引っ越しのときなど、冷蔵庫のコンセントを抜くシーンは限られていますが、コンセントを抜き差しする際にはいくつか押さえておくべき注意点があります。コンセントの長さが足りないときの対処法や、アース線にまつわる情報もおさらいしましょう。
目次
冷蔵庫のコンセントの位置は?
普段あまり意識することのない冷蔵庫のコンセントの位置について、あらためて確認してみましょう。
床面から約170cmが一般的
キッチンスペースやシンクなどの位置があらかじめ決まっているマンションなどの物件では、一般的に、冷蔵庫用のコンセントは床面から約170〜180cmほどの高さに設置されていることが多いです。
大人が手を伸ばして抜いたり差し込んだりと、ちょうど作業がしやすいくらいの位置でしょう。この高さに設置されているのには、いくつか理由があります。
以下、具体的な理由を押さえていきましょう。
冷蔵庫のコンセントが高い位置にある理由
冷蔵庫のコンセントは、比較的高い位置にあることが多いです。「何でこんな高い位置にあるのだろう?」と疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。
『漏電防止』『火災防止』『コンセントが抜けたときに気づきやすい』という、主に安全性の観点から、冷蔵庫のコンセントは高い位置に設置されています。
具体的な理由について、紹介していきます。
漏電防止
冷蔵庫が設置されるキッチンは、水をよく使う場所です。電化製品の電気系統を担う部分に水分が触れてしまうと、故障や火災などにつながりかねません。
冷蔵庫の背面も要注意ですが、特にコンセント部分に水分が触れてしまうと、漏電が起きるリスクが高まる可能性も否定できません。
万が一、冷蔵庫よりも低い位置にコンセントが設置されていると、日常生活の中でキッチンを使用する際、コンセント部分に水分が触れるリスクが高まってしまうとも考えられます。
火災防止
コンセントは、意外とホコリが溜まりやすい場所です。放置し続けたホコリに湿気が溜まって漏電を起こし、火災の原因につながることもあります。反対に、日頃からホコリが溜まらないように注意すれば防げる可能性もあります。
冷蔵庫は、一度設置すると動かすことがほとんどない電気製品でしょう。動かすことがないと、自然とコンセント周りにホコリが溜まりやすくなるうえに、溜まっていることにも気づきにくくなります。
冷蔵庫よりも高い位置にコンセントがあれば、床に近い位置にあるよりもホコリは溜まりにくくなるでしょうし、目線よりも上の位置にあると、細かなホコリに気づきやすくもなります。
コンセントが抜けたときに気づきやすい
目線よりも高い位置にあると、万が一コンセントが抜けているときに気づきやすくなります。
低い位置にあるとコンセントが抜けてもすぐには気づきにくいものの、高い位置にあるとコードが落ちてきてしまうので、自然と目に付いたり、コードが落ちた音で気づきやすいでしょう。
コンセントが抜けると冷蔵庫に入れた食材の温度が上昇してしまうため、傷みやすくなってしまいます。コンセントが高い位置にあることで、そのような事態を未然に防ぐことができるのです。
冷蔵庫のコンセント、長さが足りないときは?
冷蔵庫のコンセントが高い位置に設置されていると、製品によってはコードの長さが足りないというケースも出てくるでしょう。
引っ越す前・設置する前に確認しておくことがベストですが、もしも事前に確認できずに困った場合は、コンセントの移動工事を行うという手段もあります。
延長コードは、手法としては存在しますが、リスクが大きいので推奨はできません。注意喚起の観点で記載しています。リスクもきちんと知っておきましょう。
コンセントの移動工事を行う
コードの長さが足りない場合には、冷蔵庫を買い換えるという選択肢もありますが、コスト面からしても現実的ではないでしょう。
現実的な方法としては、コンセントの移動工事を方法を検討しましょう。『電気工事士』の資格を持つ人に工事を行ってもらう必要があるため、業者へ依頼するのが一般的です。
自宅が賃貸物件の場合は施工前に、必ず事前に管理会社に確認しましょう。コンセントの移動そのものがNGとなっているケースもあります。
安易な延長コード使用はNG
長さが足りないからと、安易に延長コードを使って対処するのは避けましょう。漏電や火災リスクが否定できないため、推奨できません。
延長コードは、使用可能電気の容量が決まっています。冷蔵庫が規定の容量をオーバーした場合、発火につながる可能性もあります。
どうしてもほかの対処法が見つからないという場合には、必ずメーカーに問い合わせて、延長コードの使用可否を確認をしましょう。
使用可能という返答があった場合には、推奨製品を聞いたうえで延長コードを購入しましょう。
冷蔵庫のコンセント、抜き差しの注意点
冷蔵庫のコンセントは、他の電気製品を使うのと同じような感覚で安直に抜いたり差したりすると故障の原因につながってしまうかもしれません。
