湯たんぽは、冷えた体を温めたいときや布団を温めたいときにすぐに使える便利なアイテムです。湯たんぽを効果的に使うためには、守るべき注意点やポイントもあります。本記事では、湯たんぽの基本的な使い方から注意点・人気の商品について解説します。
目次
湯たんぽの基本的な使い方
湯たんぽを使うときは、まず基本的な使い方を知ることが大切です。湯たんぽにはお湯を使用するため、思わぬやけどの可能性があるからです。基本的な使い方をみていきましょう。
先に布団を温める
足元が冷えて眠れないとき、湯たんぽを使う人も多いでしょう。このとき、足元に直接湯たんぽを置いて使いがちですが、この方法は湯たんぽの効果的な使い方ではありません。
体を温めるために湯たんぽを使うときは、先に布団を温めることがポイントです。布団には保温性があります。湯たんぽを先に布団に入れておくことで、寝るときに布団が適度に温まります。
湯たんぽを入れるタイミングは、布団に入る30分前がおすすめです。さらに、腰の位置に湯たんぽを入れることで布団全体が効率よく温まります。
温まったら湯たんぽを外す
湯たんぽはそのまま肌に当てるとお湯の温度が直接伝わるため、付属のカバーをつけたり、タオルで巻いたりして使うのが通常です。
カバーを付けていれば安心して使えると思いがちですが、実際には使い方に注意する必要があります。湯たんぽにカバーを付けることでやけどしない程度の温度だとしても、長時間同じ場所に当て続けると、低温やけどになる恐れがあるからです。
そのため、湯たんぽは温めることを目的とし、温まったら湯たんぽは取り外すようにしましょう。特に寝るときに湯たんぽを使うときは、寝る前に取り外すことが大切です。
使用後はしっかりメンテナンスを行う
湯たんぽは、基本的にお湯を入れるだけで使用できる手軽なアイテムです。そのため、長く使うことが可能なものでもあります。
ただし、水分を使うので、カビの発生には気をつけなくてはいけません。湯たんぽに水分が残ったまま長期間放置すると、カビが生えることがあります。
メンテナンス要らずの湯たんぽもありますが、それ以外の湯たんぽは、商品に応じて手入れを適切に行う必要があります。
使うシーズンが終わったら、湯たんぽに入っている水分をすべて出して、キャップを外した状態でしっかりと乾燥させましょう。乾燥後は、通気性のよい場所にキャップを外したまま収納するのがベストです。
効果的な湯たんぽの活用法
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湯たんぽは使い方を工夫することで、湯たんぽのメリットを最大限に活用できます。効果的な湯たんぽの活用方法を二つ紹介します。
お腹からじんわり温める
湯たんぽは大きさが手頃なので、持ち運びが容易なアイテムです。そのため、室内のみならずキャンプなどでも活躍します。屋外で冷えた体を温めたいとき、湯たんぽを活用するシーンは多いでしょう。
冷えた手足の先など、部分的に湯たんぽを使いがちですが、この使い方では体全体を温めるには時間がかかります。体を効果的に温めるためには、お腹のあたりを温めることがポイントです。
体の中心であるお腹は、常に血液が循環しているため、お腹を温めることで血行がよくなり、じんわりと体が温まります。湯たんぽは、毛布やブランケットで包み、お腹にあたるように使いましょう。
湯たんぽで手作りこたつを
湯たんぽがあれば、手作りの簡易こたつができます。用意するものは、湯たんぽのほか、テーブル・毛布・天板です。テーブルの上から毛布をかけ、その上に毛布がずれないように天板を置きます。
テーブルの準備ができたら、テーブルの下の真ん中に湯たんぽを入れましょう。湯たんぽがこたつの熱源代わりになって、冷えた体が温まります。
テーブルと床にすき間があると熱が逃げてしまうため、大きめの毛布を使うことがポイントです。湯たんぽを使った簡易こたつは、電気を使わないので屋外でも活躍します。
湯たんぽを使うメリットとは
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手軽に使える湯たんぽには、メリットも多くあります。湯たんぽのメリットを知り、理想の湯たんぽを見つけてみてはいかがでしょうか。
節電効果がある
寒いときにストーブやエアコンを使って暖をとることが多いですが、使用時間が長くなると気になるのが電気代です。
湯たんぽはお湯さえあれば体を温められるので、電気代がかからないのは大きなメリットでしょう。湯たんぽを使うことで節電になり、結果的に家計の節約になります。
また、湯たんぽは大きさがちょうどよく持ち運びやすいので、屋内屋外を問わずに使用できる点もメリットです。湯たんぽは、足元やお腹などを部分的に温めたい場合に活躍します。
故障の心配がない
電気ストーブなどの暖房器具は、部屋全体を温めるのに効果的ですが、部品が故障する可能性や製品の寿命で使えなくなる心配が少なからずあります。
