯を行うことができるのが大きなメリットとなっているお部屋です。この便利さから、近年では新築やリフォームでランドリールームを間取りに組み込むケースが増えています。
当記事では洗濯を効率化する便利な設備やランドリールームのメリット、実例を紹介するので、理想の家づくりの参考にしてくださいね。
ランドリールームのメリットとは
独立したランドリールームをつくるメリットは、主に3つあります。家づくりの参考にそれぞれ詳しくみていきましょう。
家事効率が上がる
ランドリールームでは、洗濯物を洗った後に部屋干しやアイロンがけ、洗濯物をたたむ作業、間取りによっては収納までの作業を独立した1つの部屋の中で完結できます。
ベランダや庭といった屋外スペースまで移動したり、各部屋へ洗濯物をしまったりと家の中を歩き回る手間がなくなるため、効率的に洗濯できるのです。
また、洗濯物はいつでもランドリールーム内にあるため、リビングに山積みになったり置きっぱなしになったりという状態にもなりません。そのため、急な来客時に慌てて片づける必要がなく、いつでも片付いたリビングを保てることが嬉しいポイントです。
天候や時間に左右されない
外に洗濯物を干す場合、天気予報を気にしながら洗濯の予定を立てますよね。また、炎天下や寒い時期など外干しが辛い時期には、部屋干しの方が楽に感じることもあるでしょう。
このような場合に便利なのが、独立したランドリールームです。外の天気も時間も気にすることなく、自分のタイミングで洗濯して好きなときに取り込めるところも大きなメリットのひとつといえます。
花粉やほこりの付着を防げる
屋外で洗濯物を干すと、花粉や黄砂、PM2.5などさまざまな飛来物が気になるときもありますよね。しかし、ランドリールームで部屋干しすると飛来物が洋服に付く心配がないため、毎日気持ちよく洗濯できます。
そのため、アレルギーを持っている方や小さな子どものいるご家庭にも、ランドリールームの活用は有効といえます。
ランドリールームにあると便利な設備や機能とは
洗濯効率が上がる設備や機能は、主に7つあります。
あると便利なランドリールームの設備や機能
- 洗濯機
- 窓・換気扇・24時間換気システム
- 衣類乾燥除湿器
- 室内物干しユニット
- スロップシンク
- アイロンがけや洗濯物をたためる作業台
- 収納棚
ランドリールームは洗濯に特化したスペースなので、洗濯機は必要です。それ以外のアイテムについては、一般的な洗面所とは少し異なる部分があるので詳しくみていきましょう。
窓・換気扇・24時間換気システム
部屋干しは室内に湿気が溜まりやすくなります。「新築なのに壁紙が剥がれてきた」「ジメジメしてカビが生えてきた」という状態になりやすいため、しっかりと換気が必要です。
換気扇・24時間換気システムを導入して室内の空気を循環させたり、窓を設置して風を取り込んだりと湿気を外へ逃がす対策をしましょう。
衣類乾燥除湿器
室内の除湿をしながら衣類を効率的に乾かしてくれるのが、衣類乾燥除湿器です。使用する際には、換気扇や24時間換気システムとの併用がおすすめといえます。衣類乾燥除湿器を使用することで洗濯物が乾くまでの時間短縮や部屋干しの生乾きのにおい、湿気を防ぐ効果を高められるのがメリットです。
室内物干しユニット
室内物干しユニットは、天井にセットして使用する物干し竿です。ポールを上下に動かせる昇降式(手動式・可動式)や、ポールが取り外せる吊り下げ式などがあります。最近では新築で多く採用され、独立したランドリールーム以外に洗面所やリビングに設置するケースもみられます。
家族の人数が多い場合や、外干しよりも部屋干しがメインという方は、物干しユニットを2本設置することでゆったりと洗濯物を掛けられるのでおすすめです。
アイロンがけや洗濯物をたためる作業台
アイロンがけや洗濯物をたたむためのワークスペースをつくると、「部屋干し→洗濯物を取り込む→たたむ」の作業がスムーズに進められ、家事時間を短縮できます。
また、折りたたみ式や引き出し式、収納スペースの上を活用して作業台を設けると、ワークスペースがコンパクトにまとまるのでおすすめです。作業台の高さは、自分の身長に合わせて設定しましょう。
収納棚
収納棚を設置すると、洗濯物を部屋干ししたあとすぐに収納できるのでおすすめです。また、ファミリークローゼットを隣接させると、洗濯物を取り込んでからクローゼットにしまうまでの動線が短くなります。
衣類や持ち物を1ヶ所にまとめて収納することで、管理や片付けが楽になり家族にとっても使いやすい住まいになるでしょう。収納棚を設置する際は24時間換気などで湿気対策をし、収納したものが湿気を帯びないように配慮する必要があります。
スロップシンク
スロップシンクとは、一般的な洗面所のボウルよりも深さのある独立した流しのことです。「マルチシンク」とも呼ばれ、洗濯物の下洗いや浸けおき洗い、掃除用具やスニーカーといった外で使うアイテムを洗うときに適しています。
このように、スロップシンクは多目的に使用できるためおすすめです。
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洗濯効率を上げるランドリールームづくりのポイント
ここでは、洗濯が効率的に進むランドリールームの使い方や設備導入のポイントを紹介します。
