宅地建物取引士、FP2級保有 不動産・建設会社の土地有効活用のコンサルティング営業を6年担当。現在は不動産や建設業界の知見を活かした不動産や金融ジャンルのライターとして活動しています。
「マンションを売りたいけど、損をしたくない」「少しでも高く売れる方法はないの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、
- マンションの価格が高騰している理由
- 買ったときより高く売れるマンションの特徴
- 買ったときより高く売れないマンションの特徴
- マンションを高く売るためのコツ
を紹介します。
マンションは、立地や条件によって買ったときより高く売れる可能性があります。
マンションを売る際の注意点を把握しておくことで、少しでも高く売れるようになるでしょう。
目次
買ったときより高く売れるマンションもある?価格が高騰している理由
マンションは、一般的に購入した時の価格と全く同じ値段で売却することは難しいです。しかし、いくつかの条件が揃えば、購入時よりも高い価格で売却できる可能性も十分にあります。
例えば、マンションを購入した後、その近隣に新しい大型のショッピングモールがオープンすると、その地域の不動産相場は上昇する傾向にあります。これにより、所有しているマンションを以前より高い価格で売却することが期待できるでしょう。
それでは、なぜ現在マンションの価格が高騰しているのでしょうか。その理由を詳しく見ていきましょう。
金利の低水準が継続している
マンション価格高騰の第一の理由として、金利が低い水準で推移している点が挙げられます。2013年から始まったアベノミクスによる金融緩和政策の影響で、住宅ローン金利は低下傾向が続いてきました。
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除しましたが、世界全体で見ると、依然として日本の金利は低い水準にあります。金利が低い状況は、住宅ローンを比較的組みやすくするため、マンションの購入を検討する人が増加し、その結果としてマンション価格の上昇につながっていると考えられます。
物価の上昇が影響している
マンション価格高騰の2つ目の要因は、物価の上昇です。日本の物価上昇率は他国と比べると必ずしも高くはありませんが、着実に上昇している状況です。
建築資材の価格上昇や人件費の増加、物流コストの増大などが、マンションの価格に影響を与えています。また、賃金も上昇傾向にあるため、マンション市場全体の活性化を後押しする要因となっているでしょう。
円安による影響も無視できない
マンション価格高騰の3つ目の理由として、円安の影響も見逃せません。新型コロナウイルス感染症の流行以降、歴史的な円安が継続しています。円安が進むことで、日本の不動産は海外投資家にとって非常に魅力的な投資対象となっています。
特に東京や大阪などの大都市圏に位置するマンションは、海外投資家からの需要が非常に高く、2024年4月までの半年間におけるマンション価格上昇率は、世界で最も高い水準となりました。
マンションの価格が変動する理由とは
築年数の経過による価値の変動
一般的に、マンションは築年数が経過するにつれて価格が下落していく傾向があります。また、新築マンションには「新築プレミアム」と呼ばれる、新築ならではの付加価値が含まれています。そのため、中古マンションとして売却する際には、この新築プレミアム分が価格から差し引かれることも考慮しなければなりません。
地域環境の変化にも注意が必要
マンションの価値は、その周辺環境の変化に大きく左右されるという側面があります。具体的には、商業施設が増加したり、交通の利便性が向上したりすることによって、マンションの価値が上昇する可能性は大いにあります。
しかし、逆に周辺環境が悪化してしまうと、マンションの価値が下落する可能性もあるでしょう。したがって、マンションの価値を判断する際には、周辺環境の現状だけではなく、将来的な変化も考慮に入れることが重要です。
景気動向も価格に影響する
不動産価格は、景気動向に非常に影響を受けやすいという特徴があります。好景気時には、不動産市場全体が活発になり、中古マンションであっても比較的高値での売却が期待できるようになるでしょう。
さらに、地域の地価が上昇すれば、それに伴ってマンションの資産価値も向上するため、結果として購入時よりも高い価格で売却できる可能性が高まります。したがって、マンションの売却を検討する際には、景気の動向を注意深く見守ることも重要なポイントとなります。
買ったときより高く売れるマンションの特徴とは
マンションを少しでも高く売却したいと考えるのは当然のことでしょう。それでは、具体的にどのような特徴を持つマンションであれば、購入時よりも高い価格での売却が期待できるのでしょうか。
ここでは、市場価値が高く、買った時よりも高く売れる可能性を秘めたマンションの特徴について、詳しく解説していきます。これらの特徴を理解することで、ご自身のマンションが持つポテンシャルを最大限に引き出し、有利な売却へとつなげることができるでしょう。
