【基礎】屋根のカバー工法リフォームって?メリットや素材ごとの違いも解説!


この人に聞きましたHarmony Life

英国認定(ARB)建築士 インテリア、建築、都市デザインを学びながら現地企業で10年修行し、培った主婦目線のきめ細やかな提案を心がけています。自身のYouTubeチャンネル 「London Harmony Life」では、古い佇まいのある建物やアンティークマーケット、英国のガーデンショー、手作りで楽しむ暮らしといったワクワクする情報を配信中。

築年数が経つと住宅は劣化し、10〜30年も経てば屋根のリフォームを考える時でもあります。この記事では、屋根リフォームの代表格ともいわれるカバー工法の、基本情報をはじめメリットやデメリット、カバーする素材ごとの違いまで詳しく解説します。

カバー工法とは

屋根工事でよく耳にする「カバー工法(重ね葺き)」とは、既存の屋根の上に防水シートを敷き、その上から軽い屋根材をかぶせる施行方法です。これは、昨今の新築業界でトレンドになっているスレート屋根のために、スレート屋根が年数を経た時簡単にリフォームができるよう考案された工法です。

そんなスレート屋根のためのカバー工法は、従来の屋根を解体し新しい屋根材に張り替える「葺き替え」と比べ、解体不要の手軽さが人気を集め、屋根工法の主格となりました。

スレート屋根に、軽量のガルバリウム鋼板を施工するのが一般的

カバー工法は「スレート」など、平板の屋根材の上から施工が可能です。これは、平板には軽量の屋根材がきちんと留まる仕組みのためで、昔ながらの波型の日本瓦の屋根には不向きです。よくあるのはスレート屋根の上にガルバリウム鋼板の屋根材を重ねるタイプです。

軽い屋根材は他に「ジンカリウム」「アスファルトシングル」などがあります。軽量瓦なら、瓦屋根風のデザインに仕立てることもできます。


屋根カバー工法のリフォーム時期や注意点

屋根材ごとの耐用年数とメンテナンス時期

雨風にさらされている屋根は、経年劣化しています。スレート屋根なら反りやひび割れ、金属屋根なら錆や穴あきなどから雨が侵入し、屋根の下地や内部までダメージを与えてしまうこともあります。「雨漏りしないから大丈夫」と油断し、耐用年数を超えているのに放置していると取り返しのつかないことになります。目安として屋根材別の耐用年数と修理時期を確認しておきましょう。

屋根材

耐用年数

メンテ時期目安

カバー工法

粘土系(日本)瓦

50~100年

20~30年

X

セメント系瓦

30~40年

10~15年

X

スレート屋根

15年~25年

7~8年

ガルバリウム鋼板

20年~30年

20~30年

アスファルトシングル

20年~30年

20年~30年

トタン屋根

10年~20年

10年~15年

 

一番右の列は、素材別にカバー工法で工事が可能かどうかを記したものです。カバー工法はガルバリウム鋼板やアスファルトシングルなど平らな屋根材に向いています。瓦などの凹凸のある屋根材には向きません。また、トタン屋根はカバー工法にせず、その取り付けのシンプルさと材料の安さから、葺き替えてしまうケースがほとんどです。

 

ノンアスベスト材に移行直後のスレート屋根は要注意

日本でアスベスト の危険性が取り沙汰され始めたのが1970年〜1980年代、そしてアスベストが禁止された2004年以降は、ノンアスベストのスレートが出回りました。その移行期間中に製造されたノンアスベストスレートが7~8年で欠けたり、ひび割れたりなどの欠損が散見されています。

それでは屋根カバー工法のメリットとデメリットを見ていきましょう。

屋根カバー工法のメリットとは

費用を抑えられる

屋根カバー工法の一番のメリットは、工事費用を抑えられる点です。屋根の葺き替えと比べ、古い屋根材を撤去するための人件費や廃材処分費が不要なことが理由です。特に、アスベスト入りの屋根の撤去には時間と費用がかかりますので、上から被せてしまう方法はアスベスト入りの既存屋根にはとても効果的です。

