きゅうりは年中手に入る野菜です。水分を多く含みシャキシャキとした食感が魅力ですが、水分が多いゆえに賞味期限が短くなっています。しかし、実は工夫すれば長く保存ができる便利な野菜です。今回はきゅうりの保存のコツやポイントを紹介します。
目次
きゅうりは傷みやすい?
きゅうりは漬物などにされることも多いことから、長期間持つ野菜と勘違いする人も少なくありません。しかし、きゅうりは収穫直後から鮮度が落ちていく野菜です。傷みやすい理由や見分け方を確認しましょう。
きゅうりは9割が水分の野菜
きゅうりの原産地はインドとチベットの間にあるヒマラヤ山脈付近といわれています。6〜9月頃にかけての夏が旬の野菜ですが、ハウス栽培が可能なので1年を通して販売されています。カリウムやカロチンなどの栄養素を含んでおり、シャキシャキという食感とみずみずしさが特徴です。
また、きゅうりは水分を非常に多く含んでいる野菜としても有名です。9割以上が水分でできており、牛乳より水分量が多いとされます。保存の際は水分が抜けないように保存することが重要です。
傷んだきゅうりの見分け方
きゅうりは収穫時から鮮度が落ちていく野菜です。収穫してから日数が経過したきゅうりは、傷みやすくなっているため注意しましょう。傷んだ部分から腐ることがあるため、きゅうりを保存する際は傷んでいないか確認することが大切です。
きゅうりは傷んだり鮮度が落ちたりすると、しなびてきます。ヘタの部分から傷むことが多いため、ヘタが茶色くなったら注意が必要です。
また、切ったときに断面が黄色や茶色に変色しているきゅうりは腐っている可能性が高いといえます。弾力がなく柔らかい場合も腐っているため、食べるのは避けましょう。
常温で保存する
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きゅうりは常温での保存が可能な野菜です。普通に保存しても問題ありませんが、保存のポイントを知るとより美味しく食べることができます。きゅうりを常温で保存する際の目安やポイントを確認しましょう。
常温保存は3日が目安
きゅうりが鮮度が落ちやすい野菜のため、常温保存できる期間は3日が目安となります。
保存方法はきゅうりが売られているときに包まれているビニール袋から出し、新聞紙やキッチンペーパーに包んで、ビニール袋に入れます。
きゅうりは保管中に水分が出るため、ビニール袋の口を開けて風通しを良くすることが大切です。きゅうりに水分がついたままだと傷みやすくなるため、口を開けて水分を蒸発しやすくしましょう。
また、きゅうりはヘタのある部分を上に向け立てて保存するのがコツです。つるにぶら下がっている状態に近づけることで傷む速度を遅らせることができます。
ポイントは20度前後
常温保存のポイントは20度を上回らないようにすることです。きゅうりは夏の野菜のため、ある程度は暑さに強いのですが、収穫後は20度を上回ると傷みやすくなります。
なるべく涼しい場所に保管することで鮮度を保つことが可能です。また夏場だけでなく冬場も注意が必要で、暖房が効いた部屋に放置すると傷みやすくなります。購入したら時期を問わず涼しい場所で保存しましょう。
ただし、きゅうりは冷やしすぎも良くない野菜です。5度以下になると低温障害が発生し白濁の汁が出ることがあります。冬場、極端に寒くなる地方では冷蔵庫に入れて保存するのがおすすめです。
冷蔵庫で保存する場合
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冷たくシャキッとしたきゅうりは夏にピッタリの野菜です。冷蔵庫で保存し冷たくして食べる人も多くいます。冷蔵庫で保管する際のポイントを確認しましょう。
冷蔵保存は持って10日
きゅうりを冷蔵保存した場合、10日ほど持たすことが可能です。しかし、この10日というのはきちんと保管した場合で、野菜室に寝かせて保存する場合は4日前後で傷み始めることがあります。
ヘタを上にして立てることで傷むのを遅らせることができるので、保管の際は立て掛けて保存すると良いでしょう。立て掛けにくい場合は、牛乳パックやコップなどを利用して立てて保存するのがおすすめです。さらにキッチンペーパーや新聞紙などにくるむことで水気を吸収し、程よい温度で保存ができます。
コツを押さえることで10日ほど持ちますが、鮮度が落ちやすい野菜です。なるべく早めに食べる方が美味しく食べられるでしょう。
ポイントは低温障害を起こさないこと
冷蔵庫で保存する際のポイントは低温障害を起こさないことです。5度以下になると低温障害を起こし、味が大幅に落ちます。
また、冷蔵庫の冷蔵室は2〜5度前後と、きゅうりが低温障害を起こしやすい温度に設定されています。短時間の保存なら冷蔵室のドアポケットでも問題ありませんが、長期間保存するなら野菜室の方がおすすめです。
野菜室は8度前後のことが多く、冷蔵室より少し温度が高くなっています。きゅうりが傷まない温度で長期の保存に適しており、高さがあるためきゅうりを立てやすい場所です。
その日のうちに食べるのであれば冷蔵室、数日間保存するのであれば野菜室と使い分けて保存することがポイントです。
冷凍保存はできる?
