一級建築士、一級建築施工管理技士他様々な建築系資格を取得。ゼネコンで様々な業務を経験しながら一級建築士試験で苦労した経験を活かし、一級建築士試験を攻略するブログを運営。建設を学ぶ専門サイトの立ち上げ経験もあり。サッカーとお笑いが好き。フットサルとギターを嗜む。著書「学び直しの一級建築士」
キッチンは、家の中でも特に使用頻度の高い場所です。そのため、キッチンの耐用年数やリフォームのポイントを知っておくことは、快適な暮らしを送るために重要です。
リフォームを検討する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
- キッチンの種類やレイアウト
- 設備機器の交換
- 収納スペースの確保
また、キッチンのリフォーム事例を参考にすることで、自分にとって最適なリフォームプランを検討することができます。
本記事では、キッチンの耐用年数やリフォームのポイント、事例について解説します。キッチンのリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
リフォームのきっかけにはどんなものがある?
リフォームは、住まいの劣化や不具合を改善したり、ライフスタイルの変化に合わせて住まいをより快適にしたりするために行われます。
リフォームのきっかけには、大きく分けて以下のようなものがあります。
- 家族が増えた、減った
- 収納が足りない
- 設備機器が壊れた
- 実家を相続することになった
- 退職金が入った
- 経年劣化でボロボロ
家族が増えた、減った
結婚や出産、子育て、親の介護など、家族構成の変化によって、住まいの使い方や過ごし方が変わることがあります。このような場合、リフォームによって間取りを変更したり、手すりを付けたりすることで、住まいの快適性や安全性を向上させることができます。
たとえば、結婚や出産を機に、子供部屋や寝室を増設したり、リビングを広くしたりすることで、家族との時間をより充実したものとできるでしょう。
子どもがいたときに建築した家は、子どもが成長して一人暮らしを始めれば、使わない部屋が増えるでしょう。帰省したときのために部屋を取っておくのも良いですが、帰省は年に数回しかありません。
そのような場合、リフォームをして使わない部屋をリビングの一部にするのも良いでしょう。子どもが巣立ってからの生活を充実したものとするために、間取り変更を検討することで、残りの人生を広々とした空間で過ごすことができます。
収納が足りない
物を持ち込む量が増えたり、長く同じ家に住んでいると物が溜まっていき、収納スペースが少なくなってしまうこともあります。
収納が足りないと、住まいを使い勝手の良い状態に保つことが困難になります。たとえば、
- 必要なものがすぐに見つからない
- 物を片付けるのが大変
- 部屋が雑然として見える
などの問題が生じます。
収納が足りない場合は、家具で収納を増設することもできるでしょう。タンスを増やせば服の収納は増えます。ですが、家具で収納を増やすにも限界があります。家具が乱雑に置かれた家は、見た目もよくありませんし、大きなものを収納することはできません。
家具ではなく、リフォームによって収納スペースを増やすこともできます。収納のための専用のスペースを増やすことで、部屋はスッキリとした状態を保つことができるでしょう。
リフォームで収納スペースを増やす方法としては、以下のようなことが挙げられます。
- クローゼットや押し入れを増設する
- 壁面収納を設置する
- 床下収納を利用する
クローゼットや押し入れを増設する場合は、間取りを変更する必要があります。壁面収納や床下収納を増設する場合は、比較的簡単に収納スペースを増やすことができます。
収納が足りない場合は、リフォームによって収納スペースを増やすことで、住まいをより快適にすることができるでしょう。
設備機器が壊れた
キッチンや浴室、トイレなどの設備機器は、経年劣化によって故障したり、使い勝手が悪くなったりすることがあります。リフォームで最新の設備機器に交換することで、使い勝手の向上や省エネ・節水などの効果も期待できます。
キッチンの設備機器が1つ故障した場合は、他の設備機器の寿命も近い可能性が高いため、できればキッチン全体をリフォームするのがおすすめです。早めに交換しておくことで、将来いきなり壊れて困るリスクを軽減できます。
キッチン全体をリフォームすれば故障した部分以外もまとめて使い勝手を良くできるほか、最新の設備機器は以前に比べて性能が良くなっているため、同じ機能のものでも省エネです。食洗機や冷蔵庫を買い替えるだけで電気代が安くなることもあり得ます。
実家を相続することになった
実家を相続することになって、住宅を売却や賃貸に出す場合、リフォームによって住まいの価値を高めることができます。
