宅地建物取引士、FP2級保有 不動産・建設会社の土地有効活用のコンサルティング営業を6年担当。現在は不動産や建設業界の知見を活かした不動産や金融ジャンルのライターとして活動しています。
「40歳の貯金なしでも家を買える?」「どんなメリットやデメリットがある?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回の記事では、40歳で貯金がない人が家を買うことについて
- 40歳で貯金がない人が家を買えるのか
- 40歳で貯金がない人が家を買うメリット
- 40歳で貯金がない人が家を買うデメリット
- 40歳で貯金がない人が家を買う際のポイント
を体系的に紹介します。40歳で家を買うことを検討している人が安心して住宅ローンを組めるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
40歳の貯金なしでも家を買うことはできる!
40歳で住宅ローンを組むのが遅いと考えている人も多いでしょう。しかし、40歳で住宅ローンを組んで家を買うのは現実的で、国土交通省が令和5年3月に公表した「令和4年度住宅市場動向調査報告書」でも以下のような結果が出ています。
世帯主の平均年齢 | |
---|---|
注文住宅 | 43.8歳 |
注文住宅(新築) | 41.1歳 |
注文住宅(建て替え) | 59.8歳 |
分譲戸建住宅 | 39.5歳 |
分譲集合住宅 | 44.8歳 |
既存(中古)戸建住宅 | 45.8歳 |
既存(中古)集合住宅 | 46.3歳 |
民間賃貸住宅 | 39.4歳 |
リフォーム住宅 | 60.2歳 |
上記の表からも、40歳から家を買う人が多いことがわかります。
家を買うことができる理由
家を持つことは多くの人にとって大きな夢であり、それを実現するための方法が増えてきています。多くの金融機関が住宅ローンの完済時年齢を80歳まで引き上げており、安定した収入を持つ人は審査に通りやすくなっています。
さらに、頭金なしでも住宅ローンを組む可能性が高まっており、家を買う障壁が低くなっているのも事実です。
多くの金融機関で住宅ローンの完済時年齢を80歳にしている
40歳で住宅ローンを申し込むことは一般的な行為であり、その年齢だけが理由で審査に落ちることはほとんどありません。実際、多くの主要な銀行はローンの完済時年齢を「80歳未満」と定めており、それに基づいてローンの計画を立てることができます。
例えば、40歳の時点で住宅ローンを申し込むと、35年間のローン契約を組むことが可能です。これにより、借り手は80歳になるまでの期間でローンを返済することができます。このような長期間のローン契約は、月々の返済額を抑えることができる利点があります。
また、40歳という年齢は、キャリアの中盤を迎え、収入が安定してくる時期とも言えるため、ローンの返済計画を立てやすい時期とも言えるでしょう。
収入が安定していることが多いため審査に通過しやすい
住宅ローンの審査においては、申し込む個人の年齢や貯金額だけでなく、収入と返済能力が非常に重要な要素となります。これは、銀行が借り手の返済能力を評価する際に、その人の経済的安定性を確認するためです。
特に「フラット35」のような住宅ローンの場合、年収によって返済負担率の基準が異なります。具体的には、年収400万円未満の場合、返済負担率は30%以下が基準とされており、年収400万円以上の場合は、35%以下が基準とされています。
返済負担率とは、収入に対するローン返済額の割合を指し、この割合が低ければ低いほどローンの返済がスムーズに行えると判断され、審査が通過しやすくなるのです。
頭金なしで住宅ローンを組める可能性が高い
近年、低金利が続く中で住宅ローンを組むことが一層容易になっています。この状況は、借り手にとって金利の負担が軽減される大きなチャンスを意味しています。
実際に、大きな金額の住宅ローンを組む場合でも、金利の負担はこれまでほど大きくないでしょう。このような安定した低金利環境は、頭金がない状態でもフルローンを組むことを可能にしています。
