水に濡れても落ちにくいのが油性マジックの利点です。しかし子どもが落書きしたり誤って服に付いたりした場合には、落とせなくて困ることもあるでしょう。油性マジックが落ちにくい理由から、素材別の落とし方や便利な汚れ落としグッズまで紹介します。
目次
油性マジックはなぜ落としにくい?
水拭きしてもほとんど落ちない油性マジックですが、そもそも落としにくいのにはどのような理由があるのでしょうか。油性マジックの成分にも触れながら解説します。
油にインクを溶かしているから
油性マジックは着色料を油性の溶剤に溶かして作っています。そのため、インク成分にも当然油分が含まれているのです。
油と水は科学的に大きく性質が違うため、混ざることがありません。水を使って洗ったり、水分の多い洗浄液を使ったりしても落ちないのは、このような理由によるものです。
簡単に消えない成分が含まれているから
油性マジックには溶剤・着色剤の他、定着剤や樹脂が含まれています。
定着剤は絵に吹きかけて劣化を防ぐために使われることもあり、インクを剥がれにくくする働きがあります。樹脂は溶剤と着色料をつなぐ役割をしており、非常に耐久性が高いです。
定着剤の「剥がれにくさ」と樹脂の「耐久性の高さ」により、油性マジックは落としにくくなっているのです。
素材別油性マジックの落とし方
(出典) photo-ac.com
油性マジックの汚れを無理に落とそうとすると、方法によっては素材まで傷めてしまいます。素材別に最適な落とし方を知り、使い分けるようにしましょう。
服など布製品の場合「除光液」
除光液は、マニキュアを落とすのによく使われます。除光液には、「アセトン」と呼ばれる成分が入っていることがほとんどです。
アセトンは有機溶剤の一種で、油や樹脂を溶かす性質があります。このため、油や樹脂が含まれる油性マジックの汚れも落とせるのです。
ただし必要以上に除光液を使うと、油を落とし過ぎて素材の色まで落ちてしまうかもしれません。汚れに直接かける前に、目立たない部分で使ってみることをおすすめします。
また、シルクなど傷みやすい素材には使わないようにしましょう。
壁紙に付いた場合「エタノール」
エタノールは「アルコール」とほぼ同じ意味で使われます。エタノールを使えば、壁紙の汚れを浮かせることができるでしょう。
エタノールには油を溶かす働きがあるため、油性マジックのインクにも有効です。家庭でも消毒・除菌に使われるなど安全性が高く、壁紙を傷めにくい特徴も備えています。
一般的に売られている消毒用エタノールやアルコール除菌スプレーでも良いですが、できればアルコール純度の高い「無水エタノール」がおすすめです。
エタノールをタオルやコットン・綿棒などに含ませて、押し当てるようにして落とします。無理にこすると汚れが広がるので、優しく小まめに拭き取るようにしましょう。
机など木材の場合「柑橘類の皮」
ミカンなどの柑橘類の皮の表面(外側)で汁を押し出すようにしてこすることで、汚れを落とせる可能性があります。柑橘類の皮には油脂を溶かす性質のあるリモネンが含まれているため、油性マジックのインクにも有効なのです。
机やフローリングなどの木製製品にエタノールや除光液を使うと、表面の塗装を溶かしたり、木材に液がしみ込んで木材の色自体が変わってしまったりすることがあります。
柑橘類の皮や、次に紹介する消しゴムを使った方法は木製製品にも使えるので、覚えておくと便利でしょう。
プラスチック製品の場合「消しゴム」
プラスチック消しゴムには、珪砂など粒子の細かい研磨剤が含まれています。そのため、こすって汚れた部分を削り取ることが可能です。
表面に凹凸があるプラスチック製品は、汚れが落としにくいため、できるだけ細かく手を動かすと落としやすいでしょう。
プラスチック製品に付いた油性マジックは、除光液やエタノールでも落とせるので、汚れの程度によって使い分けると良いかもしれません。
頑固な汚れにおすすめ専用グッズ
(出典) photo-ac.com
「どうしても落としたいのに落ちない」「手軽に汚れが落とせる専用グッズを知りたい」という人は、市販の汚れ落とし専用グッズがおすすめです。手軽に使えるため、一つ家にあると安心です。
セメダイン らくがきおとし
接着剤で有名なセメダイン株式会社の商品で、ペン型でさっと取り出して使いやすい汚れ落としです。ペン先を押し付けると液が出てくるため、使いたい部分に液を塗ってティッシュや布で汚れごと拭き取りましょう。
プラスチックやガラス・ステンレス・ホーローなど、硬いものの表面に付いた汚れに使えます。油性マジックだけでなく、ボールペン・ペンキ・クレヨンなどの汚れにも有効です。
セメダイン らくがきおとし
茂木和哉 橙の雫
オレンジなどの柑橘類の皮に含まれる油を蒸留して精製するD-リモネンが配合された汚れ落としです。この商品は、プラスチックを溶かすほどD-リモネンが高濃度で配合されているため、プラスチック容器ではなくガラス容器で販売されています。
油性マジック汚れの他にも、クレヨンでの落書きやシール・テープの剥がし跡にも使え、木製家具やフローリング・壁紙など幅広く使うことが可能です。
効果が実感できなかった場合は、30日以内であれば全額返金してくれる返金保証サービスも行っています。
茂木和哉 橙の雫
最適な方法で油性マジック汚れを落とそう
(出典) photo-ac.com
油性マジックの落とし方は、落としたい場所や素材によって適切な落とし方があります。間違った方法で落とそうとすると、汚れが落とせなかったり素材を傷つけたりしてしまうかもしれません。
除光液やエタノールなどが汚れ落としに使えますが、それぞれの性質を踏まえて使い分けることが大切です。子どもがいる家庭なら、頑固な汚れにも対応した汚れ落とし専用グッズを持っておくと、落書きなどのトラブルも対処できて安心でしょう。