たとえば、内装をリフォームして、清潔感や明るさを感じさせる住まいにすることで、入居希望者が増える可能性があります。設備機器を最新のものに交換して、省エネや節水を実現することで、家賃収入を上げることも可能です。
家賃が上がったり、入居希望者が増えるようなリフォームができれば、住宅を売却するときも高い値段で売却できるでしょう。価値を高めるリフォームは工事代金以上にメリットが大きいものです。
退職金が入った
退職金は、長年の勤労に報いるものとして、多くの会社が退職者に支給するものです。退職金の金額は勤続年数や給与額などによって異なりますが、一般的には数百万円から数千万円程度と、まとまった金額になります。
退職金は、老後の生活費や趣味を楽しむための資金として活用されることも多いですが、リフォームにも活用することができます。
リフォームは、住まいをより快適にしたり、安全にしたりするために行うものです。退職金でリフォームを行うことで、以下のメリットを得ることができます。
- 住まいの価値を高める
- 生活の質を向上させる
- 老後の生活に備える
一方で、退職金でリフォームを行う場合、以下の点に注意する必要があります。
- リフォームの費用を把握する
- 信頼できる業者を選ぶ
- 工事前にしっかりと打ち合わせを行う
退職金は、人生の節目とも言えるものです。退職金を活用して、住まいをより快適で安全な住まいにすることで、老後の生活をより豊かにすることができます。
具体的な例としては、以下のようなリフォームが挙げられます。
- 間取りを変更して、バリアフリー化を図る
- 設備機器を最新のものに交換して、使いやすくて省エネルギーなものを実現する
- 内装をリフォームして、より気分が明るくなるような空間にする
退職金でリフォームを行うことで、老後の生活をより豊かで快適なものにすることができるでしょう。
経年劣化でボロボロ
住宅は、経年劣化によって外壁や屋根、床などの劣化が進みます。また、地震や台風などの災害によっても、住宅の損傷や老朽化が進むことがあります。このような場合、リフォームによって住宅の耐久性を高めたり、見た目を美しくしたりすることができます。
外壁や屋根の塗装が剥がれてきた場合、外壁や屋根の塗り替えを行うことで、外観も美しくなり、住宅の寿命も伸びるでしょう。
床が傷んできた場合、床の張り替えを行うことで、安心して居住できる住まいに変わります。床がいつ抜けるかわからない家に住み続けるのは怖いですよね。ボロボロになる前に適切にリフォームできれば、住宅の寿命も伸びます。
キッチンなどの設備機器の耐用年数は何年?
キッチンや浴室、トイレなどの設備機器は、経年劣化によって故障したり、使い勝手が悪くなったりすることがあります。そのため、耐用年数を考慮して、定期的にメンテナンスや交換を行う必要があります。
キッチンは20年、法定耐用年数は15年
キッチンの耐用年数は、一般的に20年程度です。法定耐用年数は15年と定められていますが、使用頻度や使い方、お手入れの状況によっても、実際の耐用年数は異なります。
設備機器は10年が目安
キッチンの設備機器の耐用年数は、一般的に以下の通りです。
- コンロ 10~15年
- レンジフード 15~20年
- シンク 20~30年
- 水栓 10~15年
- 食洗機 10~15年
- 洗面台:10年
- 給湯器:10年
- エアコン:10年
- 照明器具:5年
これらの設備機器は、経年劣化によって以下のような症状が現れることがあります。
- コンロの火力が弱くなる
- レンジフードの排気量・換気力が落ちる
- シンクの汚れが落ちにくくなる
- 水栓から水漏れする
- 食器洗い乾燥機が故障する
- 給湯器の故障でお湯が出なくなる
- 照明器具の明るさが落ちる
キッチンの設備機器にこのような症状が現れた場合は、交換を検討しましょう。
無理に使用を続けると安全面でも衛生面でも良くありません。まだ使える場合でも寿命を迎えている可能性が高いので、頑張って使用を続けても使いづらくなっていくだけです。
耐用年数とメンテナンス
設備機器の耐用年数は、あくまでも目安です。適切なメンテナンスを行うことで、耐用年数を延ばすことができます。
メンテナンスの種類としては、以下のようなものが挙げられます。
- 定期点検
- 部品交換
- 清掃
定期点検は、設備機器の状態を把握するために、専門業者に依頼して行うのが一般的です。
定期点検を欠かさないほか、故障が起きる前に劣化した部品を交換したり、日頃から機器の清掃をできる範囲で自分で行ったりすることで、故障をある程度予防することができるでしょう。
設備機器の耐用年数とメンテナンスを意識することで、快適な住まいを長く維持することができます。
キッチンのリフォームのポイント
キッチンのリフォームは、住まいの快適性や機能性を向上させるために、非常に効果的な方法です。
