「除草剤を使ってみたい」と考えているのなら、まずは除草剤の種類ごとの特徴や注意点を把握するのが大切です。対処したい雑草の種類に合わせた除草剤を選ぶことで効果を最大限にできます。おすすめ商品も紹介するので、併せてチェックしましょう。
目次
除草剤とはどんな薬品?
雑草は庭や家の周りに、いつの間にか生い茂ってしまいます。手で抜いて処理するのにかかる時間や手間を思うと面倒で、なかなか重い腰が上がらないという人もいるでしょう。そんな人の強い見方になるのが除草剤です。
除草剤とは雑草などの植物を枯らせる薬品
除草剤は植物を枯らせることを目的とした農薬の一つです。その仕組みは商品によって異なりますが、植物が生きていく上で不可欠な光合成を阻害したり、植物のホルモンや活性酸素の量をコントロールしたりすることで植物を枯らせます。
植物の生命活動に影響を与えるように作られたものなので、作物の病気を引き起こす細菌や動物に対しての影響はありません。
また、除草剤というと雑草のみに働きかけるものだと思っている人もいるかもしれませんが、雑草も含めた全ての植物に働きかけるタイプもあります。
『非選択性除草剤』と呼ばれるタイプがそのタイプで、散布した箇所に生えている植物を全て枯らせてしまうので注意しましょう。
ほかに農作物を育てている場合や、芝の張ったお庭などで雑草だけを処理したい場合は、『選択性除草剤』を選ぶ必要があります。
除草剤は雑草の生え具合に合わせて選ぶ
(出典) photo-ac.com
除草剤には液体タイプ・顆粒タイプ・ハイブリッドタイプの三つのタイプがあります。どれを選んでもよいというわけでもなく、狙った効果を得るには雑草の生え具合に応じて選び分ける必要があります。
生えている雑草を枯らしたいなら液体タイプ
既に雑草が生い茂っている状態なら、液体タイプの除草剤を選びましょう。液体タイプの多くは『茎葉散布型』と呼ばれ、葉や茎から薬品成分が吸収されるようになっているので、即効性があります。
除草剤を散布すれば、生えてしまった雑草をすぐに枯らせてくれるでしょう。商品によっては1時間もかからず枯れ始めるものもあります。
ただし、使用するタイミングには注意が必要です。散布後に雨が降るようなタイミングで使えば、せっかくまいた薬品が流されてしまい、十分な効果を得られなくなることがあります。しばらく晴天が続きそうな時期を選んで使うようにしましょう。
また、液体タイプには希釈して使う原液タイプとそのまま使えるストレートタイプとがあります。
原液タイプなら薄薄めれば大量に薬剤を用意できるのでコスパがよく、広範囲にわたって散布したいときにおすすめです。一方、除草剤を使いたい範囲が限られる場合はストレートタイプを選ぶとよいでしょう。
生えないように予防したいなら顆粒タイプ
『土壌処理剤』と呼ばれる顆粒タイプの除草剤は、まだ雑草は生えていないけれど、今後も生えてこないように予防したいというときにおすすめです。
土の上にまいておくことで、雑草の根や芽に対して働きかけて成長を阻害してくれます。効果の持続期間が長いことも特徴で、一度使用すればしばらく何もしなくても雑草は生えてこないでしょう。
より効果を得るためには、雨上がりに散布するのがおすすめです。水分といっしょに薬剤が根から吸収されるのでよく効きます。
ハイブリッドタイプなら即効性も予防性も
「既に生えてしまった雑草を今すぐ何とかしたい!」「しょっちゅうお手入れしないといけないのは困る!」という人にはハイブリッドタイプの除草剤がよいでしょう。
ハイブリッドタイプは、液体タイプの即効性と顆粒タイプの予防性を兼ね備えたタイプです。
茎葉から作用するのですぐに効き目が現れ、さらに土壌に残る期間も長いので根や芽にも働きかけることができます。今生えている雑草枯らせ、新しく雑草が生えないようにもしてくれる、いいとこ取りの除草剤なのです。
除草剤を選ぶ際のチェックポイント
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除草剤を選ぶ際には、ほかにもチェックしておくべきポイントがあります。雑草だけに効かせたいのか、農作物を育てているか、芝生の生えたところで使いたいのか、など、自分の使いたい場所の様子に合わせて選ぶことが大切です。
また、小さな子どもやペットがいるなら、安全性を考慮し、除草剤の成分に注意して選びましょう。
雑草だけに効く選択性除草剤が便利
除草剤には非選択性除草剤と選択性除草剤があります。
非選択性除草剤とは、文字通り植物の区別なく全ての植物を枯らしてしまう薬剤です。雑草しか生えていない場所なら問題なく使えますが、育てている作物などがある場合には向きません。