家族4人で最低3帖程度の広さを目安に計画する
ランドリールームはスペースが広すぎると家事効率が悪くなり、狭すぎると作業しづらくなってしまいます。面積は家族の人数や洗濯物の量などによりますが、家族4人の場合で3~4帖程度を目安に計画しましょう。
必要なときにサッと出し入れできる天井昇降式の物干しを設置する
施工会社:アートリフォーム
実例URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=196
天井昇降式の物干しとは、手動もしくはリモコンやスイッチなどを使用して自動で竿の上げ下げができる物干しです。部屋干しするときは使いたい場所まで降ろし、使用しないときは竿を収納すると邪魔にならず、いつでもランドリールームをスッキリ使えますよ。
洗濯物を取り込んだ後、すぐに洗濯物をしまえる収納スペースを設ける
ランドリールーム内に収納棚を設置すると、洗濯物を取り込んでからその場ですぐに収納できます。より作業を短縮したい場合は、引き出し式の収納棚より扉なしのオープン棚の方が手早くしまえるでしょう。
また、ランドリールームを洗面所・脱衣室と兼用する間取りの場合は、タオルだけでなく家族の下着や肌着、パジャマなどをまとめて収納棚にしまうのがおすすめです。
このような収納棚をつくることで家族のクローゼットまで行かずに済み、お風呂に入る際には手ぶらで入浴できるのは非常に大きなメリットです。
風通しをよくして洗濯物を手早く乾かす
ランドリールームで最も大切なことは、洗濯物をできるだけ早く乾かして湿気を室内に溜めないことです。そのため、換気システムや除湿器、外から風を取り込むなど効率的に洗濯物を乾かし、湿気と部屋干しのにおいを防ぎましょう。
エアコンを設置して夏も冬も快適に作業する
夏場のアイロンがけや冬場に冷たい部屋で洗濯全般の作業をするのは辛いものです。洗濯にはある程度の時間がかかるため、エアコンのある環境が理想的でしょう。
扉を引き戸にする
引き戸は扉の開き具合を調節しやすく、開けっ放しにしても邪魔にならないため、重たい洗濯物を持ってランドリールームを出入りする際にも便利です。また、急な来客時でも少しだけ扉を開け、目隠ししながら風通しを確保することも可能です。
洗面所と兼用させて無理なくランドリールームをつくる
独立したランドリールームを設置できるのが理想的ですが、難しい場合もありますよね。この場合、今ある洗面所に1帖ほどスペースを足し、ランドリールームと兼用させる間取りにするのがおすすめです。
洗面所を拡張する際は、洗濯物を干したときに人が問題なく通れるようなスペースを確保してレイアウトを考えましょう。
コンセントの数や位置を決める
ランドリールームとは、アイロンや除湿乾燥機、場合によっては扇風機など多くの家電を使うスペースです。
ランドリールームをつくった後に、「コンセントが足りない」「延長コードを使わないと届かない」という問題が生じないよう、あらかじめ使用する電化製品の設置場所を決めておくことをおすすめします。
洗濯効率が数倍アップするランドリールームのおすすめ間取りとは
ランドリールームとは、単に洗濯機を置いて部屋干しができる独立スペースをつくればいいわけではありません。家事動線を意識した間取りにしなければ、使いづらくて活用できない部屋になってしまうでしょう。
そこでここからは、洗濯効率が上がるランドリールームのおすすめ間取りを紹介します。独立したランドリールームがほしい方は、新築やリフォームの際に理想の家づくりの参考にしてみてください。
ファミリークローゼットとつなげる
家族全員で使用できるファミリークローゼットをランドリールームに隣接させる間取りは、洗濯物を部屋干しして取り込んだ後の片付けが1ヶ所で済ませられ、非常に便利です。
特に、家族の人数が多い場合、洗濯物を家族それぞれの部屋にしまう時間を短縮することができるので、ファミリークローゼットとランドリールームをつなげた間取りにするのがおすすめです。
キッチン横に配置する
ランドリールームとキッチンをつなげた間取りにすると、料理や片付けの合間に部屋干しするというように、洗濯と家事を同時進行しやすくなります。
特に、キッチンからリビングを見渡せるようなレイアウトは、子どもを見守りながらの洗濯もしやすいため人気が高く、おすすめの間取りのひとつです。
ベランダやテラスまでの距離を短くする
「部屋干しだけでなく、天気のいい日にはできるだけ外干ししたい」という方は、ベランダやテラスの近くにランドリールームを配置する間取りがおすすめです。
濡れた洗濯物は重たいため、できるだけ廊下やリビングを通らないように移動距離を短くすると、家事の負担を減らせるため便利です。
回遊性をもたせる
効率のよい理想的な間取りにするポイントとは、家事の流れに合わせた順番に部屋を並べることです。例えば「キッチン→洗面所・脱衣室→ランドリールーム→ファミリークローゼット」と、回遊性をもたせた間取りにすると、移動距離が短くなって家事効率が上がります。
キッチンで後片付けをしている合間に、洗面所・脱衣室に置いてある洗濯物を回収して洗濯し、ファミリークローゼットに収納するという具合に、家事の流れがつながるような間取りがおすすめです。
