一級建築士 住まいや暮らしをもっと楽しく快適に!アイデアや情報をお届けする建築ライター。建築業界で意匠設計を担当し、アメリカではジュエリー制作やグラフィックデザインなどを学びました。独立後、住宅兼カフェの設計・家具・装飾品のデザインを手掛け、現在は執筆中心に活動しています。
目次
リビングの壁紙選びのコツや注意点
壁紙には、さまざまな色や柄、機能があります。そのため、どれを選べばよいか迷ってしまうという人も多いでしょう。ここでは、リビング空間に合う壁紙の選び方のコツや注意点についてご紹介します。壁紙選びで失敗しないように、ぜひ参考にしてくださいね。
素材ごとの価格や特徴を確認する
マイホームのリビングに合う壁紙を選ぶために、素材の種類とそれぞれの特徴、価格などを確認しておきましょう。
ビニールクロス
ポリ塩化ビニル樹脂を主原料としているビニールクロスは、他の壁紙と比較すると価格が安くて施工性もよいため、一般住宅で多く使われている壁紙です。
またビニールクロスは手入れも簡単なだけでなく、防水や防汚、防湿といった人や空気の出入りが多く、汚れやすいリビングに多くのメリットがある壁紙です。
ビニールクロスの種類は、大きく分けると「量産クロス」と「ハイグレードクロス」があります。量産クロスは大量生産されていることが多い通常のクロスです。一方、ハイグレードクロスは量産クロスよりも機能性やデザインに優れている優れたクロスを指します。
それぞれの費用相場は以下の通りです。
ビニールクロスの費用相場
- 量産クロス:800〜1,000円/㎡程度
- ハイグレードクロス:1,000円〜1,500円/㎡程度
量産クロスは、できる限り価格を抑えて張り替えたいときにおすすめです。一方、ハイグレードクロスは、一戸建ての住宅や分譲マンションで選ばれることが多い壁紙です。
量産クロスであれば壁面積も大きくなるリビングの壁紙を張り替える際も手軽に張り替えやすい素材となっています。
ハイグレードクロスは、量産クロスよりもカラーバリエーションや石目調、エンボス加工といったパターンの種類が豊富にあり、消臭や抗ウイルスなどの機能性を備えたものが多くあります。そのため、リビングだけでなくさまざまな部屋に使用しやすい壁紙ともいえるでしょう。
紙クロス
一般的なパルプを主原料とした紙クロスは、欧米で多く使用されているため輸入品が多くなっており、プリントやエンボス加工を施したものなどバリエーションが豊富です。
また、紙クロスは日本に古くから伝わる和紙や、亜麻・ケナフなどを原料とした非木材紙のクロスもあります。風合いが異なるさまざまな素材やデザインを楽しむことができるのも紙クロスの特徴です。
また、さまざまな人が集まる空間であるリビングは空気や熱がこもったり、生活音が大きくなりがちです。紙クロスは通気性や吸音性といったこれらの環境にも対応できるメリットも備えています。反対に水拭きができず、汚れがシミになりやすい点はリビングでの使用にはデメリットといえます。
紙クロスの費用相場は以下の通りです。
紙クロスの費用相場
- 天然素材の和紙:1,500円/㎡〜
- 撥水加工や防汚加工タイプ:2,000円/㎡〜
- 輸入品:2,500円/㎡〜
- 楮 (こうぞ)和紙:15,000円/㎡〜
- 亜麻やケナフ:1,000円/㎡〜
織物クロス
織物クロスは、レーヨンや絹、綿、麻などを原料とした布に、紙を裏打ちしてつくった壁紙です。ホテルや美術館のような上質感のあるリビングを演出したい人におすすめといえます。
織物クロスは表面が織物で水を吸い込む性質があるため水拭きができません。リビングによくある食事やペットの汚れ対策については注意が必要です。
また、ビニールクロスと比較すると高級感がありますが価格は高めになっています。
費用相場は以下の通りです。
織物クロスの費用相場
- レーヨン:1,500円/㎡程度
- 不織布:2,500円/㎡程度
- シルク100%:10,000円/㎡程度
その他のクロス
リビングに使用できるクロスには、他にも次のようなタイプがあります。それぞれ特徴をご紹介していきますので、確認してみましょう。
【木質系壁紙】
薄くスライスしたコルクや、天然木などを紙と貼り合わせたナチュラルテイストの壁紙です。リビング全体をリラックスできるやわらかな印象にしてくれます。