キッチンのリフォームを行う際には、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
- 設備機器をまとめてリフォームする
- 周りの壁紙なども同時にリフォームする
設備機器をまとめてリフォームする
キッチンの設備機器は、コンロ、レンジフード、シンク、水栓、食洗機などがあります。これらの設備機器は、それぞれ耐用年数が異なります。
設備機器は別々にリフォームすることもできますが、別々にリフォームすると部分リフォームをするたびに施工の人件費がかかるため、工事費用が高くなることが多いです。
そのため、設備機器をまとめてリフォームすることで、工事費用を節約しながらキッチン全体の耐用年数を延ばすことができます。
また、設備機器をまとめてリフォームすることで、デザインや機能性を統一することができます。キッチン全体の印象を統一することで、より洗練されたキッチンに仕上げることができるでしょう。
設備機器をまとめてリフォームするステップは、以下のとおりです。
- 現在のキッチンの設備機器の状態を把握する
- リフォームしたい設備機器の種類やメーカーを決める
- リフォーム業者に依頼する
現在のキッチンの設備機器の状態を把握することで、リフォームの必要性や範囲を判断することができます。リフォームしたい設備機器の種類やメーカーを決めることで、リフォームの費用を算出することができます。
リフォーム業者に依頼する際には、複数の業者に見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
HDCのように複数のリフォーム業者がテナントとして入居している施設に行くと、複数の業者に1日で見積もりを取ることができるので、興味がある方はぜひ足を運んでみてください。
周りの壁紙なども同時にリフォームする
キッチンの壁紙は、汚れや油汚れが目立ちやすい場所です。また、キッチンの壁紙はキッチン全体の印象を大きく左右します。
そのため、キッチンのリフォームを行う際には、周りの壁紙なども同時にリフォームすることを検討しましょう。壁紙のリフォームをキッチンのリフォームと同時にすることで、キッチン全体を新しくすることができます。
壁紙なども同時にリフォームするメリットは、以下のとおりです。
- キッチン全体の印象を新しくすることができる
- 汚れや油汚れが目立ちにい壁紙を選べばメンテナンスがしやすくなる
壁紙なども同時にリフォームするステップは、以下のとおりです。
- 現在のキッチンの壁紙の状態を把握する
- リフォームしたい壁紙の種類や色を決める
- リフォーム業者に依頼する
現在のキッチンの壁紙の状態を把握することで、リフォームの必要性や範囲を判断することができます。まずは現状を把握しましょう。
その後にリフォームしたい壁紙の種類や色を決めることで、リフォームの費用を算出することができます。
先述のとおりですが、リフォーム業者に依頼する際には、複数の業者から見積もりを取りましょう。複数の業者に見積もりを取ることで、比較検討することができます。
キッチンの種類と選ぶポイント
キッチンは、形状やレイアウトによって、大きく以下の6種類に分けられます。
- I型
- L型
- アイランドキッチン
- ペニンシュラキッチン
- U型キッチン
- Ⅱ型キッチン
キッチンの種類を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- キッチンの広さ
- 家族構成や生活スタイル
- 予算
キッチンの広さに合わせて、適切なサイズのキッチンを選んでください。また、家族構成や生活スタイルに合わせて、必要な設備や収納スペースを検討しましょう。同時に予算も考慮することが必要です。
広さ、生活スタイル、予算のバランスを見て、自分に合ったキッチンを選びましょう。
I型
I型キッチンは、コンロ、シンク、作業台が一直線に配置されたキッチンです。コンパクトなスペースでも設置できるため、ワンルームや狭小住宅などに適しています。
また、キッチン自体をコンパクトにできるため、作業スペースが広く取れるメリットもあります。
L型
L型キッチンは、コンロ、シンク、作業台がL字型に配置されたキッチンです。I型キッチンよりも作業スペースが広く取れるメリットがあります。また、コーナースペースを有効活用できるため、収納スペースを増やすこともできます。
アイランドキッチン
アイランドキッチンは、コンロ、シンク、作業台が独立して配置されたキッチンです。開放感があり、家族や来客とコミュニケーションを取りながら調理を楽しむことができます。また、作業スペースが非常に広く取れます。
ペニンシュラキッチン
ペニンシュラキッチンは、アイランドキッチンの一種で、壁に沿って一部が接した形状のキッチンです。アイランドキッチンのような開放感がありながら、壁に沿って接した部分に収納スペースや家電を設置できるメリットがあります。
