毎日のように使う包丁は、いつの間にか切れ味が悪くなるものなので、定期的なメンテナンスが必要です。包丁の切れ味がよければ、料理もより楽しくできるでしょう。この記事では、包丁の研ぎ方の手順やおすすめの砥石をご紹介します。
目次
包丁研ぎの基礎知識
毎日包丁を使って料理をしていると、いつの間にか切れ味が悪くなっていることに気づくものです。よく切れる状態を保つためには、少なくとも2~3カ月に1度は、包丁を研ぐ必要があります。
包丁研ぎの原理、メリット
包丁は使っているうちに刃先が摩耗して、鋭さがなくなり切りにくくなります。特にプラスチック製のまな板を使っていると、木のまな板を使う場合に比べて傷みやすく、切れにくくなるのも早いでしょう。
摩耗した包丁は、研ぐことで鋭さを取り戻します。切れ味をキープするためにも、少なくとも2~3カ月に1度は研ぎたいところです。
また包丁は、包丁研ぎや砥石を使って自分で研ぐことができます。金物屋さんなどプロにお願いするより費用も安く済みますし、自分で研ぐことで愛着も湧いてくるでしょう。
研ぐタイミングの見極め方
包丁を研ぐべきタイミングは、切れ味が悪くなったと感じるときですが、より具体的に見極める方法があります。
それは、トマトを切ることです。トマトを切ったときに、皮ごときれいに切れるかどうかで見極められます。皮をすっと切ることができずに、つぶれてしまうようなら、刃先が摩耗しています。速やかに包丁研ぎや砥石を使って、切れ味を復活させましょう。
また玉ねぎを切ったときに、目にしみるかどうかも分かりやすい目安です。
包丁の種類で研ぎ方や角度が異なる
包丁の種類には片刃包丁と両刃包丁の二つの種類があり、それぞれ研ぎ方が異なります。
片刃包丁とは表面と裏面があり、片面だけに刃がついている包丁です。和包丁に多いタイプで、一般的な家庭ではあまり使われていないでしょう。研ぐ際には、刃のついている面だけを研ぎます。
一方両刃包丁とは、表裏がなく両面に刃がついている包丁で、牛刀などに代表される包丁です。表裏両面に刃がついているため、研ぐ際は、両面を研ぐ必要があります。
また刃の白いセラミック製の包丁は、砥石などで研ぐことはできません。専用のシャープナーを使うか、販売店やメーカーの研ぎ直しサービスを利用しましょう。
包丁研ぎに欠かせない砥石について
包丁研ぎの道具として、シャープナーなども販売されていますが、包丁は砥石で研ぐのが1番です。砥石の種類や選び方を知り、適切なものを購入して使いましょう。
研ぎ器の種類をチェック
研ぎ器には主に以下の4種類のタイプがあります。
- シャープナー
- 電動式シャープナー
- 研ぎ棒
- 砥石
シャープナーとは、溝に包丁の刃を差し込み、スライドさせることで刃先をシャープにする道具です。特にコツなども要らないので、誰でも簡単に使うことができるでしょう。
より簡単に素早く切れ味を復活させられるのが、電動シャープナーです。多少コストはかかりますが、その分楽に速く刃先を鋭くすることができるので便利です。
また研ぎ棒とは、やすりのような形状のものです。研ぎ棒に刃先を当てて、付け根から先端に向かって刃先を滑らせていくことで、研いでいきます。
手軽に使えて便利ですが、刃と研ぎ棒の角度が一定になるようにする必要があるなど、上手に研ぐには少しコツが要ります。
砥石は、刃を削って切れ味を取り戻す研ぎ器です。料理人などのプロは、砥石を使って包丁を研いでいることが多く、鋭い切れ味にすることができます。刃先の当て方にコツが要りますが、初心者向けに正しい角度で研げるようサポートする補助具が付いているものもあります。
シャープナー利用の注意点
最も手軽に使えるシャープナーですが、実はシャープナーでは刃先は研げません。
シャープナーは刃先を削り取ることによって、鋭さを作っているだけの道具です。何度も使ううちに刃が割れたり、欠けたりする可能性があるので、繰り返しの使用は避けた方がよいでしょう。
シャープナーを使っての処置はあくまで一時的なものにとどめ、基本的に砥石で研ぐようにするのが、包丁を長く使うポイントです。
砥石の種類や選び方
砥石には以下の種類があります。
- 荒砥石
- 中砥石
- 仕上砥石
