二級建築士・マンションリフォームマネージャー 設計事務所を経て、ハウスメーカーでリフォーム専門の営業設計を担当。10,000人が利用するネットショップの運営経験もあり。38歳での結婚を機に地方に移住。現在は「建築士ライター&主婦ライター」として活動する一方、自身のブログ運営も開始。夫・子どもと爆笑しながら、楽しくほっこりとした日々をおくっています。
トイレのリフォームを検討するとき「どんなタイプのトイレを選ぼうかな」「費用次第では内装も一緒にリフォームしたいな……」と悩みがちです。
この記事では、トイレリフォームの費用相場をタイプ別に解説します。価格ごとに内装込みの施工事例も紹介するので、ご予算にあったリフォームを知ることができますよ。
最後には、トイレリフォームでよくある失敗例や対策もまとめています。ぜひ参考にしてくださいね。
目次
トイレリフォームの費用相場
リフォームで使われる代表的なトイレは4種類で、費用相場が低い順に並べると以下のとおりです。
- 組み合わせトイレ
- 一体型トイレ
- タンクレストイレ
- システムトイレ
トイレリフォームの費用は、タイプや工事範囲で相場が異なります。
ここでは、トイレリフォームの
- タイプ別の費用相場
- 内装を含んだ費用相場
をまとめています。
【便器交換】組み合わせトイレの費用相場
組み合わせトイレは、独立した「便器・タンク・便座」を組み合わせたトイレで、現在最も普及しています。費用相場は9〜26万円程度です。
費用相場に幅があるのは、便座のグレード差によるものです。グレードが高ければ、ウォシュレットに加え、便座機能に脱臭機能やオート洗浄・オート開閉など様々な便利機能がついています。費用を極力おさえたい場合は、便座機能をシンプルにするとよいでしょう。
組み合わせトイレの特徴
組み合わせトイレのメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
- 価格が比較的安価
- 便座が故障したら、便座のみを交換できる
- タンク上部にある手洗い用の蛇口の有無を選べる
デメリット
- 凹凸がある便器も多く、掃除がしにくい
- タンクに水が溜まるまで流せない(連続使用で水が流せなくなる場合がある)
【便器交換】一体型トイレの費用相場
一体型トイレは「便器・タンク・便座」が1つにまとまっているトイレのことです。ウォシュレットも組み込まれています。
手洗い用の蛇口付きの場合は、鉢が大きく手前に傾斜しているので組み合わせトイレよりも手を洗いやすいのが特徴です。タンクがコンパクトなため、手洗い用の蛇口が無い場合は一見タンクレストイレのようなシルエットになります。
一体型トイレの費用相場は12〜18万円程度です。組み合わせトイレ同様、費用は便座機能のグレードで大きく異なりますが、便器側面の凹凸の有無でも変わってきます。
一体型トイレの特徴
メリット
- 継ぎ目が少なく、掃除がしやすい
- タンクがコンパクト
- タンク上部にある手洗い用の蛇口の有無を選べる
デメリット
- タンクに水が溜まるまで流せない(連続使用で水が流せなくなる場合がある)
- 便座が故障したら、トイレ丸ごと交換が必要な場合もある
- タンクが樹脂製で、陶器のタンクと質感が異なる
【便器交換】タンクレストイレの費用相場
タンクレストイレは、便器と便座が一体になったデザイン性の高いトイレです。すっきりとした見た目でスタイリッシュなので、ここ数年で人気が高まっています。水を溜めるタンクがなく、便器は水道に直結しています。
タンクレストイレの費用相場は10〜31万円程度です。
タンクレストイレは便座機能が十分に備わったものが多いため、組み合わせトイレよりも費用が高くなります。ただし、機能を大幅に削った安価なタンクレストイレもあります。
トイレは頻繁に交換しないので、価格を安易に削りすぎるよりも自分に必要な便座機能を優先するほうがオススメです。
タンクレストイレの特徴
メリット
- 凹凸が少なく、掃除がしやすい
- すっきりした見た目で圧迫感がない
- オシャレに見える
- 連続で水を流せる
- コンパクトで狭いトイレにも設置しやすい
デメリット
- 価格が比較的高い
- 便座が故障したら、トイレの丸ごと交換が必要な場合もある
- 一部の機種では、水圧が弱い場所では設置が難しい場合がある
【便器交換】システムトイレの費用相場
システムトイレは、便器とあわせて収納や手洗い器などをカスタマイズできるトイレです。手洗い器を設置しても、大掛かりな給排水の工事が不要なのが嬉しいところ。「独立した手洗い器を新たに付けたいけれど、最小限の工事ですませたい」という方にピッタリのトイレです。
システムトイレの費用相場は19万円程度からになります。セミオーダーなので、どんなオプションをつけるかで費用は大きく異なります。