築5年以上10年未満
マンションの価値を左右する重要な要素の一つとして、築年数が挙げられます。一般的に、築年数が経過するほどマンションの価値は下落する傾向にありますが、特に築年数が古い物件は、価値が一気に下がることも少なくありません。一方で、築10年未満のマンションは、比較的需要が高く、市場でも高値で売れやすい傾向があります。
また、マンションを売却する際には、売却によって得た利益に対して課されるのが「譲渡所得税」です。譲渡所得税は、5年以内の「短期譲渡所得」に該当する場合は税率が39.63%となるのに対し、5年超の「長期譲渡所得」に該当する場合は税率が20.315%となります。
そのため、例えば築4年程度でマンションの売却を検討しているような場合には、売却を急がず、5年経過を待つことで、手元に残る金額が多くなる可能性が出てきます。マンションの売却を検討する際には、税金についても十分に考慮することが大切です。
需要のある立地条件
マンションの価値を決定づける上で、立地の良さは非常に重要です。具体的には、最寄りの駅から近い、現在開発が進んでいる地域に位置している、または人気の高いエリアに所在している、といった条件を満たすマンションのことです。このようなマンションは、次の購入希望者が比較的見つかりやすく、結果として高値で売却できる可能性が高まります。
マンションの購入を検討している方の多くは、物件自体の特徴や性能以上に「その地域に住みたいかどうか」という点を重視する傾向があります。一戸建て住宅と比較して、マンションは一般的に利便性の高い場所に多く存在するため、購入希望者の中には、まず立地条件から物件を絞り込むケースも少なくありません。そのため、立地の良いマンションは常に需要が高く、売却においても有利に働くことが多いといえるでしょう。
管理状態が良い
近年、マンション管理に関する法改正が相次いで行われており、その動向に注目が集まっています。具体的には、2021年の長期修繕計画ガイドラインの改定や、2022年に開始された管理計画認定制度などが挙げられます。現時点では、マンションの管理状態の良し悪しが価格に直接的に大きく影響することは少ないかもしれません。しかし、今後は管理状態がマンションの資産価値の維持に大きく影響を与える可能性が高まっています。
近年、修繕積立金の不足やマンションの高経年化が社会問題として注目されており、マンション管理に対する社会的な関心が高まっています。将来的に、マンションの管理状態の良し悪しが、金融機関による担保評価や、購入希望者の需要に影響を与える可能性もあるでしょう。そのため、マンションの管理体制が整っているかどうかは、売却を検討する上で重要なポイントとなります。
角部屋の物件
マンションの住戸タイプの中でも、角部屋は中部屋と比較して高い価格で設定されており、その希少性の高さが特徴です。角部屋は、隣接する住戸が一方にしかないため、騒音トラブルのリスクが少なく、プライバシーが確保しやすいという点から、購入希望者からの人気が高い傾向にあります。
そのため、次の買い手が見つかりやすく、結果として高値で売却できる可能性が高いといえるでしょう。特に、南向きの角部屋は、日当たりが良好で明るく開放的な空間が確保できるため、さらに高い価格で取引される傾向があります。
ファミリー向けの間取り
マンションの間取りに関しては、3LDKが最も高い需要があると言われています。マンションの購入を検討する層の多くは、子どものいるファミリー世帯であるため、2LDKの間取りでは手狭に感じてしまい、逆に4LDKの間取りでは広すぎるというケースが多いようです。また、4LDK以上の広さを求める世帯は、マンションではなく戸建て住宅を検討する傾向が強いでしょう。
ファミリー層向けの需要が高い間取りや設備は、マンションの売却において有利に働く可能性があります。そのため、間取りのリノベーションや、子どもを見守るカメラを設置しやすい配線の準備など、ファミリー層に配慮した工夫を検討することも有効な手段といえます。ただし、これらの設備投資が必ずしも売却価格の上昇につながるとは限らないため、費用対効果を慎重に見極めましょう。
売れやすい時期に販売活動をする
不動産業界には、1月から3月にかけて繁忙期を迎えるという特徴があります。これは、新年度に向けて4月からの新生活を希望する人が多いため、その入居需要に合わせて、2月から3月には次の買い手が決まっているのが理想的とされています。そのため、マンションの売却を検討している場合は、12月から1月には不動産会社との契約を済ませておくことが重要です。
また、売却活動が本格的にスタートしたら、購入希望者による内覧に備えて、早めに家の中の片付けや掃除を済ませておくことが望ましいでしょう。清潔感があり、整理整頓された状態の住まいを見せることは、購入希望者の印象を良くし、売却の成功につながる可能性を高めます。
実績がある不動産会社を選ぶ