雑草だけに効果を得たい場合は、選択性除草剤を選びましょう。選択性除草剤は雑草と雑草以外の植物との性質の違いを利用し、雑草のみに働きかけるように作られています。作物などほかの植物を枯らしてしまうことがないので便利です。
家庭菜園に使うなら農耕地用を
除草剤には農耕地用と非農耕地用という種別もあります。
農耕地用の除草剤は農作物の周辺でも使用可能とされるタイプです。枯らせてしまいたくない植物の近くで使用する場合には、こちらのタイプを使います。
一方、非農耕地用は農作物の近くで使用すると作物を枯らしてしまう可能性があります。家庭菜園など、農作物を育てている場所で使いたい場合は、必ず農耕地用を選びましょう。
非農耕地用は雑草が生えてほしくない駐車場などへ使用するのに役立ちます。
子どもやペットがいるなら成分に気を付ける
除草剤は正しく使用すれば健康に害をもたらす可能性は低いとされています。しかし何でも口にしてしまう可能性のある小さな子どもやペットがいる場合、やはり不安に感じる人もいるでしょう。
そのような場合は、除草剤に含まれる成分をチェックして選ぶようにするのがおすすめです。
除草剤の中には、食品由来の成分のみで作られたものや天然成分100%のものなど、体に無害な成分でのみで作られた商品もあります。
安心して使える上、効き目も一般的な除草剤に劣らないので子どもやペットがいても使いやすいでしょう。
芝生の場合は専用の除草剤を
除草剤の中には芝生専用とうたった商品も多く発売されています。芝生は残して雑草だけを枯らしてくれるので、芝生の生えた箇所に使いたいときにおすすめです。
また、芝生には日本芝と西洋芝の2種類のタイプがあり、使うべき除草剤のタイプが異なります。『芝生専用』とある商品でも、自宅の芝と異なるタイプの芝用のものを使うと、十分な効果を得られないので注意が必要です。
購入時にラベルや商品説明をよく確認し、自宅の芝生に応じたタイプを選びましょう。
除草剤を安全に使うための注意点
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除草剤は生命力の強い雑草を枯らしてしまう農薬です。いくら植物にのみ作用するものといっても、安全には十分配慮の上使わなければなりません。注意書きをしっかり確認の上、その内容を守って使用するようにしましょう。
注意書きはしっかり読む
除草剤を安全に使用する上で最も重要なのが、注意書きをしっかり確認することです。
特に、健康に害を受けないためにも濃度や散布回数は必ず守りましょう。既定の濃度や回数を超えて使用すると、人体にとって危険なこともあります。
また、散布時の服装についても軽視してはいけません。除草剤が目に入ったり皮膚に付いたりすると危険なこともあります。安全に散布するためにも注意書きに書かれた内容は忠実に守るようにしましょう。
除草剤が肌や目に付かないように気を付ける
除草剤は生命力の強い雑草を枯らしてしまうほど強力な薬品ですから、人や動物に触れるのもよくはありません。薬剤が体に付かないよう、できるだけ露出部分は抑えた格好をして散布することが大切です。
必ず長袖を着用の上、手袋やマスクも忘れずに付けましょう。特に噴霧器などを使用する場合は、目に入らないようゴーグルや農業用のマスクを使用する必要があります。
万が一目に入ってしまった場合は、すぐに水で洗い流し、念のため眼科医にかかりましょう。
散布後は安全のため立ち入り禁止に
除草剤の注意書きには、散布後立ち入り禁止にすべき期間についても記載されています。葉や土などに薬剤が吸収されてしまうまでに、除草剤を散布した場所に入って体や目に付着するようなことがあっては危険だからです。
必ず商品の注意書きに従って、立ち入り禁止期間を守りましょう。特に、小さな子どもやペットがいる場合は、誤って散布した場所に近づいてしまわないよう、十分注意する必要があります。
また、ご近所への配慮も忘れないように使いたいところです。トラブルを避けるためにも、風に流されて隣家の洗濯物や樹木に薬剤が付いてしまわないよう天候や散布方法に注意したり、あらかじめ除草剤を使用する旨を伝えておくのがよいでしょう。
液体タイプのおすすめの除草剤
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既に生えてしまった雑草を枯らしてしまいたいなら、液体タイプを選ぶのが正解です。葉にかければ根まで効くタイプのものなら効果が長持ちするので、あまり頻繁にお手入れできない人にも便利でしょう。
住友化学園芸 除草剤 グリーンスキットシャワー
育てている作物や果樹周りにも使用できる除草剤です。雑草が生えやすい、畑のうねなどにも使用できるため、家庭菜園を持っている場合などに便利な商品だといえるでしょう。
