ヒーターベストは、モバイルバッテリーを熱源として発熱するベストです。寒い季節に頼りになる防寒着として、近年熱い注目を集めています。ヒーターベストの種類や選ぶときのポイント、さらにはタイプ別におすすめのヒーターベストを紹介します。
目次
ヒーターベストの特徴とは?
ヒーターベストは、『電熱ベスト』などとも呼ばれます。どのような特徴があるのか、詳細を見ていきましょう。
ヒーターが内蔵されたベスト
ヒーターベストは、電気の力で発熱する発熱体を内蔵したベストです。スイッチを入れるとベストそのものが温かくなり、外の気温に左右されずに温かさをキープできます。
これまで防寒用のベストとしては、インナーダウンなどがありました。しかしインナーダウンは温もりをキープするアイテムで、ベスト自体が発熱するものではありません。温かさという点では、ヒーターベストに軍配が上がります。
さまざまなシーンで活躍
ヒーターベストは、冬の屋外での活動に重宝します。
例えば、釣りやロードバイク・ツーリング・キャンプなどは、気温の低さがこたえる趣味です。いつもの装備にヒーターベストをプラスすれば、屋外で寒さに凍えることは無くなります。
通勤中の寒さに辟易している人は、スーツやコートの下にヒーターベストを仕込むのもよいでしょう。冬の朝は、寒いだけで憂うつな気分になるものです。ヒーターベストで室内と同じ温かさを維持できれば、真冬の通勤のハードルも下がります。
このほか、暖房費を節約したい人・家の中が寒くて困っている人も、ヒーターベストの着用で悩みを解決しやすくなるはずです。
ヒーターベストの種類
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ヒーターベストは、アウタータイプとインナータイプがあります。それぞれどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
アウタータイプ
アウタータイプは、コーデの1番外側に着用します。ベストに中綿が入っていたり、高い襟やフードが付いていたりと、防寒性が高いのが特徴です。
見た目的には、中綿が入ったベストやダウンベスト・フリース仕様のモコモコベストなどをイメージすると分かりやすいでしょう。
アウタータイプがおすすめなのは、アウトドアでの活動シーンです。気温の低い季節に屋外で活動するときは、防寒性の高いアウタータイプのヒーターベストが重宝します。
インナータイプ
インナータイプのヒーターベストは、いわゆるインナーダウンなどと同じ作りです。薄手でかさばらず、コートやジャケットの下に着用できます。襟がなかったり首元の開きが広かったりするものも多く、コーデの内側に着用するのに最適なデザインです。
インナータイプのヒーターベストは、通勤からプライベートなお出かけまで幅広く使えます。極薄タイプならシルエットや見た目に影響しないため、手持ちのアウターにそのままプラスできるでしょう。
ヒーターベストの人気メーカー
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ヒーターベストを販売するメーカーはたくさんあります。その中でも、特に人気の高いメーカーを見ていきましょう。
マキタ
マキタは、愛知県に本拠地を置く総合電動工具メーカーです。質の高い工具・器具で知られるメーカーで、自社バッテリーを使用した高性能なヒーターベストをリリースしています。
厳しい冬の現場作業を想定して作られたヒーターベストは、動きやすさや温かさに配慮された本格派です。連続使用可能時間が20時間を超えるモデルや、プラス10度の温かさを実現できるモデルなど、実用性の高いアイテムがそろっています。
ファッション性よりも機能性・信頼性を重視する人には、マキタのヒーターベストが最適な選択肢となるでしょう。
ワークマン
群馬県に本拠地を置くワークマンは、現場作業員のためのアイテムが充実しているメーカーです。近年は現場用の高機能&高コスパアイテムに注目する女性が増えていて、「ワークマン女子」なる言葉も生まれました。
ワークマンのヒーターベストは、温かさはもちろんのこと、撥水加工が施してあったり豊富なポケットがあったりと使い勝手に配慮されている点が魅力です。
ヒーターベスト以外にヒーターパンツなども販売されているため、特に寒い日は全身ワークマンでコーデするのもおすすめです。
バートル
バートルは、広島に本拠地を置く作業着・ユニフォームメーカーです。サステナビリティを重視したアイテム作りを徹底しており、機能性・デザイン性はもちろん、素材にまでこだわったアイテムが豊富にラインアップされています。
バートルのヒーターベストは、『サーモクラフト』と呼ばれる電熱パッドを入れて使用します。ヒーターが不要なときは簡単に取り外せる上、バートルの他のジャケットなどにも使い回しが可能です。
