パネルからの放射熱と輻射熱で部屋の空気を暖めるパネルヒーター。「電気代が高い」「部屋全体が暖まらない」などといわれていますが、はたして本当なのでしょうか。
今回は、パネルヒーターのデメリットとその対策について紹介します。メリットも紹介するので、他の暖房器具とどういった点が違うのか比較してみてください。
目次
パネルヒーターとは！温水タイプやセントラルヒーティングとの違いを解説
パネルヒーターとは、パネル内に埋め込まれた電熱線を発熱させることで部屋の空気を暖める暖房器具です。灯油などの燃料を必要とせず、コンセントにつないで使うことができますよ。
パネルヒーター以外にもさまざまな暖房器具があり、中でも温水タイプの温水ルームヒーターとセントラルヒーティングを、パネルヒーターと混合してしまう人が多いようです。
温水タイプとは温めたオイルの放熱を利用して空間を暖める暖房器具で、セントラルヒーティングとは給湯器熱源装置から各部屋に熱を送り届ける暖房器具です。見た目は似ていますが、それぞれ熱の供給源が異なります。
温水タイプとセントラルヒーティングの仕組み
- 温水タイプ（温水ルームヒーター）：ボイラーなどで温めた温水でパネルをあたためる仕組み
- セントラルヒーティング：一箇所に給湯器熱源装置を設置し、各部屋のラジエーターへ届ける仕組み
温水タイプは、温水パネルヒーターと呼ばれることがあります。混合してしまわないよう、購入する際は気になる商品の仕組みや燃料の供給方法などをしっかり確認しましょう。
パネルヒーターのデメリット4つ
パネルヒーターには、主に以下4つのデメリットがあります。
部屋の広さやライフスタイルによってはパネルヒーターではなくエアコンや電気ストーブなどの暖房器具を使用したほうがいい場合もあります。パネルヒーターの購入を検討している人は、チェックしてくださいね。
- 暖まるまでに時間がかかる
- 部屋全体を暖めるほどのパワーはない
- 掃除のときの移動が面倒に感じる
- 電気代が高い
後ほどパネルヒーターのメリットも紹介するので、記事の後半もぜひ参考にしてくださいね。
暖まるまでに時間がかかる
パネルヒーターは、パネルがあたたまっても周辺温度がすぐに上昇するわけではありません。速暖性が低く、部屋を暖めるまでに時間がかかってしまい、その分電気代も高くなります。
早朝や帰宅後、すぐに部屋を暖められる暖房器具が欲しい人に、パネルヒーターは不向きといえるでしょう。
部屋全体を暖めるほどのパワーはない
パネルヒーターのサイズや出力数にもよりますが、多くのパネルヒーターは部屋全体を暖めるほどのパワーはありません。狭い部屋に置いたり、スポット暖房として活用したりすることをおすすめします。
しかし、パネルヒーターの中には対応畳数が6〜10畳のものもあります。たとえば、DeLonghiのコンベクターヒーターやElectroluxのQuickheat700パネルヒーターなどです。ともに最大消費電力は1200Wで、置き場所などを工夫すれば部屋全体を暖められるでしょう。
後ほどパネルヒーターの効率を上げる方法を紹介するので、ぜひチェックしてくださいね。
掃除のときの移動が面倒に感じる
パネルヒーターの多くは床置きタイプで、掃除をするときに邪魔になることがあります。特にサイズの大きなパネルヒーターだと、移動させる手間だけでなく、持ち上げるとき腰に負担がかかってしまうこともあるでしょう。
なるべく掃除の手間を減らして部屋全体をスッキリさせたいなら、壁掛けタイプのパネルヒーターを選ぶことをおすすめします。幅60cm以上の大型タイプで壁付けできるパネルヒーターも販売されています。
「移動がラクになれば問題ない」という人は、取っ手やキャスター付きタイプのパネルヒーターを選びましょう。移動時のストレスを軽減させることができますよ。
電気代が高い
使用時間や出力数によって変わりますが、大型サイズのパネルヒーターは、エアコンなどの暖房器具よりも電気代がかかります。
というのも、エアコンは設定温度に達したら、消費電力をグンと下げて稼働させることができるからです。さらに、パネルヒーターと比較して最小消費電力は極めて低いのです。
一方大型サイズのパネルヒーターは、最大消費電力がエアコンより低いものの最低消費電力が高く、比較的高い出力数で稼働します。
| 暖房器具の種類 | 出力Ｗ数 | 1時間当たりの電気代 |
|---|---|---|
| 大型サイズのパネルヒーター | 0.6～1.2KW | 18.6～37.2円 |
| エアコン | 0.165W～1.3KW | 5.1～40.3円 |
| 電気ストーブ | 0.45～1.2KW | 13.95～37.2円 |
| 石油ストーブ（1L120円） | 約0.26L（燃料消費量） | 約31.2円 |
部屋全体を暖めるのに大型サイズのパネルヒーターを使用すると、1ヶ月あたりの光熱費は石油ストーブよりも安く済みますが、エアコンや電気ストーブよりも高くなってしまうでしょう。
