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広く便利に使いたい。玄関を土間にリフォームする活用ポイントはここにあり。

この人に聞きました神谷三理砂

一級建築士 住まいや暮らしをもっと楽しく快適にするアイデアや情報をお届けする建築ライター。建築業界で意匠設計を担当し、アメリカではジュエリー制作やグラフィックデザインなどを学びました。独立後、住宅兼カフェの設計・家具・装飾品のデザインを手掛け、現在は執筆中心に活動しています。

家の第一印象を決める玄関スペースを、もっと広く便利に使いたいと思っていませんか?近年、室内でありながら土足のまま使える土間の魅力が再評価され、人気が高まっています。 この記事では、玄関を土間にリフォームして活用するポイントを解説していきます。

玄関を土間にリフォームするメリット・デメリット

玄関を土間にリフォームすると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それぞれ詳しく解説していきます。


土間のメリット

玄関を土間にリフォームするメリットは主に5つあります。

室内に汚れが持ち込まれない

玄関を土間にリフォームすると、靴のまま歩けて水洗いが可能になるため、外から汚れた物や濡れた物などを直接持ち込んでも気になりません。子供が外遊びで汚れて帰宅し、土間スペースで遊び道具や洋服に付いた土を払い落しても、掃除が楽に行えるのはリフォームの大きなメリットです。持ち帰った荷物を一時的に玄関土間に置いて、後でゆっくり片づけられる点も助かります。

また、ガーデニングや家庭菜園の道具、アウトドア用品といった外用品の場合も同様に、土間を活用すれば家の中へ砂や埃を持ち込む心配がありません。

空間にゆとりが生まれる

玄関を土間にリフォームすることで、家に入ったときに奥行きや広がりを感じられるようになり、空間にゆとりが生まれます。また、見た目のおしゃれ度やオリジナル性が高くなり、デザインのアクセント効果もあります。土間にリフォームすることは、家全体の印象を高めるのにとても有効な方法なのです。

外用品を収納できる

玄関は、靴や傘、子供の遊び用具や掃除用具などで溢れがちです。しかし、土間に収納スペースを設ければ、汚れがついたままの遊び用具でも気にすることなく持ち込めて、遊びに出かけるときにはすぐに持ち出せます。家庭菜園やガーデニングをしている方は、リフォームで道具や工具をしまっておくスペースをつくるのもよいでしょう。玄関を入ってすぐに外用品を収納できれば、いつでも玄関廻りはスッキリと片付いた状態を保てます。

スペースの自由度が高い

土間は、屋内のようなプライベート感がありながらも、屋外のように汚れを気にすることなく、天候にも左右されずに使用できるのがメリットです。ガレージ代わりや子供の遊び場として、または家族や友人などと過ごすコミュニケーションスペースとして、フレキシブルな使い方ができるのは大きな魅力でしょう。

雨の日には、洗濯物干し場としても利用でき、傘を乾かしたり、レインコートを干したりする場所としても活用できます。また、ベビーカーや自転車などを置けば、わざわざカバーをかける必要がなくなり、雨風にあたることもないため汚れを防げます。冬には、石油ストーブの灯油置場としても役立つでしょう。

荷物の仮置きができる

買ってきたものを一時的に置くスペースとして、玄関の土間は活用できます。特に家の中まで持ち込むのが大変な重たい荷物は、いったん玄関土間に置いて、後でゆっくり片づけられるのが魅力です。また、収集が頻繁にないような資源ゴミや、段ボールのようにかさばるゴミの置場として活用すれば、ゴミ出しの日の作業がスムーズに行えます。

土間のデメリット

玄関を土間にリフォームするデメリットは主に2つあります。

居住スペースが狭くなる

玄関を土間にリフォームする際の注意点は、スペースを広く取り過ぎると居住空間が狭くなってしまい、住み心地が損なわれてしまうことです。リビングやダイニングを広くしたい場合には、玄関と一体化させるようなプランニングや、土間の使い方を再チェックしてスペースを抑える必要が出てきます。どの空間を活用させたいのか優先順位をつけて考え、デメリットを回避しましょう。

冷えや湿気対策が必要

玄関を土間にする際の注意点は、冷気や湿気が室内に入りやすく、冬場は底冷えしてしまうことです。結露が生じるデメリットもあります。費用はかかりますが、床暖房を入れたり、土間と居室を仕切ったり、空間を暖める工夫が必要です。

対策として、玄関にストーブを置くのもよいでしょう。薪の保管や、石油を補充する際に床が汚れても気にならないため、土間はストーブの設置場所として最適です。

もう一つの注意点は、湿気がこもりやすいことです。対策として、玄関を土間にリフォームする際に壁も同時にリフォームし、調湿効果のある漆喰や珪藻土を活用するとよいでしょう。冷えや湿気対策をあらかじめ講じておけば、デメリットを感じずに快適に過ごせるはずです。