現場仕様の本格的なヒーターベストをスタイリッシュに着こなしたい人は、好みのものが見つかるでしょう。
ヒーターベストの選び方
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使い勝手のよいヒーターベストを選ぶには、ヒーターベストの仕様や機能をきちんとチェックすることが必要です。後で「しまった!」と言わずに済むために、押さえておきたいポイントを紹介します。
温まる位置を確認
ヒーターベストは、メーカーやアイテムごとに温まる場所が異なります。ヒーターユニットがどこに配置されているのかをチェックしましょう。
一般的なヒーターベストがカバーするのは、背中・お腹の一部です。より温め効果の高いものなら、首や腰までカバーするものも見つかります。
注意点は、設置されているヒーターユニットが多いほど価格も高価になる点です。温かさとコストのバランスを考え、どの程度の温かさが必要か考えましょう。
極寒の屋外で使うなら、ヒーターユニットが広範囲に設置されているものが安心です。一方、家の中のみの使用なら、体の一部だけが温まるタイプでも特に不足は感じないでしょう。
温度調整機能の有無
ヒーターベストに温度調節機能があれば、外気温や体感温度に合わせて温かさを調整できます。
温度調節機能のチェックポイントは、『何段階に調節可能か』という点です。一般的なタイプなら3~4段階、よりハイスペックなモデルなら5段階以上の調節機能が付いているものがあります。
温度調節機能の有無は、快適な使用感に関わるほか、低温やけどのリスクにも影響します。ヒーターベストのヘビーユース・ハードユースを想定している場合は、温度調節機能のあるタイプがおすすめです。
手入れのしやすさも重要
ヒーターベストは、家庭で洗えるものと洗えないものがあります。ヒーターベストを選ぶ際は、ヒーターベストの洗濯表示を確認しましょう。
家庭で洗濯できないヒーターベストを購入すると、都度クリーニングに出さなければなりません。汚れたときにすぐに対処できず、ストレスになる恐れがあります。
特にアウトドアシーンでヒーターベストを使用する場合は、思い掛けず汚れることもあるものです。手軽に手洗い・丸洗いできるものの方が、不安なく綺麗に使えます。
バッテリーのタイプもチェック
ヒーターベストは、バッテリーを内蔵しているものとしていないものがあります。バッテリーの有無は使い勝手に直結するため、どちらのタイプを選ぶか考えましょう。
バッテリーを内蔵しているタイプは、別途バッテリーを用意する必要がありません。購入後すぐに使えますが、バッテリーなしのタイプよりも高額です。
一方、バッテリーが付属しないタイプは、モバイルバッテリーを準備する必要があります。手持ちのモバイルバッテリーも使えますが、規格が合うかどうかが重要です。ヒーターベストを購入する前に、モバイルバッテリーとの相性を確認しましょう。
アウタータイプのヒーターベスト
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アウタータイプのヒーターベストは、温め効果が高いものが豊富です。寒さの厳しい屋外でも使用しやすい、アウタータイプのヒーターベストを紹介します。
フィラ ヒーター付き裏フリースボアベスト
人気スポーツブランド・フィラのフリース製ヒーターベストです。自宅で手洗い可能なため、手入れの手間はありません。高い襟が付いたおしゃれなヒーターベストは、ヒーターベストのルックスにもこだわりたい人にぴったりです。
ヒーターユニットは背中と腰回りに付いており、外気温や気分に合わせて3段階に調節できます。温度は約40・45・50度に設定でき、発熱は約3~7時間続きます。
スイッチをオンにすれば数秒で温かさを感じられるため、寒い日の朝などは特に重宝するアイテムです。ただし、バッテリーは付属していないため、自分で用意しましょう。
フィラ ヒーター付き裏フリースボアベスト
ミズノ 発熱ベスト 男女兼用
アウターとしてはもちろん、インナーとしても活用できるヒーターベストです。断熱層には、人体の水蒸気に反応して発熱する『ブレスサーモ』が使用されています。生地の表面には撥水加工も施してあり、屋外や悪天候下でも体は常に快適です。
ヒーターユニットは、特に寒さを感じやすい首筋と背中に配置されています。温度は3段階で調節でき、温まるまではわずか10秒ほどしかかりません。温度設定が「弱」で使用すると、7.5時間も温もりが続きます。
家庭での手洗いも可能で、気軽に着用しやすいヒーターベストです。軽量で使いやすいバッテリーが付属しており、別途購入の必要はありません。
ミズノ 発熱ベスト 男女兼用
イーブンリバー エレクサーモ ヒートベスト
