節分といえば、豆まきや恵方巻を思い浮かべる人が多いでしょう。どれも子供たちと一緒に楽しめるイベントですよね。
ただ、節分の由来をきちんと理解している人は案外少なく、子供から「節分って何?」と聞かれても上手に答えられなかった経験があるのではないでしょうか。自分では上手く説明できたつもりでも、子供はどこか納得していない様子、なんてことも。
そこで今回「そもそも節分とは何なのか」「節分の由来を子供に簡単に伝えるにはどうしたらいいのか」といった悩みを解消していきます。
節分の意味をきちんと理解していれば、子供たちの知育につながるだけでなく節分への取り組み方も変わってくるでしょう。ぜひ、この記事を参考にしてみてください。
目次
節分の由来や本当の意味とは!始まりはいつ?
節分とは「追儺(ついな)」と呼ばれる鬼払いの儀式が庶民の生活に浸透し広まっていったもので、平安時代から宮中の行事として定着していたといわれています。
時代の変化とともに節分でおこなわれるイベント内容が変わり、恵方巻を食べたり豆まきしたりするようになったのは近代になってからです。それでは、節分の由来について詳しくみていきましょう。
- 悪いものを追い払うために始まった
- 中国から伝来した風習をアレンジ
- 必ずしも2月3日とは限らない
順に紹介します。
悪いものを追い払うために始まった
平安時代初期にまとめられた「続日本書紀」には、実際におこなわれた厄払いの儀式、追儺(ついな)についての記述があります。
現代の節分も追儺と同じく「悪いものを追い払うため」といった意味合いは変わりませんが、平安時代と比較してお祭り的な要素が強くなりました。
節分はもともと文字通り節(季節)の分かれ目におこなわれていた行事です。分かれ目の目安として、4つの季節(春夏秋冬)をそれぞれ6つに分けて考える二十四節気が取り入れられました。
この二十四節気の中の立春・立夏・立秋・立冬の前日が季節の境目、つまり節分だったわけです。
季節の変わり目は病気が流行したり災害が起きたり、何かとトラブルが起きやすい時期です。そういった悪いものを鬼に見立てて追い払い、さらに幸福が舞い込んでくることを願う儀式は昔からおこなわれていたのです。
そして、少しずつ形を変えながら現代の節分として残っていきました。
中国から伝来した風習をアレンジ
中国にも節分は存在しますが、日本と同じように豆まきをしたり恵方巻を食べたりするわけではありません。
日本は西暦で年を迎えますが、中国は今でも旧暦で1年の始まりを祝います。旧暦の元旦を迎える春節と節分の時期が近いことから、一緒くたになったと考えられています。
中国では、春節に爆竹や花火の音や光に包まれて祝うのが風習です。この爆竹が形を変えて豆まきとして日本に浸透したのではないかともいわれています。
また、節分はもともと1年間に4回おこなわれていましたが、1年の始まりである春がもっとも重要だとして、現在では旧暦の1月にあたる2月の1回だけおこなわれるようになりました。
必ずしも2月3日とは限らない
節分の日は2月3日に定着していますが、その年によって立春は変わるため必ずしも2月3日とは限りません。
二十四節気はカレンダーではなく天体の動きに基づいており、太陽の通り道を24等分したものです。さらに4年に1度訪れる366日によって少しずつズレが生じるので、節分の日が2月3日ではない年もあるのです。
実際に、2022年と2023年の節分は2月3日ですが、2021年は2月2日でした。1984年には2月4日だったこともあります。うるう年の翌年の節分が2月2日になりやすい傾向があり、2025年の節分が2月2日になると予想されています。
子供に分かりやすく簡単に伝える方法とは
節分の由来をいざ人に説明しようとすると難しいですよね。ましてや子供となると、簡単な言葉を選ばなくては理解してもらえないでしょう。
ただ、豆まきも恵方巻も子供参加型の行事です。節分の意味をしっかり理解して節分を迎えることで、子供も日本の文化や行事を積極的に楽しめるでしょう。
- 簡単な言葉に言い換えよう
- 思考力や想像力を鍛える方法で説明しよう
子供でも簡単に理解できる節分の説明の仕方や、クイズを使う方法などを紹介していきます。
簡単な言葉に言い換えよう
子供たちに二十四節気や立春といった言葉を使うのは、ハードルが高いです。未就学児や小学校低学年のお子さんであればもう少し分かりやすくイメージつきやすい言葉を使ったほうがいいでしょう。
子供たちから質問されそうな節分の由来や特徴を想定しながら、未就学児や幼い子でも理解できる回答を紹介します。
節分ってなに?
