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住宅ローン減税は中古マンションも対象!適用条件&控除額と限度額も細かくチェック

この人に聞きました大野翠

芙蓉宅建FPオフィス代表。金融業界歴10年目(2020年現在)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。

2022年より住宅ローン減税が改正されました。今回はその中でも、中古マンションの購入やリフォームを対象とした住宅ローン減税について、わかりやすく解説していきます。主に適用条件や控除額、限度額について詳細を確認していきましょう。

中古マンションも対象!住宅ローン減税とは

通常、住宅を購入する場合は多額の資金が必要です。そのため、ほとんどの人が住宅ローンを利用して購入します。住宅ローンを利用する際に一定の要件を満たすと、「住宅ローン減税」の対象となって10年あるいは13年にわたり税金が軽減されるのです。

ここからは、2022年(令和4年)に住宅(マンションを含む)を購入した場合や、対象のリフォームで適用される住宅ローン減税の概要について解説します。


住宅ローン減税の概要

住宅ローン減税の正式名称は「住宅借入金等特別控除」で、税額控除の一種です。毎年末の住宅ローン残高か住宅の取得対価のうち、いずれか少ないほうから一定の控除額や期間にわたって控除する制度です。

簡単に説明すると、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、毎年所得税が軽減される仕組みとなります。新築物件では期間13年、中古物件(中古マンション含む)では10年にわたり控除されます。

控除率は、新築物件と中古物件いずれにおいても年末時点のローン残高の0.7%です。

住宅の種類によって控除額が変わる

住宅ローン減税は、住宅の環境性能によって控除額が違います。中古物件の場合、長期優良住宅、低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅での借入限度額は3,000万円で最大控除額は210万円です。

前述の長期優良住宅等以外住宅の借入限度額は2,000万円で、最大控除額は140万円です。環境性能の高い住宅のほうが借入限度額が高く、最大控除額も大きくなります。

改正前の住宅ローン減税との変更点

2022年(令和4年)から、住宅ローン減税は大きく変更されました。主な変更点は、新築中古ともに住宅の環境性能によって控除の金額が区分されている点です。

このほか、主な変更点は以下のとおりです。住宅ローン減税の対象になるか、しっかりとおさえておきましょう。

住宅ローン減税の主な変更点

・従前の控除率は1.0%だったが、改正後は一律0.7%へ ・適用となる人の年間所得が3000万円までだったが、改正後は2000万円以下となった ・改正後、住宅ローン減税の対象となる借入限度額が住宅の環境性能によって区分されている ・中古物件での築年数基準が緩和され、新耐震基準適合の証明により住宅ローン減税の対象となった

住宅ローン減税の適用となる条件のうち、合計所得金額の制限は3000万円から2000万円へ引き下げられています。合計所得金額とは、給与所得や公的年金にかかる雑所得、事業所得などの合計のことです。

2022年に入居する場合の新築物件の借入限度額は、もっとも低い一般住宅で3000万円、もっとも高い認定住宅(長期優良住宅、低炭素住宅)で5000万円と大きな差があります。中古住宅の借入限度額等については詳しい説明を後述しますが、新築と同様に住宅の種類によって借入限度額に差があります。

築年数基準の緩和は中古マンションにとってメリット大

2022年の改正までは、中古マンションも含む中古物件で住宅ローン減税を適用する場合、非耐火住宅では築20年まで、マンションなど耐火住宅では築25年までという基準がありました。

具体的には、昭和57年以降の新耐震適合基準を満たした住宅でなければ、住宅ローン減税の対象にはならないという内容です。

2022年の制度改正により条件が緩和され、築年数だけで一律に判断するのではなく、耐震基準に適合しているという所定の証明書類を提出することで、住宅ローン減税が適用されるようになりました。

所定の証明書類とは、耐震基準適合証明書または既存住宅売買瑕疵担保責任保険の証明書などがあります。

中古マンションの住宅ローン減税・適用条件

ここからは、中古マンションを含む中古物件の住宅ローン減税について解説します。住宅ローン減税を適用する際に大前提として、物件を購入する本人がそこに居住するという条件があります。

