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住宅リフォームの減税制度って?対象条件・控除の種類をお金のプロが徹底解説。

この人に聞きました大野翠

芙蓉宅建FPオフィス代表。金融業界歴10年目(2020年現在)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。

リフォームすると減税措置を受けられることはご存じですか?今回は、住宅リフォームに際して受けられる減税制度についての解説していきます。また、対象条件や控除の種類についても紹介します。

住宅リフォームの減税制度とは?

住宅をリフォームする際に適用される減税制度は、総称として住宅リフォーム減税と呼ばれています。また、減税の対象となる税金は所得税が最も多く、このほかにも固定資産税の一時的な減額や贈与税の非課税制度の対象となる場合もあります。本記事では、特に該当するケースが多い所得税に関する住宅リフォーム減税について確認していきましょう。

 

所得税に関する住宅リフォーム減税

リフォームを実施することで、所得税の減税につながる制度が大きく3種類あります。この後の項目で、それぞれの対象条件や申請方法について詳しく解説していきます。


住宅リフォームに際する所得税の減税制度

  • 住宅ローン減税
  • ローン型減税
  • 投資型減税

 

住宅リフォーム3つの減税・申請方法

住宅リフォームに際し発生する所得税の3つの減税は併用できず、どれか一つを選んで申請します。リフォームが完了した年の12月31日までに入居し、翌年の3月15日までに確定申告にて申請しましょう。

 

増改築等工事証明書が重要

建築確認の必要な大規模なリフォームを実施する場合は、建築確認済証がリフォームの証明になります。しかし、小規模なリフォームや増改築の場合はリフォームを証明する書類がありません。この際に重要になるのは「増改築等工事証明書」です。この証明書は、リフォーム減税を受ける際の確定申告時に提出すべき書類です。

この証明書の発行は、リフォームを担当した工務店や不動産会社に依頼するのが一般的です。工務店等を経由し、提携している建築士や指定確認検査機関などに依頼して作成してもらう流れになります。証明書発行の費用は、リフォームを依頼した会社に建築士などの証明書作成者がいれば無料の場合もあります。

一方、外部に委託して作成してもらう場合は数万円程度が発生します。加えて、証明書作成時点で現地調査等が必要となる場合には、別途調査費用が掛かる場合もあります。いずれにしても、建築確認が不要なリフォームを行う場合には、増改築等工事証明書発行について業者に相談しておくことをおすすめします。

 

建築確認とは

建築確認とは、これから建造する建造物が建築基準法上のルールを守っているかどうか審査することです。リフォームの場合も同様で、現行の建築基準法を満たしたリフォーム工事かどうかを自治体あるいは民間の建築確認検査機関に依頼し承認を得る必要があります。必ず工事着工前に建築確認申請を行ない、無事に審査を通過し建築確認済証の発行を受けてから工事に着工します。なお、マンションのリフォームの場合は、建築確認申請と同時に管理組合への事前届け出や承認が必要な場合もあります。


住宅ローン減税(住宅ローン控除)

住宅ローン減税(控除)の適用としてよく知られているのが、住宅購入時です。実は、一定の要件を満たせば新規購入時だけでなくリフォームでも対象となります。リフォームを対象とした住宅ローン減税は、各年の住宅ローン残高の0.7%が控除される仕組みです。控除期間は10年で、借入限度額は2,000万円までです。これにより、住宅ローン減税を受けた場合の控除額は10年で最大140万円にもなり、3つの控除のうちもっとも節税効果が長期間に及ぶ制度です。

 

対象要件

リフォームが対象となる住宅ローン減税の対象要件は以下の通りです。


リフォーム時の住宅ローン減税・要件

  • 返済期間10年以上のリフォームローンを契約している
  • リフォーム後の床面積が50㎡以上
  • リフォーム費用が100万円以上であること(補助金等除く)
  • リフォームローン契約者本人が居住すること
  • 一定の要件を満たしたリフォーム工事を実施していること

 

一定の要件を満たしたリフォーム工事とは?

住宅ローン減税の適用を受けるための一定の要件を満たしたリフォーム工事とは、以下のいずれかに該当している必要があります。詳細については、リフォームを依頼する工務店や不動産会社にあらかじめ確認しておくと安心です。


住宅ローン減税に必要な一定要件のリフォーム工事

  • 増改築、大規模修繕
  • 耐震リフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 省エネリフォーム
  • リビング、キッチン、浴室、トイレ、洗面所のリフォーム
  • 玄関や廊下の床におけるリフォーム工事

 

制度の概要

住宅ローン減税は、さまざまな所得控除のなかで節税効果の高い制度です。最長10年間にわたって税金の控除を受け続けることができます。住宅ローン減税は、建物の所有者本人がリフォーム完了後半年以内に入居することも条件です。

つまり、自分が住む家のリフォームをする際に対象となるということです。また、サラリーマンなどの給与所得者の場合は、住宅ローン減税を受けようとする初年度のみ確定申告をすれば、次年度以降は勤務先の年末調整で申告を済ませることができます。

2022年住宅ローン減税改正ポイント

住宅ローン減税制度のうち、2022年から改正になった点がいくつかあります。主な変更点として、控除率が1%から0.7%に引き下げられ、新築の控除期間は10年から13年へ延長となりました。あわせて、住宅ローン減税の対象となる人の合計所得金額が3,000万円から2,000万円へ引き下げになりました。長期優良住宅など、より環境性能が高い住宅のほうが税制面で優遇されるように制度全体が拡充された点も大きな改正ポイントです。

 

住宅ローン減税がオススメな人

リフォーム実施時に住宅ローン減税がオススメな人は、10年以上のリフォームローンを組んで実施した人です。ほかにも、前述した一定の工事要件などを満たしていれば積極的に利用を検討しましょう。

