クッション言葉の役割とは?具体例と使い方のポイントを紹介

『言い方が悪い』と、指摘されたことはないでしょうか。特に『依頼』『反論』『お断り』などを伝える場合は、単刀直入に発言すると相手を傷つけるうえ、自分の印象も悪くしてしまいます。クッション言葉を習得し、コミュニケーションを円滑にしましょう。

クッション言葉とは?

クッション言葉という言葉を聞いたことはあるでしょうか。単刀直入に伝えてしまうと角が立ちそうな内容を和らげ、『クッション』になってくれる言葉のことです。

では、このクッション言葉は、どのようなシーンで使うと効果的なのでしょうか。

続く内容を和らげるために使う言葉

クッション言葉とは、相手に『依頼』『反論』『お断り』などの内容を伝える際に、文頭に入れる言葉を指します。

クッション言葉を入れることで、そこに続く本題となる『依頼』『反論』『お断り』のニュアンスを和らげる効果があります。

クッション言葉を使うと、相手に嫌な思いをさせずに自分の意見を伝えることが可能です。ビジネスのシーンでも、用いられることが多いでしょう。

前置きしても役立つ

依頼や指摘をするときに、いきなり本題に入ってしまうと不躾であったり、失礼であったりとマイナスの印象を与えてしまいます。

確かに、人からいきなり『〜してください』『〜は良くないと思います』などと言われてしまうと、身構えてしまうでしょう。

本題を受け入れてもらう心の準備をしてもらうためにも、クッション言葉は役立ちます。

活用するメリット

クッション言葉を使うことによるメリットはたくさんあります。

相手の気持ちを傷つけずに、自分が言いたいことを伝えられるのはもちろんのこと、上手に使いこなしていると、『この人はコミュニケーションがスムーズな人だ』という好印象を与えることもできます。

メッセージがソフトになる

クッション言葉を使うと、メッセージがソフトになります。

例えば『ご要望にお答えできません』のみ伝えてしまうと、簡潔ではありますが、受取り手の都合を無視した不快なメッセージにもなりかねません。

このようなときに、『あいにくですが』『大変申し訳ないのですが』などのクッション言葉を入れることで、依頼の内容は変わらなくても印象がソフトになります。

こちらにも配慮してくれていると感じると、相手も無下には反論しづらくなるものです。

また、電話や口頭の場合は、声のトーンや表情によっても気持ちを伝えることができるでしょう。

相手に丁寧な印象を与えられる

クッション言葉を使うと、『この人は丁寧だ』という印象を相手に与えることができます。

例えば、『こちらにご記入ください』と言うよりも、『恐れ入りますが、こちらにご記入ください』と言うほうが、相手の立場から一段下がったところから発言しているような印象になります。

クッション言葉を上手に使えると、イメージアップにもつながるでしょう。

自分の気持ちを和らげる効果も

クッション言葉には、発信する側の心理的な負担を減らしてくれる効果もあります。

例えば、こちらから急ぎの用件などで、相手に難しいことを依頼するシーンもあるでしょう。

このようなときにクッション言葉を使うと、相手に受け入れてもらいやすくなるばかりではなく、お願いをするこちら側も『受け入れてもらいやすい伝え方』をすることで心理的な負担が減るのです。

「これを明日までにお願いします」や「明日までには不可能です」だけの言葉のやり取りよりも、「お忙しいところ申し訳ありませんが」や「心苦しいのですが」などの表現を添えるだけで口調がやわらかくなり、発話する側の心理的な負担も減ります。

クッション言葉の具体例

クッション言葉の具体例をシーン別に紹介していきます。

いずれも、ビジネスシーンや日常生活の中などで頻繁に遭遇するケースです。具体的なシーンをイメージしながら、それぞれの使い方を確認してみましょう。

お願い・依頼時に使える言葉

お願い・依頼時に使えるクッション言葉は以下になります。

  • お手数をおかけしますが
  • お忙しいところ恐縮ですが
  • 恐れ入りますが
  • お手数ですが
  • 差し支えなければ
  • 申し訳ございませんが
  • よろしければ
  • もし可能であれば
  • ご面倒でなければ
  • 失礼ですが
  • ご迷惑でなければ

お願いや依頼をする場面は、日常でも多いでしょうし、ビジネスのシーンでも多いでしょう。むしろ、書類の記入やメールの返信をお願いしたりと、お願いを全くしない日はないと言っても過言ではないかもしれません。

