宅地建物取引士、FP2級保有 不動産・建設会社の土地有効活用のコンサルティング営業を6年担当。現在は不動産や建設業界の知見を活かした不動産や金融ジャンルのライターとして活動しています。
「浴室のリフォームに使える補助金や補助金ってあるの?」「もらえる金額はいくら?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、浴室のリフォームに関する補助金について
- どのような補助金や補助金の制度があるのか
- どのような人が対象になるのか
- 申請の流れ
について、体系的に紹介します。
場合によっては100万円以上の補助金をもらえる可能性もありますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
【2023年度最新版】お風呂のリフォームで使える補助金がある!対象者や金額はいくら?
浴室のリフォームに使える補助金があることをご存じでしょうか。
国や自治体から出る制度が以下の4つです。
- こどもエコすまい支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 障害者や高齢者が利用できる介護保険の住宅改修
- 各自治体の補助金
補助金を利用することで、使いやすい浴室になるだけでなくリフォーム費用の一部が戻ってくるため、ぜひ活用したいところです。
制度の概要について整理しておきましょう。
こどもエコすまい支援事業
「こどもエコすまい支援事業」は、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい若者夫婦世帯や子育て世帯が省エネ性能が高い新築住宅を取得する際や、省エネの改修工事等を実施する際に補助金を受け取れる制度です。
対象者と条件①
「こどもエコすまい支援事業」の補助金を受ける場合は、3つの条件を満たす必要があります。
- 新築注文住宅の建築主であること
- 新築分譲住宅の購入者であること
- リフォーム工事の工事発注者であること
「リフォーム工事の工事発注者であること」については、住宅の省エネ改修や住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等が対象になります。
対象者と条件②
「新築注文住宅の建築主であること」と「新築分譲住宅の購入者であること」について、必須条件として以下2つのいずれかを満たす必要があります。リフォームに関しては、世帯に関する条件はないので、混同しないよう留意してくださいね。
- 若者夫婦世帯であること
「若者夫婦世帯」とは、補助金の利用を申請する時点で夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降に生まれている世帯を指します。
ただし、令和5年3月31日までに工事着手する対象物件については、いずれかが1981年4月2日以降に生まれている必要がありますので、注意しましょう。
- 子育て世帯であること
「子育て世帯」とは、補助金の利用を申請する時点で子どもがいる世帯を指します。
子どもの年齢にも制限があり、2004年4月2日以降に生まれた子どもである必要があります。
ただし、令和5年3月31日までに工事着手する対象物件については、2003年4月2日以降に子どもが生まれている必要がありますので、注意しましょう。
補助金の額
「新築注文住宅の建築」と「新築分譲住宅の購入」の補助金は、1住戸あたり100万円が上限となっています。
「リフォーム工事」の補助金は、工事内容や工事発注者によって金額が変動しますが、1住戸あたり最大60万円の補助金を受けることができます。
工事内容や工事発注者の属性について、詳しくはこちらを確認しましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、二酸化炭素の排出を抑制するためのリフォーム工事をする際に補助金を受け取れる制度です。
対象者と条件①
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を受ける場合は、4つの条件を満たす必要があります。
- リフォーム工事前に建物状況調査を行い、維持保全計画とリフォームの履歴を作成すること
- リフォーム工事後に住宅性能に係る評価基準に則った性能基準を満たすこと
- 性能項目基準を満たした工事のうちいずれかを行うこと
- 国交省が定める住戸の面積や居住環境などを満たすこと
「リフォーム工事前に建物状況調査を行い、維持保全計画とリフォームの履歴を作成すること」については、既存住宅状況調査技術者が実施するものが対象になります。
