ふっくらおいしい炊き立てのようなごはんが食べられるおひつ。さらに、おひつで保温したごはんは、冷めてもおいしいという特徴もあります。
最近では、さまざまな機能やデザインのおひつが出ているため、用途やライフスタイルに合ったものを選べるのも嬉しいですよね。
メリットが多い印象のおひつですが、保存可能な期間が短く、素材によってはお手入れが少し大変などのデメリットもあります。
この記事では、おひつのメリットやデメリット、素材別の特徴や注意点についても解説します。おひつを初めて使う方や、購入を迷っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
おひつってなに?
おひつとは、炊き上がったごはんを保温しておくための容器です。
おひつで保温することで、おひつ内の湿度が一定になり、ごはんの水分バランスが保たれます。また、おひつには、冷めても炊き立てのとき同様の水分状態を保っていられるという特性もあります。そのため、冷めても美味しいごはんが食べられるのは、おひつならではのメリットでしょう。
電気炊飯器で保温したごはんは、水分が蒸発しやすく、時間がたつとぱさつきやすくなります。良い水分状態が保たれたごはんは、再加熱しても、ふっくらと炊き立てのような味わいになります。
おひつで保温したごはんは、ハリとツヤに加えて、ふっくら感が保たれるため、時間がたってもおいしいごはんが食べられます。
最近では、さまざまな素材やデザインのおひつが増えており、機能面が充実したおひつもたくさん販売されています。ライフスタイルに合ったおひつを選んで、おいしいごはんを楽しむのもおすすめですよ。
おひつのメリットとデメリット
近年、需要が高まっているおひつですが、メリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、以下であげたメリットとデメリットについて詳しく解説します。おひつの購入を迷っている方は、デメリットも理解した上で、購入するようにしてくださいね。
- メリット|ごはんを美味しい状態に保てる
- メリット|電気代が節約できる
- デメリット|保存できる期間が短い
- デメリット|素材によってはお手入れが大変
- デメリット|置き場所が必要になる
メリット|ごはんを美味しい状態に保てる
おひつを使う最大のメリットは、ごはんを美味しい状態で少しの時間保温できることです。
炊き上がったごはんは、湯気からどんどん水分が出ていってしまう特性があります。炊き上がりのごはんをすぐにおひつに移すことで、ごはんの粗熱を取りつつ、おひつ内の湿度を一定に保つ効果があります。湿度が保たれることで、ごはんの水分バランスを良い状態で維持できますので、冷めてもおいしい上に、再加熱してもふっくらとしたごはんを食べることができます。
メリット|電気代が節約できる
おひつを使うことは、電気代の節約にも繋がります。
多めに炊いたごはんをおひつに移し、その日はおひつからごはんを取り分けて食べることで、炊飯と保温にかかる電気代の節約になります。家族が多く、1日に何度も電気炊飯器を使用していたご家庭などにもおすすめです。
ただし、おひつは長期間の保存には向かないため、24時間以内には食べ切るようにしてくださいね。
デメリット|保存できる期間が短い
おひつを常温で保存できる期間は、涼しい時期でおよそ1日です。冷蔵保存が可能なおひつであれば、冷蔵庫内で2日ほど保存することが可能です。しかし、冷蔵機能が付いていないおひつを冷蔵庫に入れてしまうと、ごはんが硬くなりやすく味の劣化が進むため、あまりおすすめできません。
本来おひつは、ごはんを長期保存するための容器ではありません。炊き上がったごはんをおいしく保ち、食卓で温かいご飯をよそうときなどに活用するものです。