玄関土間の活用方法

玄関を土間にリフォームする大きな魅力は、空間を目的に合わせてさまざまな使い方ができるようになることです。ここでは、5種類の活用方法をご紹介しますので、ぜひチェックしてください。

趣味の空間にリフォームする

玄関を土間にリフォームすれば、DIYの作業や、バイク・自転車のメンテナンスのように周囲を汚す可能性のある作業スペースとして活用できます。木くずが落ちても、オイルが垂れても、簡単に掃除できるので、思う存分趣味の時間を楽しめるでしょう。天候を気にする必要もないため、これまで天気のよい日に外でしかできなかった作業を、いつでも好きなときに行えます。 

また、壁に好きな絵を飾ったり、飾り棚を設けて好きな本やグッズを並べたり、お気に入りのバイクや自転車を置いてインテリアとして眺めたりできるのも、土間の魅力でしょう。

多目的スペースとして活用する

玄関を少し広めの土間スペースにリフォームすれば、テーブルと椅子を置いてダイニングやカフェのような雰囲気で活用できます。来客の際には、お客様を奥まで通さずにコミュニケーション空間として活用できるのも魅力です。

また他にもお散歩から帰ってきた愛犬の足を拭いたり、ちょっとした運動に使ったりとさまざまな用途での使用が可能です。その時々で使い方を変えてフレキシブルに楽しめるのが、土間にリフォームする大きな魅力でしょう。

収納スペースをつくる

玄関を土足にリフォームして収納スペースを作ることで、生活動線がスムーズになります。買ってきたケースの飲料水や缶詰などの食料品、トイレットペーパーといった重たい物やかさばる物を、家の中まで持ち込まずに玄関で片付けられるのは非常に便利です。 

また、ゴルフやキャンプなど、屋外で楽しむレジャー用品やアウトドア用品も収納しておけば、すぐに出し入れができるのも魅力でしょう。

居室の収納スペースを減らし、あえて玄関を広めにリフォームして収納スペースをつくり、物をしまう場所を1カ所に集約させておくのも一つの手です。季節によって毎日着るようなアウターを収納しておくのも、重宝するでしょう。

リビングと一体化して広々使う

居住スペースと土間を仕切らずに一体化させるようにリフォームすれば、一つの広い空間としてゆったりと使うことができます。解放感のある自由度が高いスペースは、土間だからこそ実現できる魅力といえます。

子供の遊び場にする

絵を描いたり工作したり、家の中では汚れが気になる遊びも、土間にリフォームすれば思い切り楽しめます。雨が降って外で遊べない日でも、土間があれば安心です。土間は活用度の高い魅力的なスペースになるでしょう。

玄関土間をキッチンとつなげる

買ってきた食料品をキッチンまで持っていき、冷蔵庫や棚に収納するのは意外に面倒な作業です。特にキッチンが玄関から遠い場所にある場合は、運び入れる作業だけでも、おっくうに感じるものですよね。

その点、玄関を土間にリフォームしてキッチンの隣に設ければ、わざわざ重たい荷物を家の奥まで持ち運ぶ必要がなくなります。家庭菜園を楽しまれる方は、土がついた採りたての野菜を洗い、保管する場所としても重宝するでしょう。また、生ゴミの保管場所としても便利です。

玄関土間を洗面やお風呂とつなげる

スポーツやアウトドア、家庭菜園などを楽しむ方は、玄関土間から直接洗面やお風呂へ行けるようにリフォームすることで、汚れを室内に持ち込む心配がなくなります。帰宅後すぐに手洗いやうがいができるので衛生的です。 

また、玄関土間をリフォームして洗濯機を置けば、家事効率が上がります。 子供が帰宅した際、子供自身に汚れた衣類をすぐ洗濯機へ入れてもらい、雨の日には洗濯物をその場で干せば、家事の短縮につながるでしょう。

玄関土間のリフォームポイント

玄関土間のリフォームは、スペースの広さだけでなく、間取りによっても使い勝手が大きく変わります。動線を考慮したプランニングをすることが非常に重要です。

ここでは、玄関土間の間取りを考える際、チェックしておきたいリフォームポイントや注意点をご紹介します。

玄関土間の最適なサイズを見極める

玄関土間のリフォームを検討する際の注意点は、スペースを広げた計画を立ててしまうことです。特に子供が小さいうちは、できるだけ広いスペースをとり、荷物の収納スペースもたっぷりとって、子供の遊び場も兼ねたいと考えるものです。

しかし、土間を広く取り過ぎてしまうのは、デメリットになる場合があります。将来、子供が独立したときにスペースを持て余さないようにするといった長期的な視野を持って、ライフスタイルの変化に対応できるようなプランニングをすることが大切です。

