イラストレーターなどのプロ用のみでなく、写真加工やお絵描き、ウェブ会議でも活躍するツールとして、ペンタブレットが人気です。初心者におすすめのモデルや、プロでも使えるタイプまで紹介しています。初めてのペンタブ選びのヒントにしてみましょう。
ペンタブとは?
ペンタブとはどのようなものなのかを、まずは押さえておきましょう。ペンタブには、大きく分けて『液晶タブレット』と『板タブレット』があります。値段のみならず、使い勝手もかなり違うので、特徴を押さえて検討しましょう。
パソコンに接続する入力デバイス
ペンタブレットとは、ボード型のデジタル機器です。専用のペンを使えば、タブレット上で紙と鉛筆のように、自由に絵や文字を書くことができます。
マウスでのカーソル操作とは異なり、鉛筆やシャープペンシルのような使い心地なので、イラストや漫画を制作する際に使われていることが多いアイテムです。
写真の加工も楽にできますし、最近増えてきたWeb会議ではホワイトボードのようにして活用することも可能でしょう。
ペンタブの種類
ペンタブには大きく『液晶タブレット』と『板タブレット』があります。液晶タブレットの場合、専用のペンを使って液晶画面の上に直接描くことができるので、感覚としては紙とペンを使って描くアナログの状態に近くなるでしょう。
また、手元の液晶を見ながら描いているイラストを確認できます。パソコンなどの画面に接続すると、手元を大きく見ることも可能です。
一方で板タブレットの場合、接続しているパソコンなどの画面がないと、描いたイラストを見ることができません。液晶タブレットに比べると、価格はリーズナブルな傾向にあります。
ペンタブの選び方
ペンタブを選ぶ際に、注目すべきポイントを4点紹介します。『機能面』はもちろんのこと、『サイズ』や『解像度』も大切です。
また、今使っているパソコンにペンタブが対応できるか否かも重要になります。『購入したものが使用環境に合わずに使えない』ということがないよう、事前にチェックしましょう。
最も大事なのは機能面
ペンタブを選ぶ際、まずは機能面を重視して選ぶとよいでしょう。
『液晶タブレット』の場合、液晶の解像度が高いものを選ぶのがおすすめです。解像度が高いと、拡大表示すれば細部の確認をすることができます。しかし、高解像度のものほど価格は上がる傾向にあります。
一方『板タブレット』の場合は、読み取り可能範囲をしっかりとチェックしましょう。読み取り範囲が狭いと、表現の自由度が低くなってしまいます。
また、ペンは『筆圧感知レベル』もチェックしましょう。初心者の場合は1024段階でも十分かもしれませんが、筆圧感知レベルがより高いものほど細部まで表現可能になります。ただし、その分価格も上がります。
サイズは画面に合わせて選ぶ
サイズは製品によって異なるので、セットで使うPCやモニターなどの画面の大きさに合わせて購入するとよいです。ペンを使っての入力可能範囲が、自分が使っているモニターに収まれば、快適に使うことができるでしょう。
ここがずれてしまうと、手元で描いた線の長さと写し出される線の長さに差が出てしまいます。
また液晶タブレットの場合は、解像度も合わせましょう。解像度がずれていると、手元と画面を比べた際に、映像の比率がおかしくなってしまいます。
対応のパソコンやソフトもチェック
購入する際には、パソコンのOSやペイントソフトへの対応状況を調べましょう。基本的には、WindowsにもMacにも対応しているケースが多いですが、バージョンが古いと対応できないケースもあります。
またペイントソフトには、CLIP STUDIO PAINTやAdobe Photoshopなどがあります。自分が使いたいソフトが、今使っているパソコンで動作するかどうかも調べておきましょう。
ペイントソフトにはライト版があったり、お試しで使えたりすることもあるので、積極的にそのような機会を利用してチェックするのがおすすめです。
初心者におすすめの板タブ
初心者が使いやすい、板タイプのペンタブを4点紹介します。使いやすいと定評のワコムはもちろん、子どもも使いやすいタイプや、木目などのデザインにこだわったタイプなど、バリエーションもさまざまです。
XP-PEN StarG430
子どもも使いやすい入門的なペンタブレットです。公式サイトでドライバをインストールすると、紙のように絵を描けるのもメリットです。
薄く・軽く・持ちやすいの三拍子がそろい、初めて使う場合にもぴったりでしょう。油彩・水彩・パステルなどの質感でお絵かきを楽しめます。
Photoshop・Painter・SAI・openCanvas・Clip studio・FireAlpaca・OneNote等のソフトに対応しています。OSは、Windows7・8・10、またMacはOS 10.10以降に対応可能です。
XP-PEN StarG430
ワコム Intuos Small ベーシック CTL-4100/K0
ペンタブで定評のある『ワコム』の小さめタイプの製品です。コードレス・バッテリーレスの筆圧感知ペンが付いています。またペンの中に、替え芯3点と芯抜きが付いているので、交換も簡単に行えるでしょう。
Windows 7以降(最新のSP適用、Windows 10Sを除く)、Mac OS X 10.11以降のOSに対応しています。有効期限があるものの、最初は写真加工ソフトを無料でダウンロードできるサービスが購入特典になっています。