システムトイレの特徴
メリット
- 新たに手洗い器を設置しても給排水工事が簡単
- 収納スペースが確保できる
- トイレ空間をイメージどおりにカスタマイズしやすい
デメリット
- 価格が比較的高い
- 便座が故障したら、トイレ丸ごと交換が必要な場合もある
- 広い設置スペースが必要(狭いトイレには不向き)
【内装込み】トイレ空間をまるごとリフォームする場合の費用相場
トイレの内装もリフォームする場合、トイレ本体の他に追加でかかる費用相場は以下のとおりです。
- 壁紙:2.5~4.5万円程度
- 床材張替:1~6万円程度
便器がある状態では床を綺麗に張り替えるのは難しいので、内装はトイレを交換するタイミングでリフォームするのがベストです。床だけ新しくすると古い壁紙が悪目立ちするので、床・壁・天井すべてを張り替えるのが良いですね。
内装をリフォームする場合、施工店によってはインテリアコーディネーターに相談できることもあります。プロのコーディネーターなら自分では選ばないような内装を提案してくれることも多く、トイレが圧倒的におしゃれに仕上がるのでオススメです。
トイレの交換と一緒に!おすすめのリフォーム6選
トイレ交換とあわせてオススメなリフォームは6つあります。
- 床・壁紙の張替
- アクセサリ-の交換
- 照明器具の交換
- 手洗い器の設置
- 収納の設置
- バリアフリー化
それぞれを詳しく見ていきましょう。
床や壁紙もリフォーム
前述したように、トイレを交換するタイミングで内装もリフォームすると後悔がありません。
トイレ床材は、タイル張りやフロアタイル、ビニル素材のクッションフロアが一般的です。これらの素材は、色や柄のバリエーションが豊富で、水に強く掃除がしやすいのが特徴です。
トイレの床は、汚れやすくアンモニア成分により痛みやすいため、フローリングよりも丈夫でお手入れしやすい床材を選びましょう。
壁紙にもこだわりたい方は、消臭や汚れ防止機能のついた壁紙を使うとメンテナンスが楽になります。壁の1面を柄物にし、他の3面は無地にするとオリジナリティ溢れたおしゃれな空間に仕上がります。
リビングなどの広い空間には、個性的な色や柄物は取り入れにくいものですが、トイレのような狭い空間は「遊び心」を取り入れやすいです。ぜひ試してみてくださいね。
アクセサリーを交換
トイレをリフォームするなら、ペーパーホルダーやタオル掛けなどの「アクセサリー」もぜひ交換してみてください。トイレメーカーは、便器の他にアクセサリーも取り扱っています。セット購入すればお得ですし、工事もスムーズです。
アクセサリーはデザインや素材が豊富で個性的なものも多いので、交換するだけでグッとおしゃれになります。自分好みのアクセサリーを見つけるのを楽しんでくださいね。
アクセサリーを自分で用意する場合は、設置場所を施工業者と事前に共有しておくことが大切です。アクセサリーが壁から簡単に外れないよう、工事の際に補強を入れてもらえます。
ただし、アクセサリーを新たに設置するときは、トイレのドアを開けた時に当たらないかどうかを確認するようにしてくださいね。
照明器具を交換
トイレの照明も交換すると雰囲気がガラリと変わるのでオススメです。
照明は、デザインだけでなく下記にも注目するようにしましょう。
- 数
- 明るさ
- 光の色
- 設置場所
- 機能
清潔感を求めるなら、照明の数を増やしたりワット数をあげたりするとよいでしょう。落ち着いた空間にしたいなら、オレンジの電球色を選んだり、間接照明を設置したりするとよいですね。
電気を消し忘れがちな人は、人の動きを赤外線により感知する人感センサータイプの照明に交換すると安心です。消し忘れを防げるほか、夜中に暗くてスイッチの位置が分からなくても近づいただけで明るくなるのでとても便利ですよ。
ただし、人感センサーのみだと、便座でじっとしていると真っ暗になってしまうことがあります。体を少し動かせば再点灯しますが、気になる方は点灯時間を長めに調整できる機能が付いた人感センサ―照明を検討するようにしましょう。
手洗い器を設置
手洗い器の設置は、特にタンクレストイレに交換した方に増えているリフォームです。
「手洗い器を設置したくても、スペースが足りない!」という場合は、「壁に埋め込むタイプ」の手洗い器がオススメです。
壁が薄いマンションや戸建住宅の構造壁の場合は、埋め込み型の手洗い器が設置できないこともあります。手洗い器を設置したい場合は、設置の可否をあらかじめ施工業者に相談するようにしましょう。
収納を設置
トイレをリフォームするなら扉付収納を設置して、見た目をすっきりさせるのがオススメです。
