タンクレストイレはやめた方がいい?一般的なトイレとの違いやメリット・デメリットを解説


この人に聞きましたmashley

インテリア家具コンシェルジュ 最適な家具を提案する家具コンシェルジュでさまざまな媒体にインテリア・ライフスタイル記事を寄稿するライター。ブログ「北欧ミッドセンチュリーの家づくり」ではデザインの小話や家づくり・暮らしに役立つ情報を発信中。椅子コレクターで、現在26脚の椅子とともに楽しく暮らす。最近空き家付きの山林を購入し、セルフリノベーションやアウトドアも満喫中。

タンクレストイレは「コンパクト」「掃除しやすい」など、好意的なイメージがありますよね。しかし「高い」「やめた方がいい」といった否定的な口コミも見られます。そこで本記事では、タンクレストイレのメリットやデメリット、使用におすすめな人を紹介していきます。

タンクレストイレとタンク式トイレの違いは?

タンクレストイレとは、便器の後ろにタンクがないトイレのことです。一般的なタンク式トイレとは仕組みが異なり、見た目や機能にも違いがあります。メリット・デメリットを知る前に、まずはタンクレストイレとタンク式トイレの違いを比較しながら理解しましょう。

タンクレストイレとタンク式トイレの違い

トイレの構造

タンク式トイレは、便器・便座・タンクで構成されます。一方、タンクレストイレは便器の後ろに外部タンクがなく、便器・ウォシュレット(温水洗浄便座)を含む機械部分で構成されます。内部には配線や電子部品が組み込まれており、電化製品のように複雑な構造です。

またタンク式トイレには、一部の例外を除いてタンク部分を利用した手洗いがついています。一方、うしろに外部タンクのないタンクレストイレには、基本的に本体には手洗いがついていません。

これ以外にもうしろに手洗いが付いておらず、コンパクトなタンクと便器がつながってタンクレスに見える、ウォシュレット一体型のタンク式トイレもあります。一見して本物のタンクレストイレと区別がつかないものもあり、後述するタンクレストイレのデメリットを補いながら設置できます。

トイレの仕組み

一般的なタンク式トイレは、タンクに貯めた水を重力で流して洗浄する仕組みです。これに対し、タンクレストイレは水道直結式で、水道の圧力を利用して水を流す仕組みとなっています。

タンクレストイレの中には、水道から直接流れる水と便器内に内蔵されたタンクから加圧される水を組み合わせて、洗浄する商品もあります。異なる水流を組み合わせる洗浄技術により、節水効果が高いのが特徴です。

タンクレストイレのメリット

便器とウォシュレットを含む機械部分が一体構造になったタンクレストイレには、見た目や機能の面でさまざまなメリットがあります。

メリット①高い節水効果を期待できる

タンクレストイレは、タンク式トイレに比べて節水効果が高い傾向にあります。これは、タンク式トイレと違ってタンクに貯めた水を使えないため、できるだけ少ない水で洗浄できるように開発されているためです。この節水効果により、毎月の水道代を節約できます。

少ない水で汚れを落とせるのもメリット

タンクレストイレは、少ない水で汚れを落とせるように開発されています。商品よってさまざまな仕組みがあり、水流で高い洗浄力を実現する仕組みや、便器の縁の凹凸をなくして汚れをつきにくくする仕組みなどがあります。このように、清潔感をキープしやすいこともメリットです。

メリット②コンパクトでデザイン性の高い見た目

商品によりますが、タンクレストイレはタンク式トイレに比べて約10cm程度奥行きが短くなります。本体がコンパクトになることで、トイレ空間全体が広く見えることがメリットです。また、シンプルでスッキリしており、デザイン性の高い見た目も魅力といえます。

シンプルな形ゆえにトイレの掃除が簡単になる

タンクレストイレのシンプルさは、見た目として魅力的なだけでなく掃除のしやすさにもつながります。継ぎ目が少ないため隙間にホコリが溜まりにくく、凹凸が少ないことで掃除が短時間で済むでしょう。このように、掃除へのハードルが下がって清潔感を保ちやすいこともメリットです。

メリット③連続使用できる

タンク式トイレはタンクの水で洗浄する仕組みのため、前の人が使用した後に連続使用するのが困難です。一方、タンクレストイレは給水ホースを直接つないで水を流す仕組みのため、水がタンクに貯まるのを待つ時間がほとんどなく、連続して使えます。

