一級建築士 住まいや暮らしをもっと楽しく快適に!アイデアや情報をお届けする建築ライター。建築業界で意匠設計を担当し、アメリカではジュエリー制作やグラフィックデザインなどを学びました。独立後、住宅兼カフェの設計・家具・装飾品のデザインを手掛け、現在は執筆中心に活動しています。
床材は部屋の印象を大きく左右する部分ですが、種類が豊富にあるため選び方がわからない方も多いでしょう。そこで当記事では、住宅に使用される床材の種類や機能、特徴をご紹介します。用途別の選び方についてもまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
4種類の床材の機能、特徴、リフォーム費用を比較
床材として使用される素材は、フローリング・クッションフロア・畳・カーペット(タイルカーペット)と主に4種類あります。
まずは、それぞれの機能や特徴、張り替え時のリフォーム費用についてご紹介してきますので、自宅に合う床材を確かめていきましょう。
フローリング
フローリングとは木材でつくられた床材で、大きく分けて「無垢フローリング」と「複合フローリング」の2種類があります。ナチュラルでおしゃれというイメージを持っている方も多い人気の床材です。
また、インテリアに合わせやすい材質としても人気が高く、リビングやキッチンなどさまざまな用途の部屋に採用されています。
無垢フローリング
無垢フローリングの特徴
天然木の一枚板でつくられた無垢フローリングは、木材特有の温かみや木目の美しさ、触れたときの心地よさが大きな魅力の床材です。木の種類によって色合いや木目の表情が異なり、経年変化によっても味わいが増していく特徴があります。
無垢フローリングの機能
天然の無垢材を加工した無垢フローリングは、足触りがよくて調湿性や断熱性に優れた床材です。一方、割れや反りといった変形を生じやすい特徴も持ち合わせています。また、湿度によって木が収縮して隙間ができやすいため、ゴミが溜まりやすいというデメリットもあります。
そのため、無垢フローリングを採用する場合は、今後掃除などのメンテナンスを継続的にできるかどうかをしっかり考えて決めるようにしましょう。
無垢フローリングのリフォーム費用
無垢フローリングは、素材自体の価格が比較的高めの床材です。リフォーム費用は木の種類や原産地、工事面積などによって大きく変わりますが、約7,000〜15,000円/㎡ほどをみておきましょう。8帖(約15㎡)の部屋で約10〜23万円、20帖(約36㎡)のリビングでは約25〜54万円になります。
複合フローリング
複合フローリングの特徴
複合フローリングは、集成材や合板などの複数の板を張り合わせて作られているフローリングで合板を重ねて表面に天然木の薄板を貼り付けた突き板張りと、木目柄を印刷して化粧シートを貼り付けた材質の2種類があります。
無垢フローリングと比較すると種類が多いため、さまざまなイメージのインテリアに合わせられますよ。また、防音性や床暖房対応(一部無垢フローリングでも対応あり)といった機能性の高い種類もあり、変形しにくくメンテナンスの手間もかからないのが大きな特徴です。
複合フローリングの機能
複合フローリングは、木材の温かみを活かしながら、無垢フローリングのデメリットとなる傷つきやすさや変形しやすさをカバーした床材です。防音性や防水加工など機能性を高めた種類もあるため、見た目のデザインだけでなく用途によっても選べます。
複合フローリングのリフォーム費用
複合フローリングは価格の幅が広く、平均の費用相場は約6,000〜12,000円/㎡です。複合フローリングのような複数の板を張り合わせた突板貼りは、突き板が厚くなると価格も上がります。8帖(約15㎡)の部屋で約9〜18万円、20畳(約36㎡)のリビングでは、約21〜43万円程度になるでしょう。また、マンションのリフォームなどで使用される防音フローリングは、無垢フローリングよりも高額になる場合があります。
クッションフロア
塩化ビニル樹脂でつくられたシート状のクッションフロアは、クッション性に優れた柔らかい床材が特徴です。やわらかな踏み心地で機能性が高く、色や柄の種類も豊富にあるため、住宅の床材としてリビングや洗面所などさまざまな用途の部屋に対応できます。
