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介護リフォームの助成金について解説!費用や適用箇所、注意点などもご紹介!

この人に聞きました夏目あや子

一級建築士

おうちを楽しく育てる暮らし「おうち育」を提案しています。 収納・100均リメイク・DIYなどおうちに関する楽しいアイディアをSNSで発信中していますのでぜひご覧ください!著書「なつめさんちの新しいのになつかしいアンティークな部屋つくり」や 雑誌掲載・TV出演・コラム執筆・空間プロデュースなど幅広く活躍中です。

ある日突然家族の介護が必要になる、そんなことも現代の高齢化社会では考える必要があります。

選択肢としては施設を探す、ヘルパーをお願いする、などいろいろな選択肢がありますよね。しかしそのような専門家に頼ることなく、自宅で一緒に生活できる方が家族にかかる負担も少ないかもしれません。

しかしもし自宅で一緒に生活する場合なら、介護する側もされる側も、無理なく生活できる空間をつくることがとても大事になってきます。 この記事では介護しやすい家にするためのリフォームをおすすめします。「介護リフォームの費用の相場や助成金、どんな工事があるのか?」といった内容を注意点なども含めて詳しく解説します。

介護リフォームのメリット

被介護者の自立した生活を支援できる

被介護者や高齢者、つまり介護される側ができるだけ自立した生活をできるようになることです。それが介護リフォームの1番のメリットと言えます。

もちろん介護度にもよりますが、手すりを設置する、段差をなくす、滑りにくい床にする、など空間的な問題を解消することで被介護者の身体的、ひいては精神的も自立を支援することができます。まだ自分はできるんだ、という気持ちが被介護者の生きる喜びにつながります。

介護者も負担が減る

介護者の生活にも寄り添っていなければお互いに大変な思いをしてしまいます。介護者が介護しやすい空間にする、それも介護リフォームの大事なメリットです。

介護度が上がれば上がるほど、介護者の負担も増えていくものです。介護リフォームを行うことにより、少しでもその負担を減らすことができれば介護者が楽になります。結果として、精神的な負担も軽減されることになるためお互い気持ちよく暮らすことができるというわけです。

介護リフォームの内容と費用、相場

介護リフォームと一口に言っても、どんな工事があるのでしょうか。介護を目的としたリフォーム工事の内容は、多岐にわたります。

かかる費用や相場についてもご説明していきましょう。

玄関

被介護者や高齢者が安全かつスムーズに外へ出られることで外出への抵抗をなくし、外出が面倒くさい、億劫だ、と思わせないことが大事です。一部、バリアフリーのマンションなどを除き、玄関にはたたきと上がり框(かまち)という室内の床の間に段差があります。古い家ではこの段差が大きく、転倒の危険があったり、出入りの妨げになることが多くあります。

この段差をなくすため、踏み台やスロープを設置する工事のほか、靴の脱ぎ着が楽になるよう靴を履く際に座れるベンチを設置するのも有効です。立ち上がる時につかめる手すりや、廊下から玄関ポーチまでスムーズに移動できるような手すりも外へ出ることへ抵抗がなくなりおすすめです。また、雨の日などに滑って転倒する危険を回避するため、ざらざらした素材や滑りにく、ノンリップタイプのものなど床の材料を交換する工事もあります。

必要となる工事費の目安は以下です。

  • 手すり一箇所 2万円程度~
  • 玄関アプローチ(屋外)の手すり 10万円程度~
  • 屋外スロープの設置  20万円程度~
  • 踏み台の設置 3万円程度~
  • ベンチの設置 3万円程度~
  • 床の材料を交換する  6万円程度~

廊下・居室・階段

廊下の壁に手すりを取り付ける際には、高さや位置、場所など実際に動く時のシミュレーションをしながら決めることをお勧めします。また、車いすの場合であれば廊下が十分な広さがあること、ドアの開口部を広げて入りやすくするなどの工事も大切です。

開き戸から引き戸へ変更する工事、床の段差を解消する工事は介護者も楽になるので、ぜひ検討してみましょう。

階段の上り下りに関しては、どうしても2階以上へ行く必要がある場合は手すりを全面設置したり、滑りにくい床の材料に変更することで状況を改善しましょう。それぞれ必要となる工事費の目安は以下です。

  • 手すり 階段や廊下など割と長い距離 8万円程度~
  • 開き戸から引き戸への変更 15万円程度~

浴室

浴室はさまざまな危険が伴う空間です。介護リフォームをすることで被介護者が気持ちよく入浴ができるように、介護者がスムーズにサポートできるようにする必要があります。一番簡単な工事は手すりを取り付けることです。出入り口、浴槽横、洗い場前など、動作を確認しながら位置を決めましょう。