背面に電熱ヒートパネルを配置した、中綿入りのヒートベストです。素材として高い熱伝導性を持つカーボンナノチューブが使われており、ベスト全体に速やかに熱が行き渡ります。起動から過熱までは約1秒と短く、すぐに温まりたいときも安心です。
温度は3段階に調節でき、約5~8時間連続使用できます。中・強で使用した場合は約3時間で自動的に弱へと切り替わるため、過熱し過ぎる心配はありません。
手入れは、石けん水での拭き取りが推奨されています。洗濯機・乾燥機の使用はできないので、注意が必要です。
イーブンリバー エレクサーモ ヒートベスト
インナータイプのヒーターベスト
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インナータイプのヒーターベストをアウターの下に仕込めば、カイロを用意したり厚着をしたりする必要はありません。寒い季節のお出かけが楽しくなる、おすすめのヒーターベストを紹介します。
ロゴス ヒートユニット ベスト
上質なキャンプギアで人気を集めるロゴスからは、バッテリー別売りのヒーターベストがラインアップされています。
ヒーターベストは、高温モードなら約2時間、中温モードなら約3時間、低温モードなら約6時間発熱可能です。使用が1時間を超えると自動で電源が切れる安全装置が付いているため、低温やけどの不安なく使えます。
ヒーターベストの素材は、薄く軽量なポリエステルです。首元が詰まりすぎていないデザインで、アウターの下に着用しても目立ちません。
「温かくしたいけれど着ぶくれは避けたい」というときに強い味方となるでしょう。手入れの際は、アウターのみ手洗い可能です。
ロゴス ヒートユニット ベスト
山善 ヒーターベスト
発熱体に東レのカーボンファイバーを使ったヒーターベストです。発熱カ所は前面2カ所・背面3カ所あり、温かさのムラができにくく作られています。バッテリーは付属しているため、別途購入の必要はありません。
3段階の温度調節機能が付いており、高なら約3時間・中なら約3.5時間・低なら約4.5~5時間発熱します。内蔵センサーが自動で温度を調節するため、暑くなることはありません。自分で温度をコントロールしたいときは、ボタンを押すだけでOKです。
家庭で手入れする場合は、手洗いのみ対応しています。付属品等を外し、USBコードにキャップをするのを忘れないようにしましょう。
山善 ヒーターベスト
洗濯可能なヒーターベスト
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屋外で使ったり使用頻度が高かったりする場合は、家庭で洗濯可能なヒーターベストが安心です。手入れの手間が少ない、人気のヒーターベストを見ていきましょう。
サンアート 充電式ヒーター内蔵電熱カジュアルニットベスト
外生地にはニット素材が使われており、家庭での洗濯が可能です。バッテリーと充電器が付属しており、購入したその日から心地よい温かさを楽しめます。
ヒーターベストの特徴は、襟全体にマイクロファイバー素材が配置されている点です。発熱体は背中・腰にまで伸びているため、スイッチを入れれば首・背中・腰までしっかりと温めることが可能です。
また胸元には光るヒートスイッチが付いていて、ワンタッチで温度調節できます。連続発熱時間は、弱なら約7時間・中なら約4.5時間・強なら約3時間です。
ヒートスイッチは温度に合わせて色が変わるため、どのモードで使っているのかが一目で分かります。
サンアート 充電式ヒーター内蔵電熱カジュアルニットベスト
アイリスオーヤマ リバーシブルヒートベスト
家庭での水洗いに対応する、リバーシブルタイプのヒーターベストです。表はポリエステル・裏はフリースで、それぞれ異なるテイストを楽しめます。
発熱体は、薄く軽量なカーボンナノチューブヒーターです。首の下・左右ポケットの3カ所に配置されており、スイッチを入れてから30秒で発熱が始まります。
ヒーターベストの右脇には1~4の温度調節ボタンが付いており、天候や体感温度に合わせて温度調節できます。発熱時間は、最も温度の低いレベル1で使用した場合は約8時間、最も温度の高いレベル4で使用した場合は約3時間です。
連続使用が3時間を超えると自動でオフになるため、オーバーヒートの心配はありません。使用の際は、別売りの専用バッテリーが必要です。
アイリスオーヤマ リバーシブルヒートベスト
ドウシシャ ウェアラブルヒーター ベスト
手入れの手間が少ない、洗濯機で丸洗いできるヒーターベストです。汚れを気にせずに使えるため、ヘビーユースを想定している人には最適な選択肢となるでしょう。
ベストの表地はポリエステル、裏地はフリース素材です。発熱体は背中に付いており、洗濯するときは外せます。アウターに響きにくい丸襟デザインは、コートやジャケットなどにインして使うのに最適です。
ヒーターベスト使用中の温度は、強・中・弱のいずれかに設定できます。強なら約3.5時間、中なら約4時間、弱なら約6時間の発熱が可能です。
