一級建築士、一級建築施工管理技士他様々な建築系資格を取得。ゼネコンで様々な業務を経験しながら一級建築士試験で苦労した経験を活かし、一級建築士試験を攻略するブログを運営。建設を学ぶ専門サイトの立ち上げ経験もあり。サッカーとお笑いが好き。フットサルとギターを嗜む。著書「学び直しの一級建築士」
マンションのフルリフォームを考えていると、「どのくらい費用がかかるのか?」「できるだけ費用を抑えたい」と悩むことも多いでしょう。
この記事では、マンションリフォームの費用相場や、コストを抑えるための工夫についてわかりやすくご紹介します。
フルリフォームを計画するうえで知っておきたいポイントや注意点を押さえて、理想の住まいを実現するための参考にしてください。
目次
リフォームとリノベーションの違い
リフォームとリノベーションは、家を修繕する場合によく聞く言葉ですが、何か違いがあるのでしょうか?ここでは、リフォーム、リノベーションがそれぞれ何を指し、何が違うのかを説明します。
リフォームとは
リフォームとは、住宅の古くなった部分や壊れている箇所を新しくしたり、修復したりすることを指します。住み慣れた家を再び新しく、そして快適にするための工事として多くの人に利用されています。
例えば、壁紙が古くなって剥がれたり、床が傷んでしまった場合に、新しいものに貼り替えるのがリフォームです。また、キッチンやバスルームの設備が古くなって使いにくくなってしまったときも、リフォームによって新しい設備に交換することで、より快適な空間にできます。
リフォームは、もともとある構造をそのままにして、表面的な修繕や美観の改善を目的とする場合が多いです。そのため、工事の規模が比較的小さく、費用も抑えられることが特徴です。
ただし、築年数が古い物件では、水まわりの配管の交換が必要になるケースもあるため、費用が高くなる場合もあります。
リノベーションとは
リノベーションは、単に古くなった箇所を修繕するだけでなく、建物や部屋の価値や機能を向上させるために、構造やデザインに変更を加えることです。
例えば、間取りを大幅に変更してリビングとキッチンをつなげて広々とした空間にしたり、収納スペースを増やすためにクローゼットを新たに設けたりするのがリノベーションの一例です。
リノベーションは、家族の生活スタイルに合わせた空間作りや、最新の設備を取り入れることで、住まいの機能性や居住性を向上させる目的があります。また、デザイン面でも大きな変更が可能で、自分の理想とする住まいを実現するために取り入れられることが多いです。
リノベーションは工事の規模が大きくなる場合が多く、費用もリフォームより高くなる傾向がありますが、その分、住まい全体の雰囲気や利便性を大きく変えることができます。
フルリフォームとリノベーションの違い
フルリフォームは、家全体の修理や改修を指し、特に水まわり、床、壁、天井といった内装部分をすべて新しくするのが一般的です。しかし、構造的な変更は含まれないことが多く、もともとの間取りを活かして、経年劣化した箇所や使いにくくなった部分をきれいに整えるのが主な目的です。
一方でリノベーションは、住まいの構造やデザインに大きな変更を加えて、使いやすさや快適さを大幅に向上させることが目的です。
例えば、壁を取り払って広々とした空間を作ったり、キッチンの配置を変えたりすることも可能です。どちらも住みやすさを向上させるための工事ですが、フルリフォームは修理や見た目の新しさを重視し、リノベーションは住まいの価値や利便性を新しく創造するための工事と言えます。
JR神戸駅前のHDC神戸にはリノベーションやフルリフォームも含めて相談できるリフォーム会社の窓口が複数あり、一度に様々な会社に相談ができて便利です。リノベーションやフルリフォームをお考えの方は施工事例などの話を聞くと、完成後が想像できるのでおすすめです。
マンションのフルリフォームはどこまで工事するのか
マンションでフルリフォームと言われても、いったいどこからどこまでを工事するのかわかりにくいですよね。ここでは、マンションのフルリフォームで一般的に工事をする範囲、実際に工事可能な範囲を説明します。
専有部の構造体以外はリフォームできる
マンションのリフォームでは、専有部分と呼ばれる住んでいる部屋の内部であれば、多くの部分を改装できます。
例えば、壁紙や床材の貼り替え、キッチンやバスルームの交換といった工事が可能です。しかし、建物全体の構造に関わる部分、例えば柱や梁、または配管が通る壁などは、変更することができません。これは建物の安全性や耐久性を守るために定められているルールです。
また、専有部にあたる部分でも、他の住戸に影響を与える工事はできない可能性があります。リフォームを行う際には専門業者や管理会社に相談し、どこまで改装できるのか確認することが重要です。
望むリフォームによって範囲が変わる
マンションのフルリフォームを行う際、どの部分を改装したいのかによって工事の範囲が異なります。
