生活と共にある住まいは、その人の考え方や人柄が表れるもの。様々なジャンルで活躍中のゲストをHDCにお迎えし、理想の住まいを見つけてもらいました。憧れのあの人が考える「理想の住まい」を覗いてみましょう。
「あの人が見つけるHDCの愉しみ方」、今回はフードデザイナーの中本千尋さんに理想の住まいについてお話を伺いました。
フードデザイナー 中本千尋さん
フレンチレストラン、短大の調理師学科アシスタント講師などを経て独立。
食から日々の暮らしまわりを提案する『DISHes』を主宰。
野菜やスパイスを使った料理を得意とし、ケータリング、カレー屋、ワークショップ、料理教室、レシピ作成やメニュー監修など多彩な活動で注目を集めている。
目次
キッチンはわたしのステージ、生活の真ん中で輝かせたい。
—“食の時間を楽しくデザインする”フードデザイナーとして活躍されている中本さん。キッチンは中本さんにとってどのような場所ですか?
わたしにとっては仕事の場でもあり、生活の真ん中にあるものです。
レシピを考える。調理する。仕上げる。見せる。レッスンなどではコミュニケーションの場にもなる。
今、使っているキッチンは、リビングと一体の空間にあってみんなが楽しく作業できるオープンなもの。仕事と暮らしの大切なステージになっています。
—中本さんの理想のキッチンとは?
作業スペースは広い方がいいですね。狭いと料理したいと思わなくなってしまいます。
それから、自然光が入ること。わたしが育った家のキッチンは窓が大きくとってあって日差しがたっぷり入って明るくて。そこで両親が楽しそうに料理をしていたんです。太陽の光で季節を感じますし、食材もきれいに見えますよね。
キッチンって水を使うところだからどうしても冷たいイメージがあるでしょう? だから温かみを大事にしたいです。自然光の明るさはこだわりたいポイントですね。
料理を作業にしたくないからみんなで楽しめるアイランド型がいい。
システムキッチンBerry(HDC神戸 トクラス)
—キッチンにはさまざまなタイプのものがありますね。
わたしはアイランドキッチンを選びます。
独立型のキッチンは調理に集中できていいという人もいますが、料理や片付けの間、一人になってしまうので寂しいです。黙って一人キッチンにいると、料理の時間がただの作業になってしまう気がします。アイランド型なら誰かといっしょに料理することもできるし、リビングにいる人とコミュニケーションもできます。
最新のアイランドキッチンは、奥行きもたっぷりとってあるんですね。広々として使いやすいキッチンは、料理すること自体を楽しくしてくれると思います。
—黒の水栓に注目されていましたね。ワークトップやシンクの色も気になりましたか?
トクラスで見つけた黒色の水栓はちょっと新鮮でした。かわいいですね。カウンターは人造大理石でしょうか。マットな質感で拭き跡を気にしないですみそう。色もシックですね。できあがった料理を置いたら映えるだろうなと思いました。いい写真が撮れそうだな、と。
デザインは極力シンプルなもの。いろんな色が入っているより、白、黒、ステンレスの色などが好きです。料理素材や器のほうに彩りがあるので、キッチンカウンターはシンプルな方ががいいですね。
おしゃれなデザインに料理家ならではのアイデアが。
harumi’s kitchen(HDC神戸 トクラス)
—トクラスには料理家プロデュースのキッチンもありました。
栗原はるみさんがプロデュースしたものですね。誰もが簡単に美味しく作れるレシピをずっと開発し続けている栗原さん、すごいなと思います。その経験や料理への思いをカタチにしたキッチンなんですね。
注目は、可動式のワゴンでしょうか。引き出していろんな場所で使えます。ワークトップは人造大理石でお菓子づくりの作業台にもなりますね。ワゴン下には収納もたっぷり。ブルーをアクセントにしたデザインもすてきですね。
窮屈なルールはいらない。収納はざっくり仕分けできればOK。
リシェルSI(HDC神戸 LIXIL)
—キッチンのよくある悩みの一つが収納です。中本さんはどんなふうにされているのでしょう?
あんまりルールを細かく決めるのは好きじゃないですね。ナイフやフォークなどのカトラリーはこの引き出し、調理中に使うものはこのあたりにまとめて、くらいでいいです。
仕事柄、調理器具や食器などがたくさんあるので、収納スペースはたっぷり欲しいですね。
最新のシステムキッチンには収納の工夫がいろいろあってびっくりしました。
LIXILショールームにあったシンク下の大容量の収納スペースは、取り出しやすく便利にできていますね。上段、下段、ポケットなどのエリアに、ざっくり分けてわたし流の収納ができそうです。
キッチンを選ぶポイントは便利さだけじゃない。
—キッチンに求める機能性は?
家電でもキッチンでも新しい便利な機能がありますが、自分に必要なものは限られています。
たとえば食洗機は意外に時間がかかるのでせっかちなわたしは手で洗います。食べてくれた人のことを思いながら器を洗う時間を大切にしたいです。作家さんの器は食洗機には入れられません。食洗機を使うための器ばかりになるのは違うかなと。愛のあるもの、本物に囲まれて生活したいと思うので。
キッチンの選択基準は便利さだけではないと思います。
—「心地よい理想のキッチン」は実現できそうでしょうか?
何度か引越しをしていますが、住まいを決めるポイントは、間取りよりもまずキッチンでした。
でも、わたしが思い描くステージのようなキッチンはなかなか見つかりません。理想は、都心のヴィンテージマンションをリノベーションして、思い通りのこだわりのキッチンを作ってみることですね。
わたしにも、そこに集まるみんなにも居心地のいいキッチンになれば素敵だと思います。
ーHDCに来てみていかがでしたか?
これまでは、なかなかショールームに足を運ぶ機会がなくて。最新のキッチンにはこんなにいろんなデザイン、機能があるんだと驚きました。
ショールームではキッチンを空間として見せてくれるのでイメージがつかみやすいです。HDCでは一箇所でたくさんのメーカーのキッチンを見て回れるのがいいですね。