宅地建物取引士、FP2級保有 不動産・建設会社の土地有効活用のコンサルティング営業を6年担当。現在は不動産や建設業界の知見を活かした不動産や金融ジャンルのライターとして活動しています。
「リフォームを検討しているけどコストが心配」「何か使える補助金の制度はないの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、2024年のリフォームの補助金について
- 住宅省エネ2024キャンペーンの概要
- 2024年に受けられるリフォームの補助金の種類
- 2024年にリフォームの補助金を受けるための注意点
- 住宅省エネ2024キャンペーンを有効活用するための方法
を紹介します。
リフォームをする際に賢く補助金制度を活用するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
住宅省エネ2024キャンペーンとは
住宅省エネ2024キャンペーンとは、環境に優しいリフォームを推奨し、日本全国の家庭で省エネルギーを実現するために、国が支援する補助金制度です。エネルギー効率の高い住宅への改修を促進することで、長期的に見て光熱費の節約だけではなく、快適な住環境の実現にもつながります。
ここでは、住宅省エネ2024キャンペーンの概要から、申請に必要な条件、前年度のキャンペーンとの違いを解説します。この制度を活用することで、リフォームの費用を軽減できるようになるでしょう。
概要
2024年3月以降、新たな後継事業の申請受付が開始されます。これらの事業は2023年のものをもとに展開される予定です。申請にあたって、新築住宅やリフォーム工事で2023年と2024年の事業は併用ができないため、いずれか一方を選択する必要がある点には注意が必要です。
ただし、補助の対象が重複しない範囲であれば、両方の事業を活用することができます。補助金の制度を最大限活用するためには、補助対象が重複しないように両方の事業への理解が必要と言えるでしょう。
登録事業者
リフォーム会社は、この事業への参加条件を満たしている必要があります。リフォームを依頼したいと考えているリフォーム会社が登録事業者に該当しているかを事前に確認しておくと良いでしょう。
2023キャンペーンとの違いとは
既存の賃貸集合住宅に対する省エネ化支援を行うこの新事業は、前年度には存在しませんでした。一方で、子育てエコホーム支援事業や先進的窓リノベ事業、給湯省エネ事業は2023年度の仕組みを継続しつつ、補助の対象や規模の変更があります。
具体的には「賃貸集合給湯省エネ2024事業(既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業)」が新設されました。事業全体の予算が増え、対象者や条件などが変更されているため、詳しくは次章で見ていきましょう。
2024年に受けられるリフォームの補助金とは
住宅省エネ2024キャンペーンは、住まいを快適にしたり環境の負荷を軽減したりするリフォームの促進を目的とした支援策です。多くの家庭が直面する「リフォームをしたいが、コストが心配」という問題に対し、国や地方自治体から提供される補助金は、リフォームの後押しとなります。
ここでは、2024年度に受けられる主要な補助金の種類と申請方法を解説します。これらの補助金を活用することで、理想のリフォームを実現しやすくようになります。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象にした注文住宅新築の補助制度です。
対象者は、2005年4月2日以降に生まれた子を持つ家庭、または夫婦のいずれかが1983年4月2日以降に生まれた家庭のどちらかです。
なお、リフォームで利用する際は、この条件を満たす必要はありません。また事業名に「子育て」という言葉が入っているものの、子どもがいなくても対象となる場合があります。
対象者について詳しく見ていきましょう。
注文住宅の新築
注文住宅を新築する際に、子育てエコホーム支援事業の補助制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 対象者:2005年4月2日以降に生まれた子を持つ家庭、または夫婦のいずれかが1983年4月2日以降に生まれた家庭のどちらかで、2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手する人
