一級建築士、一級建築施工管理技士他様々な建築系資格を取得。ゼネコンで様々な業務を経験しながら一級建築士試験で苦労した経験を活かし、一級建築士試験を攻略するブログを運営。建設を学ぶ専門サイトの立ち上げ経験もあり。サッカーとお笑いが好き。フットサルとギターを嗜む。著書「学び直しの一級建築士」
サービスルームは、家の中でちょっとした空間として見過ごされがちですが、その可能性は無限大です。
本記事では、サービスルームが普通の部屋と何が違うのかを解説し、そのメリットやデメリット、さらには具体的な活用方法を詳しくご紹介します。
リフォームを考えている方や、新しい部屋の使い方を模索している方は、ぜひ参考にしてください!
目次
サービスルームとは?普通の部屋と何が違うの?
サービスルームとは、主に家屋の中で「置き場所」として使用される小さめな部屋のことです。間取り図ではリビングならLと表記しますが、サービスルームはSと表記します。
サービスルームは、物を置く場所として使ったり、何かの作業をしたりするために活用されることが多いです。この部屋は、特定の使用目的を持ち作られる場合が多い点で、普通の部屋とは違います。
一般的な洋室や寝室は、建築基準法では「居室」と呼びます。建築基準法において「居室」とは、日常生活を送るために必要な採光や換気の条件を満たした空間です。
具体的には、居室には窓の大きさが床面積の1/7以上必要とされ、十分な自然光を取り込み可能なことが求められます。また、換気については、通風可能な開口部を備えることで空気の循環が確保される必要があります。長時間過ごすことが前提の部屋だからこそ基準が厳しいのです。
一方で、サービスルームはこれらの基準を満たさない場合が多いため、居室としては認められません。このような基準の違いにより、サービスルームは多目的に利用できる自由度の高いスペースとして位置付けられています。
また、サービスルームは納戸(N)やDEN(小型の作業部屋)と混同される場合があります。納戸は主に収納目的で設置される空間であり、DENは趣味や仕事のためのプライベートスペースとして設計されるケースが一般的です。
これに対してサービスルームは、収納や作業など多目的に使える中間的な存在として位置付けられます。そのため、サービスルームはクローゼットやストレージとして使うだけでなく、書斎や作業部屋としても活用できるなど、使い方次第でさまざまな可能性を持つスペースと言えます。
サービスルームを設置するメリット
サービスルームを設置することには、家計や生活スタイルにとってさまざまな利点があります。このスペースは、一般的な居室よりも簡素な設計でコストを抑えることが可能でありながら、多目的に利用できる柔軟性を持っています。
また、建築基準法で定められた居室の要件を満たす必要がないため、採光や換気の条件を厳密に気にすることなく設置できるのも特徴です。これにより、家の中の限られたスペースを有効活用するための選択肢として広がりを見せています。
以下では、具体的な利点について詳しく解説していきます。
費用を抑えられる
サービスルームは、少し小さな空間として設計されることが多く、普通の部屋を設けるより実質的に少ない費用で建設できます。
一例をあげると、2LDKのマンションと1SLDKのマンションを比較すると、同じ部屋数であっても1SLDKではサービスルームが採光や換気の基準を満たさないため、建設コストが抑えられる可能性があります。これにより、販売価格や家賃が低めに設定される場合が多く、予算を抑えたい家庭には魅力的です。
具体的な活用事例を考えると、サービスルームを収納スペースとして活用すると、リビングや寝室の有効スペースを広げることが可能です。家族全員の持ち物を整理するためのスペースや、趣味のための作業場として活用する場合にも十分に対応できます。
また、リビングに設置する家具と収納部屋に置く家具では見栄えやコストも違い、購入費用も抑えられる可能性があるため、トータルコストが低くなる傾向にあります。
さらに、サービスルームは設置時の建築コストが抑えられるだけでなく、後の維持費においてもメリットがあります。
電力代や空調費などのランニングコストが軽減されるため、長期間にわたって経済的な負担が減ります。これにより、リフォームや新築を検討している方にとって、予算内で有効な空間活用が可能です。
JR神戸駅前のHDC神戸にはサービスルームを設置したい場合に、費用について相談できるリフォーム会社の窓口が複数あり、一度に様々な会社に相談ができて便利です。サービスルームを設置したいとお考えの方は、施工事例などの話を聞くと完成後が想像できるのでおすすめです。
日光の影響を受けにくい