床を滑りにくい素材に変える工事も有効です。また浴槽に入りやすくするため、段差の少ない浴槽へ変更するという工事や、脱衣室と洗い場の段差解消のため床をかさ上げする工事など、浴室は手を加えられる場所が多いです。

必要となる工事費の目安は以下です。

  • 手すりの設置 4万円程度~
  • 浴槽の交換 40万円程度~
  • 床材の交換 5万円程度~

トイレ

トイレは、できる限り自分でできるよう、介護リフォームでのサポートは欠かせません。

和式便器から洋式便器への交換はもちろん、手すりの設置や出入口の扉を内開きから外開きへ変えることも検討されます。それ以外にも引き戸への交換、敷居の撤去、滑りにくい床への交換などもスムーズな動作を促すリフォームです。

  • 手すりの設置 2万円程度~
  • 便器の取り換え 20万円程度~
  • 段差の解消 1万円程度~(内容による)
  • 床材の貼り変え 5万円程度~


いろいろな改修工事がある介護のリフォームですが、実はある一定の条件を満たすと介護保険を使った助成金をもらうことができます。

介護保険は40歳以上から支払っている保険です。

助成金を受け取れる要件

  1. 要介護1~5、要支援1~2の認定を受けていること。
  2. 改修工事をする住宅が、介護保険被保険者証に記載されていている住所地であること。要介護(支援)者が実際に居住する住宅であること。
  3. 改修内容が介護保険制度の支給対象となる工事であること

助成金の利用限度額

要介護、要支援にかかわらず、要介護(支援)者1人につき20万円までになります。そのうちの1割~3割が自己負担になるので、最大で14~18万円の助成金を受け取ることができます。つまり、20万円の工事を行った場合、1割負担であれば2万円を支払い、18万円は助成金でまかなえるということです。

注意点としては、負担割合の規定については自治体によって違うことです。すべての方が1割負担である場合や、収入に応じて負担割合を決める場合があります。詳しくは居住する自治体へ確認ください。

この場合、20万円を超えた工事については、自己負担になります。

助成金の利用回数

助成金は原則として一人の被介護(支援)者について1回の利用と限られています。ただし、合計20万円(一部負担あり)までなら複数回に分けて利用可能です。

  • トイレの手すり設置に5万円
  • 浴室、脱衣室の手すり設置に15万円

また、以下の要件に合致した場合は再度20万円(1割~3割の一部負担あり)の給付を受けることが可能です。

  1. 被介護者が転居して住所が変わった時
  2. 要介護等状態区分(要介護度とは別の規定)が3段階以上悪化した時
  • 要支援1        →  要介護3~5
  • 要支援2または要介護1 →  要介護4~5
  • 要介護2        →  要介護5

介護リフォーム助成金の申請から受給までの流れ

事前相談

介護認定を受けると担当のケアマネージャーがついてくれるので、介護リフォームについて相談ができます。要支援の場合は、自治体の地域包括支援センターへ相談しましょう。

リフォーム業者へ見積を依頼

リフォーム業者へ見積もり作成を依頼します。介護リフォームは、住宅の状況や介護の程度、求めている内容が一件一件違う、いわばオーダーメイドの工事です。業者によって金額や方法が異なることが多いため、複数の業者に相談することをおすすめします。


事前承認申請

以下の書類を揃え、承認申請を自治体へ提出します。

介護保険住宅改修事前承認申請書

  • 住宅改修が必要な理由書(担当のケアマネージャが作成)
  • 工事見積書
  • 改修予定箇所の写真(日付入り)
  • 改修予定箇所の見取り図(平面図など)
  • 承諾書(改修予定住宅の所有権が要介護者本人以外の場合)

(書類の名称は自治体によって異なる場合があります。)

この承認が下りる前に工事を始めてしまうと助成金を受給できなくなってしまうので注意してください。承認が下りた後にはじめて工事に着手できます。

工事

被介護者、介護者ができるだけ立ち会って、位置などを確認しながら進めましょう。実際使う方にできるだけ合わせて施工することが一番大事なことです。

支給申請、受給

工事完了後、必要書類を揃えて支給申請を行います。審査の後、受給が決定します。

介護リフォームの助成金対象の適用箇所

助成金を受け取ることができる介護を目的としたリフォームには、どんな工事があるでしょうか。

助成金の適用対象となる工事は、6項目定められています。

1.手すりをつける

介護リフォームの中で、一番多い工事です。転倒の予防や移動、車いすへの移乗動作の補助などを目的とします。移動がスムーズにできるよう、高さや幅の他握りやすい太さも重要です。場所などは実際に被介護者や介護者が立ち会って決めることが理想です。

