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手紙の書き出しはどうする?正式な書き方とビジネスに使える文例

ビジネスシーンであったり、目上の人に宛てたりという場合には手紙のマナーに迷うことも多いでしょう。ここでは失礼にならない手紙の書き方を、構成・表現の二つの軸で一通りまとめています。具体的な文例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみましょう。

1.前文

手紙の書き出しは、『頭語』と『時候の挨拶』で構成される『前文』で始まります。定形の文言が決まっている頭語からは、ふさわしい言葉を選びましょう。時候の挨拶は、場合によっては不要ですし、アレンジしても良いパートです。

頭語

まずは頭語を正しく選びましょう。頭語は定形として決まっている言葉です。手紙を出す相手や状況に応じて、ふさわしいパターンを選びましょう。

一般的には『拝啓』がよく使われます。迷ったら『拝啓』を選ぶのが無難です。しかし目上の人に出す時や、本題にいきなり入りたい場合などに、より適切な表現もあるので押さえておきましょう。

  • 一般的な手紙:拝啓
  • 丁寧な手紙:謹啓(取引先や目上の人への手紙)
  • 本題にいきなり入りたい手紙:前略(親しい人へのお詫び、お見舞いの手紙)

時候の挨拶

手紙の中で『頭語』の次に続くのが、『時候の挨拶』です。季節感を伝えることができ、慣用的な定形文も月ごとにあります。迷ったら、定形文を参考に書くのが無難です。

親しい間柄であったり、近況報告をしたりといった、自分なりの表現を書いても問題なさそうな相手やシチュエーションであれば、工夫してアレンジしてみても良いでしょう。

ただし、ビジネスシーンで、相手に迷惑をかけてお詫びをする目的の手紙や、お見舞いの手紙などでは、表現に凝るのは避けるのがマナーです。

誠意も伝わりにくくなるので、時候の挨拶は割愛して『申し訳ない』という気持ちやお見舞いの言葉を単刀直入に伝えましょう。以下、具体例です。

  • 1月:寒さもいっそう身にしみる昨今ですが、○○様にはご清祥のことと存じます。
  • 2月:春寒の候、ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。
  • 3月:三寒四温を実感する気温差のある季節ですが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
  • 4月:新年度がスタートいたしました。気持ち新たにご活躍のことと存じます。
  • 5月:目に鮮やかな新緑の候、貴社の皆様におかれましては、ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。
  • 6月:早いもので今年も折り返し地点の頃となりました。天候に負けずにご活躍のことと存じます。
  • 7月:梅雨が明け、猛暑の季節となりましたが、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
  • 8月:秋の到来が待ち遠しいこの頃、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
  • 9月:残暑もやわらぎ、さわやかな秋風が吹く頃となりました。○○様にはご清祥のことと存じます。
  • 10月:秋晴の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
  • 11月:朝晩の冷え込みが、日ごとにきびしくなってまいりましたが、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
  • 12月:年の瀬も押し迫ってまいりましたが、貴社におかれましては、ご活躍とご発展の一年かと拝察いたします。

2.主文

手紙のメインとなるのが『主文』と呼ばれる部分です。ここでは、手紙の本来の目的である『お礼』『お詫び』などについて、しっかりと伝えましょう。

他の要件をついでに書くのは失礼になるので、目的がはっきりとしている手紙の場合には、要件を絞り込んで書くのがマナーです。

起こし言葉

主題となる本文を立ち上げていくパートです。『起こし言葉』と呼ばれる『さて』などを導入として使いながら、手紙の要件を簡潔に述べていきましょう。

『ここからがこの手紙の要件』だと伝わるように、書き起こしの言葉を明確に入れるのがポイントです。具体的な起こし言葉を紹介します。改行して、一語下げたところから書き始めるのが一般的です。

  • さて
  • 先日の件ですが
  • このたびは
  • ところで
  • 突然ですが
  • さっそくですが

本文

手紙の主要な要件を、具体的に書く部分です。お礼の手紙であれば、相手へのお礼を述べ、お詫びであれば、しっかりとお詫びの気持ちを伝えねばなりません。句読点や段落分けを適切に使いながら、読みやすく仕上げるのがポイントです。

近況報告の手紙であれば、さまざまなニュースを盛り込んだ手紙も喜ばれるでしょうが、お礼やお詫びなどで他の用件に触れるのは基本的には失礼に当たります。本来の用件に絞り込み、簡潔かつ明快に伝えましょう。