湯たんぽは、電気系統の部品を持たないので、故障の心配がないことは大きなメリットです。適切なメンテナンスを行えば、長く使えます。また、電気ストーブなどの暖房器具などと比べると、安価で手に入るのも魅力です。
災害時に役立つ
地震や台風が多い日本では、停電を経験することも少なくありません。停電になれば電気は使えないため、厳しい寒さに困るケースがあります。お湯さえあれば使える湯たんぽは、こうした災害時の寒さ対策に活躍するアイテムです。
屋外でも使えるため、湯たんぽは災害用として一つ常備しておくとよいでしょう。特にゴム製の湯たんぽは軽くてやわらかいので、持ち運びに適しています。
湯たんぽを使うときの注意点
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湯たんぽは身近で手頃なアイテムなので自己流で扱いがちですが、使用するにあたって注意したい点があります。
低温やけどに注意する
湯たんぽは使用方法が簡単で身近なアイテムなので、安心して活用している人が多いでしょう。しかし、湯たんぽを使う上では「低温やけど」に注意が必要です。低温やけどは、長時間同じ場所に高い温度のものを当て続けることで発症するやけどのことです。
湯たんぽには付属のカバーを付けたり、タオルで巻いたりして使うため、やけどには一見無縁に感じます。しかし、低温やけどは44~50度と低めの温度で起こるやけどです。
低温やけどは、自覚症状がないまま症状が進行することもあります。湯たんぽを使うときには、長時間同じ場所へ使用するのは避けるのが重要です。
お湯を入れるときは慎重に
湯たんぽにはお湯を注ぐときには、お湯によるやけどに注意しながら行いましょう。お湯を湯たんぽに入れるときにこぼしたり倒したりすると、やけどを負ってしまう可能性があるからです。
湯たんぽの種類によっては、お湯の注ぎ口が狭いものもあります。お湯を注ぐときは湯たんぽがぐらつかないよう、平らで安定した台の上に置くことが大切です。こうすることで、万が一お湯があふれてしまっても早急に対応できます。
湯たんぽのお湯を入れる口に対し、やかんなどの注ぎ口が太いという場合もあります。この場合は、じょうごなどの道具を使ってお湯を入れることがおすすめです。
製品ごとの注意事項に従う
湯たんぽは、お湯を入れるだけで使える手軽なものですが、加熱時間や加熱方法は製品ごとに異なるので注意が必要です。
誤った使い方をすると、湯たんぽの破損ややけどの原因になります。重要なことは、製品ごとに定められた注意事項を確認し、正しい使い方をすることです。
使用するお湯の適正温度も、メーカーや素材によって異なります。湯たんぽを使う前には必ず確認し、適正温度のお湯を使うようにしましょう。
湯たんぽの使い方と特徴を素材別に解説
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湯たんぽにはさまざまな種類があります。特に素材によっては使い方や特徴に違いがあるため、使う前にはよく確認することが大切です。
ゴム製の湯たんぽ
ゴム製の湯たんぽは、ゴムの弾力を生かしたやわらかい感触が特徴です。価格も比較的安めなので、購入しやすいこともメリットです。
ゴム自体の熱伝導率が低いため、お湯の温かさがじんわりと伝わります。ただし、ゴムの耐熱温度はそれほど高くはないので、熱湯が使えないゴム製の湯たんぽは多いでしょう。
湯たんぽは、空気が入らないようにお湯を満杯まで入れるのが基本です。しかし、ゴム製の湯たんぽは空気が入りやすいため、お湯の量は全体の3分の2程度に抑えて、空気を抜く必要があります。
プラスチック製の湯たんぽ
プラスチック製の湯たんぽは、なんといっても軽量で持ち運びしやすい点が魅力です。サイズもさまざまな種類があるため、自分に合った大きさの湯たんぽを選べます。
金属製の湯たんぽを比べると保温性は低いですが、プラスチックはサビる心配がないため、長く使い続けられることは大きなメリットです。メンテナンスも簡単で、携帯性に優れた湯たんぽといえます。
デメリットは、プラスチック製の湯たんぽは変形の可能性があることです。湯たんぽに入れたお湯の温度が下がると内部の空気圧が変わるため、使い方によっては変形する可能性があります。
金属製の湯たんぽ
金属製の湯たんぽに使われている素材は、おもにトタン・ブリキ・ステンレス・銅です。
これらの金属素材は熱伝導率が高いため、湯たんぽにお湯を入れるとすぐに温かくなります。加熱までの待ち時間が少ないことは大きなメリットでしょう。ただし、金属製の湯たんぽは表面温度が高いため、使うときにはカバーが必須です。
デメリットは、強い衝撃に弱いことと、水分が残っているとサビつく恐れがあることです。使い終わったらしっかりと水気を切るなど、メンテナンスは丁寧に行いましょう。
金属製の湯たんぽには、すべてではありませんが直火にかけられるタイプのものもあります。
陶器製の湯たんぽ
陶器製の湯たんぽは、金属製の湯たんぽに比べると熱伝導率は低いものの、温度がゆるやかに伝わります。熱すぎない温度で使えることがメリットです。