そのため、「ごはんはできるだけ長期保存したい」という方には、あまり向かないかもしれません。
デメリット|素材によってはお手入れが大変
最近は、さまざまな素材のおひつが販売されており、素材によってお手入れの仕方などが異なります。
木製のおひつの場合は、基本的にどの素材も使用後はすぐに水洗いをし、内側についたごはんをたわしやスポンジなどで落としておく必要があります。
木製の中でも、無垢材を使ったおひつの場合、食器用の洗剤や食洗機の使用ができません。水洗いをしたあとは、風通しの良い場所での陰干しが必要になります。
また、木製のおひつは、特性上ヤニと呼ばれる樹脂が浮いてきてしまったり、お米の成分でおひつが黒ずんでしまったり、カビが発生したりすることもあります。そのため、使用後は必ず、たわしやスポンジで洗い、十分乾燥させることが必要になりますので、面倒に感じてしまう方もいるでしょう。
陶器やセラミックなどであれば、通常の食器と同じお手入れが可能です。中性洗剤や食洗機が使える製品も多いため、こまめなお手入れが面倒な方は、陶器やセラミック素材の購入を検討しても良いでしょう。
デメリット|置き場所が必要になる
おひつを新たに購入する際には、炊いたごはんをおひつに移し替える場所や、使用しないときに保管しておく場所も考えておかなければいけません。
広いキッチンやダイニングスペースがあるおうちは問題ありませんが、キッチンスペースなどがあまり広くない場合には、置き場所を新たに確保しなければいけないこともあるでしょう。
最近では、1合用やお茶碗サイズなどのコンパクトなおひつもたくさん出ています。自宅のスペースに余裕がない人は、容量が小さいタイプを検討しても良いでしょう。
【素材別】おひつの特徴と注意点
最近では、木製だけでなくさまざまな素材のおひつが販売されています。使用されている素材によって、おひつの特徴や注意点は大きく異なります。素材ごとの特徴や注意点を理解した上で、用途にあった素材のおひつを選びましょう。
木製の場合
おひつと言われて真っ先に思い浮かべるのは、木製のおひつではないでしょうか。
木製のおひつは、昔から使われている定番素材です。木が持つ調湿機能が、おひつ内部の水分バランスを適切に保ってくれるため、冷めても美味しいごはんが食べられるのが特徴です。
また、木製のおひつは、ごはんにほんのり木の香りが移ります。炊きたてごはんのおいしい香りと、木の香りが混ざりあうことで、ごはんの味をさらに引き立ててくれるでしょう。
木製おひつの注意点は、洗ったあとの急激な乾燥状態を避けることです。直射日光が当たる場所で乾かそうとしたり、食洗機の乾燥を使用したりすると、木が変形してしまう可能性が高くなります。木製のおひつをお手入れする際は、風通しの良い場所で、日陰干しをしましょう。
天然木の場合、保管状態や気候によって、ヤニと呼ばれる特有の樹脂が出てくることがあります。また、汚れやカビで黒ずんでしまうこともありますので、使用後はできるだけ早めに正しい方法でお手入れしてくださいね。
セラミック・陶器の場合
そもそも、セラミックとは、無機物を焼き固めた製品の総称のことを指し、陶器はセラミックの一種となります。
セラミックや陶器の素材は、表面に小さな気孔がたくさんあるため、水分の放湿性や吸湿性に優れています。おひつ内の湿度が一定に保たれますので、水分バランスの良いごはんが保存できます。再加熱しても炊き立てのようなふっくらとしたごはんになり、冷めたごはんでもおいしいのが特徴です。
また、セラミックや陶器は丈夫な素材です。冷蔵庫で使用できたり、電子レンジで加熱できたり、気軽に使えるというメリットがあります。
また、洗剤を使用できるタイプも多いので、通常の食器類と一緒にお手入れができるのも嬉しいですよね。
注意点は、熱伝導に優れているため、温め直しの際に長時間加熱すると、こげついたり、かたくなったりしやすいことです。