サービスルームは、家の奥や日当たりが少ない場所に作られる場合が多く、窓が少ないため外の景色や日差しの影響を受けにくいです。そのため、作業や趣味に集中しやすい静かな環境を整えやすくなります。また、日光が入らないので、部屋の温度や照明を自分好みに調節しやすい点も特徴です。
たとえば、映画を楽しむためのシアタールームや音楽を聞くためのオーディオルームとして使うと、外の光や音が気にならず快適です。また、絵を描いたり手芸をするなどの趣味の部屋としてもぴったりです。日光が少ないことを活かして、書類やコレクションの保管場所として利用するのも良いでしょう。
このように、サービスルームは日光の影響を受けない特性を活用してさまざまな使い方ができます。家の中で余っている空間を有効に活かし、新しい価値を生むための方法として注目されています。
収納力がある
サービスルームは収納スペースとして非常に有効です。
季節ごとの衣類や寝具、大きな荷物などをサービスルームに収納できるので、リビングや寝室のスペースを広々と使えるようになります。また、専用の収納棚やボックスを設置すれば、家全体が整理整頓された印象になります。
収納棚をカスタマイズして、家族ごとに専用のスペースを設けることで、さらに効率的な利用が可能です。
さらに、趣味の道具やスポーツ用品などをまとめて保管する場所としても役立ちます。
スキー板やキャンプ用品など、普段使わないものをすっきりと収納することで、部屋を常にきれいに保つことが可能です。また、特定の趣味専用の収納エリアを設ければ、必要なものをすぐに取り出せる便利さが生まれ、趣味をさらに楽しむための環境が整います。
サービスルームは、災害用備蓄品を保管するスペースとしても利用できます。食料や水、防災用品をまとめておけば、いざというときにすぐに対応できる安心感が得られます。
収納力の高いサービスルームは、家族全員のライフスタイルをサポートするだけでなく、安心感や便利さも提供する重要な役割を果たします。
色んな用途に使える
サービスルームは、多目的に使えるのが大きな魅力です。
小さな書斎として利用すれば仕事や勉強に集中できるスペースになります。趣味の部屋として使えば、読書やプラモデル、ゲームなど、自分だけの特別な時間を過ごせる空間を作ることが可能です。
他にも、ゲストルームとして使えば急な来客にも対応できる柔軟性があります。子どもたちの遊び場としても安全で快適な環境を作れるでしょう。
サービスルームの活用方法は本当に自由で、家族全員のニーズやライフスタイルに合わせてカスタマイズできる点がその魅力です。工夫次第で家全体の住み心地を向上させる重要なスペースになります。
各用途の詳細は、後半で解説するのでぜひ合わせてご覧ください。
サービスルームを設置するデメリットとリフォームする場合の注意点
サービスルームにはいくつかのデメリットがあり、リフォームの際には注意が必要です。これらの問題を事前に把握しておくと、快適に利用できる空間を作ることが可能です。
以下に具体的なデメリットとその対策を解説します。
空調やコンセントが無い場合がある
サービスルームの設置においてよくある問題の一つは、空調設備やコンセントが設置されていない場合がある点です。
空調がない場合、夏場には室温が上昇しやすく、冬場には暖房が届きにくくなるため、快適性が著しく低下します。サービスルームは長時間の利用を想定していないので、空調設備が設置されていないケースがあるのです。そのため、部屋の用途が制限される場合があります。
また、コンセントが不足していると、掃除機や家電製品を使用する際に延長コードが必要となり、部屋が散らかった印象になるかもしれません。このため、リフォーム時には空調設備の設置やコンセントを増設する検討が重要です。また、利便性を向上させるため、コンセントの位置や数を事前に計画し、使用用途に合わせて設置するのもおすすめです。
湿気がたまりやすい
サービスルームは家の奥まった場所に設置されるケースが多く、換気が十分に行われない場合、湿気がたまりやすい傾向があります。この湿気は、時間が経つと壁や床材にも影響を与え、建材の劣化を早めるかもしれません。また、湿度が高い環境ではカビが発生しやすくなり、健康に悪影響を及ぼす可能性も懸念されます。
さらに、収納した物品が湿気により劣化する場合もあります。
たとえば、紙類や布製品は湿気を吸収してシミや変色が発生しやすく、電子機器も故障の原因となるケースがあります。そのため、リフォーム時には換気扇の設置や除湿機の導入を検討すると良いでしょう。
また、収納スペースとして利用する場合は、湿気対策が施された収納家具を選ぶことがポイントです。加えて、吸湿剤や防湿シートを活用して湿度を管理することで、収納品の長期保存に適した環境を整えることができます。これにより、サービスルームの機能性と快適さが大幅に向上します。