例えば、フルリフォームといっても実はキッチンやバスルームといった水まわりだけを新しくしたいのか、リビングや寝室も含めて家全体の床や壁の表面を一新したいのかで、工事の規模が変わります。
リフォームの目的が見た目の改善だけであれば、内装のみの工事で済む場合もありますが、配管や電気系統まで含むと床や天井の解体が必要になり、さらに大規模な工事になります。
また、工事範囲や内容によって費用も変わってくるため、自分の予算や希望に合わせて、どこまで改装するのかを決めることが大切です。必要な部分だけを重点的にリフォームすることで費用を抑えることも可能ですし、逆に家全体の統一感を持たせるために、細部まで改装することもできます。
間取り変更を考えるならスケルトンリフォーム
もしも間取りを大きく変えたいと考えている場合は、スケルトンリフォームという工法が適しています。
スケルトンリフォームでは、部屋の内装を全て取り払って、壁や天井を骨組みの状態まで戻します。その後、新たに間取りを設計し直すことで、リビングを広くしたり、キッチンをオープンにしたりすることが可能です。
この工法は、広い一体感のある空間を作りたい場合や、複数の小さな部屋を一つにまとめたい場合に特に有効です。
スケルトンリフォームは大掛かりな工事になるため、一般的なリフォームに比べて費用がかかりますが、理想的な間取りやデザインを実現するための選択肢として多くの人に利用されています。
リフォーム内容に制限がないか管理規約に注意しよう
マンションでリフォームを行う際に必ず確認しなければならないのが管理規約です。管理規約には、騒音被害を抑えるためや建物の構造を守るためにリフォームに関する制限が設けられています。
例えば、工事の時間帯が指定されていたり、使える材料や改装可能な場所が限られていたりする場合があります。工事可能な時間が極端に短ければ、当然工事の期間は長くなりますし、使える材料が限られていると望んだデザインが実現できないかもしれません。
管理規約をしっかり確認せずにリフォームを進めてしまい、後から制限があることが判明すると、計画していたリフォームができなくなる場合があります。
また、必要に応じて管理会社や理事会から許可を取る手続きが求められることもあるため、スムーズに進行させるためには、事前にリフォームの内容を伝えておくと安心です。
外部に接する窓やドアはリフォームできない場合が多い
マンションのリフォームにおいて、外部に面している窓やドアの変更はできないことが一般的です。これは、建物の外観や防犯性、耐震性を保つために、多くのマンションで定められているルールです。
例えば、バルコニーに面する窓や玄関ドアの色や形状を変えることは、建物全体の見た目に影響を与えるため、通常は許可されていません。建物全体の見た目が変われば建物の価値が下落する可能性があるためです。
もしも窓やドアの変更を希望する場合には、まず管理会社や理事会に相談し、許可が得られるかどうか確認することが必要です。また、外部に面する箇所でなくても、共用部とつながる部分や防火扉に関しては同様に変更が難しい場合があるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
リフォームの時に具体的に問題になるとすれば、断熱性の低い窓を交換したい場合などです。断熱性の高い樹脂サッシに変えたいと思っても、外部に面する窓は共用部分にあたるので変更できない可能性が高いです。そのため、断熱性を高めるために内窓を設置するといった柔軟な対応が必要になります。
JR神戸駅前のHDC神戸には、マンションのフルリフォームについて相談できるリフォーム会社の窓口が複数あり、断熱性を高める方法などについて一度に様々な会社に相談ができて便利です。
また、同じくHDC神戸や、グランフロント大阪のHDC大阪には住宅設備のショールームが多く出店していますので、最新の住宅設備を見て、キッチンや洗面台といった住宅設備を検討してみるのも、フルリフォーム後が想像できるのでおすすめです。
マンションのフルリフォームの費用相場と費用を抑えるポイント
マンションのフルリフォームは、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?ここでは費用相場を説明し、費用を抑えるポイントについて解説します。
費用相場をおさえる(60平米・80平米・100平米)
マンションのフルリフォームを考える際、まず気になるのが費用です。リフォームは、内容や使う材料によって費用が大きく異なります。
グレードの高い設備や素材を使う場合は、費用は大幅に高くなるので、正確な金額を知るには見積もりを取る必要があります。
以下にマンションの部屋の広さと費用相場を表で示しました。設備や素材にこだわらずに施工した場合、1平米あたり15万円程度が目安となっています。参考にしてください。
マンションの部屋の広さ | 費用相場 |
60平米 | 900万円 |
