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家を暖かくする床暖房リフォーム。人気の種類や設置工事にかかる費用を解説!

この人に聞きました夏目あや子

一級建築士

おうちを楽しく育てる暮らし「おうち育」を提案しています。 収納・100均リメイク・DIYなどおうちに関する楽しいアイディアをSNSで発信中していますのでぜひご覧ください!著書「なつめさんちの新しいのになつかしいアンティークな部屋つくり」や 雑誌掲載・TV出演・コラム執筆・空間プロデュースなど幅広く活躍中です。

人気の床暖房リフォームで暖かい暮らし

寒くなる前に、「冬の間できるだけ暖かく過ごしたい」と家電の買い替えやリフォームを検討されている方も多いのではないでしょうか。そんな方に人気となっているのが床暖房です。

今回は「床暖房ってどんなシステム?」か「戸建てやマンションにも後付け工事ができる?」「一般的なリフォーム費用はどのくらいかかるの?」といった疑問についてお答えすると同時に種類や予算についても解説していきます。

床暖房が暖かい仕組み

床暖房と聞くと、床だけ暖かいなら電気カーペットと同じじゃないの?と考える方も多いのではないでしょうか。

電気カーペットが設置部分が部分的に温まるのに対し、床暖房はお部屋を全体的にじんわり温めるシステムなのです。

これには3つの熱を感じる流れが深く関わっています。

床暖房で暖かく感じる理由について、3つの流れを元に解説していきます。

  • 対流・・・暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へ流れることで伝わる暖かさ
  • 伝導・・・直に触って感じる暖かさ
  • ふく射熱・・・温度を持った物体から出る遠赤外線などの電磁波で伝える暖かさ

床暖房はこの3点すべての方法で熱を伝えることができるため、お部屋全体がとても暖かく感じるのです。

床暖房リフォームが人気の理由

では、なぜ今床暖房リフォームに人気が集まっているのでしょうか。

人気の理由に「安全」「空気がきれい」「足元から暖かい」この3点があります。

安全

ストーブなどの暖房器具と異なり、直接の熱源がないためお年寄りやお子様がいても安全です。また、温水式床暖房の場合は、接触面の温度が上がりにくいため低温やけどなどの心配もありません。

空気がきれい

エアコンやファンヒーターなどのように風を起こさないため埃やハウスダストを吹き上げることなく、空気がきれいな状態を保つことができます。

またストーブなどの火を使用した時の臭いやCO2の排出、エアコンを使用した時に気になるカビなどの心配もありません。

足元から暖かい

冬場は特に足元が冷えがちですが、先に述べた通り床暖房では直に足元から温めてくれます。足元から暖かさを感じることができる床暖房は冬場の心強い味方です。

空間を広く使うことができる

さらに言えば、床下に暖房システムがあるため、余計な暖房器具を置かずに済みます。そのため、空間を広々と使うことができます。

また空気の通り道を気にせず床に直接ごろ寝して、暖をとることができるのも人気の理由です。

リフォームできる床暖房システムの種類

床暖房を設置する場合どのようなシステムがあるのでしょうか。

こちらではリフォームによって後付けする場合の2種類のシステムについて解説していきます。

温水式床暖房

「温水式床暖房」はお湯を沸かし、床下に敷いた専用のパネルを使って温水を循環させることで温める方式です。パネルの中には温水を通すパイプが内蔵されています。(以下熱源パネルと呼ぶ)

温水式の中でも、熱源の違いで電気、ガスと種類があります。どちらも今のお住まいに後付け工事が可能です。

電気を熱源とする「温水式電気床暖房」の場合は、主にエコキュートを使ってお湯を沸かす、床暖房システムの中では一番人気のシステムです。オール電化住宅など、すでにエコキュートが設置されていれば、追加で床暖房専用の熱源となるヒートポンプを設置し、導入することができます。ヒートポンプが内蔵されている多機能型エコキュートであればそのまま導入が可能です。

ガスを熱源とする「温水式ガス床暖房」は、エコジョーズなどのガス給湯器で沸かした温水を床下に設置したパイプを通して温める方式です。エコキュートに比べると機器のサイズも小さく、パワーが強いことが特徴です。

電気式床暖房

電気式床暖房は電気ヒーター式とも呼ばれ、エネルギー源は電気です。床下に電気を通す熱源体を設置して温めるシステムです。

電気式の中には、「PTCヒーター式」「電熱線ヒーター式」「蓄熱式」とありますが、よりリフォーム工事に向いているのは「PTCヒーター式」「電熱線ヒーター式」の2つです。