メリット④便利な機能が豊富

タンクレストイレは機械で制御する仕組みのため、ウォシュレットだけでなく高い技術を使ったその他の機能も充実しています。例えば、自動洗浄機能や漂白・除菌で便器を清潔にする機能など、メーカーや商品によってさまざまです。

最新技術を使ったこんなタンクレストイレもある

スマートフォンで操作するトイレや、流すだけで細かい泡が掃除してくれる清潔なトイレ、使用していないときに自動で便座の温度調節をして節電するトイレなど、最新技術を使った賢いタンクレストイレが次々と登場しています。

 

 

タンクレストイレのデメリット

見た目や機能の面でメリットが多いタンクレストイレですが、複雑な仕組みゆえのデメリットもあります。新築やリフォームでタンクレストイレの設置を検討する場合、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。

デメリット①停電時は通常通りに水が流せない

タンク式トイレは、停電になってもタンク内に残った水で便器内を洗浄できます。一方、タンクレストイレは便器内の洗浄に電気が必要なため、停電の際に普段と同じ方法では洗浄できません。

停電時に洗浄する方法はあるが手間がかかる

タンクレストイレは停電時に全く洗浄できないというわけではなく、画像のように便器背後のレバーで操作するなどの仕組みが用意されています。

ただし、メーカーによって停電時の洗浄の仕組みが異なるため、あらかじめ使い方を理解しておく必要があります。この点は、タンク式よりも手間がかかるでしょう。

デメリット②水圧が低いと設置できない場合がある

タンクレストイレは水圧によって水道から水を引き込んで流す必要があります。そのため備え付けタンク内の水を流すタンク式トイレに比べて高い水圧が必要になります。高い場所は低い場所より水圧が弱くなるため、戸建てなら1階より2階、マンションは高層階にいくほど水圧が弱くなります。したがって、リフォームでタンク式トイレからタンクレストイレへ変えたい場合でも、水圧が原因で設置困難になる場合があります。

ただし、ブースター付きは水圧の弱い場所にも対応

ブースターとは、水圧不足を補うための加圧装置のことです。リフォーム前の測定で水圧が低かったとしても、ブースターをつけることでタンクレストイレにリフォームできます。このように、以前に比べて高層マンションなどでのタンクレストイレのリフォームが容易になっています。

デメリット③手洗いが別途必要

タンクレストイレには基本的に手洗いが付かない仕組みのため、別途手洗い場を設ける必要があり、コストがかかる点がデメリットです。また、トイレ本体はスッキリとした見た目ですが、狭いスペースに手洗い場を設置すると、結局はトイレ空間が狭く見える場合もあります。

ただし手洗いがトイレ内に不要なパターンもある

例えば、トイレのすぐ外に洗面所がある場合、無理に手洗いを設ける必要はありません。そもそも、タンクの上の手洗いは、小さな子どもだと手が届きにくいことやタンク周りが水で汚れる点がデメリットのため、人によっては不要と考える方もいるでしょう。

デメリット④イニシャルコストが高い

タンクレストイレは、充実した機能と高いデザイン性ゆえに上位機種に設定されていることが多く、設置の値段が高い製品です。ただし、節水効果が高いので長い目で見ると水道料金の節約になり、ランニングコストはタンク式トイレより安くなります。

一体構造ゆえに高い修理費用が発生することも

タンクレストイレは便器と便座が一体構造のため、ウォシュレットのみが故障した場合でも便器ごと修理となり、高い修理費用が発生するリスクもあります。ただし、例外として便座が選べるセパレートのタンクレストイレの場合は、ウォシュレット部分を取り替えられます。

修理まで時間がかかって不便になることも

タンクレストイレのウォシュレットが故障して便器ごと取り替えになると、修理までに時間がかかる場合があります。1・2階にそれぞれトイレがある戸建ての家であれば安心ですが、トイレが家に1つしかないと修理まで不便を強いられるでしょう。

 

 

タンクレストイレはどのような人におすすめ?

