「腕時計が動かなくなってしまった…」そんなときは電池切れが原因かもしれません。この記事では、腕時計を電池交換する際の相場や、電池交換を依頼できる場所を紹介します。また、自分で電池交換する手順を知っておくと、いざというときに役立つでしょう。
目次
腕時計の基本を知ろう
腕時計は、ゼンマイを動力とする『機械式腕時計』と電池を動力とする『クォーツ式腕時計』に大きく分けられます。この章では電池交換が必要なクォーツ式腕時計について、電池の寿命などもあわせて解説しましょう。
電池を動力にして動くクォーツ式
クォーツ式腕時計は、クォーツ(水晶)に電池から電力を流し振動させることで時を刻む腕時計です。放っておいても止まらないため、機械式のようにゼンマイを巻く手間がかかりません。
クォーツ式腕時計のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
・放っておいても止まらない ・時間のずれが少ない ・磁気の影響を受けにくく丈夫 ・価格が比較的安い ・メンテナンス頻度・費用が安い |
・電池が切れると交換が必要 ・機械式に比べ寿命が短い ・資産になりにくい |
時間のずれが少なく実用性が高いクォーツ式腕時計は、毎日腕時計を使うビジネスマンや手間をかけたくない人の強い味方になります。ただし、電池が切れると動かなくなってしまうため、交換の目安や寿命を把握しておくことが重要です。
電池交換の目安と寿命
クォーツ式腕時計の電池の寿命は2~10年です。使われている電池の種類や腕時計の機能によって、電池の寿命が左右されます。
電池は酸化銀電池とリチウム電池の2種類です。酸化銀電池は一般に広く利用されており、リチウム電池はタイマーやカレンダーなど多機能な腕時計に使われています。
時計の機能も2針タイプと3針タイプの2種類があります。3針タイプは時間針と分針に加え秒針も動かさなければならないため、その分電池の消耗が激しい傾向です。
電池の種類と腕時計の機能を踏まえると、3針タイプの場合、酸化銀電池は2~3年、リチウム電池は5~10年が交換の目安です。2針タイプの場合は寿命がさらに1~2年延びるといわれています。
多機能なデジタル式腕時計は、リチウム電池が使用されていることもあり、電池交換の目安は3~5年です。また、時計自体にも寿命があり、クォーツ式腕時計の場合は10年ほどといわれています。
電池切れの放置で起きる現象
電池切れのまま放置すると、劣化した電池の『液漏れ』が起こり故障につながる場合があります。電池切れに気づいたら、すぐに電池を交換するようにしましょう。
また、あまり使わない時計の場合は電池を抜くことも選択肢の一つです。ただし、長い期間放置することで『油切れ』を起こし、いざというときに動かない場合もあります。そのため、あまり使わない時計でも電池は交換しておくと安心です。
腕時計の電池交換を依頼したい場合
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腕時計の電池交換を依頼したい場合、どうすればいいのでしょうか。この章では、電池交換を依頼できる場所や料金相場をご紹介します。
電池交換を依頼できる場所
電池交換を依頼できる場所は次の通りです。
- 各時計メーカー
- 家電量販店
- ホームセンター
- デパートなどの時計売り場
- 時計専門店
保証期間内であれば、メーカーに依頼するのがおすすめです。なかには、無料で電池交換をしてくれるところもあります。どこまでが無料対応の範囲かは、メーカーに問い合わせましょう。
次に検討したいのが、家電量販店やホームセンターです。他の修理先と比べて交換費用が安く済む傾向があります。加えて、ポイントを貯めたり、貯めたポイントを使ったりとさらにお得に利用できるのも魅力です。
特殊な構造や年代物の腕時計で、メーカーや家電量販店などで対応が難しい場合は、時計専門店に依頼してみましょう。技術力が高く、オリジナルの部品調達が難しい、年代物のような難しい依頼でも対応してくれる可能性があります。
時計修理技能士がいる店舗が安心
時計修理店を選ぶ際は、時計修理のスペシャリスト『時計修理技能士』がいる店舗を選ぶと安心です。時計修理技能士は時計修理に関する資格で、1~3級(1級が最高)まで存在します。
一定の実務経験がないと取得できないため、技術者の技量を知る目安となります。電池切れ以外の理由で時計が止まってしまっていたとしても、時計修理技能士がいる店舗なら原因を突き止めて修理してくれるかもしれません。
電池交換の料金相場
電池交換の料金相場は次の通りです。
一般的な腕時計 | 高級メーカーの腕時計 | |
各時計メーカー | 3000円~ | 1万円~ |
家電量販店 ホームセンター |
500円~ | 3500円~ |
時計専門店 | 1000円~(海外メーカーは+500円~) | 2000円~ |
家電量販店やホームセンターが一番安く、各メーカーが一番高い料金設定です。メーカーの場合はクリーニングやメンテナンスを含むため、どうしてもコストや日数がかかってしまいます。
