ガス代を節約しよう。具体的な方法とシーン別のポイントは?

「ガス代を節約したいけれど、具体的に何をすればよいか分からない…」という人は、自宅のガスの使用状況・料金を確認して、実践しやすい節約から行いましょう。一般家庭のガス代平均とともに、節約術を紹介します。

まずは自宅のガス代を把握しよう

ガス代を節約する前に、まずは自宅のガス代がいくらなのか把握することが大切です。そして一般家庭のガス代と比較して、節約の必要性があるのかについて検討してみましょう。家庭用ガスの種類とそれぞれの平均額について解説します。

家庭用ガスには種類がある

家庭用ガスには都市ガスとプロパンガス(LPガス)の2種類あります。

都市ガスの主原料はメタンが主成分の天然ガスや液化天然ガス(LNG)です。地下に通されたガス管を通して各家庭にガスが供給される仕組みで、国内における都市ガスの使用率は約65%です。

一方プロパンガスの主原料は液化天然ガスで、各事業者がガスボンベを配ることで、各家庭に供給されています。国内におけるプロパンガスの使用率は約34%です。

一般家庭のガス代平均額

ガス代は各家庭での使用状況や季節により変動しますが、総世帯の1カ月ガス代平均額は約4,700円、世帯別では2~6人世帯で約4,300~5,000円が目安となります。

一般家庭の目安額と自宅のガス代を比較して、さほど使用頻度が高くないにもかかわらずガス代が高い場合は、一度使い方を見直す必要があるしょう。

ガスを使用するシーンは?

自宅でガスを使用するのは、どんなときでしょうか?ここでは使用シーンと併せてガス代の目安を解説します。

ガスコンロやガス炊飯器

自宅で料理をするときに使用するガスコンロもガスを使用するシーンの一つです。ガス代は火力によって変動し、1時間使用した場合のガス代の目安は弱火で約5円、中火では約21円、強火は約37円です。

このほか、電気炊飯器でなくガス炊飯器を使う家庭では、1回ご飯を炊くためにかかるガス代は約6.4円となります。

瞬間湯沸かし器や風呂給湯器

水回りでは瞬間湯沸かし器や風呂給湯器が、ガスを使用する主なシーンでしょう。一般的な家庭の都市ガスボイラー熱効率80%で、40度のお湯を1分間に12L使用すれば、ガス代は約5.8円です。

シャワーだけでなくバスタブにお湯を溜めて浸かる場合には、シャワーとは別にガス代が発生します。たとえば40度のお湯を200L溜めた場合には、ガス代は約97.2円です。

3人世帯で1人3分ずつシャワーを使用してお風呂に浸かった場合、1カ月のガス代の目安は約4,488円となり、自動運転や追い炊き機能があれば、さらにガス代がかかります。

また風呂給湯器の内部には、水流センサーや温度センサーなどいくつかのセンサーが設置されています。そのためガス代だけでなく、電気代も発生しているのです。

ガスファンヒーターなどの暖房器具

寒い季節になると大活躍のガスファンヒーターは、パワフルかつスピーディーに室内を暖められる暖房器具です。灯油ストーブのように、燃料を入れる手間も独特の臭いもないため便利ですが、ガス代は意外にかかってしまいます。

たとえば木造7畳の小型ガスファンヒーターを、1時間使用した場合のガス代の中央値は約16.8円です。1日に8時間使用すると、1カ月のガス代は約4,032円が目安になります。

リビングルームなどの広い空間を暖めるときに使用する場合には、木造11~14畳サイズのものが一般的です。このサイズのガスファンヒーターを1日8時間、1カ月使用するとガス代は約5,241~8,064円ほどが目安です。

またガスファンヒーターも給湯器と同じく、電気も使用しているため、ガス代のほかに電気代も発生します。

ガス代節約のポイントは?