ワコム Intuos Small ベーシック CTL-4100/K0
ワコム Intuos Medium CTL-6100WL/ E0
ワコムの、中くらいのサイズの製品です。Smallでは小さすぎる人にとっては、程よい大きさで使い勝手がよいでしょう。
コードレス・バッテリーレスの筆圧感知ペンが付いており、ペンの中には替え芯3点と芯抜きが付いてきます。筆圧感知レベルは4096段階と、細部までこだわって仕上げたい人にもおすすめです。
Windows 7以降(最新のSP適用、Windows 10Sを除く)、Mac OS X 10.11以降に対応しています。スケッチ・写真加工・イラスト&マンガで使える3種類のソフトウェアをダウンロード可能な購入特典付きです。
ワコム Intuos Medium CTL-6100WL/ E0
プリンストン WoodPad PTB-WPD10
天然素材を天板に使用しているペンタブレットです。パソコンとの接続も簡単にできて使いやすいので、初めてペンタブを使う人にも使いやすい製品でしょう。
ペンの傾き具合で描く線の太さが変わるため、思いのままに描写することができます。また、絵を描くだけでなく、写真のデコレーションや資料への書き込みなどにもとても便利です。
替え芯が3本付属しており、 Windows 10/8.1、Mac OS 10.9以降に対応しています。木目の優しいトーンで、インテリアにもなじみやすいデザインです。
プリンストン WoodPad PTB-WPD10
プロ仕様のおすすめ板タブ
プロ仕様の本格的な板タブを3点紹介します。性能が上がるので、価格も高めになりますが、より緻密な作業をハイスピードで行うことが可能です。
また、仕事でも使えるレベルなので、家庭内でお絵かきソフトとして使う場合にも、よりハイレベルなクオリティで楽しむことができるでしょう。
ワコム Intuos Pro ミディアム PTH-660/K0
ナチュラルなタッチで高精細な表現を可能にする、プロフェッショナル向けのペンタブレットです。PCとの接続は、USBケーブルまたは内蔵のBluetoothで簡単に行えます。
また、ワコムの中でも、これまでにない性能を実現したといわれる『Wacom Pro Pen 2』を搭載し、ディスプレイの端にまで正確に描写できます。
筆圧感知レベルは8192段階にもなり、ひらめいたアイデアを直感的に表現することが可能です。
別売りの『Wacom Pro Pen 3D』を使用すれば3D制作が可能になり、『Wacom Finetip Pen』を使えば、描いたデザインをワンタッチでデジタル化できるペーパーモードを利用できます。
ワコム Intuos Pro ミディアム PTH-660/K0
XP-Pen Deco03 JPSTA06S
8192レベルの筆圧感度があるので、細かいところもスムーズに調整でき、作業もスピーディーになります。超薄型設計なので、持ち運びも楽です。
また、右手・左手モードを切り替えるだけで、自分の使いやすい設定にできるため、利き手を問わず使えます。
対応OSは、Windows 10/8/7、Mac OS X 10.10以降です。ペイントソフトは、Photoshop・SAI・Painter・Illustrator・Clip Studio・OpenCanvasといった主要ソフトとの互換性があります。
XP-Pen Deco03 JPSTA06S
初心者におすすめの液タブ
初心者におすすめできる液晶ペンタブを4点紹介します。どれも解像度が最高レベルであり、ペンの筆圧もプロレベルであったりと、機能が充実している製品ばかりです。家でのお絵かきはもちろん、WEB会議などの仕事のシーンでの活用も広がっています。
XP-Pen Artist12 JPAIR12
初めてペンタブで絵を描く人にも、プロがおすすめできる液晶ペンタブです。コンパクトサイズでありながらも、解像度が1920×1080と高めで、最大表示色が1670万色のフルカラーである点もおすすめのポイントになります。
また、左利き・右利きどちらでもスムーズに使うことができます。6個のショートカットキーが搭載されており、スピーディーかつ快適に作業できるのもポイントです。
Windows7以降、 Mac OS 10.10以降のOSに対応し、Photoshop・Illustrator・Clip Studio Paint・Medibang・openCanvas・Corel Painter・Clip Studio・SAI・Zbrush等のイラスト・漫画制作・写真編集・3Dアート等のペイントソフトが使えます。
XP-Pen Artist12 JPAIR12
ワコム Cintiq 16 DTK1660K1D
価格と機能を最小限に抑えながら、プロモデルに近づけている製品です。
ペンは、プロモデルで使用されている『Wacom Pro Pen 2』を採用しています。そのため、画面の繊細なタッチを味わうことができ、まるで紙と鉛筆で描いているような使い心地です。
最大表示解像度は1920×1080で、映り込みを軽減するAGフィルム搭載ディスプレイが使われているのもおすすめのポイントになります。Windows 7以降、mac OS 10.12以上のOSで使用可能です。
ワコム Cintiq 16 DTK1660K1D
ワコム One 液晶ペンタブレット13 DTC133W1D