また部屋を調湿する効果もあるため、人の熱で湿気がこもりやすいリビングにおすすめです。しかし水を吸い込むとシミになるため水拭きができないため、汚れも多いリビングでの取り扱いには注意が必要です。費用相場は、5,000円/㎡からと高めとなっています。
【無機質系壁紙】
古くから壁材として使用されてきた天然素材の珪藻土や、漆喰を表地に使用している壁紙です。ガラス繊維などを原料としたタイプもあります。
珪藻土や漆喰は調湿効果があるため、リビングでペットを飼っていて臭いが気になる場合におすすめです。費用は6,000円/㎡ほどみておきましょう。
【オレフィン壁紙】
ポリエチレンやポリプロピレンといった合成樹脂を原料とした壁紙で、ビニールクロスと特徴が似ています。費用相場は、ビニールクロスの中級品と同程度で1,000円/㎡程度です。
拭き掃除も行うことができ、耐久性が高いオレフィン壁紙のメリットで、ちょっとした汚れや臭いがつきやすいリビングの壁紙に使用しやすい種類といえます。
その他クロスの費用相場
- 木質系壁紙:5,000円/㎡程度
- 無機質系壁紙:6,000円/㎡程度
- オレフィン壁紙:1,000円/㎡程度
機能性に注目して選ぶ
最近では、汚れ防止や消臭機能などの機能性を高めたクロスが人気です。家族や来客の方も使用するリビングは、特に汚れや臭いが気になる人も多いでしょう。ここでは主な機能を4つご紹介しますので、機能性に着目して壁紙を選びたい方は参考にしてみてください。
抗菌機能
抗菌機能のある壁紙は、壁についた菌の繁殖を防ぐ効果があります。家の中でも来客や人の出入りが多いリビングにはおすすめの機能です。
またお子さんがいらっしゃる家庭でも、抗菌機能があればお子さんがいろんな所に触れて遊んでも安心なのは嬉しいポイントといえます。
消臭機能
消臭機能のある壁紙は、ペットや汗、タバコなどの臭いを消臭する効果があります。状況によって臭いを完全に消し去る保証はありませんが、一日中消臭効果を発揮するため清潔なリビング環境をつくりたい人におすすめです。
抗菌機能と同じようにたくさんの来客や多くの人の出入りがあるリビングの壁紙にはあると嬉しい機能のひとつといえます。
防汚機能
汚れを防止する機能のある壁紙は、小さな子どもがいる家庭に人気があります。一般的な壁紙では落ちにくい汚れも、防汚機能が備わっている壁であれば落とせるのが嬉しいポイントです。
子どもが汚す以外にもペットの汚れや食事の汚れなど家族が過ごす機会が多いからこそ、汚れも多くなるのがリビングです。汚れてしまってもできるだけ落としやすくしておく工夫として壁紙に防汚機能を検討してみるのもひとつの手段といえます。
抗アレルギー機能
抗アレルギー機能のある壁紙は、ダニやハウスダスト、花粉などの空気中に浮遊する室内のアレルギー物質の働きを低減させる効果があります。リビングのアレルギー対策をしたい人におすすめのクロスです。
人の出入りが多くアレルギー物質が入り込みやすいのがリビングです。できる限り家族が過ごしやすいよう、アレルギー物質対策は欠かせません。室内のアレルギー物質を完全に除去したり、アレルギー体質の改善を保証したりするものではないため注意が必要ですが、対策のひとつとして検討してみましょう。
リビングの壁紙選びは色の面積効果に注意
色にはそれぞれ異なるイメージがあります。例えば、赤や黄色は注意のイメージ、緑は癒しのイメージというように、私たちは気づかないうちに色の影響を受けているのです。
さらに色には面積が大きいほど明るく鮮やかに見えて、面積が小さくなるほど暗く濃く見えるという面積効果があります。リビングの壁はカタログに載っている壁紙の何倍もの大きさがあるため、実際に壁紙を貼ってみると予想よりも派手になってしまい、影響を大きく受ける場合があるのです。
リビングは全体的に落ち着きのある色を使用し、差し色に明るい色を加えることも多くあるため、より面積効果に注意して壁紙選びを行う必要があります。
例えばリビングは家族の団欒のスペースにもなりますが、赤や黄色といった危険を連想する色合いを多用してしまうと居心地の悪い部屋になってしまうかもしれません。赤や黄色は面積効果でより派手な色合いに見えてしまう可能性があるため、部屋全体の印象に対して悪影響を及ぼさないかは小さな使用面積でも注意が必要です。