マンションをできるだけ高く売却するためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが非常に重要になります。不動産会社の選択を誤ってしまうと、本来であればもっと高く売れたはずのマンションを、相場よりも低い金額で取引してしまう可能性も否定できません。不動産会社を選ぶ際には、知名度や会社の規模だけにとらわれず、地域に密着した実績のある会社を選ぶようにしましょう。
また、ご自身のマンションを居住用物件として売却するのか、それとも投資用物件として売却するのかによって、適した不動産会社は異なってきます。一般的に、仲介業者に依頼する方が、買取業者に依頼するよりも高く売却できる可能性が高いといわれています。それぞれの不動産会社の特性を理解し、ご自身の状況に最適な会社を選ぶように心がけましょう。
買ったときよりも高く売れないマンションの特徴とは
マンションは、適切な条件が揃えば、購入時よりも高い価格で売却できる可能性を秘めています。しかしその一方で、高値での売却が難しい、あるいは売却自体が困難になるマンションも存在します。
ここでは、そういった特徴について詳しく解説するため、ご自身のマンションが当てはまっていないか、確認してみましょう。
ランニングコストがかかる
マンションの維持にかかるランニングコストは、売却時の価格に大きな影響を与える要素です。具体的には、管理費や修繕積立金、固定資産税といった費用が挙げられますが、これらのランニングコストが高いマンションは、売却が難航する傾向があります。
不動産会社に仲介を依頼して購入希望者を探す場合だけではなく、不動産会社に買取を依頼する時も、ランニングコストの高さがネックになることがあります。
不動産会社がマンションを買い取った場合、次の購入者や賃借人が見つかるまでの間、これらのランニングコストを自社で負担しなければなりません。そのため、ランニングコストが高いマンションは、不動産会社も買取に際して慎重な判断を下すことが多く、結果として売却価格も低くなる傾向にあります。
物件の価値が低い
戸建て住宅とは異なり、区分所有となるマンションは、土地の価値が単独では評価されにくいという特徴があります。そのため、マンション自体の価値が低い場合は、売却が困難になることがあります。
物件の価値を下げてしまう要因として挙げられるのは、築年数が古いことや、今後衰退が予想されるエリアに立地していることなどです。これらの要因は、売却する時点では対策が難しいため、マンションを購入する際には、将来的な売却も視野に入れた上で、慎重に判断することが重要です。
買ったときよりも高くマンションを売るコツとは
マンションを可能な限り高く売却するためには、戦略的なアプローチと周到な準備が不可欠です。単に売却活動を始めるだけではなく、市場の動向を把握し、適切な時期を見極め、物件の魅力を最大限に引き出す努力が必要となります。
ここでは、高値売却を実現するための具体的なコツを、さらに詳しく解説していきます。これらのポイントを参考に、ご自身のマンションをできるだけ高く売りましょう。
物件の相場を把握しておく
マンションの相場価格は、常に変動していることを念頭に置いておく必要があります。市場の動向を無視して、安易に売却活動を進めてしまうと、本来であればもっと高く売れたはずの物件を、不当に低い価格で手放してしまうことになりかねません。
相場価格は、国内外の金融政策だけではなく、近隣の駅前の再開発計画、新たな企業誘致の動向、公共施設の整備状況など、地域のさまざまな変化によっても大きく影響を受けます。高値での売却を目指すのであれば、常に相場価格を把握し、変化の兆候を敏感に察知しながら、最適な売り時を見極めることが極めて重要となります。
具体的には、定期的に不動産情報サイトをチェックしたり、近隣の不動産会社に相談したりして、常に最新の情報を手に入れるようにしましょう。
余裕を持った販売スケジュールを組む
マンションを高く売るためには、時間に余裕を持って買い手を探すことが大切です。売却を急いでしまうと、買主との価格交渉で不利な立場に立たされることが多く、値下げに応じざるを得なくなる可能性が高まります。
マンションの条件や市場の状況によっては、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあるため、3ヶ月から半年程度の期間を想定して、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。焦って売却を進めるのではなく、じっくりと時間をかけて、より良い条件で買い手を見つけるように心がけましょう。
需要の多い時期に販売活動をする
前述したように、マンションが最も売れやすい時期は、一般的に2月から3月にかけてです。これは、4月からの新生活に向けて、引越しを伴う住宅の購入需要が最も高まる時期であるためです。一方、1月や8月は、売却活動にはあまり適していない時期とされています。
1月は年末年始の慌ただしさで、購買意欲が低下しがちであり、8月は猛暑の影響で、内覧を希望する人が少なくなる傾向があるからです。マンションの売却を検討しているのであれば、12月から1月には不動産会社との契約を済ませ、2月から3月の需要期に向けて、万全の準備を整えておきましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
