平屋と二階建てどっちがいい?特徴・費用をポイント別比較

家づくりを学ぶ(ウチつく)

「注文住宅を考えているけど、平屋と二階建てで迷っている」「平屋と二階建てのメリット・デメリットが気になる」など、注文住宅の新築を考える方の中には平屋にするか二階建てにするか迷っている方が多く見られます。近年は平屋の人気が高まっている一方で、定番の二階建ても捨て難いメリットがあるからです。

本記事では平屋と二階建ての特徴を5つの観点から比較するとともに、平屋と二階建てを良いとこ取りした「平屋のような二階建て」についてもご紹介します。

「平屋」と「二階建て」どっちがいい?5つの観点から比較

費用

注文住宅で建築するなら平屋の方が坪単価は高くなりやすい

平屋は二階建ての家にくらべて基礎や屋根の面積が広くなるため、坪単価が高くなる傾向にあります。基礎工事と屋根工事は建物工事費の大きな割合を占めるため、2階建てより費用が高くなるのです。

しかし、一概に平屋の方が高いとは言えず、家の間取りや使う建材、キッチンや風呂場などの設備によっても費用は変わります。

注文住宅で建築するなら平屋の方が固定資産税が高くなりやすい

固定資産税は、土地と建物、それぞれの価値により金額が変動します。平屋は、二階建てよりも広い土地が必要になるケースが多いため、土地の固定資産税が高くなりやすいです。
ただし、自治体によっては特例や軽減措置があるので、建築予定地の自治体に確認することをおすすめします。

注文住宅は二階建ての方が外装の点検・修理費が高くなりやすい

二階建ては、外壁や屋根の塗装、修理や点検をおこなうときに大掛かりな足場を組まなければなりません。そのため、人手が必要で多くの費用がかかります。

また、二階部分の掃除や手入れにも、特別な道具や機器を購入せざるを得ない場合もあり、総じて点検・修理費用は高めです。

土地の広さ

平屋の方が広い土地が必要なケースが多い

平屋に二階建てと同じ広さを持たせようとした場合、単純に2倍の敷地が必要です。二階建ては空間を垂直に利用できるため同じ面積でも二つの階層分の広さを確保できます。

暮らしやすさ

平屋の方が上下の移動がなく生活・家事動線を短くシンプルにしやすい

平屋はすべての部屋が同じ階にあるため、階段の上り下りがなくなります。一階で洗濯した衣類を二階のベランダに干しに行く、または取り込みに行くという上り下りの動作は必要ありません。

二階建ての方が日当たりや風通しの良さは確保しやすい

二階建ての上階は、家が密集している住宅地でも周囲の建物に遮られにくく、自然の光を取り入れることができます。また、吹き抜け窓を設ければ一階部分にも自然光が届き、風は家の中を通り抜けやすくなります。風通しの良さは、家中に新鮮な空気を供給し、家にも人にも良い環境を作り出します。

二階建ての方が近隣からの視線を気にせずプライバシーを確保しやすい

二階建ての上階部分は、プライバシーを守るという面で優れています。地面から離れているので、通行人や近隣の視線を気にする必要がないからです。そのため、二階部分にリビングを設ける方もいます。

安全性

平屋の方が階段がないためバリアフリーの家にしやすい

平屋の最大の特長として、バリアフリーの家を実現しやすいという点が挙げられます。バリアフリーの家は、すべての部屋にアクセスしやすく家事の負担も最小限に抑えられます。

また、小さな子どもや高齢者がいる家庭でも階段からの転落事故を心配する必要がありません。

平屋の方が構造上地震や台風に強い

平屋は地震や台風に対して強い防御力を持っています。地震が発生すると、高い建物ほど揺れが大きくなりますが、平屋は低く広い形状のため揺れの影響を少なく抑えることができます。

また、平屋の構造は上からの負荷が少ないため、地震のときには倒壊しづらく台風の風でも揺れづらいです。

二階建ての方が床上浸水時に上階に避難しやすい

二階建ての家は、大雨が降って水が家屋に侵入したとき、上の階に逃げる垂直避難という選択肢があります。一方、平屋住宅は洪水の場合、屋根への移動しか残されていません。

家づくりを考えるときには、災害時の避難環境も考えたうえで、住まいの形を選ぶことが大切です。

二階建ての方が不審者が侵入しづらく防犯性の高い家にしやすい

二階建ての家は、侵入する障壁が多く覗き込みにくく、家の中が丸見えにならないため防犯性に優れています。また、周りへの見通しが良いことも不審者の侵入を遠ざけやすいといえます。

平屋のメリット・デメリット

平屋のメリット

生活動線がシンプルにまとまる

平屋では、人々の動きや家事の流れを示す生活動線がシンプルになります。たとえば、一階で生活のすべてが完結するため、部屋から部屋への移動が簡単です。

具体的には、洗濯物を一階の洗濯機から二階のベランダへ運ばなくても良いです。朝、家族を起こすために階段を何度も上り下りする必要はありません。生活動線がシンプルになることで、ストレスを感じにくい生活を実現します。