日当たりが悪くて暗い
サービスルームは日当たりの悪い場所に設置されることが多く、自然光が入らないため、部屋が暗くなりがちです。この暗さは、作業や居住空間としての使い勝手を損なう要因になります。
サービスルームはもともと長時間の利用には向いていないので、長時間滞在する用途で使用する場合は気分が沈みやすくなったり、目の疲れが増す可能性があります。
解決策としては、間接照明や高性能なLED照明の設置が重要です。間接照明を利用すると、直接的な光の刺激を抑えながら部屋全体を均一に照らすことが可能です。さらに、作業用のデスクライトやスポットライトを追加すると、手元や特定のエリアを効率的に明るくできます。これにより、作業の効率や快適さが向上します。
また、明るい色合いの壁紙や床材を選ぶことも効果的です。
白やパステルカラーなど、光を反射しやすい色を選ぶと、部屋全体が広く明るく見えるようになります。壁に大きな鏡を設置するのも良い方法です。鏡は光を反射して部屋を明るく見せる効果があり、空間を広く感じさせる効果もあります。
サービスルームの活用アイデア
サービスルームは家の中の隠れた有効スペースとして、多様な用途で活用することが可能です。その柔軟性は、家族構成やライフスタイルに合わせて変化できる点にあります。
以下では、具体的な活用例を挙げてみます。
書斎や仕事部屋、テレワークスペース
サービスルームは、小さな書斎や仕事部屋、テレワークスペースとして活用するのに適しています。
たとえば、デスクと椅子を配置することで集中できる環境を作ることが可能です。この空間を自分仕様にカスタマイズすれば、作業効率がさらに向上します。明るい照明やカレンダー、ホワイトボードなどを設置すると、業務の進行管理もしやすくなるでしょう。
また、必要な書類や仕事道具を整理するための収納家具を設置すれば、効率的に作業が行える空間にできます。
棚やキャビネットを使って書類や文房具を分類すれば、必要なものをすぐに取り出せる環境が整います。これにより、仕事中の無駄な動きを減らし、集中力を高めることが可能です。
さらに、テレワークが増える現代では、自宅内に専用の仕事部屋を設けることが生産性向上に繋がります。遮音性の高い素材を取り入れたり、部屋全体を落ち着いたトーンでまとめたりすると、外部の雑音を最小限に抑えた快適な環境を実現できます。また、定期的に空気清浄機を使用すれば、長時間の作業でも快適さを保てるでしょう。
書庫やウォークインクローゼットなどの収納スペース
サービスルームを利用して、書庫やウォークインクローゼットのような収納スペースを作るのも効果的です。
大量の本や資料を整理するための棚を設置したり、衣類やバッグを整理して収納できる空間を設置すると、部屋をすっきりと整頓できます。さらに、収納棚をカスタマイズすれば、特定のカテゴリーごとに効率的な物の管理が可能です。
また、書庫として使用する場合には、デスクライトやスツールを追加し、小規模な読書スペースを組み込むと、快適な空間を作ることができます。衣類の収納に関しては、シーズンごとに衣類を入れ替えるためのスペースを確保すると、季節の変化に柔軟に対応できるようになるでしょう。
このような収納スペースを導入することで、家全体がすっきりとし、他の部屋を広々と使えるようになります。特に、限られたスペースの家では、サービスルームを活用すると居住空間の快適性が格段に向上します。
シアタールームやオーディオルームなどの趣味の空間
趣味のための専用スペースとしてサービスルームの活用もおすすめです。
シアタールームとして利用する場合は、大型スクリーンや音響設備を設置することで映画鑑賞を楽しめます。また、壁一面をスクリーンにしてプロジェクターを使用すれば、家庭でも本格的なシネマ体験を味わうことができます。
さらに、防音材を施した壁や遮光カーテンを導入すると、周囲の音や光を完全に遮断し、没入感のある空間を作り出すことが可能です。
オーディオルームとして活用する場合は、高音質スピーカーやアンプを設置し、音響環境を最適化すれば、音楽鑑賞を最大限に楽しめます。部屋のレイアウトを工夫し、リスニングポイントを決めると、より立体的な音響体験を実現できます。
さらに、遮音性の高いドアや吸音パネルを設置することで、音漏れを防ぎつつクリアな音質を楽しむことが可能です。
また、趣味のスペースとしては、フィギュアやアート作品を展示するギャラリー風の空間にすることもできます。専用の展示棚や照明を使って、コレクションを美しくディスプレイすると、見るたびに心が満たされるような特別な場所を作ることができます。
子どもの遊び場
サービスルームは、子どもの遊び場としても活用できます。