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消費しきれない野菜を冷凍保存できれば、効率よく野菜を使うことができます。水分が多めのきゅうりでも、冷凍保存は可能です。ポイントを確認しましょう。
1カ月ほど持つが食感が変わる
きゅうりは低温障害を起こすことがある野菜ですが、冷凍してしまえば低温障害は発生しません。また、完全に凍るため3〜4週間前後の保存が可能になります。
しかし、きゅうりは水分が多い野菜です。凍ると細胞が破壊され水分が抜けてしまうため、みずみずしいシャキッとした食感が失われてしまうことがあります。買いたてのような鮮度の良い食感を楽しむのは難しいため、注意が必要です。
冷凍したきゅうりを調理する際は酢の物やポテトサラダといった料理に使用すると良いでしょう。シャキシャキ感を楽しみたいのであれば流水で解凍を行い、半解凍状態で食べることで食感を楽しめます。
保存の際はまるごとがおすすめ
きゅうりの冷凍保存方法はいくつかありますが、解凍後の調理のしやすさを考慮すると、まるごと冷凍するのがおすすめです。
まるごと保存の際はラップに包み、冷凍用保存袋に入れ保存しましょう。この際、きゅうりに水分がつかないようにすることがポイントです。水分がついた状態で保存をすると傷むことがあります。
切って冷凍することもできますが、冷凍の前に塩もみが必要であったり流水解凍がしにくかったりと、手間に感じる人もいるでしょう。一方で、切らずに1本まるごとの状態で保存する方法は、塩もみが必要ないため使える料理の幅も広がります。流水解凍したときの水切りもしやすく便利です。
漬物にして保存期限を伸ばそう
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きゅうりは漬物にすれば長期間保存することができます。漬物にして保存期間を伸ばすコツを紹介します。
塩漬けにして長持ちさせよう
きゅうりを塩漬けにすることで、数カ月単位で保存できます。ただし、10〜20%という高い塩分濃度で漬け込むことが必要です。
農家の人からきゅうりを大量に貰ったケースや、庭先できゅうりを育てたものの消費に困った場合、高い塩分濃度で塩漬けにする方法を検討してみましょう。きゅうりを無駄にせずに長持ちさせることができます。
また、少し余っているという程度であれば、浅漬や塩もみにして保存するのもおすすめです。こちらは2〜4日前後楽しめます。また、糠漬けにすれば、漬けている期間を含め4日前後保存可能です。
ピクルスにするのもおすすめ
きゅうりはピクルスにすることで数カ月持たせることができます。
ピクルスとはピクルス液と呼ばれる液体に漬ける保存方法です。さっぱりとした酸味が特徴で海外では古くから保存食として作られています。作り方は、市販されているピクルス液にきゅうりを漬けるだけと非常に簡単です。他の野菜を入れても美味しいでしょう。
ただし、間違った方法で作ると雑菌が繁殖し食中毒につながる恐れがあります。家庭でピクルスを作る際は、食中毒対策として漬ける前に野菜や瓶を煮沸消毒し、細菌が発生しないように冷蔵庫での保管などの注意が必要です。
コツを押さえてきゅうりをさらに美味しく
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きゅうりは漬物や塩漬けにされることが多い野菜です。そのため、比較的長く持つ野菜という印象を持っている人も少なくありませんが、実は収穫直後から鮮度が落ちていきます。
鮮度を保ち、より美味しく食べるためには保存のポイントを知ることが大切です。今回は常温や冷凍など保存方法ごとに分けコツを紹介しました。
シャキシャキとした食感が魅力のきゅうりを正しく保存し、美味しくいただきましょう。