ガス代を節約したいけれど、具体的にどうしたらよいか分からない人も多いのではないでしょうか?ここでは節約のポイントを三つ紹介します。

プロパンガスよりも都市ガスの方が安い

都市ガスは2017年4月から自由化されたことによって、それぞれの販売店が自由に料金を設定できるようになりました。

今まで支払っていた都市ガス料金よりも安く提供する業者もありますが、プロパンガスほど業者間での価格差は大きくありません。なぜならば競争が激しくない地域においては、既存のガス事業者に対して、料金が国によって規制されているからです。

自由化後、事業者が多く競争が激しい地域においては、ガス料金の上昇が抑えられています。そのため国が規制する料金から大きく離れた料金設定はされていません。

このように都市ガスの方が規制料金と同じ、もしくは少し安く設定されているので、プロパンガスから都市ガスに切り替えることでガス代が安くなるケースが多いです。

プロパンガスは会社によって料金が違う

プロパンガスも都市ガスと同じく、利用する事業者や販売店によって料金が異なります。プロパンガスはもともとガス代の設定が自由にできる仕組みなので、業者によって料金差があります。

プロパンガスの料金は、基本料金と使用量に応じた従量料金の合計金額です。従量料金は従量単価と使用量で計算されます。基本料金は地域による差はあまりありません。

しかし従量単価は業者によって、適正価格よりもはるかに高く設定しているところもあるので注意が必要です。もしガス代が高額と感じているならば、他社と比較して乗り換えも検討しましょう。

無駄を省いて節約

ガス代は燃焼時間に応じて料金が増えていきます。自宅のガス代の計算方法は、基本料金と従量料金を足した金額で、従量料金はガス単位料金×ガス使用量で算出できます。不要な燃焼時間がないか振り返り、無駄を省いて節約につなげましょう。

またオール電化にリフォームをして、ガス代をまるっと抑える方法もあります。オール電化にすれば、リフォームなど初期投資のコストの発生・使用する電気量は増えますが、ガスの基本料金を支払う必要がありません。

自宅のガス・電気の使用状況を鑑みた上で、最適な方法を選びましょう。

調理時のガス代節約方法

朝食や子どもの弁当、また夕食とガスコンロは調理に欠かせません。毎日使うからこそ、節約できる部分はしっかり節約していきましょう。ここでは調理時のガス代節約方法を三つ紹介します。

ガスコンロを新しくする

今使用しているガスコンロは、いつ頃購入しましたか?ガスコンロが古くなっている場合、新調するとガス代が節約できる可能性があります。

ガスコンロの性能は、日々進化しています。10年ほど前の旧式のタイプと比較すると、最新のガスコンロの熱効率(バーナーの熱が調理器具に伝わる率)は、約10%もアップしています。

熱効率が高ければ高いほど、無駄なく温められるため、ガス代を節約しながら調理時間の短縮も可能です。たとえば年間2.22GJ(ギガ・ジュール)を使用する場合、熱効率が56%と46%では1年で約2,500円の節約ができます。

火力に注意

強火ならばスピーディーに熱が伝わって、早く調理ができると思っていませんか?火力が強いからといって、比例して熱効率が高まるわけではありません。鍋底からはみ出た火は、まわりの空気を温めているだけなので、ガス代の観点から見ると無駄遣いです。

調理をするときは強火ではなく、中火を使用して鍋底から火がはみ出ないようにしましょう。1日3回、約20度の水1Lを中火で沸騰させる場合、強火を使用するよりも年間でガス2.38立方メートル、約390円を節約できます。

利用しているガスが都市ガス、プロパンガスによっても料金は変化しますが、いずれにしても中火の方が効率的に調理と節約が可能です。普段から調理のときは、鍋底から火がはみ出ないよう、火力に注意しましょう。

保温調理器具で加熱を最小限に

火を長時間使うシチューや肉じゃがなどの煮込み料理は、ガスの使用量や使用時間が長くなってガス代がかかります。ガスを長時間使う料理は、圧力鍋などの保温調理器具を活用して、加熱時間を短縮して節約しましょう。

圧力鍋は時間のかかる煮込み料理も、最初に火を付けてから沸騰させて鍋内を加圧する時間のみガスを使用します。作るものや調理量によっても異なりますが、一般的には約10~15分以内にできるものが多いです。

そのため調理時間が15分以上かかるものは、圧力鍋を使用しましょう。料理が焦げ付く心配もなく、ガス代節約にもつながります。

また寒い季節などに楽しむ鍋料理には、保温鍋がおすすめです。保温鍋も最初の数分に加熱したら、あとはガスを使用しないでも、料理の温度を長時間キープできます。保温調理器具を上手に利用し、加熱時間を減らして節約しましょう。

給湯器のガス代節約方法

給湯器はキッチンや洗面台、浴室など家中の水まわりで、いつでも快適な温度の水を使える便利な家庭用機器です。しかし利用方法によっては、ガス代を無駄遣いしてしまっているかもしれません。ここでは給湯器のガス代節約方法を三つ紹介します。