3.末文

手紙の締めの部分に当たる『末文』は、きっちりと締めましょう。『結び』の文としては、相手の繁栄や健康を願う文章が一般的です。

また、冒頭に出てきた『頭語』に呼応する『結語』も忘れずに記載しましょう。頭語と結語はペアが決まっているので、セットで使うのがマナーです。

結び

本文を書き終えたら、結びの言葉を添えてしっかりと締めましょう。表現は、送る相手や手紙の目的によって書き分けが必要です。

結びは、簡潔に記載するのがポイントになります。ダラダラと書いてしまうと、本文の印象がぼやけてしまい、何を伝えたい手紙なのか、目的が不明瞭になってしまうでしょう。

ビジネスであれば、会社の繁栄や相手の活躍を祈ります。親しい相手であれば、相手の健康や幸せを願う一文が一般的です。

  • 末筆ながら皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
  • お風邪など召されませぬようご自愛ください。

結語

結語とは、冒頭の『頭語』に呼応する言葉です。結びの言葉を書いた後、改行して末尾に記載します。行の末尾よりも、少し上の部分に書くと美しく仕上がります。具体的な結語の例を紹介していますので、頭語とペアにして使いましょう。

  • 一般的な手紙:敬具(拝啓とペア)
  • 丁寧な手紙:敬白(謹啓とペア)
  • 本題にいきなり入りたい手紙:草々(前略とペア)

4.後付

手紙の最後に記す『後付』の部分は、確実にマナーを守って仕上げるのが重要です。宛名などが含まれる部分になるので、間違いがあると大変失礼に当たります。ルールに従って着実にしたためましょう。

日付と署名

結語の後には、まず日付と署名を入れます。日付は、1文字下げて書きましょう。署名は、行の末よりも1文字上の部分に終わるように、書き出しの位置を調整します。

署名は、ビジネスシーンの手紙の場合には、社名から書き始め、次の行に自分の名前を書きます。1行にまとめずに、2行使って書きましょう。

バランスが整った状態で仕上がると美しい文面になり、好印象を与える手紙に仕上がります。

宛名と脇付

日付と署名を書いたら、その後に宛名を記載します。ビジネスであれば、会社名と部署名を1行にまとめ、改行して役職と名前を記載しましょう。宛名は、1字下げずに、日付よりも1文字上の高さから書き始めます。

敬称は個人であれば『様』、個人の名前が不明で役職しかわからない場合には『部長殿』のように『殿』を用いましょう。組織名の場合は『御中』です。

ビジネスシーンのお詫びの手紙や、目上の人へのお礼の手紙などの場合は、さらに『脇付』をつけると丁寧な手紙になります。

普段頻繁に使う言葉ではありませんが、『侍史(じし)』『机下(きか)』などの言葉があるので覚えておきましょう。

侍史は「直接あなたに手紙を送るのは畏れ多いので、手紙を預かってくださる係の方にまずはお渡しします」、机下は「机の上に置くような書状ではないので、机の下に置いてください」という意味が込めらています。

ビジネスに使える文例

お礼、お詫びなどのシーンを選ばず、迷ったら使える文例なので、初めて書くビジネスレターの場合にも、安心して使えます。メールなどにも応用できるので、ぜひ押さえておきましょう。

書き出しの文例

ビジネスシーンの手紙で、無難に使いやすい書き出しのフレーズを知っておきましょう。送り先の企業や個人の成功を願う文面が一般的です。

『清祥』は法人にも個人にも使えますが、『清栄』『隆盛』などは法人のみに使用する言葉なので注意しましょう。

  • 〇〇様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
  • 貴社ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
  • 貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

結びの文例

ビジネスシーンで使える、結びの文例も押さえておきましょう。相手の繁栄や活躍を祈るフレーズを使うのが一般的です。具体例を押さえておくと便利なので、一度目を通しておきましょう。

  • 末筆ながらますますのご活躍をお祈り申し上げます。
  • ますますのご発展をお祈り申し上げます。
  • 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
  • 今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
  • 今後とも末永くお引き立てを賜りますよう、よろしくお願いいたします。

真心込めた手紙を書こう

手紙を書く際には、ルールが決まっています。前文に始まり、後付で締めるというスタイルをまずは押さえておきましょう。ビジネスシーンの手紙や、目上の人に宛てる手紙の場合には、型通りに書くことが大切です。

親しい間柄でも、お礼やお見舞い、お悔やみなどの場合には、マナーを守った手紙を書きましょう。マナー違反の手紙が届いてしまうと、印象が悪くなってしまい、せっかく伝えたい気持ちがストレートに伝わらないことにもなりかねません。

とはいえ、一番大切なのは気持ちです。真心を込めながら、マナーに従った手紙をしたためましょう。

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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