電子レンジ対応の場合
冷めたごはんをさっと温め直せるのが便利な、電子レンジ対応のおひつ。再加熱の際に、わざわざ容器を移し替えずに温め直せるのがメリットでしょう。
そのため、忙しい朝でも、ふっくらとしたおいしいごはんが、すぐに食べられるのは嬉しいポイントですね。
電子レンジ対応のおひつは、陶器製やセラミック製のものに多く販売されています。陶器やセラミックはお手入れがしやすいため、おひつの使用頻度が高い方や、忙しくてもおいしいごはんが食べたい方などは、電子レンジ対応機能がついたものだと便利ですよ。
おひつの正しい使い方
ふっくらとおいしいごはんが食べられるおひつ。炊き上がったごはんを移し替えておくだけでもいいのですが、使用する際に一手間加えることで、保温しておくごはんがよりおいしく保てます。
ここでは、おひつの良さをいかし、ごはんのおいしさを引き出す正しい使い方を紹介します。おひつの使い方以外にも、夏場の保存方法や冷蔵庫に入れるタイミングなど、おひつを初めて使う方が疑問を持ちやすい点についても解説します。
おひつの正しい使い方
おひつの正しい使い方は、以下の4つの手順を参考にしてください。
- 炊飯器や土鍋などでごはんを炊きます
- しゃもじを使っておひつにごはんを移しましょう
- さらしやふきんを被せ、10分ほど待ちます
- そのとき食べる分をお茶碗によそったら、蓋を閉めて保存しましょう
ポイントは、ごはんをおひつに移した時に、さらしやふきんを被せておくことです。余分な蒸気をさらしやふきんが吸ってくれるため、おひつ内の水分バランスが保たれ、ハリとツヤのあるふっくらごはんに仕上がりますよ。
もちろん、適当なさらしやふきんがない場合は、すぐに蓋をしても問題ありません。
夏場はどうすればいいの?
おひつの夏場の保存方法について、気になっている方も多いでしょう。基本的には、夏場であっても、おひつでごはんを保存することは可能です。しかし、夏場は保存時間に注意しましょう。
おひつを置いておく環境にもよりますが、夏場に、おひつに入れたごはんをおいしく安心して食べられるのは、半日程度と言われています。
ただし、おひつを置いている場所によっても、保存可能な目安は異なるでしょう。直射日光が当たり高温状態が続く部屋や、湿度が高い部屋であれば半日持たない場合も。夏場は、部屋の環境を考慮した上で、なるべく一度に食べ切れるごはんの量にするなどの配慮をすると安心です。
また、木製のおひつの場合、湿気の多い梅雨時期などは、カビが生えやすいため注意しましょう。
カビを防ぐには、洗ったあと十分に乾かすことが大切です。ごはんをしっかり落とすために長時間水につけたままにしたり、半乾きの状態で使用を繰り返してしまったりすると、カビが発生しやすくなります。
万が一、カビが生えてしまったら紙やすりで擦ってみましょう。黒い部分がなくなるようであれば、そのまま問題なく使用できます。擦っても落としきれない場合には、塩素系の漂白剤を薄めてつけておくこともできます。しかし、漂白剤の濃度が濃いと、木製の色が落ちてしまう可能性があります。漂白剤を使用するときには、濃度に注意が必要です。
冷蔵庫に入れるタイミング
冷蔵保存可能なおひつを、冷蔵庫へ移す最適なタイミングはおひつに移してから、半日以内です。ただし、夏場などでおひつのある部屋の温度や湿度が高い場合には、食事が終わったら、なるべく早く冷蔵庫へ入れましょう。
おひつはもともと、ごはんを長時間保存するための容器ではありません。長い時間常温で保存しておくと、雑菌が繁殖しやすくなり、食中毒の原因になりかねません。
冷蔵保存機能がついていないおひつの場合は、冷蔵庫へ入れるとごはんの味が急速に劣化しますので、極力冷蔵保存は控えましょう。
おすすめのおひつ3選
最近では、おひつの素材やデザインも多様化しているため、用途で選んだり、デザインで選んだり、好みの選び方をすることができます。