軽量バッテリーが付いているので、すぐに使用できます。
ドウシシャ ウェアラブルヒーター ベスト
Bemega 電熱ベスト
家庭での手洗い、または洗濯機での洗濯に対応するヒーターベストです。表地は起毛したフリースが使われており、そのままでも防寒着として着用できます。
ヒーターベストを温めるのは、炭素繊維の発熱体です。四つの発熱体は首・背中・腹部に配置されており、前後から体を温めてくれます。一つ一つのサイズが大きく、広い範囲をカバーできるのが魅力です。
胸元のロゴマークは温度調節ボタンになっていて、押すだけで温度調節できます。調節のレベルは弱・中・強があり、設定によってボタンの色も変わる仕組みです。なお、バッテリーは別売りのため、別途用意しなければなりません。
Bemega 電熱ベスト
コスパが優れたヒーターベスト
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「まずはお試しで使ってみたい」という人は、コスパ重視でヒーターベストを選んでもよいでしょう。5,000円以下で購入できる、おすすめのヒーターベストを紹介します。
AIRFRIC 電熱ベスト
背中・お腹・腰に裏起毛素材が使われていたり、中綿が入っていたりと、温かみのあるヒーターベストです。
発熱体はお腹側に2枚、背中・首に各1枚設置されています。温度調節ボタンは前面用・背面用の二つがあり、内側だけ温めたり外側の温度を上げたりといった細やかな温度設定が可能です。
高温設定にすると最高で65度まで温かくなるため、寒さが厳しい時期の屋外作業・スポーツ観戦などに最適です。
防水ファスナーが付いていて、外部からの水気を寄せ付けにくくなっています。洗濯機のソフトコース・手洗いコースが使えるため、手入れも簡単です。
AIRFRIC 電熱ベスト
ヒーターベスト 男女兼用
ネックの形状を選べるヒーターベストです。ラウンドネックはそのままアウターとして、開きの深いVネックはアウターの下になど、用途に合わせて選べます。
外生地にはウエットスーツの生地が使われており、熱をキープしやすい仕様です。背面3カ所と前面2カ所に、炭素繊維製の発熱体が使われています。
個々の発熱体は面ファスナーで取り付けられているため、取り外しが必要なときも手間がかかりません。温度調整は3段階あり、気候や気分に合わせて温かさを調節しやすいのが魅力です。
ヒーターベスト 男女兼用
ヒーターベストを使う際の注意点
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ヒーターベストは寒い冬に頼りになる存在です。しかし使用上の注意を怠ると、やけどやケガのリスクが高まる点には注意しましょう。ヒーターベストを使う際に、気を付けたいポイントを紹介します。
低温やけどに気を付けよう
ヒーターベストで気を付けたいのが、低温やけどのリスクです。低温やけどとは、温度の低い熱源に長時間触れることで発生するやけどです。
症状を自覚しにくいのが特徴で、気付いたときには皮ふの奥深くまでやけどが進行しています。皮ふの変色や壊死が見られた場合は、早急な処置・手術が必要となるでしょう。
ヒーターベストによる低温やけどを防ぐポイントは、同じ部位に熱を当て続けないことです。熱さを感じたら小まめに温度調節を行い、皮ふへの負担を減らしましょう。
熱さを感じない場合でも、『数時間使用したら電源をオフにする』を心掛けるのがベターです。
発熱・発火による事故の危険性も
ヒーターベストはモバイルバッテリーを熱源とする性質上、バッテリーのトラブルによる発火や加熱事故も懸念されます。ヒーターベストを安全に使用するためには、バッテリーに負担を掛けすぎないことも大切です。
『長時間使用しない』『熱くなったり膨らんだりといった異変が見られたら、すぐに使用を中止する』『強い衝撃を与えない』などの点を徹底するのがおすすめです。
また、自分でモバイルバッテリーを購入する場合は『PSEマーク』があるかどうかもチェックしましょう。PSEマークは、国が定める安全基準を満たしている電気用品に付与されます。PSEマークがある製品は、一定の安全性が確保されていると考えられます。
寒い季節にぴったりのヒーターベスト
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ヒーターベストは、発熱体が内蔵されているベストです。モバイルバッテリーを熱源とし、いつでもどこでも快適な温かさをキープできます。インナー用・アウター用があるので、用途や使うシチュエーションを考慮して選びましょう。
ヒーターベストがあれば、寒い季節の外出やアウトドア・アクティビティも苦になりません。室内で使用すれば暖房費の節約にもつながり、メリットは豊富です。お気に入りを見つけて、気温の低い季節を快適に過ごしましょう。