断熱性、遮音性、防水性の向上

既存屋根の上に防水材と新しい屋根材でカバーするので必然的に、断熱性・遮音性・防水性がアップします。新しい屋根材の裏側に貼られた断熱材は、熱の吸収や雨音も抑えてくれます。

工期が短い

屋根葺き替えの工事期間は7~30日程度のところ、カバー工法は約5~14日でリフォームが完了します。

騒音やホコリなどの近隣トラブルが少ない

屋根葺き替え工事では、騒音やホコリ問題で近隣トラブルに発展するケースがあります。特に住宅が隣接した地域では、かなり慎重に解体工事を進めなければなりません。カバー工法であれば、騒音やホコリが発生するリスクも低く工期が短いため、近隣にあまり迷惑をかけずにリフォーム工事ができます。

アスベスト入りの屋根にも対応可能

現在では製造、販売、使用も中止になっているアスベスト(石綿)は、がんの原因になる建材です。2004年以前のスレート屋根に使用されていたため、今もアスベストを含んでいる屋根は存在します。屋根葺き替え工事となると、解体時にアスベストが飛散しないように特別な処理方法で撤去しなければならない上に、アスベスト撤去費用も高額になります。カバー工法であれば、そういったリスクがなくリフォームできるため、大きなメリットといえます。

住みながらの工事が可能

屋根の外側の工事のため住みながらの工事が可能なのも、カバー工法の良さといえるでしょう。

屋根カバー工法のデメリットとは

屋根が重くなる

屋根カバー工法でリフォームをすると、必然的に屋根全体が少し重くなります。ただ、耐震性への影響は軽微とみなされています。というのも、戸建て住宅によくみられるスレート屋根の重量(約21kg/㎡)に軽量金属のガルバリウム鋼板(約5kg/㎡)でカバーした時の総重量は、防水層を入れても30kg/㎡以下です。昔ながらの瓦屋根(約60kg/㎡)と比べても、カバー工法でリフォームした屋根の方が約半分の重さになります。

ただ、壁の配置がアンバランスな建物や、もともと壁が少ない建物には適してしていません。不安な方は、リフォーム会社に相談してみましょう。

内部(下地)の傷みが進んだ屋根には適さない

屋根そのものだけでなく、屋根下地や内部が劣化していると分かったら、カバー工法で施工するのは危険です。雨水を含んで腐りかけてしまった野地板や垂木があれば、まずはそこを補修しないといけません。ダメージが大きい場合は屋根の葺き替えの方が適しています。

施工できる職人さんが少ない

金属屋根カバー工法で使う材料は金属屋根板です。板金工事会社に工事を依頼し、板金工に施工してもらう必要があります。昨今、金属屋根工事の需要が高まっているため、板金工が慢性的な人手不足に陥っています。誰でもできる工事ではないので、業者さんによっては職人さんのスケジュール確保に時間がかかる場合もあります。

修繕費に火災保険を使いたい場合は不向き

台風や雪などで屋根が傷み、雨漏りした場合、火災保険を使って屋根を修繕したいということもありますよね。しかしながら、その際の保険対象になるのは、「台風や雪などの被害に遭わなかった場合の状態へ戻す」ことなので、経年劣化でのカバー工法による修繕は対象外となります。また、雨漏りとなると屋根下地の老朽化が疑われますので、屋根の葺き替えを検討する方が賢明です。

メリット、デメリットを理解したところで、どんなカバー素材があるのか見ていきましょう。


屋根カバー工法で使える素材5種類と事例

スレート屋根のカバー工法でよく使われている素材を5種類ご紹介します。


素材

  • ガルバリウム鋼板
  • SGL鋼板(次世代ガルバリウム鋼板
  • ジンカリウム鋼板
  • アスファルトシングル
  • 軽量瓦

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛合金めっきの加工金属です。

デザイン

シンプルでシャープな印象

単価

8,000円/㎡~

重量

約5kg /㎡

耐用年数

約20~30年

メリット

サビに強い 

日射による屋根材の温度上昇を抑える

 断熱、防音にも効果的

デメリット

ガルバリウム鋼板より多機能のSGL鋼板と同程度の価格

SGL鋼板(次世代ガルバリウム鋼板)