- 対象となる住宅:長期優良住宅かZEH住宅のどちらかで、住戸の床面積や立地条件などの特定の基準を満たす住宅
- 期間:工事の着工までに工事請負契約書の締結がされていること、遅くとも2024年12月31日までに基礎工事が完了していること
- 補助金:長期優良住宅では1住戸あたり最大100万円、ZEH住宅では最大80万円
上記の条件を満たすことで、注文住宅を新築する際の補助制度を利用することができます。
ただし、市街化調整区域や土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する住宅は、受け取れる補助金の額が半額となるため、注意が必要です。
新築分譲住宅の購入
新築分譲住宅を購入する際に、子育てエコホーム支援事業の補助制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 対象者:2005年4月2日以降に生まれた子を持つ家庭、または夫婦のいずれかが1983年4月2日以降に生まれた家庭のどちらかで、2023年11月2日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手する人
- 対象となる住宅:長期優良住宅かZEH住宅のどちらかで、住戸の床面積や立地条件などの特定の基準を満たす住宅
- 期間:工事の着工までに工事請負契約書の締結がされていること、遅くとも2024年12月31日までに基礎工事が完了していること
- 補助金:長期優良住宅では1住戸あたり最大100万円、ZEH住宅では最大80万円
上記の条件を満たすことで、新築分譲住宅を購入する際の補助制度を利用することができます。
ただし、市街化調整区域や土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する住宅は、受け取れる補助金の額が半額となるため、注意が必要です。
リフォーム
リフォーム工事をする際に、子育てエコホーム支援事業の補助制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。注文住宅の新築時や新築分譲住宅の購入時とは異なり、年齢や子どもに関する条件はありません。
- 対象者:エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結してリフォーム工事をするすべての世帯
- 対象となるリフォーム工事:断熱改修やエコ住宅設備の設置、子育てや防災性向上、バリアフリー改修など、一定の条件を満たすリフォーム工事で、申請する補助額の合計が5万円以上であること
- 期間:工事の着工までに工事請負契約書の締結がされていること、遅くとも2024年12月31日までに着工が完了していること
- 補助金:原則20万円までで、子育て世帯や若者夫婦世帯、既存住宅購入や長期優良住宅の認定を受ける場合は最大60万円
上記の条件を満たすことで、リフォーム工事をする際の補助制度を利用することができます。
ただし、市街化調整区域や土砂災害警戒区域または浸水想定区域に該当する住宅は、受け取れる補助金の額が半額となるため、注意が必要です。
先進的窓リノベ2024事業
次に、先進的窓リノベ2024事業について見ていきましょう。先進的窓リノベ2024事業は、断熱性能を向上させる窓へのリフォーム工事を支援する制度です。
対象者と条件
この事業では、熱窓への改修工事を行う際に補助金を受け取れます。補助の対象となるのは、特定の熱貫流率基準を満たす窓への改修工事であり、戸建住宅や低層・中高層集合住宅において一律の基準が設けられています。
工事方法としては、ガラスのみの交換、内窓設置、外窓の交換があり、それぞれに熱貫流率の基準を満たすことが必要です。
この制度を利用することで、冷暖房の効率を大幅に向上させ、エネルギー消費の削減に貢献することが期待できるでしょう。
補助金の額
補助金の額は、実施されるリフォーム工事の種類に基づいて定められます。この制度では、個々の住宅に対して最大200万円までの補助が可能ですが、一度の申請における補助額が5万円未満の場合は申請資格を得られません。
窓リフォームにおける補助金額は、製品のグレードやサイズに応じて異なります。また、窓と同一契約内で行われるドアの断熱改修も、住宅の外皮部分にある開口部に限り補助の対象です。