80平米 | 1200万円 |
100平米 | 1500万円 |
費用を抑えたい場合、工事範囲を絞ることも一つの方法です。
例えば、内装の張り替えだけを行う場合や、キッチンやバスルームの部分的なリフォームを行うだけであれば、全体の費用はかなり低く抑えられます。どの部分にどれだけの費用をかけたいかを考え、無理のない予算で進めることが大切です。
リフォームする場所に優先順位をつける
費用を抑えるには、リフォームしたい場所に優先順位をつけることも重要です。
例えば、キッチンやバスルームなど水回りは使用頻度が高く、リフォームすると快適さが増すため、優先的に考えると良いでしょう。逆に、あまり使わない部屋や、今は問題なく使える部分は後回しにすると、全体のコストを抑えることが可能です。
どこを優先してリフォームしたいのかを家族と相談して決めると、全体のイメージも固まりやすくなります。リフォームには工事期間もかかるため、普段の生活にどの程度影響が出るかも考慮しながら、計画を立てることが大切です。
工期が長くなれば、マンスリーマンションなどの一時的な住居で過ごす時間も長くなります。引っ越しも必要になるでしょう。工事をするマンションに住みながらリフォームをするのは現実的ではないので、そういったことも考慮してください。
設備や仕上げのグレードを下げる
リフォームの費用は、選ぶ設備や仕上げのグレードによっても大きく変わります。
例えば、キッチンの設備や浴室の仕様などを高級なものにすると、その分コストがかかります。一方で、標準グレードの設備を選べば、同じリフォームでも費用をぐっと抑えることができます。
高級な素材やデザインにこだわらなくても、実用的でデザインがシンプルな設備を選べば、十分に満足できる仕上がりになる場合も多いです。自分がどの程度のグレードを求めるのか、そしてコストとのバランスを考えながら選ぶのが良いでしょう。
逆に譲れない場所はどこなのかをはっきりさせておくと、よりコストパフォーマンスよくリフォームができます。長く過ごす場所がどこなのか、大事な空間はどこなのかを考えて、それ以外の場所のグレードを下げると満足のいく結果になる傾向が高いです。
相見積もりを取る
リフォーム業者を選ぶときは、1社だけでなく複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」をおすすめします。
相見積もりを取ることで、価格や工事内容を比較し、納得のいくリフォームがしやすくなります。同じ工事内容でも業者によって金額が異なる場合があるため、複数の見積もりを見比べると、無駄な費用がかかっていないか確認できます。
また、業者によっては値引き交渉に応じてくれる可能性もあるため、予算内で理想のリフォームを実現するためには相見積もりが効果的です。しっかりと比較検討することで、費用を抑えつつも満足のいくリフォームが実現できるでしょう。
補助金や減税措置がないか確認する
リフォームには、国や自治体から助成金・補助金や減税措置が受けられる場合があります。
例えば、環境に優しい省エネ設備を導入するリフォームには、助成金・補助金が出る可能性があります。また、耐震補強を行う場合も、自治体から助成金・補助金がもらえるケースがあります。これらをうまく活用することで、リフォーム費用を抑えられる場合もあるのです。
リフォームを計画する際には、どのような助成金・補助金や減税が適用されるのかを事前に調べておくと良いでしょう。条件や手続きが必要なことも多いため、申請をスムーズに行うために、リフォーム業者と一緒に確認すると安心です。
JR神戸駅前のHDC神戸や大阪駅前グランフロント大阪のHDC大阪には住宅設備ショールームやリフォーム会社が複数入っており、住まいのプロからアドバイスを聞くことができます。フルリフォームをお考えの方でお近くにお住まいの方は、行ってみるのもよいでしょう。
フルリフォームをする場合の注意点
マンションをフルリフォームする場合に注意する点はあるのでしょうか?ここでは、フルリフォームする場合に注意すべき点について説明します。
管理規約を必ず確認して、可能なリフォームを確認する
マンションでは、管理規約と呼ばれるルールが定められています。この管理規約には、リフォームに関する制限や、リフォームができる範囲が明記されていることが多いです。
例えば、床材を変更する場合、音の問題で特定の防音性能が求められる場合があります。また、建物の構造に関わる部分の改装が禁止されている場合もあるため、必ず管理規約を確認しましょう。
特定の防音性能が必要な床であれば、床の下地材のグレードを上げる必要があり、コストが高くなる可能性があります。間仕切り壁に防音性能が必要であれば、鉛シートを貼り付けたり壁を二重にしたりと必要な工事が増える場合があります。
管理規約を確認せずに工事を進めると、後からトラブルになるかもしれません。リフォームを進める前に、管理会社や理事会に相談し、どのようなリフォームが可能かを確認しておくことが大切です。