クッションフロアの特徴
クッションフロアは、表面に木目調や石目調、タイル調といったさまざまな種類の柄がプリントされており、色の種類も豊富です。また、水に強いという特徴がありながらも低価格で販売されているので人気の床材です。
ただし、クッションフロアの上に家具を置くと凹みやすく、熱に弱い性質から熱湯をこぼしたりアイロンを置いたりすると表面が溶けてしまう恐れがあるので、注意しましょう。
クッションフロアの機能
クッションフロアは防水性に優れており、基本的には拭き取るだけで汚れが落ちるお手入れしやすい床材です。また、衝撃の吸収性に優れているため、キッチンや洗面所、リビングなど幅広い用途の部屋に対応できます。
クッションフロアのリフォーム費用
クッションフロアは、デザインの種類などによって費用は異なりますが、他の床材よりも価格が低めで約2,000〜4000円/㎡です。8帖(約15㎡)の部屋で約3〜6万円、20畳(約36㎡)のリビングでは、約8〜14万円程度になるでしょう。リフォームでクッションフロアを交換する際は、ソフト巾木(床と壁をつなぐ建材)もあわせて交換する場合が多く、その場合はプラスで5,000〜8,000円ほどかかります。
畳
畳は日本固有の床材で、長い間日本の住宅に使われてきました。従来、畳の表面(畳表)にはイ草が使用されていましたが、近年では耐久性に優れた和紙やポリプロピレンなどの化学繊維を使用したタイプもあり、素材やデザインの種類が増えています。
畳の特徴
畳を採用する家は少なくなってきましたが、和紙製や正方形、縁のないタイプ、カラー畳など豊富な種類があるのが特徴です。純和風なインテリアはもちろん、和モダンな空間づくりやリビングに小上がりスペースを設ける場合などに適した床材といえます。
畳の機能
独特の風合いとクッション性のある畳は、裸足で心地よく過ごせる床材として人気です。天然素材のイ草は香りがよく、リラックス効果や調湿性、断熱性といった機能があり、夏は涼しく冬は暖かく感じられます。畳自体に厚みがあるため防音性にも優れているのも特徴のひとつです。
定期的に表替えや畳を裏返すなどといったメンテナンスが必要です。
和紙畳は、イ草のような見た目でありながらも耐久性が高く、イ草と比較すると色合いを長期間キープできる床材です。また、撥水加工が施されているため、飲み物をこぼしても染み込まないというメリットもあります。手軽に畳の雰囲気を味わいたい人におすすめですよ。
畳のリフォーム費用
畳のリフォームは、1畳で7,000〜20,000円、表替え(新しいイ草へ交換)は1畳につき4,000〜9,000円ほどみておきましょう。小上がりなどに設ける3畳ほどの畳スペースで約2〜6万円、和室6畳で約4〜12万程度のリフォーム費用がかかります。畳表や畳床(畳の芯となる部分)、畳縁(畳の長手方向に付けられた生地)の種類やグレード、縁の有無などによって金額は変わります。
カーペット・タイルカーペット
カーペットは織物になっている床材で、リビングや個室、廊下など水まわりを除いた広い範囲に対応できる床材です。ウールやアクリル、ナイロン素材などが使われており、色や柄の種類も豊富にある点が特徴です。
タイルカーペットは、カーペットと同様の素材ですがタイル状に敷き詰めていく床材を指します。
カーペット・タイルカーペットの特徴
織り方にもよりますが、カーペット・タイルカーペットはやわらかくてクッション性があり、足触りのよい床材です。リビングや寝室など、リラックスして過ごす場所に適しています。
ただし、カーペット・タイルカーペットは髪の毛が絡みやすく、飲み物をこぼすとシミになりやすい、ダニが発生しやすいといった特徴も持ち合わせています。そのため、こちらの種類の床材を選ぶ場合はあらかじめこれらのデメリットを踏まえて購入しましょう。
カーペット・タイルカーペットの機能
カーペットとタイルカーペットのどちらも断熱性や防音性に優れており、デザインの種類も豊富にあります。タイルカーペットは組み合わせによってオリジナリティを高められ、部分的に交換できるのが大きな特徴です。