陶器製の湯たんぽにはデザイン性が高いものが多いため、自分好みの湯たんぽを見つける楽しみもあるでしょう。陶器に使われる土の材質によっては遠赤外線効果があり、湯たんぽ内の水を腐らせない効果に期待できます。
重量がある陶器は、高いところから硬い床に落とすと割れる恐れがあるため、扱いには注意が必要です。
おすすめの湯たんぽ3選
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素材や特徴が異なるものが多いため、たくさんあるものの中から湯たんぽを選ぶのに迷う人も多いでしょう。おすすめの湯たんぽ3選と、それぞれの特徴について解説します。
マルカ湯たんぽ Aエース
マルカは、90年も続く日本の老舗メーカーです。内部に変形を防ぐための支柱を入れていたり、底を安定させるためにフラットな形状にしていたりと、使い勝手を考えた工夫が散りばめられています。
湯たんぽの表面積を広くするために波型の形状となっており、温かさがより感じられるのもメリットです。
直火で温めることが可能なので、屋外でも活用できます。水切りもしやすく、キャンパーに人気の商品です。
マルカ湯たんぽ Aエース
タンゲ化学工業 呼吸する湯たんぽ
湯たんぽに入れるお湯の量が適正でないと、中の空気圧が変化して湯たんぽが変形することがあります。
「呼吸する湯たんぽ」は、自動で湯たんぽ内の空気圧が調整されるため、変形を防げるのが美点です。
また、湯たんぽの下側がフラットな構造になっているため自立させて使用できます。立てた状態でお湯入れ・お湯捨てができ、使い勝手のよい湯たんぽです。さらに、上部には取手がついていて、持ち運びしやすい構造になっています。
タンゲ化学工業 呼吸する湯たんぽ
クロッツ やわらか湯たんぽ たまご型タイプ
ウェットスーツの専門メーカーが開発した湯たんぽです。湯たんぽの表面はナイロンジャージが使われており、肌ざわりがよく、やわらかい感触が特徴です。
熱の伝わり方がゆるやかでカバーも付いているので、低温やけどがしにくい構造になっています。
たまごのような形がシンプルで可愛らしく、大きさも手頃です。家の中はもちろん、会社や車など場所を選ばずに持ち運びしやすい湯たんぽです。
クロッツ やわらか湯たんぽ たまご型タイプ
湯たんぽを看護で使うときの注意点
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湯たんぽは、看護の場でも便利に使えるアイテムです。ただし、看護で湯たんぽを使用するのは自分で使う場合と異なるため、使用にあたっては注意したい点があります。おもな注意点を三つ解説します。
皮膚に直接触れないようにする
看護で湯たんぽを使うときには、特に低温やけどに注意する必要があります。なぜなら、湯たんぽの温度や感触は看護されている側でしかわからないからです。
湯たんぽを自分で使う場合は、体が温まったら湯たんぽを外したり、位置を変えたりするのも容易です。しかし、看護で使うときには、人それぞれの感触の違いがあるので、温めすぎて低温やけどを起こすことがあります。
そのため、看護で使うときは湯たんぽを皮膚に直接触れないように置いたり、適切なタイミングで位置を変えたりすることが重要です。湯たんぽを自分で使うとき以上に気を遣いながら使用しましょう。
使用時間に注意する
低温やけどは湯たんぽの表面温度だけではなく、使用する時間も大きく関係します。そのため、看護で湯たんぽを使うときは、使う時間に注意が必要です。
低温やけどは、湯たんぽの温度が44度の場合、3~4時間の連続使用で起きるといわれています。
特に目を離しがちな就寝時は、湯たんぽを適宜外すなど、使用時間に注意を払いながら使うようにしてください。小さな子どもや高齢者に湯たんぽを使うときには、特に注意しながら使いましょう。
皮膚の状態をこまめに確認する
看護で湯たんぽを使用するときは、患者の皮膚の状態をこまめにチェックする必要があります。
一般的なやけどであれば、皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたりして症状がわかります。しかし、低温やけどは表面にわかりやすい症状が出にくく、痛みもあまりないために気付くのが遅れることがあるのです。
特に子どもは皮膚が薄いため、湯たんぽを使うときには皮膚の状態を確認しながら使うようにしましょう。
自分に合った湯たんぽを見つけて長く活用しよう
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湯たんぽは使い方が簡単な、体を温めたいときに重宝するアイテムです。電気を使わないため、普段使いだけではなく災害時にも活躍するので、一つ常備しておくとさまざまな場面で活躍するでしょう。
ただし、湯たんぽには商品ごとの使い方や注意点があるため、説明書をよく読みその湯たんぽに合った使い方をすることが大切です。目的に合った湯たんぽを見つけて長く使いましょう。