スペースが狭いなら、手洗い器と同様に「壁に埋め込むタイプ」の奥行きの浅い収納もあります。収納のタイプは、トイレ空間の奥行きや幅に合わせて選ぶとよいですね。
バリアフリーリフォーム
お住まいの方の家族構成や世代にもよりますが、トイレのリフォームで多いのがバリアフリーに関する要望です。特に手すりの設置は、簡単かつ効果の高いリフォームで人気があります。
手すりが目立つのを避けたければ、ペーパーホルダーと一体型タイプの手すりがオススメです。手すりが目立ちにくくインテリアになじむため、トイレの印象をおしゃれなまま保ってくれます。
なお、トイレに縦型の手すりがあると、立ったり座ったりする動作がずいぶんラクになります。年齢にもよりますが、リフォーム時には今後のことを考えて手すりを設置しておくと安心ですね。
【価格帯別】内装込み!トイレリフォームの施工事例
ここでは、価格ごとの施工事例をピックアップしました。おしゃれに見えるリフォームのコツについても解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
【施工事例】10~20万円
施工金額:19.8万円
組み合わせトイレと一緒に床と壁紙も一新し、海外の街並みを思わせるヴィンテージ感溢れるカッコいい空間に仕上がっています。
立体的に見えるレンガ調の壁紙は、凸凹があるように見えて実際は平らです。床もビニル製のクッションフロアに張替えられ、掃除がラクになるようリフォームされています。
【施工事例】20~40万円
施工金額:30万円
お気に入りの柄と無地のクロスを腰高で貼り分けた例です。取り入れるのが難しい柄物も、無地のクロスと組み合わせることで華やかな雰囲気にまとまっています。
無地のクロスは、柄にある色をチョイスすると、浮いた印象にならずにオシャレな空間に仕上げることができますよ。
【施工事例】40万円以上
施工金額:45万円
手洗い器を新たに設置した例です。トイレはロータンクのスリムなものを選び、内装は明るいカラーを採用しているので、狭い空間でも圧迫感がありません。水が飛び跳ねやすい壁には、モザイクタイル調のパネルを貼り、おしゃれながら掃除しやすくなっています。
【トイレリフォーム】よくある4つの失敗例とその対策
トイレは毎日使うところなので、リフォームに失敗して後悔するのは避けたいところですよね。
トイレリフォームでありがちな失敗は4つあります。
- 助成金があることを知らなかった
- 便器を交換したら床に黒ずみができた
- 古いペーパーホルダーが悪目立ちする
- 詰まりやすくなった
それぞれの失敗とその対策を詳しくご紹介します。
【失敗例1】助成金があることを知らなかった
以下のようなトイレリフォームには、助成金や補助金を利用できる場合があります。
- バリアフリーのためのトイレ交換
- バリアフリーのためのトイレ空間拡張
- 節水トイレに交換
- 汲み取り式から水洗トイレに交換
助成金や補助金の申請は着工前に行う必要があることがほとんどです。後から知って後悔する方は多いので注意してくださいね。
トイレリフォームで使いやすい代表的な助成金・補助金は以下の2通りです。
- 地方自治体の助成金
- 介護保険の補助金
地方自治体の助成金の適用条件は各自治体により異なります。トイレリフォームを検討する場合は、助成金や補助金を利用できるかどうか、まずはお住まいの地方自治体のホームページを確認するようにしましょう。
介護保険の補助金の概要は以下のとおりです。
対象となる人 | 介護保険の要支援1~2、もしくは要介護1~5のいずれかの認定で、自宅に住んでいる人 |
支給額 | 費用の9割(最大18万円まで) |
対象工事申請の流れ |
・手すりの取り付け ・段差の解消 ・滑り防止 ・引き戸等への取り替え ・洋式便器等への取り替え など |
申請の流れ |
1.自治体から要介護または要支援の認定を受ける 2.ケアマネージャーに相談する 3.自治体へ申請書類を一部提出(事前申請) 4.着工、工事費の支払い 5.工事完了後に事後申請を行う |
いずれの助成金・補助金を利用するにしても、施工は申請対象工事に慣れた実績のある業者に依頼するのがオススメです。
役所とのやり取りや申請・完了報告書類の作成がスムーズで、提出に必要な写真なども準備してくれます。
施工業者には「申請手続きを代行してもらえるかどうか」を契約前にあらかじめ相談しておくと、失敗がなく安心ですね。
【失敗例2】便器を交換したら床に黒ずみができた
便器は昔と比べてサイズがコンパクトになっているものが多いため、前の便器の設置跡が新しい便器からはみ出て目立ってしまうことがあります。
便器を交換しても、床が汚れていてはせっかくのリフォームが台無しです。便器を交換する際は、思い切って床も張り替えるようにしましょう。