安く済ませたいなら家電量販店やホームセンターで、メンテナンスまで依頼したいならメーカーを選ぶとよいでしょう。
時計専門店は両者の中間の立ち位置です。「コストは抑えたいけれど、ある程度信頼できるところに任せたい」という場合は、時計専門店を選びましょう。
自分で電池交換する前に確認したいこと
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自分で電池交換をする場合、事前に『自己交換によるリスク』と『自己交換できる時計の種類』を確認する必要があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
リスクを把握しておく
自分で時計の電池交換をするならば、リスクを事前に把握しておきましょう。自己交換によるリスクは次の通りです。
- メーカー保証が受けられなくなる
- 傷や故障の原因となる
- 防水機能が低下する
- 準備や作業に手間がかかる
素人でも電池交換は可能ですが、リスクを把握したうえで自己責任で行うようにしましょう。チャレンジしたい人はまずは壊れてもいいような時計で練習することをおすすめします。
自分で電池交換が可能な種類か
自分で電池交換が可能なのは、クォーツ式腕時計で防水性能が『日常生活用防水(2~3気圧防水)』までです。
『日常生活用強化防水(5~20気圧防水)』やそれ以上の防水性能のダイバーズウォッチなどは、自己交換はやめておきましょう。本来の防水性能が発揮できなくなってしまいます。
また、機械式腕時計やソーラー式腕時計が止まってしまった場合は、電池交換以外の対応が必要です。メーカーや専門店へ問い合わせてみましょう。
腕時計は、一度自分でいじってしまうとメーカー保証の対象外となってしまいます。そのため、事前確認を忘れないことが大切です。
電池交換の道具や手順を解説
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自分で電池交換をする際に必要な道具や手順を解説します。作業の注意点なども紹介するので、参考にしましょう。
電池交換に必要な道具をそろえよう
電池交換に必要な道具は、腕時計の裏ぶたの種類に合わせてそれぞれ異なります。裏ぶたの種類は次の通りです。
- ネジ式:裏ぶたがネジで固定されているタイプ
- スクリュー式:裏ぶたの周囲がくぼんでいるタイプ
- こじ開け式:裏ぶたとケースの間にすき間があるタイプ
続いてそれぞれに必要な道具を見ていきましょう。
- ネジ式→精密ドライバー
- スクリュー式→オープナー(固定台もあると便利)
- こじ開け式→こじ開け用工具
数百円程度で用意できるものなので、オンライン通販やホームセンターなどで用意しましょう。あわせて、ピンセットや綿棒も用意しておくと、作業スムーズに進められるはずです。
裏ぶたがスクリュー式の電池交換の手順
裏ぶたがスクリュー式タイプの電池交換手順は次の通りです。
- 作業しやすいようにベルトを開いておく(可能なら外す)
- 腕時計をしっかりと固定する
- オープナーの突起部分を時計の溝に引っかけて回しながら裏ぶたを開ける
- 中枠と呼ばれるカバーが電池を隠している場合は、ピンセットなどで外す
- 電池を外す
- 端子部分の汚れを綿棒で軽くとる
- 新しい電池を入れる
- 裏ぶたを閉める
- ベルトを元に戻す
電池を外す際、上から板のようなもので押さえられているボタン電池の場合は、押さえをずらして取り出せばOKです。押さえがないタイプは、ピンベンチなど専用の道具を使って電池を取り外します。
裏ぶたの内側にリセットが必要と記載がある場合は、『7.新しい電池を入れる』の後にリセットをしなければなりません。ピンセットやドライバーなど電気を通す素材の道具を使って、指定のやり方でリセットしましょう。
また、新しい電池を入れる際は抜いた電池と型番が同じか確認が必要です。ボタン電池には『SR626SW』や『CR2016』のように数字とアルファベットが記載されています。同じ型番の電池に交換するようにしましょう。
電池交換作業の注意点
電池交換の際には、電池の取り扱いに注意が必要です。電池を掴む際は側面を持つようにしましょう。
ピンセットで表面と裏面を掴むように電池を持つと、通電し電池がショートしてしまいます。ショートすると液漏れなどの原因となるため厳禁です。また、電池を素手で掴むこともショートの原因になるため、気を付けるようにしましょう。
大切な腕時計は最適な方法で電池交換を
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大切な腕時計を長く使うために、正しい知識のもと電池交換を行いましょう。コストを優先するのか、安全性を重視するのか、はたまた自己交換にチャレンジするのか、それぞれにメリット・デメリットがあります。
確実に電池交換をしたいならメーカーに依頼するのが安心です。自分で電池交換をする場合は、専用の道具や同型番の電池を準備し、手順を間違えないように進めましょう。