自分で作成したものでは対象外になりますので、注意してください。
対象者と条件②
「リフォーム工事後に住宅性能に係る評価基準に則った性能基準を満たすこと」については、以下の3つが必須条件として挙げられています。
- 劣化しにくい建物か
- 地震に強い建物か
- 省エネ対策ができているか
浴室のリフォーム工事だけでは対象にならないので、断熱改修工事や耐震改修工事などと合わせて工事を実施する必要があります。
対象者と条件③
「性能項目基準を満たした工事」とは、以下の5つが該当します。
- 性能向上をするためのリフォーム工事
- 三世代の同居に対応した改修工事
- 子育て世帯向けの改修工事
- 防災性を向上するための改修工事
- レジリエンス性能を向上するための改修工事
ご自身の家がどれに当てはまるかを確認しておきましょう。
補助金の額
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金は、原則1戸あたり100万円が上限となっています。
ただし、以下の条件を満たす場合には最大250万円まで補助金の上限が引き上げられます。
- 長期優良住宅(増改築)認定を取得した場合
- 三世代の同居に対応した改修工事をする場合
- 子育て世帯または既存住宅の購入者が改修工事する場合
- 一次エネルギー消費量が基準値から20%減される場合
令和5年度から、申請タイプ別に予算が設けられるようになったため、該当する人は早めに申請しましょう。
障害者や高齢者が利用できる介護保険の住宅改修
障害者や高齢者が使える「介護保険の住宅改修」は、要介護や要支援と認定された人がバリアフリー工事などの対象になる工事をする際に補助金を受け取れる制度です。
対象者と条件①
「介護保険の住宅改修」の補助金を受ける場合は、3つの条件を満たす必要があります。
- 要介護や要支援と認定され、自宅で生活している人
- 要介護や要支援と認定された人が住んでいる家であること
- 対象になる改修工事を行うこと
要介護や要支援の認定申請中に改修工事を実施することはできますが、補助金は認定された後に支給されます。
また、「要介護や要支援と認定された人が住んでいる住宅であること」について、新築や増改築の工事は対象外になりますので、注意しましょう。
対象者と条件②
「対象になる改修工事を行うこと」について、補助金の対象になる工事は以下の6つです。
- 手すりを取り付ける工事
- 各部屋の間などの段差を解消する工事
- 滑り止めや移動しやすくするための床材変更の工事
- 引き戸への取替え工事
- 洋式便器等への取替え工事
- ①~⑤の工事に必要な付帯工事
ご自身が行いたい改修工事があるか確認してくださいね。
補助金の額
「介護保険の住宅改修」の補助金は、原則ひとり1回のみの支給で、20万円が上限となっています。
ただし、要介護状態が3段階上昇した際や引っ越しをした場合については、再度20万円の補助金を受け取ることができます。
また、一つの住宅にふたりの被保険者がいる場合は、40万円を受け取ることができます。
注意点として、工事箇所が同じ場合にはひとり分の申請しかできません。
複数名分の申請をする際は複数箇所の工事をする必要がありますので、覚えておきましょう。
各自治体の補助金
各自治体でも浴室のリフォーム工事が対象になる補助金を利用できるケースがあります。
お住まいの自治体によっては補助金制度がない場合もありますので、役所の窓口や自治体のホームページなどで確認してみましょう。
対象者
各自治体の補助金を受ける場合は、主に3つの条件を満たす必要があります。
- 住民登録されており、申請する自治体に住んでいること
- 市民税を滞納していないこと
- その他の各自治体が定めている条件を満たしていること
各自治体によって定めている条件や申請期限、補助金額などは異なりますが「住民登録されており、申請する自治体に住んでいること」と「市民税を滞納していないこと」は必須条件となるでしょう。
ご自身が住んでいる自治体で補助金の制度があるかどうか確認してくださいね。
お風呂のリフォームに使える補助金がある地方自治体と補助金の内容
先ほども紹介したように、浴室のリフォームに使える補助金や補助金は、国からだけではなく各地方自治体から受け取れるケースもあります。
今回は、一例として以下の地方自治体で浴室のリフォームを行う際の補助金について紹介します。
- 東京都江戸川区
- 神奈川県横浜市
- 愛知県名古屋市
- 兵庫県神戸市
- 大阪府大阪市
ご自身が住んでいる自治体で補助金の制度がないかどうか確認してくださいね。
東京都江戸川区の補助金