投資用物件や別荘、セカンドハウスなど、物件購入後に本人が居住しない場合は住宅ローン減税の対象外となるので注意しましょう。

また、引き渡しの日や工事完了の日から6ヶ月以内で、控除を受ける年の12月31日までに入居することも必ず満たすべき条件です。このほか、中古マンションの住宅ローン減税には以下のような適用条件があるので、しっかりと押さえておきましょう。

中古マンションの住宅ローン減税・主な適用条件

・住宅購入者の合計所得金額が2000万円以下 ・床面積50平方メートル以上 ・住宅ローン返済期間が10年以上

合計所得金額が2000万円以下

中古マンションで住宅ローン減税の適用を受ける場合、住宅ローン契約者(家の購入者)の合計所得金額が2000万円以下という条件があります。合計所得金額は年収ではなく、給与所得に山林所得や利子所得などの所得を合算したものです。

住宅ローン減税の控除期間内に合計所得金額が2000万円を越えた場合、その年は適用されません。翌年以降に、改めて合計所得金額が2000万円以下の場合に適用されます。

床面積が50平方メートル以上

中古マンションで住宅ローン減税の適用を受ける場合、床面積が50平方メートル以上であることが条件です。中古マンションの場合で注意したいことは、マンションの床面積は内法(うちのり)面積での計算となる点です。内法面積とは実際に居室として使えるスペースのことで、登記簿上に表記されている床面積を指します。

もう一つ、マンションの場合の面積として壁芯(かべしん・へきしん)面積があります。壁芯面積は壁や柱の中にある芯を中心点として面積を算出するもので、不動産広告などに表記されることが多い情報です。

物件情報を見た後に実際に物件を内覧に行くと、思ったよりも狭く感じるのは内法面積と壁芯面積のわずかな差であることも考えられます。

住宅ローン減税の適用を受ける際は不動産広告の面積表記だけではなく内法面積にも注意しましょう。

住宅ローン返済期間が10年以上

中古マンションを購入して住宅ローン契約を結ぶ際に、住宅ローン返済期間が10年以上であることが住宅ローン減税の適用条件となります。最初から10年未満の返済期間である住宅ローンや、繰り上げ返済を利用して残りの返済期間が10年に満たない場合は適用されません。

そのため、繰り上げ返済の金額やタイミングには十分留意しましょう。これらをふまえて、中古マンションでの住宅ローン減税が適用される期間である10年を経過した後に、繰り上げ返済を検討することがおすすめです。

中古マンションの住宅ローン減税・借入限度額と控除額

ここからは、中古マンションの住宅ローン減税制度のうち、借入限度額と控除額について解説します。2022年からの住宅ローン減税改正ポイントとして、中古マンションでは住宅の環境性能ごとに2つに区分されています。

長期優良住宅・省エネ性能住宅など認定住宅の場合

中古マンションの住宅ローン減税制度で、より住宅の環境性能の高い認定住宅等の借入限度額は3000万円です。借入限度額とは借入上限を意味しており、3000万円までの住宅ローン借入額であれば住宅ローン減税の対象となることを指しています。

中古マンションを含む既存住宅では、控除率が0.7%で控除期間は10年です。借入限度額は3000万円のため、控除期間内の最大控除額は210万円となります。なお、中古マンションで住宅ローン減税の対象となる認定住宅等には、以下の住宅が該当します。

中古マンションで住宅ローン減税の対象となる認定住宅等

・長期優良住宅 ・低炭素住宅 ・ZEH水準省エネ住宅 ・省エネ基準適合住宅

その他一般住宅の場合

住宅ローン減税制度では、上記の認定住宅等に該当しない住宅をその他の一般住宅としています。その他の一般住宅の借入限度額は、2000万円です。中古マンションでは控除率が0.7%、控除期間は10年なので計算すると最大控除額は140万円となります。