給湯省エネ2024事業
給湯省エネ2024事業は、高効率給湯器を導入する人を支援する制度です。高効率給湯器を普及させることで「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」を達成することを目的としています。
対象者と条件
給湯省エネ2024事業の補助金を受けられるのは、高効率給湯器の設置を計画している住宅です。
補助金を受けるためには、新築住宅の購入時やリフォーム時に高効率給湯器を導入するか、既存の給湯器を高効率のものに交換することが必要です。
補助金の額
この補助金制度では、高効率給湯器の導入に伴い、特定の基準を満たす機器の設置に対して補助が提供されます。
基本的に、補助額は以下のように導入する給湯器のタイプによって異なります。
- ヒートポンプ給湯機(エコキュート)には8万円
- ハイブリッド給湯器には10万円
- 家庭用燃料電池(エネファーム)には18万円
さらに、これらの給湯器がより高い性能要件を満たす場合は、性能加算額が追加で補助されます。ただし、補助金の申請には条件があり、予算が上限に達し次第終了するため、申請は早めに行いましょう。
2024年にリフォームの補助金を受けるための6つの注意点
2024年にリフォームの補助金を受ける際には、多くの家庭が陥りがちな落とし穴があります。これらの補助金を利用してリフォーム計画を推進するためには、複雑な申請や厳格な条件のクリアが必要です。
ここでは、補助金を最大限に活用するための6つの重要な注意点を詳しく解説します。これらを事前に把握しておくことで、スムーズに補助金を受け取り、リフォームが成功に近づくでしょう。
申請条件を確認する
補助金申請を検討している際は、最新の情報を確認しましょう。特に「住宅省エネ2024キャンペーン」のように新しく発表された施策では、条件や詳細が変更になる可能性があります。
そのため、補助金を申請する前には、公式Webサイトなどを通じて、補助対象となる条件が現時点で自分の状況に合致しているかを確認することが重要です。
また、申請期間や必要書類、申請方法についても、変更がないかを最新の情報でチェックし、適切な手続きを行いましょう。
予算上限に達する前に利用する
補助金の申請においては、予算の上限に達する前に制度を利用することが重要です。2024年3月以降に開始される予定の補助金制度でも、具体的な終了時期がまだ発表されていないため、事前の準備と迅速な申請が必要になるでしょう。
過去には、2023年度の「こどもエコすまい支援事業」のように、予定された終了時期よりも前に予算上限に達し、申請受付が早期に終了する例もありました。
これから補助金を利用する計画がある場合は、開始されるやいなやすぐに申請手続きを進めることが賢明です。そうすることで、予算が尽きるリスクを回避し、補助金を有効に活用するチャンスを逃さずに済みます。
2023キャンペーンと併用できない
2023年の補助事業と新たに始まるキャンペーンを同時に利用する際には、特定の規則に注意が必要です。具体的には、同一のリフォーム工事に関して2023年の既存補助事業と新キャンペーンの補助金を重複して申請することは許されていません。
ただし、補助の対象となる工事内容が互いに重複しない範囲であれば、両方の補助金を併用することが可能です。
このような場合でも、具体的な併用の可否や条件については、事前に住宅省エネ2023キャンペーンの問い合わせ窓口に確認することが重要です。この確認を行うことで、補助金の適切な利用方法を理解し、無駄な手間を避けることができます。
補助金の申請に長けているリフォーム会社を選定する
補助金の申請は、2024年度も2023年度に引き続き、工事請負業者に限定されます。
申請をする際には、補助対象の詳細な確認や必要書類の緻密な作成が必要となり、相応の時間と労力がかかるため、補助金申請に長けているリフォーム会社の選定が重要です。
そのような会社を選ぶことで、申請過程で生じうるリスクを事前に回避し、補助金を活用してのリフォームをスムーズに進めることが可能になります。
また、HDC神戸のような複数のリフォーム会社が入っている施設なら、一気に比較検討や相見積もりが取れるので便利です。ぜひ活用してください。
施工会社が登録業者か確認をする
リフォームを成功させるためには、施工会社の選定が非常に重要です。特に、補助金の利用を考えている場合、その施工会社が「住宅省エネ2023キャンペーン」や次年度の「住宅省エネ2024キャンペーン」に登録されているかの確認をしましょう。