東京都江戸川区で実施されている補助金は、段差の解消や手すりの取り付け、浴室の改造など車いすで生活をしている人が暮らしやすい生活を送れるような工事が対象となっています。
補助金を受け取るためには、6歳以上65歳未満で身体障害者手帳の交付を受け、かつ、以下2つの条件を満たす必要があります。
- 下肢または体幹機能障害1級~3級以上の方
- 補装具として車いすの支給を受けた内部障害の方
対象者と同居している家族の合計所得金額によって受け取れる補助金額は異なりますが、最大200万円の補助金を受け取ることができます。
神奈川県横浜市の補助金
神奈川県横浜市で実施されている補助金は、手すりの取り付けや段差の解消、扉を引き戸に取り替えるなど、介護者の負担を軽減させるための工事が対象となっています。
補助金を受け取るためには、以下3つのいずれかの条件を満たす必要があります。
- 身体障害者手帳1級もしくは2級を取得している
- 知能指数が35以下
- 身体障害者手帳3級を取得している、かつ、知能指数が50以下
介護保険制度の対象となる工事は介護保険制度が優先的に適用されますが、住宅改修費の場合は最大120万円の補助金を受け取ることができます。
愛知県名古屋市の補助金
愛知県名古屋市で実施されている補助金は、浴室やトイレの増改築など、障害者の日常生活の負担を軽減するための工事が対象となっています。
補助金を受け取るためには、以下6つのいずれかの条件を満たす必要があります。
- 身体障害者手帳の肢体不自由の障害の程度が1~3級
- 身体障害者手帳の視覚障害の障害の程度が1~3級
- 身体障害者手帳の内部障害の障害の程度が1~2級
- 愛護手帳1~3度
- 精神障害者保健福祉手帳1~2級
- 医師に自閉症状群と診断された
上記の条件を満たせば最大80万円の補助金を受け取ることができますが、所得によって助成率が異なるため、注意が必要です。
兵庫県神戸市の補助金
兵庫県神戸市で実施されている補助金は、手すりの取り付けや滑り止め、段差解消など高齢者が暮らしやすい住宅にするための工事が対象となっています。
補助金を受け取るためには、以下3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 神戸市在住で、自分が住む家をバリアフリー化しようとする65歳以上の高齢者がいる世帯
- 世帯員全員が要支援又は要介護認定を受けていないこと
- 世帯の年収が一定の条件を満たしていて、市民税を滞納していないこと
上記の条件を満たせば、市民税非課税世帯は最大12万円の補助金を受け取れます。ただし、市民税課税世帯は上限額が6万円なので、注意しましょう。
奈良県香芝市の補助金
奈良県香芝市で実施されている補助金は、手すりの取付けや段差の解消、滑り止め、移動の円滑化のため床材変更など、日常生活を営むのに支障がある要介護者が自立した生活ができるようにする工事が対象となっています。
補助金を受け取れるのは要介護または要支援認定を受けている被保険者で、一律20万円の補助金を受け取れます。
また、要介護者等が自立し暮らしをするために福祉用具が必要になったときには10万円を基準額として補助金を受け取ることができますので、対象になるかどうかチェックしておきましょう。
補助金を利用する際の流れ
浴室のリフォームで使える補助金について紹介してきましたが、補助金の制度を利用するためには具体的にどのような流れで申請する必要があるのでしょうか。
各自治体で共通している流れについて紹介しますが、補助金や補助金の制度によって詳細な流れは異なりますので、申請前にしっかりと確認しておきましょう。
申請の条件を満たしているかを確認する
まずはご自身が補助金の対象者なのか、行いたいリフォーム工事が補助金の対象となるのかを確認しましょう。
各自治体によって設定されている条件が異なりますので、ホームページなどで確認するか、役所などに問い合わせをして確認することをおすすめします。
工事を行う前に申請する
国や自治体の補助金の多くは事前の申請を必須条件としています。
リフォーム工事着手後に申請すると、補助金の対象外になる可能性がありますので注意が必要です。
受付期間中に申請する
補助金や補助金の制度の多くは年度ごとに予算が組まれ、受付期間やリフォーム工事の完了期間が設定されています。
予算に到達した時点でその年度の補助金は受付を終了してしまい補助金を受け取ることができなくなるため、必ず受付期間中に申請をしましょう。
補助金を受け取る
補助金の受け取り方法は補助金の制度によって異なりますが、銀行口座への振り込みや工事代金に充当する方法などがあります。
それぞれの制度の詳細を確認し、受け取り方法を検討しましょう。
浴室のリフォームの費用は実際いくらかかる?