また、収納は広くとればとるほど、それに合わせて物が増えてしまうデメリットがあります。玄関土間のリフォームは、窮屈になり過ぎず、少し余裕がある広さにしておくのがポイントです。そうすることでデメリットがなくなり、快適に使い続けられるでしょう。

土間収納のリフォームは2方向からの動線を確保する

玄関土間の収納スペースは、玄関側からも室内側からも直接使えるようにリフォームすると、生活動線がスムーズです。帰宅時には、買い出しの荷物や屋外で使用した道具などをすぐにしまえて、室内側からは必要な物を取り出しやすくなります。日頃の生活動線や家事動線をチェックしておき、リフォームに役立てましょう。

床材の種類と費用の目安

玄関土間のリフォームは、床材の種類によって空間の雰囲気や費用が大きく変わります。床材は、主に4種類ありますので、それぞれチェックしておきましょう。

モルタル

セメントと砂を混ぜた素材です。見た目はコンクリートに似てスタイリッシュな印象で掃除が楽に行えることや費用を安く抑えられることがメリットといえます。、耐久性が劣る点や夏は暑く、冬は冷たくなりやすいというデメリットがあります

床材と施工費用を含めたリフォームの費用相場は、1㎡で約2000円〜5000円とリーズナブルです。

コンクリート

セメントに砂と砂利を混ぜた素材で、モダンでクールな印象に仕上がります。モルタルと同様に、夏は暑く、冬は冷たくなるのがデメリットですが、モルタルよりも強度があり、掃除が楽に行えるのが魅力です。

床材と施工費用を含めたリフォームの費用相場は、1㎡で約6500円〜13000円です。

タイル

オリジナル性の高い雰囲気を出したい、高級感のある玄関にしたいけれど価格を抑えたい、という場合にはタイルでリフォームするのがおすすめです。さまざまな色や種類があり、四角いタイルもあればモザイクタイルのような雰囲気を出すこともできます。

また、天然の大理石のような陶磁器製のタイルもあり、耐久性がよく、傷付きづらいのがメリットです。天然石と比べると材料費が安く済むため、トータルの費用をかなり安く抑えられる傾向があります。しかし、目地の部分にゴミがたまりやすく、掃除の手間がかかる点はデメリットでしょう。注意点は、タイルの種類によって費用が大きく異なることです。

床材と施工費用を含めたリフォームの費用相場は、1㎡で約4500円〜20000円です。

天然石

大理石や御影石といった天然石でリフォームすると、高級感のある印象を演出できます。夏場にひんやりとした冷たさをを得ることができるのもメリットのひとつです。

反対に冬に冷たい空気感になってしまうことや素材や仕上げによっては雨の日にすべりやすくなったり、水分によってシミがつきやすいのが大理石のデメリットです。

 

床材と施工費用を含めたリフォームの費用相場は、1㎡で約18000円〜50000円です。他の素材と比較すると費用は高めで、石の種類によっては高額になるので注意しましょう。

以上、玄関土間のリフォームに適した床材は主に4種類ありますが、複数の素材を組み合わせたデザインも可能です。例えば、コンクリートの一部にアクセントとして天然石を組み合わせるなど、工夫次第で魅力的な雰囲気に仕上げられるでしょう。

玄関土間のリフォーム事例

魅力的な玄関土間のリフォーム事例をご紹介します。ぜひ参考にチェックしてください。

土間にリフォームして趣味の空間に

施工会社:株式会社アートリフォーム

事例URL:https://www.artreform.com/example/detail.php?id=150&c4=12&photokey=1

スノーボードや自転車など、趣味のアウトドア用品を並べて楽しめる土間に玄関をリフォームしています。十分なスペースがあるため、ここでゆっくりメンテナンスもできそうですね。

空間に大きな掃き出し窓をつけて、車からの荷物をすぐ降ろせるようにデザインされているのがポイントで、活用の幅が広い魅力的な玄関土間に仕上がっています。

趣味も楽しめる広い土間収納

施工会社:株式会社ナサホーム

URL:https://nasahome.co.jp/works/w_entrance/20210821domao

使わなくなった子供部屋を土間収納にリフォームし、趣味の自転車を立てかけられるほど広い空間になりました。玄関から収納までの距離がありますが、回遊式にして利便性を向上させている点も魅力です。また視覚的にも石目調のタイルがシックでおしゃれな雰囲気です。

玄関を土間にリフォームして住まいをもっと快適に

玄関を土間にリフォームすれば、さまざまな用途に活用できる空間が手に入り、新しい生活スタイルで過ごせるようになります。広がりのある魅力的な空間は、豊かな印象を与えるはずです。子供の遊び場にしたり、収納スペースにしたりと、暮らしに合わせた玄関土間へリフォームして、快適に過ごしましょう。 


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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