また、カーペットと比較すると施工が簡単に済むためリフォーム時間を短縮できます。
カーペット・タイルカーペットのリフォーム費用
カーペットのリフォームにかかる費用は、種類やメーカー、グレード、抗菌・静電気防止といった機能性などによって異なります。既存の床の上から重ね貼りする場合は3,000〜4,500円/㎡ほど、タイルカーペットは2,000〜3,000円/㎡ほどをみておきましょう。8帖(約15㎡)の部屋でカーペットは約4〜7万円、20畳(約36㎡)のリビングで約11〜16万円程度、タイルカーペットは8帖(約15㎡)の部屋で約3〜4万円、20畳(約36㎡)のリビングで約7〜11万円程度になるでしょう。
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部屋別床材の種類と選び方
ここからは、部屋別におすすめの床材の種類をご紹介します。実例写真とともに適した床材を解説するので、床材の種類に悩んでいる方は目を通してみてください。
家族がくつろぐリビング・ダイニングに適した床材の種類
長い時間を過ごすリビングやダイニングは、温かみがあってインテリアとの調和がとれた床材を選びましょう。リビングはフローリングやカーペット、ダイニングには水まわりに強いクッションフロアも適しています。
汚れがつきやすいキッチンに適した床材の種類
水や油で汚れやすいキッチンは、耐水性や防水・防汚性に優れたキッチンフロアや、表面に防水や防汚加工が施されたフローリングが最適です。ただし、フローリングの表面加工は水滴や油汚れを放置すると剥がれやすくなるため、こまめな掃除を心がけましょう。
快適性を高めたい寝室に適した床材の種類
リラックスして過ごしたい寝室は、足触りがよくて素足でもヒヤッとしないカーペットが最適です。フローリングを採用する場合は、実例写真のようにカーペットを重ねて敷くと、床からの冷えを防いでくれて快適性が向上しますよ。
転倒に配慮したい子ども部屋に適した床材の種類
子ども部屋には、転倒しても安全な柔らかい素材が適しています。また、子どもが幼い場合は、直接床に座ったり寝転がったりするため、温かみのある質感のカーペットがおすすめです。また、お絵かきや粘土遊びをする場合は、汚れを落としやすいクッションフロアを選んでもよいでしょう。
水濡れしやすい洗面所やトイレに適した床材の種類
水や汚れが飛び散りやすい洗面所やトイレは、清潔に保てる床材を選びましょう。耐水性・防水性・防汚性の高いクッションフロアであれば、日々のお手入れが楽に済みます。
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用途別床材の種類の選び方
最後に、住まいの状況に合わせた床材の種類をご紹介します。子どものいる家庭やペットのいる家庭で適した床材をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
ペットと暮らす家に適した床材の種類
ペットを飼っている場合は、汚れが染み込みにくく傷つきにくい床材を選びましょう。ツルツルしたタイルや天然石はペットが滑りやすく、注意が必要です。
ペットと暮らしている方は、傷に強いハードタイプのクッションフロアやペット用のフローリングを選ぶと快適に過ごせるでしょう。
床暖房を使用する部屋に適した床材の種類
床暖房を使用する際は、熱伝導率が高くて熱に耐えられる種類を選びましょう。温度変化による影響を受けにくいカーペットは、床暖房との相性がよい床材です。フローリングを選ぶ際は、床暖房に対応した種類を選ぶと安心して過ごせますよ。
部屋や用途に合う床材の種類を選んで暮らしを快適に
床材選びは、部屋の雰囲気だけでなく住まいの快適性にも影響する大事な部分です。今回ご紹介した床材の選び方やリフォーム費用を参考に、自分に合った種類を選んで一年中過ごしやすい家にしましょう。
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