「悪いものを追い払ったり、みんなが元気に過ごせるようにお願いしたりする日だよ。」
厄払い的な意味合いだけでなく誰かのことを思って幸せを願うというポジティブなイメージも一緒に説明できるといいですね。
なんで2月3日なの?
「2月は寒いけれど、昔のカレンダーでいえば2月は春なんだよ。春は1年でもっとも大切な時といわれているから、2月3日に鬼を追い払ったり幸せを願ったりするようになったんだよ。」
春の行事として入学式や花見など、学校や家族で取り組むイベントを例に挙げてあげると、春の特別感がイメージしやすいかもしれません。
どうして鬼を追い払うの?
「見た目が怖いだけじゃなくて、みんなが悲しくなるような悪いものを一緒に持ってくるんだよ。だから、みんなで協力して追い払おう。」
鬼=怖いというイメージがまだできていない子供もいるかもしれません。そのような子供には、後ほど紹介する道具を使った説明がいいかもしれません。
どうして豆をまくの?
「鬼を追い出すためには、鬼が大嫌いな豆を投げるといいんだよ。」
節分では良しとされている豆まきを、実生活でもマネする子供が出てくるかもしれません。鬼=悪いものだから投げてもOK、節分の日だからOKといった説明も加えるといいでしょう。
どうして豆を食べるの?
「年の数+1個食べると、病気になりにくいっていわれているよ。元気に過ごすためにも、数えながら食べようね。」
豆は消化しにくいため食べ過ぎに注意してください。20個も30個も食べないように、数を数えながら食べるように提案してみましょう。
「鬼は外、福は内」ってなに?
「鬼は外、つまり外に追い出すってことだよ。福とは幸せのことで、内とは家の中のこと、つまり幸せが家の中に入ってきますようにといった願いが込められているよ。」
難しい言葉があれば、かみ砕いて説明してあげましょう。理解した上で発するのと、理解できないまま発して豆を投げるのとでは言語習得にも大きな違いが表れるでしょう。
思考力や想像力を鍛える方法で説明しよう
子供に節分の由来を口頭で説明するだけでは、イメージが湧きにくいでしょう。特に未就学児であれば、言語能力はまだまだ発達途中です。
そこで、物事を正しく理解できるようにサポートしながら、節分についての理解も深まる遊びを3つ紹介します。
クイズ
子供たちに節分を説明する時、クイズ形式だとみんなで参加して楽しめるのでおすすめです。
最初は〇✕クイズでも構いません。体を使って「〇と思う人は右、✕と思う人は左に移動してください」といった遊び方でもいいでしょう。
クイズの良い点は、時間や道具がなくてもできるということです。親子のちょっとした時間や、学校の先生であれば休み時間の会話の中にも取り入れられるでしょう。
ただ、ある程度節分について説明した後にクイズを出してあげてくださいね。考えたり記憶力をたどったり、子供の成長にもつながるでしょう。
パネルシアター
パネル布を貼ったボードを舞台にして、Pペーパー(不織布)で作った絵人形を貼ったり外したり、動かしたりしながらお話が展開する人形劇です。キャラクターがあることで理解も深まるので、豆まきする前に取り入れるといいでしょう。
ネットでもパネル布とPペーパーは購入できるので、お家でもできますよ。節分だけでなく、ひな祭りやクリスマスといった年間行事にも活用できます。
PriPri パネル布
プリンタ対応しているので、絵をかくのが苦手な人でも写真やイラストを印刷して使えます。
わくわくパネルシアターPペーパーA4サイズ20枚入り
ペープサート
ペープサートとは画用紙や割りばしを使った人形劇のことです。実際に手にもってキャラクターを動かすので、子供たちの興味や関心を集めやすいメリットがあります。パネルシアター同様、キャラクターを用いることでイメージが湧き、節分の理解度の向上に役立ちます。
ペープサートは紙で作ったキャラクターを手で持って動かすため、登場人物が多いと全てのキャラクターを手で持てなくなるデメリットがありますが、節分は登場人物が少ないのでペープサート向きでしょう。
用意するものはたったのこれだけです。
- 画用紙
- ペンやクレヨン
- 割りばし
- はさみ
- のり
作り方は簡単です。ぜひ作るところから子供と一緒にやってみましょう。
- 画用紙に鬼や豆の絵を描く
- 目立つ色で塗っていく
- 鬼や豆の形に沿って切る
- 2枚の絵で割りばしを挟むようにしてのりで固定する