ただし、おしゃれだからといってパイン材など無垢のフローリングを選ぶのはNGです。無垢材はアンモニアやトイレ用洗剤で簡単に変色してしまいます。床材には、おしゃれさだけでなく掃除のしやすさも重視してくださいね。
【失敗例3】古いペーパーホルダーが悪目立ちする
トイレをリフォームすると、古い部分が悪目立ちしてしまう可能性があります。特に古いペーパーホルダーの黄ばみは気になりがちです。
ペーパーホルダーは安価なものでもデザインにこだわったものが多く販売されています。トイレを交換するときはペーパーホルダーも一緒にリフォームすることがオススメですよ。
【失敗例4】詰まりやすくなった
「トイレを交換したら詰まりやすくなってしまった」というのは、よく耳にする話です。
詰まりの主な原因には、以下のことが考えられます。
- 節水トイレ
- 水圧が低い
- 排水管の勾配が不十分
節水トイレ
リフォームする場合、節水型トイレにするのが一般的です。しかし、現在の節水型トイレで使う水の量は1990年代以前のトイレの1/2~1/3に減っているので、以前と同じような使い方だと詰まりやすくなることがあります。
節水型トイレに交換した場合は、「一度に大量に流さない、数回に分けて流す」などを習慣づけるようにしましょう。
水圧が低い
近年人気のタンクレストイレは水を溜めるタンクがないため、水圧が低い場所に設置すると、水圧不足によりトイレットペーパーなどが詰まってしまう可能性があります。
トイレをリフォームするときは、希望のトイレが設置できるかご自宅の水圧を考慮することが重要です。お住まいがマンションの上層階などにあり水圧が低い場合は、「ブースター」と呼ばれる水圧不足を補うための装置も一緒に設置してもらうと安心ですよ。
排水管の勾配が不十分
新たにトイレを設置する場合、排水管の勾配が足りずにトイレが詰まってしまうことがあります。トイレから下水までの配管経路が長すぎる場合も、途中で詰まる原因になるため注意が必要です。
トイレの勾配や経路は十分に検討しなければなりません。トイレのリフォームは信頼できる施工業者に依頼するのが大切ですね。
トイレリフォーム工事のQ&A
トイレのリフォームによくある質問とその回答をまとめました。工事前にしっかりと不安を取り除きましょう。
リフォーム期間中のトイレはどうする?
工事中はトイレを使うことができないため、ほとんどの方が近所のお店や施設のトイレを利用しています。
トイレリフォームにかかる期間の目安は下記のとおりです。
- トイレへの交換のみ・・・約半日
- トイレ交換・内装工事・・・約1日
- トイレ交換・手洗い器設置・内装工事・・・約2日
トイレの位置を移動するなどのリフォームは、工事が長期間かかる場合があります。費用はかかりますが、レンタルの仮設トイレを設置してもらうと安心ですね。
リフォーム業者を選ぶときのポイントは?
トイレリフォームを失敗しないためには、業者選びが大切です。リフォーム費用だけを優先すると失敗するリスクが高くなるからです。
リフォーム業者を選ぶときは、以下のポイントを確認しましょう。
- 実績・口コミ
- 建設業許可をうけているか
- 見積の詳細
- 保証やアフターサービス
- 助成金を利用するなら申請を代行してもらえるか
トイレリフォームは、機器の選び方や施工次第では詰まりやすくなってしまう難易度の高い工事です。施工不良を防ぐためには、他の箇所のリフォーム実績だけでなく、トイレ工事における実績を重要視して施工店を選んでくださいね。
見積りに「一式」としか記載されていない場合には注意が必要です。「トイレだけを交換するのか」「劣化した配管まで取り換えてもらえるのか」など、工事範囲を具体的に把握できるように、見積には詳細を記載してもらうようにしましょう。
「保証やアフターサービスが充実しているか」を事前に確認しておくことも大切です。トイレは生活になくてはならないものなので、故障した時の対応の早さが鍵となります。メーカー保証とは別に「工事が原因で発生した不具合に対しても保証があるかどうか」も確認しておくと安心ですね。
まとめ|トイレリフォームは信頼できる施工業者に依頼しよう
今回は、トイレリフォーム費用相場や価格別の施工事例、よくある失敗例や対策などを紹介しました。
近年のトイレは節水型が一般的ですし、設置場所によって水圧は様々です。実績の少ないリフォーム業者に依頼してしまうと、予期せぬ不具合が起こる可能性もあります。
工事は、現状をしっかりと調査し、希望を叶えてくれる施工業者に依頼することが大切です。費用相場を理解し、信頼できる施工業者でトイレリフォームを行いましょう。
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