ここでは、見た目がおしゃれなだけでなく、便利な機能性を持つおすすめのおひつを紹介します。おひつ選びに悩んでいる方は、参考にしてみてくださいね。
「枡のおひつ」
見た目もおしゃれな枡のおひつ。木製ながらも使い勝手がよく、手入れがしやすいのが特徴です。電子レンジの使用も可能なので、忙しい方でも気軽においしいごはんが食べられますよ。
枡のおひつは、ごはんがつきにくいよう内側がコーディングされています。洗う際にごはんが簡単に落とせるので、ストレスなくお手入れできるのも嬉しいですね。
また、コンパクトなサイズなので、電子レンジで再加熱したあとは、お茶碗に入れ替えずそのまま食べられるのもポイント。
おしゃれなお茶碗代わりになる上に、洗い物も少なく済むのは助かりますよね。ほんのり漂うひのきの香りも、ほっと癒される食事タイムを演出してくれますよ。
冷凍ご飯を“炊きたて”のようにおいしく食べられる「枡のおひつ」
「IWANO 日本製おひつ」
日本製の陶器で作られた、IWANOのおひつ。スタイリッシュでおしゃれなデザインが特徴です。日本製おひつは陶器製です。陶器は、おひつ内の水分バランスを一定に保ちながら、空気の排出や吸収をコントロールする特性があります。そのため、翌日でも炊きたてのようなおいしいごはんが食べられますよ。
電子レンジに対応していて、おひつのままレンジで温め直しができます。忙しい方でも、手軽に使えて便利です。さらに、直火やオーブンの使用も可能なので、ごはんの保温だけでなく、おひつを使ってリゾットやスープなどを簡単に作ることもできますよ。
食べたあとは、食洗機で洗うこともできるので、お手入れが簡単なのも嬉しいですね。
日本製おひつ
「無印良品 おひつとしても使える土釜おこげ」
無印良品で販売されている「おひつとしても使える土釜おこげ」は、名前の通り、土釜でごはんを炊いたあとは、おひつとしてごはんが保温できる製品です。
炊き上がったごはんを、電気炊飯器や土鍋などからおひつに移す手間もないため、1台2役で便利なのが特徴です。
さらに、直火で手軽に炊飯できるのもポイントです。通常、土釜や土鍋で炊飯する際は、微妙な火加減調節が必要になりますが、こちらの製品は炊飯途中で火加減調節をする必要がありません。お米を研いで、水に浸したあとは中火で17分ほど火にかけて待つだけです。
そのため、土釜や土鍋初心者でも失敗することなく、ごはんを炊き上げることができますよ。炊いたあとは、そのままおひつとして保温しておけばOKです。
炊飯から保温までが1台でできるので、洗い物を増やしたくない方や、ごはんをおひつに移し替えるのが面倒に感じる方にも、おすすめです。
土釜おこげ
「萬古焼 陶器おひつ」
萬古焼は、江戸時代から続く伝統的な焼き物です。
「萬古焼陶器おひつ」は、四日市の萬古焼職人が作ったセラミック製のおひつです。見た目が上品なだけでなく、直火や電子レンジによる再加熱もできるため、機能性もしっかり備わっているのが特徴です。
萬古焼陶器おひつは、温め直した際に陶器に吸収されていた水分が、おひつ内に放出される仕組みになっています。そのため、再加熱しても炊きたてのようなふっくらとしたごはんに仕上がります。
また、持ち運びしやすい取っ手付きです。取っ手部分は、ほとんど熱くならない仕様になっているので、加熱後にそのまま素手で持ち運べるのも便利ですよね。
萬古焼おひつ
まとめ|おひつのデメリットも理解して、ライフスタイルに合ったおひつを選ぼう
ごはんを美味しく保温できるだけでなく、電気代の節約にもなるおひつ。しかし一方で、保存可能な期間が短い、素材によってはお手入れが大変などのデメリットもあります。
おひつの購入を検討している人は、デメリットもしっかり理解した上で、用途やライフスタイルに合ったおひつを選んでくださいね。