「PTCヒーター式」は、全体がセンサーとなっている床暖房システムです。電気抵抗を利用し、一部の暖房面の温度が上がるとセンサーが反応しそれ以上温めないように調整してくれるので、無駄な電気代を省くことができます。

「電熱線ヒーター式」は、昔から使われているシンプルなシステムです。床下に電熱線パネルを敷き温める方式で電熱線パネル以外の機器を設置する必要なく、後付けで設置するリフォームも比較的簡単です。

「蓄熱式」は、主に戸建て住宅で採用されています。夜間の割安な電気を床下に設置した蓄熱体で蓄え、昼間に部屋を暖めるシステムです。

パネル式と違い蓄熱体と呼ばれるコンクリートなどの施工が必要で、後付けは比較的難しくなります。新築時に導入することがほとんどで、大規模なリノベーション以外には設置しにくいシステムです。


床暖房リフォームのシステム、それぞれのメリット・デメリット

前述した通り床暖房には大きく分けて2つのシステムがあります。

それぞれのメリット・デメリットや特徴を詳しく見ていきましょう。

温水式電気床暖房

温水式電気床暖房は立ち上がりがやや遅いものの、電気代が安く光熱費がお得です。すでにエコキュートを設置しているオール電化住宅が増えてきた今、夜間の割安な電気を利用しての床暖房システムは比較的導入しやすいと言えます。

ただし熱源機(床暖房用ヒートポンプ)の設置には約50万円ほどかかるので、初期費用は高めで設置の際の予算は他より少し高めです。

温水式ガス床暖房

温水式ガス床暖房は、他のシステムよりパワーが強いことが特徴です。複数の部屋を同時に暖めることも可能となっています。

「ホットダッシュ」という通常より高い温度のお湯を通すことで急速に温める機能もあり、都市ガスの安い地域では人気のある方式です。

PTCヒーター式

PTCヒーター式は温度センサーが自動で温度を調節してくれるという特徴があります。同じ部屋の中で、日当たりなどで床の温まり方に差がある場合、こちらの方式も検討してみましょう。設置費用も温水式と比べると低めといえます。

しかし電気式で夜間より高い日中の電気を使うことになるため、電気代がやや高めになります。また立ち上がりが遅めであるという点もデメリットです。

電熱線ヒーター式

電熱線ヒーター式は、工事の費用が安く済むことが魅力です。電熱線パネル以外の機器を必要としないため、工事期間も短くなります。

その分、稼働した時の電気代はやや高めとなるのがデメリットです。昼間は自宅におらず、朝や帰宅後など短い時間やいる場所だけの部分的な使用に適しています。また、暖まるまでの立ち上がりの時間も温水式に比べると長くなります。


後付け工事の種類

ここまでは床暖房のメリットや種類についてご紹介してきました。では実際にリフォームで後付け工事をする際にはどのような作業、注意点があるのでしょうか?

直貼り式

直貼り式は、既存の床の上に熱源パネル+床材を敷くタイプです。温水式の場合、2cmほど床が高くなる点に注意にしましょう。

PTCヒーター式などはパネルが薄いため、床の高さをあまり変えずに施工することも可能です。リフォームの際、既存の床材をはがすという工事が発生しないため短期間で施工でき、費用も張り替え式に比べると安価なことが魅力です。

張り替え式

張り替え式のリフォームは、既存の床材を一度全部はがして床暖房の設置工事を行います。手間と工程が増えるため期間は長く、費用は割高になります。

しかしその分床の高さが上がらないためバリアフリーにつながるといった点や周りとの見た目のバランスを崩すことなく仕上げが可能な点がメリットです。床自体のリフォームを検討している場合やバリアフリーを優先したい場合には張り替え式を検討してみましょう。

床暖房リフォーム施工の流れとは

直貼り式リフォームの工事期間は、1~2日が目安です。広さや既存の床の状態、機器の設置状況、仕上げ床材によっても日数は変わってきます。

また戸建てとマンションでのリフォームでは工事期間に違いはありません。張り替え式の場合は、床をはがす作業が加わるため、さらに2日ほど必要です。

リフォームの流れ

 

直貼り(温水式)の場合

  1. 既存の床の補強や床がきしまないように既存の床の浮きなどを確認し、補強
  2. 温水を通すためのパイプをエコキュート(ヒートポンプ等)から床下へ通す
  3. 熱源パネルを設置
  4. パイプと熱源パネルを接続
  5. 熱源パネル以外の部分に同じ高さのダミーパネルを敷いて高さを揃える
  6. 床材を貼る
  7. 段差の部分に見切り材などを貼る
  8. テストをして問題なければ完成!