自分が今いる周辺の空気だけを暖めたいなら、小さいサイズのパネルヒーターを選んでみてはいかがでしょうか。小さいサイズのパネルヒーターの出力W数は200W程度で、電気代は1時間あたり5〜10円です。電気代を節約することができますよ。
大きめのパネルヒーターを効率良く使う方法は後ほど紹介するので、ぜひチェックしてくださいね。
パネルヒーターの効率を上げる方法3つ！
パネルヒーターは「部屋全体を暖めるには時間がかかる」「電気代が高い」といったデメリットがあります。しかし、以下の方法を用いれば、デメリットをカバーしつつ、パネルヒーターが持つ本来の機能を存分に発揮することができます。
- 他の暖房器具と併用する
- 窓際に設置する
- 設定温度を上げ過ぎない
上記3つのパネルヒーターの効率を上げる方法を紹介します。
他の暖房器具と併用する
パネルヒーターは、パネルの熱が放出されて空間が暖まるまでに時間がかかります。速暖性が期待できるエアコンや電気ストーブを併用すれば、部屋が暖まるスピードが速くなり、パネルヒーターだけでは頼りなかった暖房効果も上がるでしょう。
パネルヒーターとその他の暖房器具を併用すると、もちろん電気代は高くなってしまいます。併用する暖房器具の設定温度を通常よりも下げることで、電気代を節約できますよ。
窓際に設置する
パネルヒーターを窓際に設置し、窓から侵入する冷気をシャットアウトしましょう。「室内がなかなか暖まらない」「電気代が高くなってしまう」といった難点は、設置場所を工夫するだけでカバーできますよ。
また、室内外の寒暖差で窓ガラスに結露が発生しやすくなりますが、パネルヒーターを窓際に置くことで窓ガラスが暖められ、結露の発生を防ぐことができます。結露が発生しない環境をつくることができれば、同時にカビ対策にもなりますよ。
設定温度を上げ過ぎない
設定温度を上げ過ぎると、無駄に電力を使って電気代が高くなってしまいます。電源を付けた直後は最大消費電力で空間を一気に暖め、ある程度部屋が暖まってきたら設定温度を下げましょう。
パネルヒーターにはさまざまな種類のものがありますが、2段階調整機能タイプではなく、1度単位で温度を設定できるタイプを選ぶと良いですよ。
また、部屋の温度を感知し、暖まった時点で自動的に電源を切ったり出力数を抑えたりする機能が搭載されているパネルヒーターもおすすめです。電気代を抑えつつ、部屋をしっかり暖められるパネルヒーターをチョイスしてくださいね。
パネルヒーターのメリット4つ
パネルヒーターはデメリットばかりではありません。エアコンや電気ストーブと比較して使いやすい点がたくさんあります。
- 空気が乾燥しにくい
- 安全性が高い
- 足元を暖めるなどスポット暖房に向いている
- 手入れがラク
上記4つのメリットを紹介します。
空気が乾燥しにくい
パネルヒーターは、輻射熱を利用し部屋を暖める暖房器具です。エアコンのように風が出ないため、長時間使用しても空気が乾燥することはありません。エアコンの使用による肌の乾燥に悩んでいる人には、うってつけの暖房器具でしょう。
また、パネルヒーターにはファンが備え付けられていないため、稼働による動作音が気になりにくい点もメリットとして挙げられます。
安全性が高い
火を使わずに電磁波で空気を暖めるパネルヒーターは、火が燃え移って火事になるリスクが低い暖房器具です。パネル部分も高温になりにくく、安全性の高さでいえば、どの暖房器具にも引けを取らないでしょう。
灯油を使った暖房器具が使えない賃貸住宅に住んでいる人や、小さな子供やペットがいるご家庭におすすめですよ。
足元を暖めるなどスポット暖房に向いている
パネルヒーターには、さまざまな種類があります。中でも、折りたたみタイプやマグネットタイプは、足元などのスポット暖房に向いています。
狭い空間だけを暖めるのであれば低電力運転で済むので、電気代も抑えられます。デスクワーク中や食事中の足元の冷えに悩んでいる人などにおすすめですよ。
手入れがラク
パネルヒーターは凹凸が少なく、表面をサッと拭きあげるだけでほこりを取ることができます。エアコンのようにフィルターを取り外して洗浄する必要もありません。
掃除が苦手な人や定期的な掃除をつい忘れがちな人は、パネルヒーターを選んでみてはいかがでしょうか。
まとめ｜パネルヒーターは電気代が高くなりやすいが安全性が高く空気が乾燥しにくい
パネルヒーターはエアコンよりも電気代が高く、部屋全体が暖まりにくいデメリットがあります。しかし、他の暖房器具と併用することで電気代を抑えたり効率良く部屋を温めたりすることができます。
また、パネルヒーターにはたくさんのメリットがあります。たとえば、空気が乾燥しない・火を使わないので安全性が高いなど。エアコン使用時の乾燥に悩んでいる人や、子供やペットがいて安全性の高い暖房器具を使用したい人にぴったりです。
パネルヒーターの購入を検討している人は、今回紹介したメリットとデメリットを比較してみてくださいね。
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