住宅ローン減税を利用する際の注意点として、ふるさと納税の上限額が減ることも考えられます。毎年ふるさと納税を利用している人で、リフォームによる住宅ローン減税の適用になる人は、リフォーム前にあらためてふるさと納税の上限額シミュレーションを行いましょう。

 

ローン型減税

ローン型減税は、住宅ローン減税と名前が類似しており混同しそうになりますが、内容を知れば全く別の制度だとわかります。ローン型減税は、住宅ローン減税の対象とならないリフォームローンを利用している人が対象です。

 

制度の概要

ローン型減税の適用期間は5年で、毎年年末のリフォームローン残高のうち1~2%が控除の対象になります。ただし年間控除額の上限は12.5万円で、5年間の上限額は62.5万円です。また、控除の対象金額には各種補助金などは含まれませんので注意しましょう。

 

対象要件

ローン型減税の対象要件は「5年以上10年未満のリフォームローンを組んでいること」です。住宅ローン減税の対象が10年以上のリフォームローン契約」に対して、ローン型減税の対象要件は「5年以上のリフォームローンを組んでいること」です。ローン型減税の対象となるリフォームは以下の通りです。


ローン型減税の対象工事

  • 省エネリフォーム
  • バリアフリーリフォーム
  • 長期優良化リフォーム
  • 同居対応リフォーム

 

ローン型減税がオススメな人

ローン型減税がオススメな人は、住宅ローン減税の対象になるほど大掛かりなリフォームを行っていないものの、ローン型減税の対象となる一定のリフォーム工事を行っている人です。5年間にわたって毎年所得控除が受けられるため、家計に与える影響は少なくありません。自分では少しのリフォームだから該当しないと思っていても、対象となることもあります。リフォームを依頼した業者に相談のうえ、適用されるようなら速やかに手続きを進めましょう。

 

投資型減税

まずは、住宅リフォームに際して発生する所得税の減税制度のうち、投資型減税について解説します。

 

制度の概要

投資型減税は、国土交通省が取り決めた一般的な工事費用の10%相当額または控限度額と比べて少ない方までを控除する仕組みです。控除期間が1年間で、リフォームが完了した翌年分が減税対象となります。また、リフォームにかかる補助金や助成金などがある場合は、それらを除いた金額が対象になりますです。

 

控除限度額について

投資型減税の控除額のうち、控除限度額は以下の通りです。万が一所得税額より控除額が多い場合は、所得税額が上限となります。


投資型減税・控除限度額

  • バリアフリーリフォームはは20万円
  • 耐震・省エネ・長期優良住宅化・同居対応は各25万円

 

対象要件

投資型減税の対象条件は以下の通りです。

 


投資型減税の要件

  • 耐震やバリアフリーなど一定の要件を満たしたリフォームを実施すること
  • 工事費用は現金支払いであること
  • または住宅ローンの対象とならないローンでも対象

 

対象となる一定要件の工事とは

投資型減税の対象となるリフォーム工事とは、耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化・同居対応に関する内容です。この工事のうち、耐震リフォームと長期優良住宅化に関しては併用ができませんが、その他のリフォーム工事であれば複数を併用して申請が可能になりますです。

 

制度の概要

投資型減税は、国土交通省が取り決めた一般的な工事費用の10%相当額または控限度額と比べて少ない方までを控除する仕組みです。控除期間が1年間で、リフォームが完了した翌年分が減税対象となります。また、リフォームにかかる補助金や助成金などがある場合は、それらを除いた金額が対象になりますです。

 

控除限度額について

投資型減税の控除額のうち、控除限度額は以下の通りです。万が一所得税額より控除額が多い場合は、所得税額が上限となります。


投資型減税・控除限度額

  • バリアフリーリフォームはは20万円
  • 耐震・省エネ・長期優良住宅化・同居対応は各25万円

 

投資型減税がオススメな人

投資型減税は、リフォーム代金を現金で支払った場合や、住宅ローン控除の対象とならないリフォームローンを組んだ場合でも対象になります。このことから、後述する「住宅ローン減税(控除)」やローン型減税の対象とならない場合でも検討する価値があるのですります。もちろん、リフォームローンを組んだ場合でも対象となりますので、各減税制度のシミュレーションを行い、自身にとってメリットのある制度を利用しましょう。

 

どれを選ぶか悩んでいる場合には?

冒頭でも触れましたが、リフォーム時における3つの所得税減税制度は併用できません。どれかひとつを選んで利用することになります。それぞれの制度の詳細は差がありますが、自身のリフォームが3つの所得税減税のうち複数に該当する場合、どれを選んでよいか悩むこともあるでしょう。リフォームが案の段階でまだ着手していない場合には、いずれかの減税制度を利用してリフォームを実施したい旨を業者に伝えておくことが重要です。そうすることで、なるべく要望に合ったプランを提案してくれます。もちろん、自身でも最低限の知識を保有しておくと心強いでしょう。


住宅ローン減税の減税効果がもっとも高い

これら3つの所得税減税制度のうち、もっとも長期間控除を受けられるのは住宅ローン減税です。10年の長期に渡って控除を受けることができるため、減税となる控除総額は最大400万円になります。このことから、もし自身が計画しているリフォームが複数の減税制度に該当する場合は、まず住宅ローン減税の適用を優先的に検討することをおすすめします。

 

まとめ

リフォームを実施することで所得税の減税になる主な制度3つを紹介しました。それぞれ適用要件が違うため、自身のリフォームではどの制度が該当するのか、本記事を参考に検討してみましょう。これらのリフォーム減税に関する相談窓口は、最寄りの税務署です。国税庁ホームページにもリフォーム減税に関するさまざまなQ&Aも紹介されていますので、そちらも参考にしましょう。 


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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