補助金の申請は、これらのキャンペーンに登録済みの施工会社を通じてのみ可能であるため、リフォーム計画を立てる際は、慎重にチェックする必要があります。
登録業者であれば、補助金の申請手続きにおける要件を満たし、スムーズにリフォームの計画を進めることができます。多少手間に感じるかもしれませんが、補助金を活用したコスト削減という大きなメリットにつながるため、施工会社は慎重に選定しましょう。
同じ工事場所では複数の制度を利用できない
「住宅省エネ2024キャンペーン」内の補助金制度は、住宅の省エネ化を促進するために設計された4つの異なるプログラムから構成されています。
これらを利用する際には特定のルールが適用されます。具体的には、一つの工事場所に対して複数の補助制度を重複して適用することは許されていません。
例えば、もし高断熱窓に関するリフォームを「窓リノベ」プログラムで申請した場合、その後同じ窓に関して「子育てエコホーム」プログラムへの申請はできません。
同様に、エコキュート給湯器の設置を「給湯省エネ」で申請した後は「子育てエコホーム」での再申請はできないため、注意が必要です。
これらの制限は、複数の補助金を最大限に活用しつつも、重複利用を避け、補助金の公平な配分を保つために設けられています。
住宅省エネ2024キャンペーンを有効活用するための2つの方法
住宅省エネ2024キャンペーンを有効活用するためには、リフォーム計画における戦略が必要です。
ここでは、住宅省エネ2024キャンペーンを最大限に活用し、リフォーム費用を効果的に抑えるための具体的な方法を紹介します。
これら2つの方法を把握しておくことで、省エネリフォームをより手軽に、そして賢く行えるようになるでしょう。
ワンストップ申請をする
2023年の補助金事業では、リフォーム関連の各補助制度を単独で申請することが可能でした。
しかし、特定の制度を併用することによって、より柔軟な申請要件のもとで支援を受けることができました。特に「こどもエコ住まい支援事業」では、他の補助制度との併用申請を行うことで申請要件が緩和されるメリットが挙げられます。
2024年に向けても「子育てエコホーム支援事業」ではこの傾向が継続され、特定の必須工事を行わなくても申請が可能となります。これにより、複数の補助制度を組み合わせることによるメリットを最大化し、より多くの家庭が補助金を活用しやすくなるでしょう。
ワンストップ申請の利用は、リフォーム計画の柔軟性を高め、省エネルギー対策をさらに推進する有力な手段となります。
都道府県の補助金制度を調べる
国の補助金制度と併用可能な都道府県独自の補助金を上手く活用することで、リフォーム費用の負担を大きく軽減できます。
例えば、東京都では「既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア)」といった補助金が提供されており、特定の条件を満たした場合、高断熱窓の取り付けに最大100万円の補助が受けられます。補助金の金額が調整される場合があるものの、国の補助金との併用も可能です。
しかし、このような補助金を利用するには、都道府県が定める一定の要件を満たし、事前に申請を行い、交付決定を受ける必要があります。
リフォームを計画している方は、自身が居住する自治体でどのような補助金制度が用意されているかを確認し、賢く利用することが大切です。事前にしっかりと把握をしておくことで、より効果的に住環境の改善を実現でき、家計にも優しいリフォームを実施できるでしょう。
まとめ|2024年にリフォームをするなら補助金を賢く利用しよう!
2024年は、住宅リフォームに関わる多様な補助金制度が提供されます。住宅省エネ2024キャンペーンをはじめ、子育てエコホーム支援事業、先進的窓リノベ2024事業、給湯省エネ2024事業など、幅広い選択肢があります。
これらの補助金を活用することで、環境にも優しいリフォームを実施することが可能です。ただし、申請には複数の注意点があるため、リスクヘッジをしながら計画的に進める必要があります。
また、ワンストップ申請や都道府県の補助金制度を調べることで、より多くの支援を受けられる場合があります。賢く補助金を利用し、2024年にあなたの理想とするリフォームを実現しましょう。
こちらの記事もお役立てください