設定温度を下げる

食器洗いや洗顔、入浴など日常生活でお湯を使うシーンは多いです。給湯器の設定温度を少し下げるだけでも、ガス代を節約できます。

たとえば大量のお湯を使用する入浴時には、夏と冬で給湯温度を変えましょう。高い温度設定にすると、水を沸かすためにガスの使用量が増えます。

暑い季節には低い温度設定にし、寒い季節は温度を少し高く40度くらいに設定するのがおすすめです。目覚めに熱いシャワーを浴びる人は、その都度温度設定を変更してもよいでしょう。

食器洗いや洗顔には給湯温度を低く設定し、ぬるま湯程度でも問題ありません。小まめに設定温度を見直して、低めの温度をキープしましょう。

節水で量を減らす

節水で使用するお湯の量を減らせば、そのぶんガスを使用しないためガス代も水道代も節約できます。食器を洗うときや洗髪の際など、つい出しっぱなしで洗っていませんか?お湯を使わないときには、小まめに止めるように心がけましょう。

どうしても時間が短くできない人は、洗う前の食器は水に浸けておいたり、汚れをヘラなどで拭き取ったりすれば、食器洗いの時間を短縮可能です。またシャワー部分に節水シャワーヘッドを取り付ければ、いつも通りに使用していても自然と節水できます。

ただし節水シャワーヘッドは、水圧が弱く感じやすくなります。使用時間が短くなるように意識しましょう。

食器洗いにはゴム手袋

寒い季節に冷たい水で食器洗いをするのはつらいと感じる人も多いでしょう。そんな人にはゴム手袋の使用がおすすめです。ゴム手袋を使用すれば、水の冷たさを感じることなく、食器洗いができます。

薄手のゴム手袋や、厚手のもの、またデザインがおしゃれなものまでバリエーションが豊富です。気に入ったゴム手袋を着用して食器洗いをすれば、気分が明るくなるだけでなく、洗剤荒れの心配もありません。

ガス代を節約しながら、楽しく家事をこなしましょう。

暖房器具のガス代節約方法

寒い季節に活躍するものが、暖房器具です。ガスを使用する暖房器具には、ガスファンヒーターがあります。ここではガスファンヒーターのガス代節約方法を二つ紹介します。

冷気を遮断

ガスファンヒーターを使用する前に、冷気を遮断しましょう。冷気は窓のガラスから、室内へと伝わってきます。

厚みのあるガラス窓や、2枚ガラスで作られた窓の場合には、室内に冷気が伝わりにくいです。しかし1枚ガラスの窓は薄いため、外の冷たい温度が室内へと入り込むと同時に室内の暖まった空気も外へ逃がしてしまいます。

断熱シートを窓に張って、断熱効果を高めておきましょう。そしてファンヒーターを窓前に置くのではなく、少し離れた場所に置けば部屋が温まりやすくなり、ガス代が節約できます。断熱シートを張って窓の断熱効果を高めることです。

また窓から入る冷気を少なくするためには、ファンヒーターを窓のすぐ前に置くことをおすすめします。こうすれば暖房効果が上がるため結果的にガス代節約につながります。

エアコンを併用する

ガスファンヒーターはスピーディーに部屋を暖められます。しかし運転したままの状態では、室温が高くなりすぎてしまうので注意しなくてはなりません。

一方で家庭用暖房器具のエアコンは、立ち上がりが遅いため、部屋全体を温めるために時間はかかりますが、設定温度の室温をキープできる点が特徴です。

両方のメリットとデメリットを上手に活用して、光熱費を抑えるためには、最初にガスファンヒーターで室温を上げたら、エアコンへと切り替えて室温をキープしましょう。

ガス代の節約に取り組もう

ガス代を節約するためには、ガスの使用量と使用時間を減らすことがポイントです。古いガスコンロは、最新のガスコンロよりも熱効率が悪いので、同じように調理していてもガス代が高くなりがちです。保温器具を活用するなど工夫をしましょう。

また給湯温度の設定を低めに設定することも、節約に効果的です。食器洗い時にはゴム手袋を着用すれば、冷たさが伝わらず手荒れからも保護できます。

室内ではガスファンヒーターとエアコンを併用して、窓には断熱シートを張れば、効率的に部屋を暖められます。普段の生活で、節約の工夫を取り入れて、上手に無理なく節約しましょう。

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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