SGL鋼板は、ガルバリウム鋼板をベースにマグネシウムの防錆効果をプラスしたもので、次世代ガルバリウム鋼板とも呼ばれている優れた屋根材です。

デザイン

シンプルでシャープな印象、質感の良い「ちぢみ塗装」もある

単価

8,000円/㎡~

重量

約5kg /㎡

耐用年数

約30年

メリット

ガルバリウム鋼板に比べ耐食性能が3倍強

 断熱性・遮熱性が高く一年を通して快適な室温を保てる 

防水性・防火性・遮音性にも優れている

 高寿命でメンテナンスが長期間不要

デメリット

ジンカリウム鋼板

ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板(アルミニウム・亜鉛合金めっきの加工金属)に自然石粒をコーティングした屋根材です。

デザイン

洋風でやわらかい印象

単価

8,000円/㎡~

重量

約7kg /㎡

耐用年数

約20~30年

メリット

表面の石粒が熱の伝わりを防ぐため断熱性に優れる 

石粒が音を吸収するため防音性にも優れる 

金属や石など不燃性の素材なので防火性が高い

デメリット

表面の石粒が剥がれ落ちる 

「断熱材一体型のガルバリウム」よりも断熱性が劣る

アスファルトシングル

アスファルトシングルは、ガラス基材にアスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付け接着してある柔軟性のあるシートです。

デザイン

洋風で濃淡の色調がおしゃれな屋根材

単価

6,000円/㎡~

重量

約13.5kg /㎡

耐用年数

約20~30年

メリット

カーブなどの複雑な屋根形状にも施工可能

 カラーバリエーションあり

 耐震性に優れる

デメリット

強風に弱く、反りややぶれが起こる

劣化しやすい

表面の石粒がはがれやすい

軽量瓦

和瓦の様に見える、樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦です。

デザイン

和風建築によく合う重厚な意匠

単価

8,000円/㎡~

重量

約19kg /㎡

耐用年数

約20~40年

メリット

耐久性が高く、メンテナンス回数が少なくて済む 

カラーバリエーションあり

 耐震性に優れる

デメリット

年間積雪が30センチ以上の地域は、施工の制限あり

 屋根の形状によっては施工できないケースあり

カバー工法で行ったリフォーム事例をご紹介

【事例】木造、戸建て、金属屋根をカバー工法でリフォーム

施工会社:株式会社ナサホーム

URL:https://nasahome.co.jp/works/roofwall/12

もともとは屋根の見栄えを気にして塗装を検討されていましたが、SGL鋼板ガルテクトを使ったカバー工法の採用により、見栄えだけではなく断熱性、遮熱性、遮音性の向上など、住み心地の良さも手に入れられました。

【事例】木造、戸建て、断熱効果のある屋根で夏も快適に

施工会社:株式会社ナサホーム

URL:https://nasahome.co.jp/works/roofwall/9

もともとは屋根の塗装を検討されていましたが、将来を見越して福泉工業のMFシルキー(ガリバリウム鋼板)を使ったカバー工法を採用することで、見栄えだけではなく断熱性の向上にも貢献。ローメンテナンスと併せて屋根リフォームの成功事例といえます。

屋根リフォームでカバー工法を検討されているあなたへ

屋根カバー工法でリフォームする時期や注意点、メリットやデメリットなど理解を深めていただけたでしょうか?今回ご紹介した素材5種類を参考に、お家の状態にあった屋根リフォームを検討してみましょう。また悩んだ際はぜひリフォームの専門家が揃っているショールームに訪れるのがおすすめです。経験豊富なプロの視点であなたのリフォームプランをサポートしてくれます。


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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