不動産会社選びは、マンションの高値売却を実現するための成否を分ける、極めて重要な要素です。最初から1社に決めてしまうのではなく、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額や、営業担当者の対応を慎重に比較検討するようにしましょう。
査定額の根拠が明確であり、豊富な売買実績を持つ不動産会社を選ぶように心がけてください。また、不動産会社の営業店舗数や、インターネット上での情報発信力なども、不動産会社を選ぶ上での判断材料となります。
専任媒介か専属専任媒介で契約をする
不動産会社との契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。マンションをできるだけ早く、そして高く売りたいと考えるのであれば、専任媒介契約、もしくは専属専任媒介契約を結ぶことをおすすめします。
これらの契約形態の場合、不動産会社は自社のみが販売活動を行う権利を持つため、より熱心に売却活動に取り組んでくれる可能性が高いです。ただし、担当者の力量によって売却活動の成果は大きく左右されるため、契約を結ぶ担当者の経験や実績をしっかりと確認し、信頼できる担当者を選ぶようにしましょう。
内覧の準備のために部屋をきれいにしておく
マンションを購入する方は「多少高くても、このマンションなら買いたい」と思える物件を探しています。内覧の際には、購入希望者に少しでも良い印象を与えられるよう、ハウスクリーニングを依頼するなどして、家の中を清潔な状態にしておきましょう。
特に、トイレやお風呂、キッチンなどの水回りは、購入希望者が最も気にするポイントです。必要に応じて、業者による修繕も検討し、臭いのケアも忘れずに行いましょう。また、部屋全体の印象を良くするために、不要なものを片付けたり、照明を明るくしたりすることも効果的です。
さらに、マンションの魅力を高めるために、以下のような付加価値をつけることも効果的です。こうした設備は管理組合の承認が必要になる場合が多いので、規約をよく確認して設置を検討してください。
- 追い炊き機能
- TVモニター付きインターホン
- セキュリティサービス
- スマートロック
特にファミリー向けのマンションの場合、スマートホーム化は大きな魅力となります。外出先からの施錠確認や、子供の見守りカメラなど、子育て世帯のニーズに応える機能は、高値での売却につながる可能性を高めるでしょう。
リフォームやリノベーションで新築同様にする
マンションを売却する際に、リフォームやリノベーションを実施することも、有効な手段の一つです。物件を新築同様の状態に近づけることで、中古マンションに対する購入者のマイナスイメージを払拭し、マンションの価値を高めることが期待できます。特に、水回りの設備を新しくしたり、間取りを変更したりするリノベーションは、高値売却につながりやすいと考えられます。
JR神戸駅前の「HDC神戸」は、住まいと暮らしに関するショールームが数多く入った施設です。キッチン・バスなどの住宅設備から家具・インテリア、リフォーム会社まで豊富にそろい、一度に比較検討できます。
また、JR大阪駅前のグランフロント大阪にある「HDC大阪」では、住宅設備のショールームをワンフロアで見比べられます。最新のキッチンやバスなどの設備について具体的にイメージすることで、マンション売却時の価値向上にも役立つため、ぜひご参考ください。
まとめ|コツを掴めば買ったときよりもマンションは高く売れる
マンション売却を成功させるためには、市場動向の把握や物件の特徴理解、そして適切な戦略が不可欠です。この記事では、マンション価格が高騰する背景、高値で売れる物件の特徴、売却を有利に進めるコツ、そして注意すべき点について解説しました。
売却を成功させるには、まず、余裕を持ったスケジュールを組み、需要が高い時期に販売活動を行うことが重要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、実績と信頼のある会社を選び、専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結することで、より積極的な販売活動が期待できます。また、内覧に備えてハウスクリーニングを実施し、物件の魅力を最大限に引き出すことも重要です。
さらに、必要に応じてリフォームやリノベーションを行うことで、物件の価値を高めることも可能です。JR神戸駅前の「HDC神戸」には、マンションの魅力を高めるリフォームについて相談できるリフォーム会社が複数入っています。また、JR大阪駅前のグランフロント大阪にある「HDC大阪」には、キッチンやバスなど住宅設備のショールームが集結しており、一度に比較・検討できます。住まいのプロに相談することで、理想のマンション売却に一歩近づくかもしれません。お近くの方は、ぜひ活用してみてください。
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