実際に壁紙を貼る前にA4程度のサンプルで色をきちんと確認して失敗を防ぎましょう。大きなサンプルを手に入れるのが難しい場合も、面積効果については頭に入れて色を選ぶようにしてください。
リビングの壁紙選びは色の対比効果を考える
「色のバランスを考えて壁紙と家具をコーディネートしたのに、実際に壁紙を貼ってみたら色がくすんで見える…」という現象が起こる場合もあります。これは「対比効果」と呼ばれており、置かれる環境によって色は単体で見たときと違う見え方をするので注意が必要です。
例えば壁紙の見本帳に使われている台紙の色が白の場合と黒の場合とでは、色の印象が変わります。特に、サンプルが小さな場合には周囲の色の影響を受けやすいため注意しましょう。
リビングはインテリアや植物など他にも多くのものが存在することが多い部屋です。対比効果にも注意して壁紙を選びましょう。
リビングの壁紙選びは素材や表面仕上げを確認する
壁紙は、表面のテクスチャーによっても色のイメージが変わります。滑らかでツルツルした素材は光を反射して色が白っぽく見え、エンボス加工を施した凸凹のある素材は影ができるため色が濃く見えます。
カタログの小さなサンプルでは、実際にリビングに貼ったときの雰囲気がわかりにくいため、できるだけ大きなサンプルを取り寄せるか、ショールームで実物を確認するようにしましょう。
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リビングの壁紙を張り替える際の注意事項
リビングの壁紙を貼り替える際には、いくつか注意事項があります。リビングの壁紙リフォームを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
壁の下地の傷み具合によっては張り替え費用が高くなる
リビングの壁紙の貼り替え時期は、10年が目安です。特に、ビニールクロスは経年によって縮みやすい性質があるため、次第に剥がれてきます。長期間壁紙を貼り替えていないケースもありますが、下地が傷んでしまうと貼り替え費用が高くついてしまう恐れがあるため注意しましょう。
家具や荷物を移動する必要がある
リビングの壁紙をリフォームする際は、家具や荷物を移動しなければなりません。業者によっては家具の移動費用がかからない場合もありますが、工事前日までに中身を出しておく必要があるでしょう。
いずれにしても、リビングの壁紙を貼り替える際に、家具や荷物の移動費用について業者に確認しておくことをおすすめします。
リビングの壁紙以外もリニューアルするか考えておく
リビングの壁紙だけが新しくなると、それまで気にならなかった窓枠のペンキの剥がれや年季の入った家具、家電など他の古い部分が気になる場合があります。この際に周囲のインテリアも新しいものに買い換えるかどうかを検討すると、空間全体の印象も高まるでしょう。
施工後は換気する
リビングの壁紙を貼り替えると、部屋に接着剤の臭いがこもってしまいます。そのため、施工後は丸1日窓を開けたり部屋の換気扇を回したりと、こまめな換気を心がけましょう。
また、マンションなどで隣家が近い場合は、臭いや作業音などで近隣とトラブルが生じる恐れもあります。施工業者によっては事前に近隣へ工事の知らせを配布してくれますが、そのような手配をしてもらえない場合には自分で伝えるようにしましょう。
貼り替え直後は触らないように気をつける
壁紙を貼った直後は、気になる部分があっても触らないようにしてください。これは、糊が完全に乾いていない状態で触ると、シワがついてしまう可能性があるためです。施工不良の場合は後日業者に直接見て確認してもらう必要があるため、乾くまではそのままにしておきましょう。
壁紙をリニューアルして素敵なリビングに
壁紙は、選び方次第でリビングのイメージがガラッと変わります。今回ご紹介した色のイメージや選び方のコツを参考に、素敵な壁紙を選んで理想のリビングを実現させてくださいね。
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