おもちゃや遊具を整理して収納できるスペースを設けると、リビングや他の部屋が散らかりにくくなるでしょう。また、安全性を重視した家具やマットを取り入れれば、子どもが安心して遊べる空間を作ることが可能です。
たとえば、衝撃を吸収するラバー製のマットや角が丸い家具を選べば、万が一の転倒時の負傷リスクを軽減できます。
さらに、収納スペースを設けるだけでなく、お絵描きや工作ができる専用テーブルを設置すれば、創造力を育む環境を整えることも可能です。また、壁にホワイトボードや黒板を設置すれば、子どもたちが自由に描いたり学んだりでき、教育的な空間としても利用できます。
特に小さな子どもがいる家庭では、遊び場を限定することで家全体の整理整頓にもつながります。遊具やおもちゃを種類ごとに分類して収納すると、片付けが簡単になり親も子どももストレスなく過ごせるようになります。
また、成長に合わせて家具や装飾を変更すると、長期間にわたって利用できる柔軟な空間としての役割も果たします。
ゲストルームなどの来客用スペース
サービスルームをゲストルームとして使用すれば、急な来客にも対応できます。
シンプルなベッドや収納家具を置くだけで、快適な滞在空間を提供できます。また、リネン類やタオルなどを専用のクローゼットにまとめておくと、必要なときにすぐに取り出せて便利です。
さらに、来客用のアメニティや小さなテーブルを用意しておけば、より居心地の良い環境を整えることが可能です。
たとえば、ナイトスタンドに照明やコンセントを設置すれば、ゲストが快適に電子機器を使用できるようになります。加えて、ウォーターボトルやスナックを用意しておくと、より気遣いが感じられる滞在空間を演出できます。
空調や照明の調整が容易にできる設備を整えることで、季節やゲストの好みに応じた快適な環境の提供が可能です。このように、サービスルームをゲストルームとして活用すると、ゲストにとってもホストにとっても便利で快適な空間を作り出すことができます。
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また、同じくHDC神戸や、グランフロント大阪のHDC大阪には住宅設備のショールームが多く出店しています。最新の住宅設備を見て、サービスルーム設置リフォームと同時にキッチンや浴室といった設備を含めたリフォームを検討してみるのも、リフォーム後が想像できるのでおすすめです。
サービスルームの設置事例
様々な用途に使われるサービスルームですが、ここでは実際に設置した事例をご紹介します。
和室を有効活用するためにサービスルームへ変更した事例
アフター
施工会社 | 住友不動産のリフォーム |
費用 | 1200万円以上(フルリフォーム) |
築年数 | 21年 |
和室を有効活用できていなかったことから、スケルトンリフォームをして、間取りを一新し、家全体をきれいに仕上げました。
LDKからアクセスするサービスルームは、将来的にフレキシブルに対応できるように考慮してリフォームされています。
サービスルームを書斎として活用した事例
アフター
施工会社 | アートリフォーム |
費用 | 1090万円以上(フルリフォーム) |
築年数 | 16年 |
全体的な間取り変更に伴い、LDKからアクセスできる場所にワークスペースとしてサービスルームを設置しました。用途を想定して作ったサービスルームなので、壁紙はブルー系の色を選択し、落ち着いた空間に仕上げています。
ドレッシングスペースを組み合わせたサービスルーム事例
アフター
施工会社 | ナサホーム |
築年数 | 53年 |
様々な用途に使用できるため、基本的な用途はゲストルームとして想定してリフォームされています。柱型に合わせてドレッシングスペースを設置し、空間のメリハリが作られました。
豪華なホテルを体現したようなサービスルームには、キャリーバックなどを収納できるクローゼットを設置しています。また、特徴的なインテリアに合わせて壁紙を選定しており、エレガントな仕上がりを実現しました。
まとめ
サービスルームとは、その多機能性から家の中でさまざまな役割を果たせる貴重な空間です。用途を工夫することで、居住空間全体の快適さや利便性を向上できます。これまでに挙げた活用例をもとに、自分のライフスタイルに合った使い方を見つけてみましょう。
サービスルームの有効活用は、家族全員の生活に新たな価値をもたらす可能性を秘めています。収納や趣味のスペース、仕事部屋として利用するのはもちろんのこと、ゲストルームや遊び場としても自由にカスタマイズできる点がその魅力です。工夫次第で可能性が広がるサービスルームを、ぜひ日々の生活の中で役立ててください。
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