敷地内であれば、玄関ポーチなど屋外に取り付ける手すりも対象となります。敷地外の手すりや、単独の転倒防止の柵などは適用対象外です。

2.段差をなくす

廊下と部屋、トイレや浴室など各部屋間の敷居を低くする工事のほか、玄関から道路までの固定されたスロープ、踏み台設置などがあげられます。また浴槽と洗い場の段差をなくすため洗い場の高さをかさ上げする工事、またぎやすい浴槽に交換する工事も対象です。

適用外となるのは、固定せず置くだけの踏み台や、昇降機や段差解消機を設置する工事などです。

3.滑りにくい床にする

玄関ポーチや廊下、居室、浴室など被介護者が関わる場所での床材の変更は助成金の適用対象です。

4.引き戸などへの扉の取り換え

開き戸を引き戸などへ交換するといったドア全体の交換のほか、ドアノブの設置なども対象です。

5.洋式便器等への取り換え

和式便器から洋式便器に交換する工事が対象です。すでに洋式便器である場合は、向きを変える工事は対象となりますが、新しいものに交換する工事は原則対象外となります。

6.1~5に関する付帯工事

どのような付帯工事が助成金の対象になるのかは判断しにくいことも多いので居住する自治体へ相談することが大事です。

付帯工事の例

 

  • 手すりを取り付けるための下地補強工事
  • 敷居の撤去に伴う扉の継ぎ足し工事
  • 扉の取り換え工事にともなう壁などの補修工事 等

 

介護リフォーム事例

家中に手すりを設置

  • リフォーム費用 25万円程度
  • 高齢者一人暮らし
  • 杖がないと歩けなくなってしまったため、自宅では杖なしで歩きたいと手すりの設置を希望。

工事内容

玄関(屋内)、階段全面、浴室3箇所、トイレ2箇所へ手すり取り付け 


介護リフォームの経験が多い業者にお願いする

リフォーム業者だからと言って、介護のリフォーム全てに詳しいとは限りません。金額だけでなく、これまでの実績や、提案の内容などをよく見る必要があります。介護リフォームを知るケアマネジャーに相談することも検討しましょう。

1社だけでは正しい比較ができないため、複数の業者へ見積をお願いするのも失敗しない業者選びの方法です。

業者任せにしない

先にも述べたように、リフォーム工事というのは一件一件内容が違うオーダーメイドな工事です。失敗しないためにもケアマネジャーにも相談しながら、被介護者がどのように生活できたらよいのか、介護者がどうしたら楽になるか、きちんと考え寄り添った考えが大事です。

実際に生活することを良く考えながら、納得いくまで相談しましょう。

アフターサービスの評判が良いところへ

どのリフォームでも言えることですが、工事が完了した後が大事です。使ってみて不具合などが出た場合などに備えて、アフターサービスや補償内容をしっかり確認し、信用できると思った業者を選び、依頼しましょう。

優先度の高さを考える

まず自分たちにはどんな介護リフォームを優先的に行うべきか考え、そのうえで必要な工事を選びましょう。予算内であれもこれもは難しいので、自宅でどのように生活がしたいか、暮らしの目的をきちんと決めることが重要です。

メリット・デメリットを確認したうえで慎重に内容を選ぶことが失敗しないポイントと言えます。

介護リフォームに一般的な内容はない

一般的にはここに設置するといった内容は自分には当てはまらないかもしれないという思考を持つことも大事なポイントです。住宅の状況はもとより介護の度合いやどのくらい動けるのか、介護者の年齢なども考えるとひとりひとりすべて異なります。見聞きしたことだけで決定せず、現場でよく考えてから決定することが失敗を減らすためには重要です。

助成金の要件をきちんと把握する

助成金を受給するための流れを把握し、順番を守って申請をしましょう。申請前に着工してしまったり、工事後の申請をきちんと行わないと受給できません。

介護リフォームで暮らしやすい家に

介護リフォームは、介護生活にとってとても強い味方です。介護リフォームを行うことによって、被介護者の自立をサポートでき、結果的に介護者の負担も減ります。

お互い、介護者、被介護者の立場に立って介護があっても楽しく穏やかに暮らせるようぜひ介護リフォームを検討してみてください。


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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