また、冷蔵庫の機能上、頻繁に抜き差しを行うのも避けた方がよいでしょう。以下、注意したい点を紹介します。
コンセントを抜いたら10分はおく
冷蔵庫のコンセントは、抜いてすぐに差し込み直してはいけません。メーカーによって異なるものの、目安としては10分以上経過してから差すようにしましょう。
すぐに差し込んでしまうと負担がかかり、故障につながる可能性もあります。冷蔵庫のコンセントを抜くシーンは、大掃除や引っ越し、大掛かりな模様替えなどの特別なときに限られるとは思われますが、念のため覚えておきましょう。
安易な抜き差しは故障につながることも
冷蔵庫のコンセントを抜くと、冷却機能を担っているコンプレッサーが停止してしまいます。この部分を一度止めてしまい、再度起動させる際には、多くの電力を必要とするため、冷蔵庫自体に大きな負荷がかかってしまいます。
結果として、高い頻度で抜き差しを繰り返していると、正常な動作に支障が出て故障してしまうケースも出てくるでしょう。
抜き差しを行うのは、最低限に留めるのが無難ですし、引っ越しなどで必要となる際にも、できるだけ慎重に行いましょう。
冷蔵庫のアース線について
冷蔵庫のコンセント部分には、アース線が付いていることが多いです。アース線は、水気の多い環境で、安全に冷蔵庫を使ううえでとても重要な役割を果たします。
まずはアース線とは何か、基本的なことから確認していきましょう。
アース線の役割
アース線は、余分な電気を逃すための装置です。漏電した場合には、漏れた電気の逃げ道になってくれます。
また、落雷などによって過剰な電気が一時的に流れるリスクがある場合にも、アース線があればアース線に電気を自然に逃すことができ、電化製品が故障するのを防いでくれる可能性もあります。
アース線がない場合も
アース線は必ず付いているものというわけではなく、中には、アース線が内蔵されていて取り付け不要なもの、別途用意が必要な冷蔵庫もあります。製品情報を確認のうえ、対処しましょう。
自分でアース線を用意する場合、設置状況・必要となるアース線の長さを確認してから、家電量販店やホームセンターなどで入手しましょう。
取り付けは、説明書を見ながら自分で行うこともできますが、不安な場合は、電化製品を購入する際に取り付けもお願いするか、取り付け方法を聞いておくと安心です。
アース線の取り付け場所
アース線は、アース端子に取り付けるのが基本です。例外的にほかの場所で代用するケースもありますが、その場合は冷蔵庫メーカーの指示に従って行います。
ここでは接続してはいけない場所を覚えておきましょう。『水道管』『ガス管』『電話用のアース』『避雷針』です。
電話用のアースは、冷蔵庫のアースとは別の仕組みになっています。誤って接続すると思わぬトラブルにつながる可能性もあるため、注意しましょう。
冷蔵庫のコンセント、引っ越し時の注意点
冷蔵庫のコンセントを抜き差しするケースは、引っ越しのタイミングが多いのではないでしょうか。
しかし冷蔵庫のコンセントの抜き差しは引っ越し直前・直後に行うのはおすすめできません。それぞれ、適切なタイミングを具体的に記載しているのでチェックしましょう。
引っ越し前に気を付けること
引っ越し時間の、遅くとも15時間前には電源を切りましょう。冷蔵庫の中の霜が溶け切るまでに約15時間程度かかるためです。
霜が残ったままで冷蔵庫を移動させると、中から水がこぼれることがあります。
冷蔵庫の扉も開けてしまい、水分を十分に拭き取っておくとより安心して運んでもらうことができるでしょう。
冷蔵庫を空にする機会もなかなかないので、このタイミングで冷蔵庫の中を掃除しておくのもおすすめです。
引っ越し後に気を付けること
引っ越し後は、すぐにコンセントを入れずに、取り付けた後30分程度は待つと安心です。10年以上使っている冷蔵庫の場合には、2時間程度空けた方が安心なものもあります。
冷蔵庫のコンプレッサーの中には、オイルが含まれており、運搬される際にどうしても波打ってしまっています。このオイル面が平行になり、安定するまでにおよそ30分〜2時間程度必要になってくるのです。
安定してからスイッチを入れる方が、冷蔵庫に負担をかけず、故障リスクを下げることができます。
冷蔵庫のコンセントの扱いには気を付けよう
冷蔵庫のコンセントを、他の家電と同じように安易に抜き差しするのは避けましょう。故障の原因や、冷蔵庫にしまっている中身の品質劣化にもつながります。冷蔵庫は、水気が多いキッチンで使う電気製品です。
コンセントが高い位置に設置されていたり、アース線が付いていたりするのは、きちんと意味があるのです。
冷蔵庫のコンセントは日常的に触れる場所ではないものの、扱い方を間違えてしまうと漏電や火災などのリスクにもつながる可能性もあります。NG事項をきちんと押さえて、安全に使いましょう。