浴室のリフォームに使える補助金について紹介してきましたが、浴室のリフォームはいくらかかるのでしょうか。
今回は以下2つの費用について紹介します。
- 10万円以下でできる浴室のリフォーム
- 10万円以上かかる浴室のリフォーム
どのようなリフォームをするかで費用も大きく変わってくるので、予算に合わせた工事内容にしましょう。
10万円以下でできる浴室のリフォーム
まずは10万円以下でできる浴室のリフォームを紹介します。
10万円以下でできる浴室のリフォームには以下のようなものが挙げられます。
- 浴槽塗装
- 壁全面塗装
- 床シート貼り
- 床タイル上貼り
10万円以下であれば、上記のうち1つが限度となるでしょう。
ただし、メーカーやどのような素材を使用して工事するかによって金額は変動しますので、浴室のリフォームを検討している場合はメーカーや施工業者に見積もりをお願いするのがおすすめです。
10万円以上かかる浴室のリフォーム
次に、10万円以上かかる浴室のリフォームを紹介します。
10万円以上かかる浴室のリフォームには以下のようなものが挙げられます。
- 浴室全体の塗装
- 壁全面パネル貼り
- 浴槽交換
これらのリフォーム工事をすべて行うと、総額50万円以上かかるケースもあります。
特に浴槽の交換を行う際は、工事期間が1週間以上かかる大がかりな工事になることがあります。
大きな金額がかかる工事だからこそ、補助金を有効活用しながらリフォームをするのがおすすめです。
補助金を利用する際の3つの注意点
浴室のリフォームに使える補助金を利用する際にはどのようなことに注意しておけば良いのでしょうか。
今回は以下の3つの注意点について解説していきます。
- 施工業者に制限がある
- 申請期間やタイミングに注意
- 早めに見積もりを依頼しておく
事前に注意点を把握しておくことで、失敗せずに制度を利用することができます。
施工業者の選定に注意
補助金を利用する際の1つ目の注意点は、施工業者に制限があることです。
特に自治体の補助金や補助金を受ける場合は、同じ自治体に主たる営業所がある施工業者という条件を設けている自治体がほとんどです。
また、申請者ではなく役所が施工業者を選定する場合もありますので、評判などを見て自分で施工業者を決められないのは注意点として覚えておきましょう。
申請期間に制限がある
補助金を利用する際の2つ目の注意点は、申請期間やタイミングです。
補助金の多くは年度ごとに予算が決められているため、予算に到達するまでの見込みとして申請期間が設けられています。
受付が終了する前に申請できたとしても、書類審査などに時間がかかってしまい工事完了締め切り日に工事が完了しないケースも考えられます。
そのため、補助金を受ける場合は、余裕を持って申請の準備をしましょう。
事前に見積もり依頼をしておく
補助金を利用する際の3つ目の注意点は、早めに見積もりを依頼しておくことです。
前述しましたが、補助金の制度には申請期間や工事完了期間などが設けられています。
申請期間に間に合うように慌てて見積もりを依頼すると、見積もりの内容で修正してほしい箇所などが出てきたときに、申請期間に間に合わない可能性があります。
そのため、補助金を受ける場合は、余裕を持って早めに施工業者やメーカーに見積もりを依頼するようにしましょう。
まとめ|浴室のリフォームをするなら補助金を賢く利用しよう!
今回の記事では、浴室のリフォームをする際に利用できる補助金制度について紹介しました。条件が満たされれば100万円以上も補助されるものもあります。
国や各自治体が取り組んでいる補助金の制度を賢く利用しましょう!
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