散布液がかかった雑草のみを枯らすので、散布後の種まきなども可能です。土に落ちると分解される成分なので安心して使えます。
ボトルにシャワー栓がセットされているので、キャップを外してそのまま散布できる点も便利なアイテムです。薄める必要もないので、使いたいときにすぐに使えます。
住友化学園芸 除草剤 グリーンスキットシャワー
大成農材 サンフーロン 2L
農薬登録後、15年間多くの人に愛用され続けているロングセラーの除草剤です。急性毒性試験、慢性毒性試験などの厳しい審査をクリアしており、使用上の注意を守って散布すれば安全に使えるでしょう。
水で薄めてまくタイプで、農耕地でも使用できます。一年生雑草から多年生雑草、スギナやクズ、ススキなど幅広い種類の雑草に対応しており、葉にかければ根っこまでしっかり枯らしてくれるでしょう。
土に落ちた成分は効果がなくなるので、散布後でも種まきや苗の植え付けができます。
大成農材 サンフーロン 2L
顆粒タイプのおすすめの除草剤
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雑草は、今は生えていなくてもいつの間にやら生い茂ってしまうものです。雑草のないすっきりした状態をキープするためにも、顆粒タイプの除草剤を用いて予防しておきましょう。
フマキラー カダン 除草王オールキラー粒剤 2kg
2kgで最大400㎡と広範囲に散布できる除草剤です。薬剤が土壌近くに保持されるようになっているので、散布から時間がたっても新たに生えてきた芽を枯らすことができます。効果の持続期間は最大で6カ月間と長く効くのも魅力です。
年に1回まけばしばらく雑草が生えてこないので、駐車場や空き地など普段なかなかお手入れできないところに使うのも便利でしょう。スギナやよもぎ、ススキなどのほか、ササなどのしつこい雑草にもよく効きます。
フマキラー カダン 除草王オールキラー粒剤 2kg
住友化学園芸 除草剤 シバニードアップ粒剤
美し芝生をキープするためには、雑草の除去が欠かせません。こちらの商品は芝生に適した配合がされており、芝生はそのままに、芝生内に生えた雑草のみを枯らせる除草剤です。
散布後5~10日で枯れ始め、その後約3カ月ほど除草効果が持続します。定期的に散布することで、美しい庭をキープできるでしょう。
また、西洋芝には対応していない点や、草丈の高い雑草には効きにくい点に注意が必要です。
住友化学園芸 除草剤 シバニードアップ粒剤
子どもやペットがいても安心な除草剤
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特に小さな子どもやペットがいるなら、使用方法を守ることはもちろん、商品に含まれる成分にもこだわってできるだけ安全なものを選びたいものです。
食用成分のみでできた除草剤なら安全な上、効果は一般の除草剤と変わらないのでより安心して使えるでしょう。
アースガーデン おうちの草コロリ ジョウロヘッド 2L
ペラルゴン酸という食品由来成分で作られた、子どもやペットがいても安心して使える除草剤です。
薄めずそのまま使える液体タイプで、ジョウロヘッドが付いているので広い範囲に散布しやすいでしょう。
即効性が非常に高く、枯らしたい雑草に散布すれば最速10分で枯れ始めることもあります。一年生や多年生の雑草のほか、ゼニゴケなどにも効果的です。薬品独特の嫌な臭いもせず、ほんのりハーブの香りがするのも使いやすいポイントの商品です。
アースガーデン おうちの草コロリ ジョウロヘッド 2L
トヨチュー お酢の除草液シャワー 2L
大阪に本社のあるお酢のメーカー、タマノイ酢と共同開発された除草剤です。100%食品原料であるお酢で作られているので、子どもやペットがいても安心して使えるでしょう。
薄めずに使える液体タイプで、最速50分で効果が現れます。キャップを開ければシャワーヘッドがセットされているので、すぐに使えるのも便利です。
家の周りや駐車場に生えてしまった雑草やコケを枯らすのによいでしょう。
トヨチュー お酢の除草液シャワー 2L
除草剤で庭のお手入れを楽ちんに
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雑草はいつの間にか生えてきて、あっという間に生い茂ってしまうものです。まめに草抜きをできればよいのかもしれませんが、そんな時間や手間もかけていられないという人にとって除草剤は強い見方といえるでしょう。
除草剤は正しく選んで注意をよく守って使用すれば、実に簡単に庭のお手入れができます。効果が持続するものを選べば、年に一度の手入れで済むこともあり、非常に便利でしょう。
上手く除草剤を活用し、お庭などのお手入れを楽に済ませてしまいましょう。