フルローンとは、物件価格の全額をローンで賄うことを指し、頭金なしで家を買うことを実現することができます。このようなローンの形態は、初めての家を買う人や資金調達に困っている人にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
貯金なしで家を買うのが難しいと言われる理由とは
家を買う際に貯金がないという状況は、多くの障害を引き起こす可能性があります。
まず、売買契約時に必要となる手付金の支払いが困難になります。また、ランニングコストや諸費用の支払いにも困窮する可能性があります。さらに、住宅ローンの審査が厳しくなるという問題も生じるでしょう。
売買契約時の手付金が支払えない
家を買う際には、手付金として物件価格の5~10%を支払う必要があります。この手付金は購入代金の一部として扱われ、契約を確実なものにするための重要なステップで、現金で支払うのが一般的です。特に40歳で貯金がない状態だと、この手付金の支払いが大きなハードルとなり得ます。
しかし、事前に適切な準備を行うことで、この問題を解決できる可能性があるでしょう。例えば、買う予定の数年前から積立を始めることで、必要な手付金を準備することができます。さらに、不動産会社や銀行と良好な関係を築き、可能な限り良い条件での契約を目指すことも重要です。
また、物件選びの段階で、予算に合った物件を見つける努力を行うことも大切です。これにより、手付金の負担を軽減することが可能となります。
このように、手付金の支払いは確かに大きなハードルとなり得ますが、適切な準備と計画を行うことで、この問題を解消できるでしょう。早めの準備と計画を心掛け、安心して家を買うための第一歩を踏み出すことが重要です。
ランニングコストと諸費用が支払えない
住宅ローンを組むことができたとしても、その後に発生するさまざまな費用を見逃してはいけません。物件の登記費用は一つの大きなポイントであり、これには司法書士報酬や登記免許税などが含まれます。
また、入居後にはランニングコストとして、維持管理費や固定資産税が定期的に発生するため、注意が必要です。これらの費用は現金で支払うことが一般的であり、貯金がない状態では計画的な資金調達が不可欠となります。そのため、買う前には必要な費用をリストアップし、それに基づいて資金計画を立てることが重要です。
具体的には、まず各項目の平均的な費用を調査し、それを基に総額を算出します。次に、どのようにしてその金額を調達するかを計画します。また、維持管理費に関しては、物件の大きさや築年数、設備の状態などを考慮して、将来必要となる修繕費用も見積もっておくことが大切です。
このように、家を買う際にはローンの返済だけでなく、多くの隠れたコストが存在します。それらを見越して資金計画を立てることで、安心して新生活をスタートさせることができるでしょう。
住宅ローンの審査が厳しくなる
貯金がない状態で住宅ローンの審査を受ける際には、頭金を用意できないことから借入額が増える可能性があります。このような状況は、審査のハードルを高くする要因となり得ます。なぜなら、金融機関は借り手の返済能力を厳しく評価するため、借入額が多くなるほど、そのリスクも高まるからです。
しかし、安定した収入があり、適切な返済計画を提示することで、審査を通過する可能性は高まります。例えば、安定した職に就いていることや、収入が一定であることを証明することで、金融機関に安心感を与えることができます。また、借り手が過去に信用情報に問題がなく、きちんとした返済計画を立てていることを示せば、金融機関はローン返済を適切に行えると評価するでしょう。
さらに、将来的な収入増加の見込みや、他の資産を持っていることなども、審査の際にプラスの要素となります。例えば、昇進や資格取得による収入増が見込める場合や、投資用の不動産を持っている場合などは、審査に有利に働くことがあります。
40歳の貯金なしが家を買う5つのメリット
貯金がない状態でも家を手に入れることは可能です。ここでは、40歳で貯金がない状態でも家を買うことのメリットを5つ挙げて解説します。夢を諦めず、今からでも家を持つ第一歩を踏み出しましょう!