戸建て、マンションどちらでも設置は可能?

床暖房は戸建てとマンション、どちらでも後付け工事ができるのでしょうか。

床暖房リフォームは一般的に戸建て住宅で行うリフォームだと考えられがちですが、マンションでも条件によっては可能ですので検討してみましょう。戸建て住宅の場合は、電気式、温水式どちらもおおむね設置が可能です。後付け工事の方式も直貼り式、張り替え式どちらも対応可能となります。

しかしマンションの場合は規約などにより設置できない場合もあるため、管理会社などに確認が必要です。マンションはコンクリートの構造体の上に床材が直接貼られている場合も多く、リフォームの際張り替え工事は出来ない可能性もあります。

その場合は既存の床の上に貼る直張り方式を採用することになります。また、近年増えてきているオール電化マンションの場合は新しくガスを引くことができず、ガス式床暖房のリフォームを採用することができません。

 

床暖房リフォームの設置費用はいくら?

温水式床暖房の場合

温水式床暖房のリフォーム費用は、直貼り式と張り替え式で金額が変わってきます。

  • 直貼り式 6~9万円/畳
  • 張り替え式 9~12万円/畳

張り替え式の場合は、床をはがす作業が追加されるためその分割高になります。

温水式電気床暖房の場合、エコキュートがすでに設置されている場合はリフォーム時の機器設置がヒートポンプのみですが、おおむね50万円ほどの費用が掛かります。ヒートポンプ機能も兼ね備えている多機能エコキュートを設置する場合は、機器のみの費用で100万円前後かかります。

ヒートポンプ設置の場合、6畳の部屋で36~54万+50万円ほどになります。機器の金額が大きいため、予算に合うものをよく考えて選ぶ必要があります。

温水式ガス床暖房の場合は、エコジョーズなどの機器の価格がエコキュートの約半分の25万円程度となっているため、温水式電気床暖房に比べて初期費用はやや安価になります。

電気式床暖房の場合

  • 直貼り式 5~8万円/㎡
  • 張り替え式 8~11万/㎡

電気式床暖房のリフォームも、温水式と同じく直貼りか張り替えかで金額に差が出ます。ですが、温水式床暖房と違い熱源機が必要ないため、より安価な費用で設置することができます。

床暖房リフォームの付帯工事

床暖房を後付けで設置する付帯工事として、断熱工事や段差の解消工事などが発生する場合もあります。こちらも床材のグレードや種類によっても費用にかなりの差が出ます。

段差が気になる場合や戸建て住宅などで築年数が古い場合はこちらの予算も考えた方がよいでしょう。


床暖房をリフォームする際の注意点

設置面積の検討

床暖房は、一般的に部屋の60%程度設置することで部屋全体を暖めてくれると言われています。このことを踏まえて、家具などを置く場所には敷かないといった面積の調整で無駄な費用を抑えることができます。

床材に床暖房対応を選択する

床暖房の熱源パネルの上に敷く床材は、床暖房に対応した床材でないと効果を発揮できません。戸建てでもマンションでも、現在はフローリングや無垢材が人気の床材ですが、採用する際には床暖房に対応しているか確認しましょう。

床暖房の効果をしっかりと発揮できるよう、きちんと対応した床材を選択することが必要です。

断熱性能を確認

床暖房を設置して床から温まっても、床や壁の断熱がきちんとなされていないと効果は半減してしまいます。

コンクリート構造のマンションであればある程度の断熱性能は期待できます。しかし戸建て住宅は木造住宅も多く、建築年数が古ければ古い戸建てほど注意が必要です。戸建て住宅の場合は床暖房を設置する部屋の窓に内窓を設置したり、断熱できるドアへの交換なども効果的です。

戸建て住宅で床暖房リフォームを検討する際には合わせて、断熱性能についてリフォーム業者や専門家に相談してみると良いでしょう。

人気の床暖房リフォームで快適な暮らしを

今回紹介した特徴や違い、費用は参考になりましたでしょうか。長く使っていくことを考えれば、適切な床暖房を選択したいですよね。

床暖房を設置してみたい、もっと詳しく話を聞いてみたいと思ったら、ぜひリフォーム会社への相談をを検討してみましょう。


※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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