時間があれば、裏表で表情の違う絵を描いてみましょう。キャラクターの表情が豊かになることで、子供たちが登場人物に感情移入できるようになります。登場人物と同じようにハラハラ、ドキドキ、嬉しい、悲しいといった感情を抱くことで、コミュニケーションの方法を学んでいきます。
幼児向けの節分の楽しみ方や注意点
節分は子供と一緒に楽しめる行事ですが、豆を食べたり投げたりするため安全面に配慮することも大切です。節分をしっかり楽しむために何を準備してどんなことに注意すればいいのか、事前に把握しておきましょう。
- 節分前までに昔話の読み聞かせをしよう
- お面や豆入れを手作りしよう
- 誤飲やアレルギーに注意しよう
それでは1つずつ紹介します。
節分前までに昔話の読み聞かせをしよう
節分の前の日に、鬼が出てきたり季節の変化が分かりやすかったりする昔話を読み聞かせるといいですよ。たとえば、桃太郎や一寸法師などがおすすめです。
節分の説明をしたりクイズを出したりする時に、子供たちの「分からない」「知らない」を防げます。事前に知っておくことで、のめり込み方も変わってくるはずです。
お面や豆入れを手作りしよう
節分の当日、親御さんが何もかも準備するのではなく、鬼のお面や豆入れを作るところから子供を参加させましょう。
子供は登場人物になりきりたがりますが、これはとても良いことです。何事も子供の興味を引き付けることが大切ですから、自分で作ったお面を付けて鬼の恰好をすると喜ぶ子供も多いでしょう。
家にある紙皿や画用紙、新聞紙を使えば簡単に作れます。
家にあったお面👹
十年くらい前の節分の時
お面を買い忘れて急遽作ったやつ😂#節分 pic.twitter.com/me5QFP86AE— にゃんち (@boku_nyanchi) February 3, 2022
毛糸を鬼の髪の毛に見立ててみるのもいいですね。
2月2日(土)、3日(日)は節分イベントを開催します!
紙皿に色を塗ったり絵を描いてオリジナルのお面を作ろう♪
鬼のお面を作ってくれた方にはミニ福豆をプレゼント★
2月2日からはホビー館でもひなまつりイベントが開催されるので、ホビー館・かっぱ館両館楽しもう♪ pic.twitter.com/oot6Br9m5i— 海洋堂かっぱ館_公式 (@kaiyodo_kappa) January 28, 2019
始めから鬼の顔が描かれている白無地のお面を買って、最後に色を塗るだけでもOK。子供が少しだけでも手を加えて完成させることが大切ですよ。
また、鬼はお父さんや学校の先生が担当し、子供たちは豆を投げる側になることがほとんどでしょう。その場合は、豆入れをちょっと工夫してみましょう。身の回りにあるものを使って形や色を決めていくことで、子供たちの創造力や発想力が養われていきます。ぜひ参考にしてみてください。
誤嚥やアレルギーに注意しよう
節分で使う豆は小さいので、喉に詰まらせたり間違えて気管に入ったりするリスクがあります。実際に、消費者庁でも「豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないでください。」と呼びかけをおこなっています。
豆を投げる時は楽しくて興奮しているので、投げることと食べることを同時にしないように注意しておきましょう。特に歯がきちんと生えそろっていない子供は、食べずに豆まきだけにしたほうがいいかもしれないですね。
また、子供が大豆・落花生アレルギーであれば、誤飲を防ぐために豆を使わないほうがいいでしょう。豆の代わりに小さく丸めた紙を使って豆まきする方法もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:節分の由来は子供目線になって簡単に説明しよう
節分は中国から伝来した二十四節気に由来し、現在は豆まきや恵方巻といった楽しいイベントが盛り込まれた行事です。
家や学校で子供と一緒に楽しむためには、節分について理解しておく必要があるでしょう。小さな子供に説明する時は、簡単な単語を使い言葉をかみ砕いて説明しましょう。クイズ形式やパネルシアターを使って理解しやすいようにするのも一つの手です。
最後はみんなで豆まきをして終わることがほとんどだと思いますが、必ず子供だけで豆まきしないように大人が側についてあげましょう。大人が鬼役になる時は、ちょっぴり怖めのお面を付けると盛り上がりますよ。