老後の住まいの心配がなくなる
40歳で貯金がない状態でも家を買うことは、老後の安心と安定を手に入れる大きな一歩となります。この年齢は多くの人にとって働き盛りであり、子育ても一段落する時期と重なります。このタイミングで家を買うことで、将来の「終の棲家」を確保できるというのはメリットと言えるでしょう。
賃貸住宅に住む場合、建物の取り壊しや建て替えにより、突然の移住を余儀なくされる可能性があります。しかし、自分の家を持っていると、そのような心配から解放され、自身の家を持つことで老後における住まいの安定感が増します。
返済計画が立てやすい
40歳という年齢は、多くの人にとって子育てが一段落し、家庭の支出を抑えることが可能になる重要なタイミングとなります。この時期には、子どもの教育費や日常の支出が減少し、家庭の経済状態が安定する傾向があります。
また、この年齢では職場での経験も豊富になり、安定した収入を享受している人が多いため、住宅ローンの返済計画を立てやすくなるでしょう。実際に、注文住宅を新築する世帯主の平均年齢は40歳前後となっており、これはこの年齢で経済的な安定を感じ、新しい家を持つ夢を実現する時期と捉えられます。
この年齢であれば、最長で35年の住宅ローンを組むことが可能となるため、毎月の返済額を抑えることができ、長期間にわたって安定した返済計画を立てることができます。このように、40歳という年齢は、経済的な安定と家庭環境の安定が重なる時期として、新しい家を買う最適なタイミングとも言えるでしょう。
生活スタイルに合わせてリフォームができる
自身の家を持つことは、家族構成や生活スタイルの変化に柔軟に対応できる環境を手に入れることを意味します。それは、リフォームを通じて、住空間を自由にアレンジできる特権とも言えます。
例えば、親との同居を計画する際には、プライバシーを保ちつつ共有スペースを増やすことで、家族全員が快適に過ごせる空間を作り出すことが可能です。また、子どもが独立した後には、空き部屋を利用して趣味のスペースを広げることができます。
賃貸住宅では基本的にリフォームが許可されていないため、住む人のニーズや夢を具現化することが難しいのが現状です。そのため、自身の家を持つことは、生活スタイルに合わせた住空間のカスタマイズが可能という、非常に大きなメリットを得られるでしょう。
子どもに資産を残せる
家を買うことは、将来的に子どもや家族に資産を残すことが可能になる重要なステップとなります。自身の家はただの住居でなく、長期的な投資としても機能します。子どもが成長して自立した際には、その家を引き継がせることで、経済的基盤を築く手助けにもなるでしょう。
また、自身の家を持つことで、緊急の資金調達が必要な場合に担保として利用することが可能となります。これは、ビジネスの起業資金を調達する際や、大きな投資を行う際に非常に有用です。
さらに、状況によっては家を売却して資金化することも選択できます。これにより、新たな生活のスタートを切る資金を確保したり、リタイアメントの資金を増やすことが可能となります。
団信に加入できる可能性が高い
住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的となっています。この保険は、住宅ローン契約者が死亡や高度な障害を負った場合、残りのローンが免除される仕組みです。
団信に加入することで、契約者が予期せぬ事態に見舞われた場合でも、家族が住まいを失うリスクなく、生活を続けることが可能となります。これは、家族の経済的安定と将来の安心を保障する重要なステップであり、契約者の健康状態で加入の可否が判断されます。
また、団信は多くの金融機関で住宅ローンとセットで提供されており、契約者は保険料をローンの月々の返済額に上乗せする形で支払うことが一般的です。このようにして、契約者は自身と家族の安心を確保しながら、家を買うという夢を実現することができます。
さらに、団信にはさまざまなプランがあり、契約者の年齢や健康状態、ローンの残額などによって保険料の額が異なります。したがって、個々のニーズと状況に最適な保険プランを選ぶことが重要です。
40歳の貯金なしが家を買う3つのデメリット
40歳の貯金なしが家を買うメリットを紹介しましたが、貯金がない状態で家を買うことにはデメリットも存在します。ここでは、40歳で貯金がない状態で家を買う際のリスクやデメリットを3つ挙げて解説します。知っておくべきポイントを押さえ、後悔のない選択をしましょう。
老後まで返済を続けるリスクを考慮する
40歳で貯金がない状態で家を買う際には、最長の借入期間を選ぶことで月々の返済額を抑える方法が一般的です。これは、負担を軽減し、初期の家庭経済を安定させる効果があります。しかし、この方法は75歳まで返済が続くことを意味し、老後の生活負担が増大する可能性があります。
賃貸の場合も、老後に賃貸料の支払いが続くため、将来的には貯金が必要です。これは、退職後の収入が減少する中で、固定の支出が続くというリスクを抱えることを意味します。
そこで、無理なく返済と貯金を進めるためには、必要に応じて繰り上げ返済の計画を立てることが重要です。繰り上げ返済を行うことで、返済期間を短縮し、利息の負担を減らすことができます。
また、繰り上げ返済を行うことで、老後の生活負担を軽減し、安心して生活を送ることが可能となります。具体的には、年間のボーナスや臨時収入を利用して繰り上げ返済を行う方法や、月々の返済額を少し増やして返済期間を短縮する方法などが挙げられるでしょう。このような計画を立てることで、老後も安心して生活できる資金計画を構築することができます。