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ランドリールームのリフォーム費用相場とは
ここからは、ランドリールームのリフォーム費用の相場を紹介します。ただし、費用は導入する設備やランドリールームの面積、設備機器やレイアウト、下地補強の有無などによって異なります。そのため、ランドリールームを計画する際のひとつの目安として参考にしてみてください。
ランドリールームに設置する主な設備の費用相場
ランドリールームに設置する主な設備の費用相場は次のとおりです。
衣類乾燥除湿器 |
約1万円~ |
物干しユニット |
約3万1千円~ |
スロップシンク |
約10万円~ |
換気扇 |
約3万円~ |
24時間換気システム |
約15~25万円 |
作業台 |
約1万円~ |
収納棚 |
約1万円〜 |
衣類乾燥除湿器は、除湿方式・部屋の広さ・除湿能力といったスペックや、メーカーによって価格が変わります。そのため、比較検討して予算やスペースに合うものを選びましょう。
物干しユニットはさまざまな種類がありますが、天井に設置する際には一般的に1万5千~4万円程度の取り付け費用がかかります。また、室内物干しの商品自体は1万6千円程度から見つかりますが、竿が自動で上下する電動式の場合は約6万5千円以上とみておきましょう。
スロップシンクは、配管の取り回しが長くなると追加費用がかかります。また、作業台や収納棚は既製品かスペースに合わせた造作か、サイズやデザインなどによって価格は大きく変わりますよ。
ランドリールームのリフォーム費用相場
ランドリールームのリフォームは、床や壁の張り替え、照明やコンセントなどの追加や位置変更に伴う電気工事を行います。また、レイアウトによっては給排水管の位置の移動などの工事をする場合もあるでしょう。
費用相場は内装材の種類やグレードによって異なりますが、1坪(約2畳)あたりのおおよその費用目安を以下と考えると解体〜設置までの工事費用の目安としては30〜50万円弱に収まることが予想されます。
設備費用と合わせると70〜90万円程度が全体の予算目安となるでしょう。
解体・撤去(設備機器など) |
約3~4万円 |
既存の壁の撤去 |
約10万円〜 |
壁の新設 |
約10万円〜 |
床の貼り替え |
約1万5千円~ |
壁のクロス貼り替え |
約3万円~ |
床下の補修工事 |
約2万円〜 |
廃材処分費用 |
約2~5万円 |
電気工事 |
約3万円~ |
給排水管工事 |
約4万円〜 |
その他諸経費 |
約2万円~ |
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効率的に洗濯できるアイデアを盛り込んだランドリールームの実例
最後に、さまざまな工夫を凝らしたランドリールームの実例を紹介します。以下の事例を参考に、新築やリフォームする際の理想の家づくりを見つけましょう!
【実例1】ワークスペースのあるランドリールームで家事ラクに!
施工会社:ナサホーム
実例URL:https://nasahome.co.jp/works/w_lavatory/20170211workroomy
こちらは、既存の洗面所のレイアウトを変えて、作業台・ハンガーパイプ・収納棚で構成したワークスペースを設けた実例です。
洗濯機を回しながらアイロンがけができ、アイロンをかけた洋服はカウンター上部のハンガーパイプにすぐに掛けられます。使い勝手が向上して、家事を手早く終えられるようになったそうです。家事動線が考慮されている、素晴らしい実例です。
【実例2】洗濯物をたくさん部屋干しできるランドリールーム
施工会社:アートリフォーム
実例URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=256
こちらは、洗濯物をまとめて干せるように、吊り下げ式のポールを2本並べて設置した実例です。洗濯物が重ならないように、2本のポールの高さを少しずらしています。
また、横に窓を設置することで風も通りやすくなるように配慮しています。外気を取り込み、室内の湿気をうまく逃している素晴らしい実例ですね。
【実例3】大容量の収納スペースで家事の時短を実現
施工会社:アートリフォーム
実例URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=222
こちらは、大容量の収納スペースを設けたランドリールームの実例です。洗濯物を直接収納できるため、手早く片付けができます。
ハンガーパイプは収納棚に組み込まれているため洗濯物をすぐに掛けられ、見た目もスッキリとおしゃれな実例ですね。
ランドリールームを活用して、毎日の家事を楽にする
ランドリールームは、家事動線を考えて計画して時短できる設備を導入することで、洗濯効率が格段に上がります。特に、子育て中や共働きといった忙しいご家庭では、機能性の高い独立したランドリールームをつくることで生活に余裕ができるでしょう。
今回紹介したランドリールームのメリットなどを参考に、こだわった家づくりでより充実した暮らしを実現してくださいね。
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