U型キッチン
U型キッチンは、コンロ、シンク、作業台がU字型に配置されたキッチンです。作業スペースが広く取れるメリットがあり、複数人で調理をする際にも便利です。また、収納スペースを多く確保できるメリットもあります。
Ⅱ型キッチン
Ⅱ型キッチンは、コンロとシンクが離れた配置になっているキッチンです。コンロとシンクを離すことで、作業スペースを広く取ったり、効率的に調理したりすることができます。I型キッチンの後方に作業台を設けることでⅡ型キッチンとする場合もあります。
キッチンのリフォーム事例
キッチンのリフォームは、家族構成や生活スタイルの変化に合わせて、キッチンの使い勝手やデザインを改善する方法です。キッチンのリフォームには、さまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ここでは、キッチンの種類ごとに、リフォーム事例をご紹介します。
I型キッチン
【Before】
【After】
画像:みずらぼ
築35年の戸建てに住むご家族。コンロとレンジフードというキッチンに不可欠な設備機器が故障したことからキッチンのリフォームを決意しました。
システムキッチンに付属していた食洗機もオーブンも使用しておらず、収納力に不満を感じていたため、キッチンのリフォームをして収納力をアップしています。
タイル張りだった壁は、掃除のしやすさから凹凸のないツルツルのパネルに変更。ガスコンロも掃除のしやすさを優先してガラスコーティングのコンロに交換しました。
収納力がアップするとともに、掃除のしやすさが上がって使い勝手が向上しました。
L型
【Before】
【After】
画像:みずらぼ
築20年のマンションでの施工事例です。もともとL型のキッチンでしたが、老朽化を改善するとともに全体的な雰囲気を一新するため、キッチンをリフォームしました。
上部にあった戸棚を思い切って撤去し、カウンター部にペンダントライトを設置しておしゃれで開放的なキッチンに。天井に木目調クロスをあしらいフローリングにアッシュカラーを取り入れることで、北欧風のキッチンが仕上がりました。
設備機器は生活スタイルの変化により食洗機のサイズが小さくなったため、食洗機のサイズアップも同時に行っています。
アイランドキッチン
画像:住友不動産のリフォーム
築56年の戸建てで老朽化が進んでいた住宅。ライフスタイルも様変わりしていたため、間取り変更なども含めたフルリフォームの事例です。
キッチンが開放感のある空間になり、家族や来客とコミュニケーションを取りながら調理を楽しめるアイランドキッチンにリフォームしました。リフォームによって、キッチンからリビングの隅々まで視線が届き、家族や来客とのコミュニケーションが取りやすくなりました。
IHクッキングヒーターを採用したため、掃除がしやすく利便性が向上しています。リフォームによって、作業スペースが広くなり、効率的に調理を行うことができるようになりました。
ペニンシュラキッチン
画像:みずらぼ
築30年の戸建てのキッチンリフォーム事例です。年数がたってキッチンの経年劣化が気になってきたところに食洗機の故障が重なって、キッチンのリフォームを行いました。
I型キッチンだったところを対面型のペニンシュラキッチンへのリフォーム。キッチンだったところにはカップボードを設置することで大容量の収納を確保しました。
キッチンは開放感のある空間になり、家族や来客とコミュニケーションを取りながら調理を楽しみやすくなりました。
U型キッチン
リフォームによって、作業スペースが広くなり、複数人で調理を行うことができるようになりました。収納スペースを多く確保し、整理整頓が楽になっています。
Ⅱ型キッチン
画像:みずらぼ
I型のブロックキッチンからニ型のキッチンにリフォームした事例です。I型のときは幅広すぎて作業動線が長いのが問題でしたが、ニ型にすることで作業動線が短くなり、効率よく調理できるようになりました。
シンクと調理スペースを広く取ることができ、開放感のあるキッチンを実現できたため、料理をしながら家族との団らんも楽しめます。
まとめ「キッチンの耐用年数は10年~20年。古くなった設備はまとめてリフォームしよう」
キッチンの耐用年数は、一般的に10年~20年程度です。そのため、キッチンの設備機器が10年以上経過している場合は、リフォームを検討しましょう。
設備機器をまとめてリフォームすることで、以下のメリットがあります。
- キッチン全体の耐用年数を延ばすことができる
- デザインや機能性を統一することができる
- 費用を抑えることができる
キッチンのリフォームを検討している方は、設備機器の耐用年数を参考に、リフォームのタイミングを判断しましょう。
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