それぞれ目の粗さが異なり、最も目が粗くよく削れるのが荒砥石、最も目が細かく微調整に向くのが仕上砥石です。
家庭用に選ぶ場合は、これらの中間の中砥石がよいでしょう。パッケージやラベルに記載の番手が『#800~#2000』のものが中砥石です。購入の際は『#』から始まる番手をチェックして選びましょう。
包丁の研ぎ方を解説
包丁は、正しい準備と研ぎ方を知らなければ研げません。砥石を使ってうまく研ぐには、コツをつかむことが必要です。慣れれば素早く、上手に研げるようになるでしょう。
砥石の使い方や準備するもの
砥石は5~10分ほど、水に浸けておいてから使います。水に浸けることで、砥石の研磨性を高め、包丁を研ぐうちにできるくずが詰まって、研ぎにくくなることを防ぐためです。冷やすことで削りやすくもなります。
また研ぎながらも水が必要になるので、容器に水を入れて準備しておくと便利です。ほかにも砥石が動かないよう固定するために、ぬれ布巾も用意しておきましょう。
両刃包丁の研ぎ方、手順
両刃包丁は以下の手順で研ぎます。
- 砥石を気泡が出なくなるまで、5~10分を目安に水に浸けます
- 包丁の根元部分を親指で押さえ、しっかりと包丁を握ります
- 刃を手前に向け、包丁の根元を砥石に対して45度の角度で当てます
- 刃の部分だけを砥石に当て、包丁と砥石の間に10円玉2枚分くらいの角度が付くように持ち上げます
- 左手を添えて研いでいきます
- 数回研いだら、指で触ってみます。引っ掛かりが確認できれば完了です
- 刃先を研ぎ終えたら、真ん中部分も同様に研ぎます
- 最後にアゴ部分まで研げたら表面は完了です
- 裏面も同様に研ぎます
- 全体が滑らかになるように確認し、刃返りをなくせば完了です
砥石の表面が乾いてくるたびに、水をかけて研いでいきます。また研いでいるときに、ドロドロした黒っぽい研ぎ汁が出てきますが、包丁を研ぐのに必要です。洗い流さず、そのまま研いでいきましょう。
片刃包丁の研ぎ方、手順
片刃包丁の研ぎ方の手順は、基本的に両刃包丁と同じです。片方しか刃がないので、刃がついている面だけを研ぎ、刃がついていない面は刃返りをなくす程度に研ぐだけで十分でしょう。
また刃先を砥石に当てる角度も少し異なり、切っ先と呼ばれる包丁の先端部分を、ぴったり砥石に沿わせるようにして研ぐ必要があります。包丁を持つ方の手を、手首ではなく肘から少し上げるとうまく当てられるでしょう。
包丁研ぎにおすすめの砥石
包丁の切れ味をよくするためには研ぐ技術も必要ですが、砥石選びも大切です。ここでは、初心者でも鋭く研げるおすすめの砥石を紹介します。
NESHEXST「NESHEXST 両面砥石 セット」
中砥石と仕上砥石が両面にそれぞれついており、これ一つで包丁の切れ味がしっかり復活させられます。
砥石が滑らないよう表面にはラバーベース、裏面には滑り止めシートの付いた台座がセットになっています。また正しい研ぎ角度を保つための刀補助具や、取扱説明書も付いており、初心者でも使いやすいでしょう。
2019年には、Amazonの砥石部門の売れ筋ランキングで1位になったこともある、人気の商品です。
NESHEXST『NESHEXST 両面砥石 セット』
シャプトン「刃の黒幕 オレンジ 中砥 #1000 3-0222-0104」
『刃の黒幕』は、粗さごとに色分けされたパッケージが特徴のシリーズです。オレンジのパッケージは、#1000の中砥石ですが、荒砥石に劣らないほどの鋭い切れ味になり、荒砥石と兼用しても使えるほどです。
ロングセラー商品で出刃包丁はもちろん、園芸用の刈り込みバサミや縫製用の裁ちバサミなど、幅広いタイプの刃物を研ぐのに使えるでしょう。
シャプトン『刃の黒幕 オレンジ 中砥 #1000 3-0222-0104』
切れ味抜群の包丁を体感しよう
毎日のように使う包丁は、気づかないうちに刃先が摩耗して切れ味が悪くなっているものです。そのため、定期的に包丁を砥石で研いでメンテナンスする必要があります。
砥石を使って包丁を研ぐには、コツがあるので慣れるまでは少々難しいかもしれませんが、コツをつかんでしまえば簡単です。
ぜひ包丁のメンテナンスをしっかり行い、切れ味のよい包丁で、料理をする時間をより楽しみましょう。