タンクレストイレの仕組みを理解してメリット・デメリットを比較すると、自分に向いているかどうかが見えてきたのではないでしょうか。ここでは、タンクレストイレが具体的にどのような人におすすめなのか、まとめて紹介していきます。

タンクレストイレはこんな人におすすめ

タンクレストイレは、トイレ本体の見た目やインテリアにこだわりがあり、ウォシュレットだけでなくその他の機能も充実させたい方におすすめです。また、節水・清潔感・連続使用を重視する方にも向いているでしょう。価格が高いため、予算に余裕があるときにおすすめします。

またタンクレストイレは前の人が使った後も連続使用できるため、同居する家族が多い家庭におすすめです。連続して水を流せると、朝の忙しい時間帯に起こるトイレ渋滞を緩和できますよ。

タンクレストイレはこんな人にはおすすめでない

見た目や機能には特にこだわりがなく、新築やリフォームの予算をできるだけ抑えたい方にはおすすめしません。また、高い修理費用が発生するリスクや停電時の面倒を避けたい場合は、タンクレストイレではなくタンク式トイレがよいでしょう。

タンクレス風トイレを選択肢に入れるのもおすすめ

タンクレストイレに魅力を感じても、リフォーム予算が足りず価格がネックになったり、停電時の手間が気になったりすることもありますよね。この場合は、タンクレス風のタンク式トイレを検討しましょう。タンクレストイレの欠点を解消しながら、見た目の満足感も得られます。

 

 

タンクレストイレの機種を選ぶ際に知っておきたいこと

新築やリフォームでタンクレストイレの設置を決めたら、メーカーごとの商品を比較していきます。決定する前に選び方のポイントや注意点をおさえ、後悔のない選択を目指しましょう。

タンクレストイレの選び方のポイント

タンクレストイレは、見た目・機能・節水効果・価格を比較して選ぶのがおすすめです。見た目は直線的・流線的などさまざまで、機能・節水効果は素材や洗浄の仕組みで変わります。リフォーム・新築の予算を踏まえ、トイレにどのような機能を求めるかをよく吟味しましょう。

見た目と耐久性を考えて便器の素材も検討

便器の主な素材は陶器と樹脂です。定番の陶器は耐久性と清掃性に優れており、なめらかな質感が特徴です。一方、樹脂は加工の自由度が高く継ぎ目のない見た目を実現できますが、陶器に比べて傷つきやすい欠点があります。ただし、最新技術により傷がつきにくい特殊な樹脂もあります。

周辺設備はインテリアのテイストも考慮して選ぼう

新築やリフォームの際にタンクレストイレを選ぶ場合、周辺設備にもこだわることをおすすめします。トイレの見た目が魅力的なので、トイレットペーパーホルダーや手洗いカウンター、ウォシュレットのリモコンなどをトイレインテリアのテイストに合わせて選ぶと、統一感を出せますよ。

ショールームで実物を見て判断するのがおすすめ

カタログやメーカーのHPを見ると商品の見た目やスペックがわかりますが、質感やサイズ感、使い心地は実物に触れなければわかりません。新築やリフォームで理想のトイレを手に入れるためには、商品を決定する前にショールームでの比較をおすすめします。

タンクレストイレを選ぶ際に注意すること

新築やリフォームでタンクレストイレを選ぶ際は、以下の注意点に気をつけてトイレ選びの後悔やトラブルを避けましょう。

コンセントのないトイレのリフォームは注意

最近の住宅は、トイレ内にコンセントが付いているのが一般的ですが、古い和式トイレにはコンセントがない場合もあります。タンクレストイレは電気制御のため、コンセントがないトイレのリフォームでは別途電気工事が必要です。

手洗いの設置方法はよく考えて

手洗いの設置方法は、新築やリフォームのコスト・間取りを左右します。トイレ内に別途設置する場合は、トイレ本体と別に費用が発生するので注意しましょう。洗面所で手を洗う場合は不要ですが、洗面所を使う場合はスムーズな動線を確保できるよう、間取りの工夫が必要となります。

保証期間や保証内容はメーカーで異なる

タンクレストイレの保証期間は「引き渡しから○年」「便座部分○年、便器部分○年」など、メーカーによってさまざまです。また、タンクレストイレはウォシュレットのみの故障でも修理が高額になるリスクがあるため、保証期間や保証内容にも注意して選びましょう。

延長保証はサービス内容を確認して検討を

タンクレストイレは、ウォシュレットから洗浄まで電気でコントロールするため、使用年数が長くなると機械に不調が生じる可能性があります。延長保証をつけるといざというときに安心ですが、メーカーによってサービス内容や金額が違います。そのため、確認してから保証内容や期間を決めましょう。

メリット・デメリットを比較してタンクレストイレを選ぼう

タンクレストイレに対する口コミは、肯定的なものから否定的なものまでさまざまです。そのため、イメージで決めるのではなく、メリット・デメリットを比較して判断することが大切です。自分の暮らしに必要かどうか、今回紹介した内容を参考にして後悔のない選択をしましょう。 

 

 

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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