中古マンション・住宅ローン減税の手続き方法

ここからは、中古マンションを購入して、住宅ローン減税の適用を受ける場合の手続き方法について解説します。住宅ローン減税制度は税制上の優遇制度です。そのため、税に関する所得の申告方法が違う会社員等と個人事業主などでは手続きの方法に差があるので注意しましょう。

会社員の場合は年末調整で手続き

会社員や公務員などの給与所得者は、毎年の所得に関して勤務先の年末調整で行います。そのため、医療費控除など特別な事情がなければ通常は確定申告を行いません。

ただし、住宅ローン減税の手続きに関して、住宅ローン減税の適用を受ける最初の年のみ確定申告が必要です。翌年以降は、これまで通り勤務先の年末調整をもって住宅ローン減税の手続きができます。

つまり、会社員など給与所得者が住宅ローン減税の適用を受ける場合、初年度のみ確定申告が必要です。

個人事業主の場合は確定申告時に手続き

個人事業主の場合、確定申告をすることで毎年の所得を申告します。個人事業主が住宅ローン減税の適用を受ける場合、毎年の確定申告の際に同時に控除の手続きを行うことで済みます。なお、確定申告期間は2月16日から3月15日までです。

中古マンションで住宅ローン減税を使う際の注意点

ここからは、中古マンションで住宅ローン減税の適用を受ける場合の注意点を紹介します。個別の不明点や事前に知っておきたいポイントは、リフォーム業者や不動産業者に相談しましょう。

リフォーム費用込みの金額が対象になる

中古マンションを購入すると同時に、リフォームを施す人も少なくないでしょう。その際は、リフォーム費用も含めた合計価格が住宅ローン減税の対象となります。しかし、一定の基準を満たしたリフォームのみ対象であるため、住宅ローン減税の対象となるかは事前に確認しておきましょう。

リフォームで住宅ローン減税を使うための要件

・増改築等工事証明書などの発行で工事を証明できること ・リフォームの費用が100万円以上であること ・居住用部分の工事費用がリフォーム費用総額の1/2以上であること

住宅ローン減税の対象となるリフォーム工事の例

・増築、改築など大規模修繕 ・居室、トイレ、キッチン、浴室、洗面所、玄関、床や壁への修繕工事 ・バリアフリーや省エネリフォーム等

これに合わせて、リフォームによっては住宅ローン減税と同時にリフォーム減税の適用が受けられる場合があります。リフォーム減税は省エネリフォームなど、より環境性能の高い家にリフォームやリノベーションすることで対象となります。

マンションの専有部分の床面積が対象になる

 

中古マンションで住宅ローン減税の適用を受ける際、注意したいのは床面積の計算についてです。前述した内法面積を基準にするというポイントのほか、専有部分のみが対象となる点も注意が必要になります。

専有部分とは、マンション所有者が自身の居住エリアとして利用できる居室のことです。たとえば、居室がマンションの303号室であれば、303号室の室内の部分だけが専有面積です。

一方、階段やエントランスなど、マンション入居者が誰でも利用できる部分を共有部分と呼びます。この共有部分は、どの入居者にとっても固有のスペースではないため、住宅ローン減税の対象となる床面積に含まれません。

住宅ローン減税の対象となる床面積は、あくまでも専有部分のみの床面積で判断します。その際にはベランダやバルコニーは対象外となるため注意が必要です。住宅ローン減税の対象になるには、床面積もしっかりとおさえておきましょう。

中古マンションのリフォームにも住宅ローン減税を活用しよう

2022年(令和4年)より改正された住宅ローン減税制度は、中古マンションを購入した場合に使いやすい制度になっています。築年数による一律の適用基準が廃止され、リフォーム後に所定の新耐震基準に適合している証明などを提出することで、住宅ローン減税が受けられるのです。

また、中古マンション購入に際してリフォームを行う場合、リフォーム費用も含めて住宅ローン減税の対象となります。リフォームの内容が一定の条件を満たしている場合には、リフォーム減税の併用も可能なので、ぜひチェックしてみましょう。


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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