水回りの移動が可能か階高を確認する
マンションのリフォームでは、キッチンやバスルームといった水回りの位置を変更したい場合もありますが、配管の高さや構造の問題で、移動が制限される可能性があります。特に階高と呼ばれる、床から上の階の床下までの高さが低いマンションでは、配管の移動が難しいケースが多いです。
なぜなら、排水管は排水がきれいに流れるように勾配を付ける必要があるからです。勾配がない、または勾配が逆になってしまうときれいに排水されず、配管の詰まりの原因になり得ます。
そのため、排水口の位置を変えれば、変えた距離に応じて床の高さを高くしないといけません。床の高さを高くすると床から天井までの高さが低くなり、圧迫感を感じるでしょう。建築基準法上では居室の天井の高さは2.1m以上必要です。
水回りの移動を希望する場合、まずは階高を確認し、可能かどうかを専門業者に相談しましょう。場合によっては、配管の関係で思い通りの位置に移動できない可能性もありますが、アドバイスを受けて代替案を考えることも可能です。
粉塵や騒音が発生する旨を近隣に挨拶する
リフォーム工事は、どうしても粉塵や騒音が発生するため、近隣の住人に迷惑がかかる可能性があります。そのため、工事を始める前には、近隣の住人に挨拶をして、工事の期間や内容について伝えておくことがマナーです。
マンションは多くの住人が共に生活する場ですので、周囲への配慮が大切です。工事の音が響く時間帯や、工事の終了予定日なども伝えておくことで、住人同士のトラブルを防ぎ、安心してリフォームを進めることができます。
多くのリフォーム業者は担当者が工事の工程表を作成し、音の響く時間帯や工事の終了予定日などを作成してくれます。挨拶も行ってくれるでしょう。ですが、会社によっては自分でしなければいけません。リフォーム業者に確認することが大切です。
マンションのフルリフォーム事例
この章ではマンションの部屋をフルリフォームした実際の事例をご紹介します。どれくらいリフォームしたら費用がどの程度になるのか、参考にしてください。
20年暮らしたマンションをスケルトンリフォームした事例
ビフォー
アフター
施工会社 | アートリフォーム |
費用 | 1040万円 |
築年数 | 24年 |
希望の間取りを可能な限り実現するために、内装を解体してスケルトンにし、フルリフォームしました。対面式だったキッチンはリビングダイニングの広さを優先し、壁付けのキッチンに変更しています。
ベッドを囲むように生活機能をレイアウトした間取りで、住まい全体が緩やかにつながっている事例です。
見せる収納を増やしてリフォームした事例
ビフォー
アフター
施工会社 | ナサホーム |
費用 | 740万円 |
築年数 | 19年 |
小物を飾るのが好きな施主が、収納スペースに特化したフルリフォームをした事例です。壁面収納を大量に設置し、膨大な収納力を確保しました。収納ボックスや書籍のことも考慮して緻密に設計されています。
また、手芸が趣味の施主は、薄暗さを感じる和室で作業しており不満がありました。そのことに着目し、採光を妨げずに作業できるスペースを窓側に設けています。
事例3
アフター
施工会社 | r-cove*home by N-Basic |
築年数 | 51年 |
薄暗さや寒さが気になる既存のマンションをフルリフォームした事例です。断熱材と内窓を入れて暖かい部屋へと変わりました。古くなった温水器を給湯器に変えることで、住みやすい家を実現しています。
間取りや壁紙も希望通りの提案を受け、施主は仕上がりに満足されていたようです。
まとめ
マンションのフルリフォームは、家全体を新しくし、快適に暮らすための大きな工事です。工事の内容や使う設備によって費用が大きく変わるため、事前にしっかりと計画を立てることが大切です。
リフォームする場所や設備の優先順位を決めたり、複数の業者から見積もりを取り、補助金や減税措置を活用すると、費用を抑えながら理想のリフォームに近づけることができます。
また、マンション特有の注意点として、管理規約の確認や水回りの移動制限、近隣住人への挨拶も忘れてはいけません。リフォームは自分たちだけでなく、周りの住人との関係にも影響を与えるため、配慮が求められます。
こうしたポイントをしっかり押さえながら進めることで、費用を抑えながらも満足度の高いリフォームが実現できるでしょう。
JR神戸駅前のHDC神戸には、フルリフォームについて相談できるリフォーム会社の窓口が複数あり、一度に様々な会社に相談ができて便利です。
また、同じくHDC神戸や、グランフロント大阪のHDC大阪には住宅設備のショールームが多く出店していますので、最新の住宅設備を見て、フルリフォームをした場合の住宅設備を検討してみるのも、完成図が想像できるのでおすすめです。
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