当然のことながら、お願いするということは、相手に何かして欲しいことがあるということになります。

相手に気持ちよく動いてもらい、かつ、自分の希望も叶えてもらえるように、クッション言葉を上手に活用しましょう。

断るときに使える言葉

何かお願いされたのを断るときに使えるクッション言葉は以下になります。

  • お役に立ちたいのですが
  • 明日であれば対応可能です
  • 勝手ではございますが
  • せっかくですが
  • お気持ちはありがたいのですが
  • 〇〇したいのは山々ですが
  • 身に余るお話ですが
  • 残念ですが
  • あいにくですが
  • 大変心苦しいのですが

当たり前のことですが、お願いされたことを全て受け入れることが正しいわけではありません。相手と対等であるためには、断るというのもとても大切な行為です。

ただし、関係性を悪くしてしまうような断り方をしてしまうと、こちらの立場が悪くなってしまうこともあります。

そのため、対等に良い関係性を構築するためにも、上手な断り方を覚えましょう。代案を出したり、相手の気持ちを立てたりと、切り口はさまざまです。

反論するときに使える言葉

反論するときに使えるクッション言葉は、以下になります。

  • 申し上げにくいのですが
  • 見解が分かれる点かと存じますが
  • 別の視点から考えると
  • 確かにおっしゃる通りですが
  • おっしゃることは重々理解しているのですが
  • 余計なこととは存じますが
  • 僭越ながら
  • お節介ではありますが
  • お言葉を返すようですが

反論は、相手の気分を害しやすいものであるため、言葉をより慎重に選びましょう。

例えば、立場が違うことを前置きして『自分の考えというよりは、立場ゆえの見解である』という見せ方をすると客観性が出るので角が立ちにくくなります。

また、『確かにそうですが』と、相手の言葉を一度受け入れる姿勢を見せる方法もあります。

こんな使い方に注意

クッション言葉の使い方の注意点を紹介します。

クッション言葉を使う方がコミュニケーションは円滑になりますが、これは『正しく』使ってこそ初めて成立するメリットでもあります。

むやみに多用するのではなく、クッション言葉一つ一つの意味をよく理解して、文脈に応じた使い方をできるようになりましょう。

謝る必要がないときに使う

特に謝罪をするようなシーンではないにもかかわらず、つい『申し訳ないのですが』を多用していないでしょうか。

例えば、銀行の窓口で接客をしていて、お客さまに必要な書類を書いてもらうようなシーンでの以下の発言は不適切です。

  • 「申し訳ございませんが、こちらにお名前をご記入ください」
  • 「申し訳ございませんが、用紙を回収させていただきます」

いずれも、こちらに非があるわけではありません。お客さまの希望に沿って業務を遂行するためには、必然的に発生する作業ばかりです。正しくは、以下のように直しましょう。

  • 「お手数ですが、こちらにお名前をご記入ください」
  • 「ご記入ありがとうございます。回収させていただきます」

不必要に謝罪をされると、されている側が違和感を覚えてしまいます。なんでも謝罪するというワンパターンな対応をするのではなく、シーンの意味を考えながら気持ちを込めて対応しましょう。

多用し過ぎは逆効果に

クッション言葉を使うと発言のトーンがやわらかくなるのは確かですが、数が多いほど効果があるというわけではありません。

むしろ、多用しすぎると機械的に棒読みをしているような印象を与えてしまい、逆効果になります。そのため、クッション言葉は乱用せず、必要なシーンに絞って使いましょう。

例えば、飲食店などで、以下のようなシーンに、遭遇したことはないでしょうか。

  • 「恐れ入りますが、メニューをご覧になってお待ちください」
  • 「恐れ入りますが、お席にご案内いたします」
  • 「恐れ入りますが、ご注文はお決まりでしょうか」

このように、『恐れ入りますが』もワンパターンな言い方を多用してしまうと、マニュアル的になってしまいます。

せっかく丁寧な気持ちを込めているにもかかわらず、誤解されてしまうのは避けたいものです。自然に使いこなせるクッション言葉のバリエーションを増やしておきましょう。

クッション言葉を上手に活用しよう

クッション言葉は、使わないよりは使うに越したことはありません。しかし、あくまでも『正しく』使える場合に限ってのことです。

理解せずになんとなくのイメージで使ってしまうと、逆に失礼になってしまい、かえって関係性を悪化させてしまうことにもなります。

また、クッション言葉を『正しく』かつ『上手に』使える人は、コミュニケーションがスムーズな印象を持たれやすいです。

さらに、自分の本音を上手に伝えることができるので、ビジネスにおいてのメリットも大きく、人との信頼関係を築きやすくもなります。

正しい使い方を知り、活用できるところまで習得しましょう。

※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。

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