家族とコミュニケーションが取りやすい

平屋は、家族と一緒に過ごす時間が増える傾向にあります。部屋のすべてが一階にあるため、物理的に距離が近くなり家族同士が顔を合わせる機会が多くなります。

また、家族の気配を感じやすい構造は、自然に会話が生まれ、コミュニケーションが取りやすくなります。特に、子どもが成長する過程で、共に過ごす時間が減少しやすい時期でも平屋は家族の絆を深める役割を果たすと言えます。

屋根の高さが自由に設定できて開放的な空間にしやすい

平屋の魅力の一つとして、天井の高さを自由に設定できる点があります。二階建ての場合は、天井の高さにも限界がありますが、平屋であれば自由度が高いです。

天井を高くとることで、開放的な空間が生まれ、生活の快適さが高まります。また、スキップフロアや屋根裏を設ければ遊び心溢れる空間を楽しめます。

平屋のデメリット

防犯上とプライバシー面で心配がある

平屋は生活空間すべてが地上に近い特性から、プライバシーと防犯の問題に直面する可能性があります。特に人通りの多い地域では、窓から中が見えやすく、通行人の目が気になるかもしれません。

また、一階は外部からの侵入が簡単であるため、防犯面で心配です。

平屋の中心部は採光が難しく暗くなりがち

平屋は、中心部が暗くなるという問題があります。2階建ては、上階の吹き抜け窓などから太陽の光を取り入れることで、室内の明るさが確保されやすいです。

しかし、平屋は、部屋の配置や窓の位置によっては光が届きづらく中心部が暗くなりがちです。特に冬場は太陽の高さが低く、室内全体を明るく照らすことが難しくなります。

建築費が高くなりやすい

同じ床面積の場合、平屋の方が建築材が多く使われるため、建築費用が高くなる傾向にあります。特に、基礎や屋根の部分が広いため、建築費が高くなりやすいです。

二階建てのメリット・デメリット

二階建てのメリット

同居人数と年齢の変化に対応しやすい

二階建ては、同居人数や年齢の変化に合わせて住みやすさを調整するのに適しています。たとえば、子どもが成長し個人の時間を過ごせる場所が必要になれば、二階を子ども部屋にできますし、小さな子どもや高齢者は一階だけで生活できます。

また、生活音のしない空間でオンライン会議をおこないたい場合や集中したいときにも静かな場所を確保しやすいです。

ニーズが高く売却しやすい

二階建ては多くの人に適した構造です。将来的に売却する場合でも、幅広いニーズから受け入れられるため買い手を見つけやすいと言えます。

特に、家族構成の変化や日常生活の変動に順応しやすいので、幅広い層に適しています。また、プライバシーを確保しやすい構造のため、シェアハウスや二世帯住宅としても利用できます。

土地の選択肢が広がり良い立地が見つかりやすい

二階建ては、ニーズが高いので、良い土地が見つかりやすいです。2階建てならではの立地など、人気のエリアや魅力的なロケーションを選ぶことができます。

二階建てのデメリット

高齢になると階段の上り下りが負担になる

二階建ての家は、階段の上り下りが負担になることがあります。特に足腰が弱くなれば日常生活に支障をきたす可能性もあります。

若いうちは問題を感じない階段ですが次第に上り下りがむずかしくなり、一階だけで生活して二階がデッドスペースになっている高齢者も多く見られます。

そのため、自力で階段を上り下りするのがむずかしい高齢者がいる家では、エレベーターを取り付けることがあります。

家族のコミュニケーションが取りづらい

二階建ての一つの問題点として家族間の交流が減ることがあります。特に、子どもが成長期に差し掛かると、自分の部屋に引きこもりがちになり、家族との会話が減る傾向です。

また、帰宅後、自分の部屋に直行してしまった場合には家族がいつ家に帰ってきたかも把握しづらい問題も生じます。

光熱費が高くかかりやすい

二階建ては、光熱費が高くなる場合が多いです。部屋と部屋の距離が遠いため必然的に多くの冷暖房の設備が必要になるからです。

また、二階の部屋は特に暑さがこもりやすく、冷房を効かせるためにより多くのエネルギーが必要になります。

平屋か二階建てか迷う方には「平屋みたいな二階建て」という選択肢がおすすめ

コンパクトな二階で平屋のデザインを実現

平屋のデザインが良くて迷っている方にはコンパクトな二階がある平屋がおすすめです。二階にはワンルームや収納スペースなど最低限の空間を設けることができます。
また、デザインを工夫すれば、外からは平屋と見えても、室内は二階建てという構造により、プライバシーを保ちながらも、開放感を満喫した暮らしが期待できます。

中身は一部にスキップフロア・ロフト・天井裏部屋を取り入れた間取り

平屋みたいな二階建ての家とは、部屋の中にスキップフロアやロフト、天井裏部屋を設けた家です。
夫婦の主寝室は一階におき、二階は子ども部屋や、書斎、趣味専用の部屋として利用することが多いです。

まとめ|平屋と二階建てのメリット・デメリットを知っておこう

平屋と二階建てにはそれぞれメリット・デメリットがあります。平屋か二階建てか迷う方には「平屋みたいな二階建て」という選択肢もあるので、この記事を参考に理想の間取りを考えましょう。

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