オンライン会議でも、直接グラフや図などを書き込めるので、とても重宝するペンタブです。また、PDFファイルにも直接サインを書き込むことができるなど、業務にも活用できます。
こだわりのペン技術が盛り込まれており、ゆっくりと書いても線がぶれることなく、思い通りに書くことが可能です。Windows 7、8、8.1、10(最新のSP適用)、mac OS 10.13以降に対応しています。
また期間限定にはなりますが、Adobe Premiere RushやBamboo Paperプロパックなどをダウンロードできるサービスが、購入特典としてあるのもおすすめのポイントです。
ワコム One 液晶ペンタブレット13 DTC133W1D
GAOMON ペンディスプレイ PD1560
右利き・左利き問わず、どちらでも使いやすい設計になっているペンタブです。画面解像度は1920×1080と優れており、8192レベルの筆圧感知、10のショートカットキーが付いているなど、ハイレベルなスペックが搭載されています。
また、178度の広視野角と角度調整ができるスタンドが付いているため、作業しやすい角度に調整して使用することができるでしょう。
Windows7、8、8.1、10、Mac OS 10.12.0以降に対応しており、主なペイントソフトとも互換性があります。
GAOMON ペンディスプレイ PD1560
プロ仕様のおすすめ液タブ
プロにおすすめできる、液晶ペンタブを3種類紹介します。解像度も極めて優れており、3D画像などにも対応可能であったり、スタンドが付属していて作業しやすい工夫がなされていたりと、製品ごとにそれぞれ魅力的な特徴があります。
XP-PEN Artist 15.6 Pro
キャラクターを描いたり、漫画を描いたりしているプロの方におすすめの液晶ペンタブで、3D画像にも対応可能なハイスペック製品です。
ディスプレイは、フルラミネーション加工が施されているため、作業のタイムラグが発生せずにスムーズに進めることができます。
解像度は1920×1080なので、印刷にも耐えうるレベルで作業することが可能です。Windows 7以降、Mac OS X 10.10以降に対応しています。
XP-PEN Artist 15.6 Pro
XP-PEN Artist 24 Pro
2560×1440の2Kレベルの解像度を誇る商品です。『PA2 バッテリーフリースタイラスペン』には、60度までの傾き検知機能が付いているため、線の太さまで自在に操り描写することができます。
また、カスタマイズできるショートカットキーは20個あるので、あらゆる作業をスピーディーに進められるよう、自分に合わせてカスタマイズが可能です。
Windows 10、8、7およびMac OS X 10.10以降のOSに対応しています。一般的なデジタルアートソフトウェアにも対応可能です。
XP-PEN Artist 24 Pro
ワコム Cintiq Pro 24 ACK62801K
最高で3840×2160の4Kレベルに対応できる解像度のペンタブです。角度や高さの調整だけではなく、回転などにも対応できるようになっています。ディスプレイの隅々まで正確に描画できる点でも、優れている製品です。
また、ACケーブルとUSB Type-Cの2本のケーブルがあれば使用できるためワークスペースもすっきりとし、さらに専用の組み立て式スタンドが付いているので、快適で安定した作業環境を実現してくれます。
Adobe RGBも99%のカバー率で、3D制作にも最適です。
ワコム Cintiq Pro 24 ACK62801K
ペンタブの使い方
ペンタブの、基本的な使い方を知っておきましょう。最初に気をつけるべき点は、『モニター』『ペンタブ』の配置です。置き方が正しくないと、上手に使いこなすことができません。ペン操作は、通常の鉛筆などと基本的には同じです。
ペンタブの配置
ペンタブは、平たんな面に置いて使うのが基本になります。特に板タブを使う際には、モニターと板タブの位置関係を真っ直ぐにしておかないと、手の動きとモニター上でのポインタの動きがずれてしまいます。
また、『拡大』『縮小』『左右回転』などのよく使う操作は、作業効率に大きく影響する部分となるので、ショートカットとして登録しておくのがおすすめです。
どうしても角度を付けたい場合には、斜めに置くことも可能ですが、モニターに映る内容と手元がずれないようにチェックしながら作業をしましょう。
ペンの持ち方
ペンタブのペンは、基本的にシャープペンシルや鉛筆などを使う場合と、同じように持ちましょう。持ちやすいように、少し傾けるのがポイントです。
ただし、ペンタブのペンには、筆圧感知機能が搭載されているので、あまりにもペンを寝かして使ってしまうと、センサー感度が鈍ってしまいます。
またモニター画面上でポインターを動かしたい場合は、タブレットの上でペン先を浮かせて、動かしてみると反応してくれます。
ペンタブでイラストや写真を加工しよう
ペンタブレットには、液晶タイプと板タイプがあります。板タイプの方がコストを抑えられるので、初めて使う場合は板タブから始めるのもよいでしょう。
一方で液晶タイプの方が、紙に絵を描いている感覚で使えるので、初心者にとっても使いやすいかもしれません。
特徴を比較しながら、自分が使いたいニーズに合わせて選ぶのがおすすめです。製品によって特徴も価格も大幅に異なります。じっくりと比較検討してみましょう。