希望金額の借入ができない可能性がある
貯金がない状態で家を買う際には、いくつかの困難が生じる可能性があります。まず、希望する金額を借り入れることができないリスクがあります。金融機関は借り手の信用力を評価する際に、その人の貯蓄額を重要な指標として考慮するためです。
さらに、全額借入を行ったとしても、その中から諸費用を確保する必要があります。これには、登記費用や仲介手数料、リフォーム費用などが含まれるため、理想の家づくりが難しくなる可能性があります。例えば、高品質な材料の使用やデザインの自由度が制限されることで、夢に描いていた理想の家から遠ざかることになるかもしれません。
しかし、賃貸の場合には、家賃支払いが資産形成に寄与しないというデメリットもあります。したがって、貯蓄がない状態で家を買うのは困難が伴いますが、将来的な資産形成の視点からは、買うことを検討する価値があるでしょう。
審査に通過しない可能性がある
40歳で貯金がない状態で家を買う際には、住宅ローンの審査に通ることが一つの大きなハードルとなります。審査の際には、返済比率が非常に重要な要素です。この比率は、借り入れる金額が年収に占める割合を示しており、高すぎると返済能力が不足していると見られ、審査に通りにくくなります。
そのため、貯金がない状態でも家を買う準備を進めるには、適切な借入額の選定と慎重な計画立てが必要です。具体的には、自身の年収と支出を精査し、返済が可能な範囲内での借入額を決定することが重要です。また、将来的な収入増加や支出の削減なども計画に含め、経済的安定を保ちながら理想の住まいを手に入れることができるよう努めましょう。
40歳の貯金なしが家を買う際の3つのポイント
貯金がない状態でも家を買うには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。ここでは、40歳で貯金がない状態でも安心して家を買うための3つのポイントを解説します。賢い選択をするための具体的な方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
計画的に繰り上げ返済をする
40歳で貯金がない状態でも家を買う際には、将来の定年後の返済負担を軽減するために、繰り上げ返済の計画を立てることが重要です。この計画立てには、現役時代に積極的に返済額を削減する戦略が求められます。具体的には、毎月の返済額を少しでも多くすることや、ボーナス時に一部を返済に充てる方法などが挙げられます。
また、退職金を利用した一括返済も視野に入れることが一つの方法です。しかし、近年では企業が退職金を削減する動きを見せているため、退職金だけに頼るのはリスキーと言えます。このため、退職金以外の資金源も考慮に入れたバランスの良い返済計画を立てることが重要です。
このように、40歳で貯金がない状態でも家を買う際には、将来のリスクを見据えた返済計画を立て、経済的安定を目指すことが重要です。
返済負担率を考える
返済負担率は、年収に対する住宅ローンの返済額の割合を示す重要な指標であり、これによって個人の経済的な負担がどの程度かを把握することができます。通常、この比率は年収の35%以内が適切とされており、先述したように「フラット35」の住宅ローンを利用する際には、借入額が400万円を超えると35%の設定が求められます。
しかし、実際には多くの人が20%程度の負担率を選ぶことで、返済の負担を軽減しているのも事実です。これは、月々の返済額を抑えることで、他の生活費や急な支出に対応しやすくするというメリットがあるからです。実際に、国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、20%未満で設定している世帯が多いことがわかります。
中古住宅の買う&リフォームを視野に入れる
中古住宅の購入とそれに伴うリフォームは、新たな価値を生み出す有効な手段となり得ます。特に、築20年程度のマンションは新築時に比べて価格が大幅に下がることが一般的であり、これを利用しリフォームを行うことで、資産価値を高めることが可能です。例えば、古い設備を最新のものに交換したり、間取りを変更して使いやすくしたりすることで、新築同様、あるいはそれ以上の快適な住空間を作り出せます。
ただし、中古物件の購入には注意点もあります。管理費や修繕積立金の増加が予測されるため、これらのコストを見極めることが重要です。また、新築の返済計画が厳しくなる可能性もありますので、買う前に十分なリサーチと計画が必要です。
さらに、リノベーションには時間とコストがかかるため、予算内で質の高いリフォームを行う企業を見つけることや、適切な資金計画を立てることが求められます。このように、中古住宅の購入とリフォームは、新たな価値を生み出す大変有効な手段であり、適切な計画と実行によって、理想の住まいを手に入れることができるでしょう。
まとめ|将来のことを視野に入れて家を買おう!
今回の記事では、40歳で貯金がない人が家を買うことについて紹介しました。貯金なしの40歳が家を買う際には多くのメリットやデメリットが発生しますが、資金契約や将来のことを視野に入れて家を買うことが大切です。夢のマイホームの購入で失敗しないためにも、正しい知識を身に付けておきましょう!
こちらの記事もお役立てください